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疾患啓発タイアップ

公開日 : 2017 年 04 月 10 日
更新日 : 2017 年 10 月 19 日

子宮頸がん検診は前がん病変を発見するための検査-細胞診とHPV(ヒトパピローマウイルス)検査

昭和大学医学部産婦人科学講座准教授の松本光司先生は、子宮頸がんをはじめとする婦人科領域の各種診療を積極的に行なわれているだけでなく、産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編の作成もご担当されています。

子宮頸がんの予防で大切なことは、定期的な検診とHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの接種だと松本先生はおっしゃいます。子宮頸がんの予防と対策に関するお話について、伺いました。

子宮頸がんの原因はHPV(ヒトパピローマウイルス)-16型と18型に要注意

子宮頸がんは性交渉のある女性なら誰でも発症するリスクがある

子宮頸がんとは、HPV(ヒトパピローマウイルス)に感染することで発生する、女性特有のがんです。HPVは現在150種類以上のタイプが確認されていますが、そのうち13-14タイプがハイリスクタイプと呼ばれ子宮頸がんの原因となります。子宮頸がんの約半分から16型、約20-30%から18型が検出されることから、ハイリスクタイプのなかでもこの2つの型はとくに要注意といえます。

性交渉経験があれば、誰でもHPVに感染している可能性があります。20代前半では実に3人に1人の割合で子宮頸部からHPVが検出されるという研究報告もあります。仮にHPVに感染しても、免疫機能により消失することがほとんどですが、ウイルスに感染した状態が続いて持続感染となると、異形成と呼ばれる前がん病変を生じます。軽度前がん病変になっても免疫が働いてその多くは自然消失しますが、一部が高度前がん病変を経由してやがて発がんに至ると考えられています。

※病理学的に上皮性腫瘍が確定している場合、がんではなく癌と表記します。

子宮頸がん検診では前がん病変の有無を確認する

HPVに感染してから前がん病変を経由して発癌するまで平均で10~20年程度かかるといわれています。つまり、前がん病変の状態が10~20年くらいあるわけですから、この期間中にがん検診で子宮頸部の異常を発見して、前がん病変が頸がんになる前に治療すれば、結果として頸がんを予防することができます。

がん検診が導入されている先進国では子宮頸がんの発生率が減少していますが、これは前がん病変が発がんにいたる前に切除するなど適切な治療を行っているためです。

子宮頸がん検診では、まず細胞診を行い、子宮頸部の病気があるかどうかをチェックします。細胞診異常が見つかった場合は、コルポスコピー検査を受けてもらい生検 (組織診) にて診断を確定します。

高度異形成以上の場合は治療が必要ですが、軽度異形成中等度異形成の場合は原則的に経過観察となります。

軽度異形成では、

80%程度が自然消失・5年間で10%程度が高度異形成に進展

中等度異形成の場合は、

60%程度が自然消失・5年間で20%程度が高度異形成に進展

するとされています。

もし経過観察中に高度異形成への進展が確認できるようであれば、治療を開始するという一連の流れが作られています。そのため適切な診療間隔でフォローアップされていれば、次に来院したときにいきなり頸がんが見つかったというようなことはありません。自然消失が確認された場合には、通常のがん検診に戻って定期的な検診を続けてもらいます。

こうしたことから、子宮頸がん検診において頸がんを見逃すことなく発見することはもちろん重要ですが、子宮頸がん検診はこれからがんに進行する恐れのある前がん病変を探すための検査というニュアンスのほうが近いといえるでしょう。

子宮頸がんの発症リスクが高い方-HPV(ヒトパピローマウイルス)感染だけではない

タバコ

子宮頸がんの発症リスクが高い方は次の通りです。

性交渉の経験が多い方

子宮頸がんの原因は、性交渉を通じたHPV(ヒトパピローマウイルス)感染です。そのため性交渉経験のある方であれば、どなたでも発症リスクがあります。性交渉の経験が多いということはその分HPVの感染機会が多いため、子宮頸がん発症リスクも上昇するといわれています。

また出産経験数の多い方も子宮頸がんの発症リスクが高いとする疫学研究がありますが、その理由としては妊娠のホルモン環境がリスクを上げるという説と単に性交渉の回数が多いからだという説があります。

喫煙習慣のある方

喫煙習慣の有無も子宮頸がん発症リスクに大きく関係しています。海外の疫学調査では、喫煙習慣のある女性では頸がんリスクが約2倍になるという報告があります。日本で行われた臨床疫学研究でも、前がん病変患者の半分に喫煙習慣がありました。

喫煙と発癌といえば肺がんが有名です。肺がんの発癌リスクは禁煙すると上昇が止まりますが、禁煙してから何年経っても肺がんの発症リスクが非喫煙者 (一度も喫煙習慣がない人) のレベルに下がることはありません。

一方、子宮頸がんの場合は禁煙して10年すると発癌リスクは低減されると報告されています。この違いは喫煙が発癌に関わるしくみの違いではないかと考えられています。肺がんの場合は、発がん物質が肺に蓄積して遺伝子変異が蓄積していくこと (この過程は不可逆で元には戻らない) で発がんするのに対して、子宮頸がんの場合は喫煙の影響でHPV感染を除去する免疫が働きにくくなるからではないかといわれています。

日本で行われた臨床疫学研究でも前がん病変は喫煙者でとくに進展しやすいということはありませんでしたが、消失しにくいという結果でした。

これまで子宮頸がん検診を受けたことのない方

前がん病変は顕微鏡で子宮頸部の細胞を見ないと絶対にわからない病気で、前がん病変が原因で生じる帯下の異常、不正出血、痛みなどの症状は全くありません。定期的に子宮頸がん検診を受診していれば、前がん病変の段階で診断することができますが、前がん病変は子宮がん検診を受けない限り発見することができません。進行した子宮頸がんの患者さんでは、これまでに子宮頸がん検診を受けたことがないという方が多くみられます。

子宮頸がんは、数あるがんのなかでも前がん病変を確認できる唯一のがんであり、ごく初期の段階で発見できれば完治することができるがんです。子宮頸がんのリスクを減らすためにも、これまでに検診を受けたことがない方には、ぜひ一度検査を受けてほしいと思います。

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