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心臓外科手術において大切なこと
兵庫県明石市大久保町にある社会医療法人愛仁会明石医療センター。当院の心臓血管外科では、専門性を重視して安全で確実な診断と治療を行い、患者さんの生活の質を重視した心臓外科・血管外科・呼吸器外科手術...
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心臓外科手術において大切なこと

公開日 2017 年 05 月 26 日 | 更新日 2018 年 01 月 10 日

心臓外科手術において大切なこと
岡本 一真 先生

社会医療法人愛仁会 明石医療センター  心臓血管低侵襲治療センター長

岡本 一真 先生

河田 正仁 先生

社会医療法人愛仁会 明石医療センター 副院長、循環器内科 主任部長

河田 正仁 先生

坂本 元 先生

社会医療法人愛仁会 明石医療センター 麻酔科 医長

坂本 元 先生

戸部 智 先生

社会医療法人愛仁会 明石医療センター 副院長、心臓血管外科 主任部長

戸部 智 先生

目次

兵庫県明石市大久保町にある社会医療法人愛仁会 明石医療センター。当院の心臓血管外科では、専門性を重視して安全で確実な診断と治療を行い、患者さんの生活の質を重視した心臓外科・血管外科・呼吸器外科手術を行っています。

いったいどのような体制で外科手術が行われているのか。「質の高い手術」を提供するために切磋琢磨を続ける、明石医療センターの取り組みを追いました。

明石医療センターで展開される「心臓外科手術」

手術写真

いつでも安心して受けられる医療を、地域や全国の患者さんへ

当科では心臓、大血管外科、末梢血管外科の手術を行っています。突然発症することの多い循環器系疾患は、迅速な診断と治療、手術が必要です。そのため患者さんの診察・検査・治療がいつでも行えるように、時間外(夜間、休日)の緊急対応も含め24時間体制を整えています。医師及び看護師・臨床工学士も病院のすぐ近くに在住し、365日、24時間いつでも最良の治療が行えることを基本としています。そうした体制づくりから、当科で行う手術の約4分の1は緊急手術です。そうした緊急時の対応を万全にすることで安心できる医療を目指しています。

当院は兵庫県明石市に位置し、東播磨、北播磨、西神戸、垂水エリアの外科患者さんを日々診療し、地域の心臓疾患は急性期から慢性期まですべてに対応しています。こうした実績から、当科には他府県からも患者さんが来られ、地域の患者さんはもちろん、日本全国の患者さんへ満足度の高い治療を提供できるよう日々診療にあたっています。

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明石医療センター 心臓血管外科が担う手術

心臓疾患

心臓疾患は下記を中心に扱っています。カテーテル治療の進歩により循環器内科で対応できる症例が増加したため、心臓血管外科で担当する症例は重症例の割合が増えてきています。

  • 心臓弁膜症(大動脈弁、僧帽弁等)の自己弁温存形成術
  • 心房細動に対するメイズ手術
  • 狭心症や心筋梗塞に対する冠状動脈バイパス術(心拍動下および心停止下)
  • 弁置換術 
  • 虚血性心筋症に対する左室形成術
  • 先天性心疾患

 

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胸部大血管疾患

胸部大血管疾患としては下記を中心に扱っています。瘤破裂、急性解離など緊急手術が多くあります。

  • 胸部大動脈瘤の人工血管置換術
  • 大動脈解離の人工血管置換術など

 

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末梢動脈疾患

末梢動脈疾患では下記を扱っています。

  • 腹部大動脈瘤の人工血管置換術
  • 閉塞性動脈硬化症のバイパス手術

腹部大動脈瘤は5cmを超えると破裂の危険性があり、より早期の治療が推奨されます。歩行時下肢痛は下肢血行障害の徴候ですので、安静時痛に移行する前に受診されるとよいでしょう。より身体にやさしい、バルーンカテーテルやステントによる血管形成術(血管内治療)も当院循環器内科で行っています。

下肢静脈瘤

  • 下肢静脈瘤手術 (結紮手術治療)

脚の“こぶ”のような静脈の拡張が静脈瘤で、出産後や立ち仕事の多い方に発症します。夕方の脚のだるさ、むくみ、こむらがえり、色素沈着等の症状が現れます。当院ではラジオ波を用いた血管内焼灼術を積極的に行っています。多くの患者さんは入院を必要とせず、通院で治療することが可能です。

 

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よりよい手術のために―心臓手術に関わる診療科との密な連携

対談画像

心臓外科手術では心臓外科医はもちろん、循環器内科医、麻酔科医など多くの診療科の医師が関わります。明石医療センターではこのような診療科間の連携を重要視しています。

よい治療へ導く数多くのカンファレンス ―昔から「チーム医療」に熱心な風土がある

心臓血管外科と循環器内科の連携

週1回、循環器内科・心臓血管外科合同カンファレンスを開き、紹介症例の検討と心臓血管外科手術症例のレビューを行っています。またお互いに紹介症例があれば速やかに外来、入院にかかわらず部長に紹介しており、遅滞なく手術やインターベンション治療、アブレーション治療を施行します。

 

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また弁膜症の症例では、将来のTAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)を前提にした多職種カンファレンスを2週間に1回行います。以前までは外来で双方に紹介をする、病棟の週1回のカンファレンスで紹介するといった具合で連携をとっていましたが、今ではしっかり定例カンファレンスの機会を設け、より密な議論を重ねたうえでそれぞれの診療科へ紹介しています。

 

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こうした心臓血管外科と循環器内科の間のカンファレンスは、総合すると週1.5回以上設けられています。両診療科間の綿密なコミュニケーションによって、多方面の視点からよりよい医療の検討を行っています。

検査技師・臨床工学技士との連携

また特に心臓の僧帽弁形成手術などの検討では心エコーを担当する臨床検査技師が熱心に治療に参加しています。そうした臨床検査技師などのコメディカルのスタッフからの視点を取り入れるべく、心臓血管外科、循環器内科、麻酔科医、臨床検査技師などが一堂に集まりディスカッションするカンファレンスを行っています。これまで「循環器内科と心臓血管外科」「循環器内科と臨床検査技師」の定例カンファレンスはありましたが、こうした他職種のメンバーが集まり論議する機会は限られていました。現在ではこうした他職種が集まり、ディスカッションを重ねる場を定期的につくっています。

当院には血管診療技師、超音波検査士など多くの認定技師が所属しています。そうした技師が非常に熱心に治療に向き合っているため、チーム医療が円滑かつ活発に進められていると感じています。特に近年、規模の大きい手術に積極的に取り組み始めてからは心臓血管外科、循環器内科、麻酔科医、コメディカルスタッフの論議がさらに活発になり、コミュニケーションをしっかりととりながら進められています。

古くから続く「チーム医療」の風土

当院で行われているカンファレンスのうち基本的かつ少人数のものは、10年以上前から行われています。また心臓血管外科、循環器内科、看護師、作業療法士、薬剤師、栄養士などが集まる心臓リハビリテーションのカンファレンスも、当院が心臓リハビリテーション認定施設に定められた10年以上前から行っています。10年前の日本では、心臓リハビリテーション自体まだなじみのないものでしたが、時代に先駆けてカンファレンスが取り入れられていました。

 

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当院ではこうした他職種の連携を強化することで安全で効果的な医療を目指しています。

対談画像

▲右から心臓血管外科 心臓血管低侵襲治療センター長 岡本一真先生、副院長/心臓血管外科部長 戸部智先生、副院長/循環器内科 主任部長 河田正仁先生

 

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小切開手術(MICS)とは?

手術写真

当院では心臓手術をより小さい手術創で行う小切開低侵襲心臓手術(MICS:ミックス)を積極的に行っています。小さい手術創で心臓手術を行うことで術後の回復が早い、手術跡が小さいなどさまざまなメリットが得られますが、通常の胸骨正中切開(胸の中央を大きく切開する場合)と比較するとより高度な技術が求められます。

当院ではこのMICS手術の安全性と効果を最大限に引き出せるよう、手術技術、そしてチーム医療の向上を目指しています。

小切開手術(MICS)の詳細については記事1『MICS(小切開低侵襲心臓手術)とは? 連携の取れたチーム医療を目指す 明石医療センターの取り組み』をご覧ください

MICSでは麻酔科との連携がさらに重要となる

麻酔科医の先生

このMICSでは、麻酔科医の役割が非常に重要になってきます。そのため手術中の麻酔科医との連携は欠かせません。

MICSにおける麻酔科医の重要性①―片肺換気の処置

MICSでは、手術の切開創が小さいため手術の視野(術野)が大きく制限される手術です。そのため術野を確保するため片肺換気が必須です。そのためよりMICSでは確実に片肺換気を行い、片方の肺を完全に虚脱する(肺を収縮させる)ことが重要とされます。この片肺換気の処置は麻酔科が担います。

片方の肺を完全に虚脱するには、使用する特殊な気管支チューブを気管支の適切な位置に確実に挿入して、片肺換気をすることがひとつのポイントです。この処置が適切かつ確実にできないと手術は行えません。

※片肺換気…一側の肺だけが換気される状態。これにより肺が虚脱し、MICS手術の際の術野を確保することができる。

MICSにおける麻酔科医の重要性②―術後の疼痛緩和

またMICS手術では、肋間神経のある胸骨の第四肋間に沿って切開することが多いため、手術後の痛みが大きいです。そのため当院では術後の鎮痛対策とし傍脊椎(ぼうせきつい)ブロックという神経ブロックを必ず行っています。この処置も麻酔科が担当します。

傍脊椎ブロックは、患者さんが麻酔にかかり、人工呼吸器などの準備を終えた後に行います。神経ブロック用の心エコー装置を患者さんに当て、適切な位置にチューブを挿入し、そのチューブから術後局所麻酔の薬剤を流します。すると手術創周辺の感覚が鈍くなり、術後の痛みが緩和されます。麻酔科はこうした術後鎮痛対策を行ううえでも重要な役割を担っています。

※神経ブロック…神経そのものの機能を一時的に麻痺させ、痛みの伝達をブロックする方法

MICSにおける麻酔科医の重要性③―経食道心エコーの確認

心臓外科手術では、心臓の弁の状態や、心臓の血液の逆流などを経食道心エコーで確認します。確実な手術を行うためには手術中に経食道心エコーの画像を確認することがとても重要であり、MICS手術では、視野が狭い手術に集中する執刀医をサポートするために、麻酔科医が経食道心エコーをしっかり確認していきます。

MICS手術では麻酔科医がこうした重要な役割を担うことから、外科医の先生だけではなく、コメディカルの先生を含めて、豊富なコミュニケーションをとって進めています。

 

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心臓外科手術、とくにMICSでは、チームとして症例に対して同じ方向を向くことが重要です。そのためには手術中、担当している職種・役割にとらわれずに色々な人とコミュニケーションをとる必要があります。そのため当院では定期的に医師だけでなく看護師、臨床検査技師、リハビリに関わるスタッフなど、すべての職種を含めて色々なディスカッションを行っています。当院ではこのようにコミュニケーションを非常に重要視しています。

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明石医療センターの目指す世界

岡本先生の写真

心臓手術を受ける患者さんの状態や治療方針については、どのように手術するか、手術後の結果はどうか、患者さんが再発してしまった場合ではなぜ再発したのか、さらにどう治療をしていくのか……とみんなでディスカッションを重ねながら、その都度治療に関わる情報を医師・コメディカルスタッフが共有し続けることが非常に大切だと思います。

現在、当院はTAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)の実施施設申請をしている段階で、その手術施行のためのTAVIチームを立ち上げる活動しています。そうしたチームをしっかりと形成し、手術に関わるすべての医師・スタッフで共通認識を持ち、ひとつの方向を向いて、ひとつの症例に真剣に向き合っていくことが重要でしょう。こうした体制作りをこれからもしっかりと作っていきたいと思います。

今後の目標のひとつは、当院を「MICS手術でトップの病院」にすることです。2012年の時点で、僧帽弁手術をMICSで年間20例以上やっているのは全国で5施設しかありませんでした。おそらく現在でも10施設あるかどうかでしょう。当院は昨年19例であり、全国でもMICS手術を専門的に取り組んでいる医療機関です。MICS手術は高度な技量が求められ、体制の整った医療機関でないとなかなか取り組みにくい手術ですが、当院ではさらにMICSに力をいれ、MICS手術件数トップレベルを目指していきたいと考えています。

こうしたハイレベルの心臓外科手術を目指していくことで、地域、ひいては日本全国の心臓外科手術が必要な患者さんへ良質な医療を提供できるよう、これからも尽力していきたいと思います。

【参考URL】

明石医療センターHP 診療部/心臓血管外科 http://amc1.jp/shinryo/sinzou/index.html

明石医療センター 心臓血管低侵襲治療センター http://www.amc1.jp/shinryo/teishinsyu/index.html

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MICS手術(岡本一真先生)の連載記事

慶應大学卒業後、同大学病院で心臓外科医師としてのキャリアをスタート。ベルギー、イタリア、タイと海外の有名病院でフェローを務めあげ、手術実績ならびに研究業績をあげる。2010年より慶應義塾大学 外科(心臓血管)助教に就任。2012年に同専任講師となり、2016年より明石医療センターで心臓血管低侵襲治療センター長に着任。心臓血管低侵襲手術のパイオニアとして、自ら多くの症例を手がけるだけでなく、国内での手術手技普及にも貢献する。

1983年より内科、循環器内科医師としてキャリアを始めた。1990年神戸大学大学院(生化学第一・内科学第一)修了、医学博士。1990年神戸大学医学部附属病院第一生化学助手。1992年愛仁会千船病院循環器科医長となり臨床に復帰。以後、心臓全般、冠動脈、末梢血管インターベンションを中心に臨床研究、臨床治療を行った。2002年明石医療センター循環器科医長となり、以後、明石医療センターの循環器内科の症例数を約3倍、救急担当部長、副院長として救急患者数を約2倍に増加させた。モットーはできるだけ多くの患者さんに大学、循環器センター並みのハイレベルの医療を提供すること。

大学卒業後は、神戸医療センター・明石医療センター・高槻病院での職務を経験。その他、短期留学で大阪市立総合医療センター・大阪医科大学・順天堂大学・アイオワ大学(米国)において、小児麻酔・ペインクリニック・心臓麻酔などを学ぶ。現在は、明石医療センター麻酔科の責任医長として、「患者様の安全と安心の麻酔」を目指して日々精進し、周術期麻酔管理の責任を担っている。

2001年8月当科開設、以来成人心臓、胸部大血管手術症例は2017.5月現在累積1987例である。変性性僧帽弁逆流症例の弁形成率は98%、2010年より右小開胸(MICS)僧帽弁手術を開始した。虚血性心筋症に対する左室形成術、自己弁温存大動脈基部置換術を積極的に行っている。