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子宮頸がん検診は前がん病変を発見するための検査-細胞診とHPV(ヒトパ...
昭和大学医学部産婦人科学講座准教授の松本光司先生は、子宮頸がんをはじめとする婦人科領域の各種診療を積極的に行なわれているだけでなく、産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編の作成もご担当されています...
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子宮頸がん検診は前がん病変を発見するための検査-細胞診とHPV(ヒトパピローマウイルス)検査

公開日 2017 年 04 月 10 日 | 更新日 2018 年 09 月 21 日

子宮頸がん検診は前がん病変を発見するための検査-細胞診とHPV(ヒトパピローマウイルス)検査
松本 光司 先生

昭和大学産婦人科学 教授

松本 光司 先生

昭和大学医学部産婦人科学講座准教授の松本光司先生は、子宮頸がんをはじめとする婦人科領域の各種診療を積極的に行なわれているだけでなく、産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編の作成もご担当されています。

子宮頸がんの予防で大切なことは、定期的な検診とHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの接種だと松本先生はおっしゃいます。子宮頸がんの予防と対策に関するお話について、伺いました。

子宮頸がんの原因はHPV(ヒトパピローマウイルス)-16型と18型に要注意

子宮頸がんは性交渉のある女性なら誰でも発症するリスクがある

子宮頸がんとは、HPV(ヒトパピローマウイルス)に感染することで発生する、女性特有のがんです。HPVは現在150種類以上のタイプが確認されていますが、そのうち13-14タイプがハイリスクタイプと呼ばれ子宮頸がんの原因となります。子宮頸がんの約半分から16型、約20-30%から18型が検出されることから、ハイリスクタイプのなかでもこの2つの型はとくに要注意といえます。

性交渉経験があれば、誰でもHPVに感染している可能性があります。20代前半では実に3人に1人の割合で子宮頸部からHPVが検出されるという研究報告もあります。仮にHPVに感染しても、免疫機能により消失することがほとんどですが、ウイルスに感染した状態が続いて持続感染となると、異形成と呼ばれる前がん病変を生じます。軽度前がん病変になっても免疫が働いてその多くは自然消失しますが、一部が高度前がん病変を経由してやがて発がんに至ると考えられています。

※病理学的に上皮性腫瘍が確定している場合、がんではなく癌と表記します。

子宮頸がん検診では前がん病変の有無を確認する

HPVに感染してから前がん病変を経由して発癌するまで平均で10~20年程度かかるといわれています。つまり、前がん病変の状態が10~20年くらいあるわけですから、この期間中にがん検診で子宮頸部の異常を発見して、前がん病変が頸がんになる前に治療すれば、結果として頸がんを予防することができます。

がん検診が導入されている先進国では子宮頸がんの発生率が減少していますが、これは前がん病変が発がんにいたる前に切除するなど適切な治療を行っているためです。

子宮頸がん検診では、まず細胞診を行い、子宮頸部の病気があるかどうかをチェックします。細胞診異常が見つかった場合は、コルポスコピー検査を受けてもらい生検 (組織診) にて診断を確定します。

高度異形成以上の場合は治療が必要ですが、軽度異形成中等度異形成の場合は原則的に経過観察となります。

軽度異形成では、

80%程度が自然消失・5年間で10%程度が高度異形成に進展

中等度異形成の場合は、

60%程度が自然消失・5年間で20%程度が高度異形成に進展

するとされています。

もし経過観察中に高度異形成への進展が確認できるようであれば、治療を開始するという一連の流れが作られています。そのため適切な診療間隔でフォローアップされていれば、次に来院したときにいきなり頸がんが見つかったというようなことはありません。自然消失が確認された場合には、通常のがん検診に戻って定期的な検診を続けてもらいます。

こうしたことから、子宮頸がん検診において頸がんを見逃すことなく発見することはもちろん重要ですが、子宮頸がん検診はこれからがんに進行する恐れのある前がん病変を探すための検査というニュアンスのほうが近いといえるでしょう。

子宮頸がんの発症リスクが高い方-HPV(ヒトパピローマウイルス)感染だけではない

タバコ

子宮頸がんの発症リスクが高い方は次の通りです。

性交渉の経験が多い方

子宮頸がんの原因は、性交渉を通じたHPV(ヒトパピローマウイルス)感染です。そのため性交渉経験のある方であれば、どなたでも発症リスクがあります。性交渉の経験が多いということはその分HPVの感染機会が多いため、子宮頸がん発症リスクも上昇するといわれています。

また出産経験数の多い方も子宮頸がんの発症リスクが高いとする疫学研究がありますが、その理由としては妊娠のホルモン環境がリスクを上げるという説と単に性交渉の回数が多いからだという説があります。

喫煙習慣のある方

喫煙習慣の有無も子宮頸がん発症リスクに大きく関係しています。海外の疫学調査では、喫煙習慣のある女性では頸がんリスクが約2倍になるという報告があります。日本で行われた臨床疫学研究でも、前がん病変患者の半分に喫煙習慣がありました。

喫煙と発癌といえば肺がんが有名です。肺がんの発癌リスクは禁煙すると上昇が止まりますが、禁煙してから何年経っても肺がんの発症リスクが非喫煙者 (一度も喫煙習慣がない人) のレベルに下がることはありません。

一方、子宮頸がんの場合は禁煙して10年すると発癌リスクは低減されると報告されています。この違いは喫煙が発癌に関わるしくみの違いではないかと考えられています。肺がんの場合は、発がん物質が肺に蓄積して遺伝子変異が蓄積していくこと (この過程は不可逆で元には戻らない) で発がんするのに対して、子宮頸がんの場合は喫煙の影響でHPV感染を除去する免疫が働きにくくなるからではないかといわれています。

日本で行われた臨床疫学研究でも前がん病変は喫煙者でとくに進展しやすいということはありませんでしたが、消失しにくいという結果でした。

これまで子宮頸がん検診を受けたことのない方

前がん病変は顕微鏡で子宮頸部の細胞を見ないと絶対にわからない病気で、前がん病変が原因で生じる帯下の異常、不正出血、痛みなどの症状は全くありません。定期的に子宮頸がん検診を受診していれば、前がん病変の段階で診断することができますが、前がん病変は子宮がん検診を受けない限り発見することができません。進行した子宮頸がんの患者さんでは、これまでに子宮頸がん検診を受けたことがないという方が多くみられます。

子宮頸がんは、数あるがんのなかでも前がん病変を確認できる唯一のがんであり、ごく初期の段階で発見できれば完治することができるがんです。子宮頸がんのリスクを減らすためにも、これまでに検診を受けたことがない方には、ぜひ一度検査を受けてほしいと思います。

子宮頸がんの検査—細胞診やコルポ診の検査時間・結果はいつわかる?

一般的な子宮頸がん検診は細胞診

我が国のがん検診は子宮口付近の細胞を腟から挿入したブラシで採集して検査する細胞診が主流で、検査時間は1分程度です。検査結果通知までの期間は受診した医療機関により異なりますが、2-4週間程度で判明し、もしこの検査で細胞の異常が確認されると、精密検査を受けていただくことになります。

日本では、20歳以上の女性に対し2年に1回子宮頸がん検診を実施するよう定めており、各自治体はこれに則って検診の機会を提供しています。

精密検査ではコルポ診や組織診を実施-すべての検査が痛いわけではない

子宮頸がん検診の結果が要精密検査であった場合、前がん病変もしくは子宮頸がんのおそれがあることを意味します (ほとんどは前がん病変です)。精密検査では診断を確定するためコルポ診を実施します。

コルポ診では、コルポスコープと呼ばれる腟拡大鏡で子宮頸部や腟壁を観察して、病変のありそうなところから2-3箇所生検をとります。生検 (組織の採取) は2分程度、観察・生検後の止血確認などを含めると検査は10~15分程度で終了します。組織の採取といっても、鉗子の先で2~3mm程度のほんの小さな欠片をつまみとります。この検査で痛みを感じるとすれば生検をとるときですが、子宮頸部はあまり神経が分布していないので痛みは感じにくいです。

人間の身体の神経分布は均等ではありません。手の甲と、よく採血される肘の内側をつねってみると痛みの感じ方が違うことに気づくと思います。お産のときには直径10cmの赤ちゃんの頭が通るため、分娩時に引き伸ばされる子宮頸部に神経がたくさん来ていたら、お母さんはお産のたびに激痛で気絶してしまいます。 すぐに終わりますし、痛くてもう二度とこの検査はごめんだという患者さんはほとんどいませんから、あまり心配しないで検査を受けてください。採取された組織片は病理検査で病気の進展度を顕微鏡レベルで診断します。

子宮頸がんはHPV(ヒトパピローマウイルス)検査でスクリーニングする時代に

松本光司先生

細胞診は病気による細胞の形態的変化を見つける検査です。細胞診による子宮頸がん検診が導入されたことにより、子宮頸がんの発症や死亡が減少したという報告は国内外を問わず枚挙に暇がありません。

しかし、細胞診は人の目によって判定するので診断者によって結果に違いがあることもありますし、ときに見逃しも起こりえます。そのため近年、海外ではHPV検査という新しい検査を子宮頸がん検診に導入した国もあります。

HPV検査とは?

HPV検査とは、分子生物学的方法で子宮頸部から採取した細胞のなかからウイルス自体を検出する検査法です。つまり、前がん病変・がんによる細胞の変化を探す細胞診と異なり、HPV検査検査では病気の原因になるウイルスそのものに感染しているかを調べることになります。分子生物学的手法ですから感度がよく (見逃しが非常に少ない)、診断者によって結果が違うというようなことのない客観的検査です。しかも、原因となるウイルスを見つける検査ですから、将来病気になる人も見つけることができます。

その反面、単に感染しているだけで病変を持たない人まで引っかけてしまうという欠点もあります。

HPV検査が陰性なら安心!

HPV検査を子宮頸がん検診に導入している代表的な国は、米国とオランダです。米国では2003年から細胞診とHPV検査の併用検診を、オランダでは2017年からHPV検査単独の検診 (HPV陽性の場合のみ細胞診を行う) を導入しています。いずれの場合もHPV陰性の場合、次回の検診は5年後でよいとされています。これはHPV陰性の場合は、中等度異形成以上の病変が見逃されている可能性はほぼゼロで、病気の原因となるウイルスもいないので新しく病変を生じる可能性も低いことがこれまでの研究でわかっているためです。

HPV検査の今後は?

HPV検査ではウイルスに感染している方はすべて陽性になるため、単なる感染のみで前がん病変や子宮頸がんを発症していない方も陽性と判定されてしまいます (これは偽陽性とわれます)。HPV検査では細胞診と比べて見逃しが少ない反面、この偽陽性が多いことが欠点でしたが、近年この偽陽性を減らすように工夫された新しいHPV検査法も開発されています。

日本では、細胞診が判定保留 (軽微な細胞変化はあるものの、明らかに異常とはいえない状態) の場合、コルポスコピー検査が必要か判定するためHPV検査を行うことはすでに保険適用されており、日常臨床に取り入れられています。

また子宮頸がん検診においては、細胞診とHPV検査を併用する併用検診が一部の施設の人間ドックですでに導入されています。そして将来HPV検査を住民検診に導入するためのデータ収集を目的とする国の事業がスタートしており、いくつかの自治体がモデルケースとして子宮頸がん検診に併用検診を導入しています。このように日本でも今後HPV検査を導入しようとする動きがあります。

子宮頸がんの予防-HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン接種が欠かせない

予防接種

子宮頸がん予防では、子宮頸がん検診だけでなくHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンも非常に有効です。これは感染予防ワクチンのため、未感染者に接種した場合の感染予防効果はほぼ100%ですが、既感染者に接種した場合の治療効果は全くありません。したがって、性交経験前の思春期女性に接種することが最も効果的と考えられています。

欧米やオーストラリアでは、臨床試験ではなく実際のワクチン接種による効果 (前がん病変発生率の低下、ワクチンが予防できるHPVタイプの感染の減少など) がすでに報告されています。現在、先進国のなかでワクチン接種推奨を取りやめているのは日本だけです。日本産科婦人科学会など17の関連医学会が子宮頸がんワクチン接種の早期推奨再開が求める声明を出しています。

子宮頸がんは予防できるがんです-松本光司先生からのメッセージ

松本光司先生

子宮頸がんは予防できるがんです。子宮頸がん検診は非常に有効で、子宮頸がんの発生を防ぎ子宮頸がんによる死亡を減らす効果がすでに各国で証明されていますが、欧米と比較すると我が国の子宮頸がん受診率は満足できるものではありません。

近年日本では、若年の子宮頸がん患者増加が問題になっています。まだ小さい子を抱えたまま、必死に闘病する若いお母さんや不幸にも命を落とす患者さんをみるたび、婦人科医としては何とかしたい気持ちでいっぱいになります。ぜひ子宮頸がん検診を怖がらずに、面倒くさがらずに受診していただきたいと思います。
 

子宮頸がん・ダビンチ(松本光司先生)の連載記事

1991年より産婦人科医師としてキャリアをはじめる。2016年に昭和大学 産婦人科学講座 准教授に就任。婦人科悪性腫瘍の診療に従事。我が国の代表的HPV(ヒトパピローマウイルス)研究者の一人としても知られている。

「子宮頸がん」についての相談が8件あります

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