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在宅療養者の口腔ケアの目的と訪問歯科診療
医療従事者の間では常識となりつつある訪問歯科診療。しかし一般生活者の間では、その内容や重要性はいまひとつ知られていません。在宅医療を受けている方に口腔ケアが欠かせない理由や、訪問歯科の診療内容に...
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在宅療養者の口腔ケアの目的と訪問歯科診療

公開日 2017 年 05 月 30 日 | 更新日 2017 年 10 月 19 日

在宅療養者の口腔ケアの目的と訪問歯科診療
廣石 丈人 先生

ひろいし歯科クリニック 院長

廣石 丈人 先生

目次

医療従事者の間では常識となりつつある訪問歯科診療。しかし一般生活者の間では、その内容や重要性はいまひとつ知られていません。

在宅医療を受けている方に口腔ケアが欠かせない理由や、訪問歯科の診療内容について、愛知県あま市で通常の歯科診療と訪問歯科診療をはじめ歯科診療全般を行っている、ひろいし歯科クリニック院長の廣石丈人先生に伺いました。

訪問歯科診療とは

在宅療養者

訪問歯科診療とは、在宅診療のなかでも歯や口腔内の摂食・嚥下ケアに特化した診療です。

老化や病気、疾病などがあり、住み慣れた自宅での療養を希望される患者さんのことを在宅療養者といいますが、在宅療養者は自身で十分なケアをすることができません。しかも在宅療養者は介護を受けていることが多く、健常者のように自分の医師で歯科医院を訪れ診療を受けることができず、口腔内の環境の悪化につながってしまいます。

そこで、歯や口腔疾患のプロである歯科医師が患者の自宅を訪問し、むし歯や歯周病、入れ歯の修正をはじめとする口腔トラブルをいち早く発見して治療を担当、口腔ケアのプロである歯科衛生士が口腔環境を維持しようという訪問歯科診療が考案されました。

つまり歯科医師や歯科衛生士が患者の生活の質向上のために行う、新しいかたちの歯科医療と言うことができます。

訪問歯科では何か特別な診療を行っているイメージを持たれるかもしれませんが、基本的には歯科医院で実施している保険診療と同等の診療が行われています。

 

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訪問歯科診療の対象者と保険事情

訪問歯科診療のニーズがあるのは高齢者と障害者

在宅療養者

訪問歯科では、高齢になり身体機能が衰えた、病気が原因で体が不自由になった、体に障がいがある等、ご自身で十分な口腔ケアができない方や自分の意志で来院できない方が診療対象になります。

そのため訪問歯科の主な診療対象は、

  • 前期高齢者(65~74歳の方)
  • 後期高齢者(75歳以上の方、65歳以上で広域連合から障害認定を受けた方)
  • 障がい者
  • 要介護者

です。

診療には医療保険と介護保険が適用される

お金・電卓

訪問歯科には医療保険が適用されるため、費用は年齢と加入している保険で変化します。

  • 前期高齢者(3割負担、70歳以降は2割負担)
  • 後期高齢者(定率1割負担、現役並の所得がある方は3割自己負担)
  • 障がい者(各市町村の減免率に準じます。詳しくはお住いの地域へお問い合わせ下さい)

訪問歯科診療をしている方の大半は高齢者と障がい者の方ですが、生活保護を受けている方なども使用することがあります。

※実際に訪問歯科を依頼した際の費用については、診療内容や適用される医療保険によって異なります。詳細については、お住いの地域で訪問歯科を実施してる歯科医院にお問い合わせ下さい。

※介護保険受給者の場合、負担率は各市町村の減免率に準じます。詳しくはお住いの地域へお問い合わせ下さい

 

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一般的な歯科診療と廃用症候群の予防に注力する訪問歯科診療

訪問歯科診療では30~40分の訪問時間の間に診療、口腔ケア、ご家族などへの説明を行います。

診療に必要な機器は歯科医院から専用のポータブルユニットを持参するため、患者さんには歯ブラシやコップを用意していただくだけでよく、特に器具や機器などを用意していただく必要はありません。

訪問歯科診療で特に頻度が高い義歯(入れ歯)の修理

入れ歯

訪問歯科診療では歯科医院で行うのと同じ診療が行われています。そのなかでも特に入れ歯の調整や修理に頻度が高いです。

入れ歯は作製時の口腔内の状態にフィットするよう、個人に合わせて作製されます。しかし口内環境が変化すると、入れ歯のぐらつきやゆるみが生じることが多く、入れ歯安定剤を使用しないと十分に噛めない、歯茎にあたって痛い、口内炎といったトラブルが発生するようになります。合わない入れ歯を使い続けることは口腔内を傷め、かえって口腔環境を悪化させる原因にもなり、食欲の低下や栄養失調の原因にもなるのです。

口腔内の廃用症候群予防

寝たきりの高齢者

廃用症候群とは、過度な安静など長時間体を動かさないために生じる、身体機能や筋力の低下と、これらに起因するトラブルのことです。

在宅療養者は病気や障害などにより、寝たきりや安静にしていることが多いです。そのため本人や周囲の人が異変に気がついた時には、廃用症候群がかなり進行しているケースがよく見られます。つまり廃用症候群とは、どの在宅療養者にも生じる可能性があると言えるでしょう。口腔内においては全身の機能低下に伴いしっかり咀嚼できなくなったり、飲み込む機能そのものが落ち食事形態や食事の姿勢、食事時間にまで配慮が必要になる場合も多くあります。廃用症候群になる前に、食べることのリハビリを続けることで、その方の在宅療養がより豊かになり、フレイル(虚弱)の段階から要介護にならないよう予防していくことができます。

胃ろうを造設している方は特に注意

在宅療養者の中には栄養管理のため胃ろうを造設(ぞうせつ)している方もいらっしゃいます。胃ろうとは、水分や栄養、薬剤などを胃の内部へと直接入れる方法のことです。

胃ろうを造設すると口から食事をして栄養を摂る必要がなくなるため、十分な唾液が分泌されず口腔内の自浄作用が低下します。また栄養剤の食道への逆流や、色んな意味での口腔ケアや誤嚥性肺炎の予防が求められ、ただ単に歯の治療、入れ歯の調整というだけでなく、全身への影響をより配慮した処置や助言が必要になります。まさに命に直結した口腔ケアを歯科衛生士が専門的に行なうことが大切でしょう。

・胃ろうについて、詳しくはこちらから

『胃ろうとはなにか? 水分や栄養を注入するルートのひとつ』

誤嚥性肺炎の原因になることも

摂食嚥下障害とは、口腔内やその周辺部位の機能低下により、食べ物を噛んだり飲み込んだりする能力に障害が生じることを言います。

たとえば、胃ろうを増設している、もしくは柔らかい食事を摂り続けたことにより頬や口唇、舌の筋力が低下すると、口から摂った食事などが誤って気管に入って誤嚥を起こすことがあります。

また夜間睡眠中に不顕性誤嚥(何の症状もみられない誤嚥)を起こすこともあるため、寝る前の口腔ケアは特に重要です。摂食嚥下リハビリテーションを他職種で取り組み、口腔機能の改善、低栄養への介入、全身の筋力維持強化などさまざまな角度から医療の提供を行なうことが在宅医療の課題となるでしょう。

・摂食嚥下障害について、詳しくはこちらから

『摂食嚥下障害とは』

たとえ健常者にとってはほんの些細なできごとでも、口腔内トラブルはときに在宅療養者の生命を脅かす危険があります。在宅療養者の健康の維持とQOL(生活の質)を向上させるため、訪問歯科では口腔内のケアと廃用症候群の予防にも力を入れているのです。

 

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訪問歯科診療を広げるには、まず「自宅でも歯科診療を受けられる」ことを知ってもらう

廣石丈人先生

訪問歯科診療では在宅療養者の健康を口腔面から支えるため、さまざまな取り組みをしていることをお伝えしてきました。

ここから先は、これからの訪問歯科診療に求められることについて少し触れていきます。

訪問歯科診療の認知度は低い

社会全体の高齢化や介護人口の増加、医療費削減、そして医科全体が患者主体の診療へとシフトしてきたことにより、「住み慣れた自宅で最期を迎えたい」を叶える在宅医療と、在宅医療を可能にするための訪問診療が登場、少しずつ浸透しました。

しかし訪問診療に比べると、訪問歯科の知名度はいまひとつです。「訪問診療は知っていても訪問歯科は聞いたことがない」や「訪問歯科診療は何をやっているのか知らない」方が多く、「訪問歯科」という言葉や内容が定着していない状態にあります。

これには、訪問歯科診療を実施している歯科医院がまだ少数なことと、まだまだ外来通院の患者様のニーズが多く、訪問への時間が取れない歯科医院も数多く存在する現状もあるでしょう。

まずは「訪問歯科診療」を知ってもらう

訪問歯科診療を受けている方の多くは高齢者です。そして、多くの高齢者の情報源はテレビやラジオ、知人からのクチコミなどです。逆にインターネットによる情報収集をされている方の割合は年齢が上昇するほど低下する傾向にあります。

そのため訪問歯科診療では、インターネットによる情報発信だけでなく、地域に根ざした地道な活動が必要と考えています。

訪問歯科診療に対する「見えないニーズ」を引き出す

「訪問歯科診療」を知らない方が多いなら、まずは訪問歯科診療を実施している歯科医院が積極的に声を上げて情報を発信する。もともと通院されていた方や在宅医療を行っている方に知ってもらうことで「そういう歯科診療があるのか!」と、これまで見えていなかったニーズを引き出せると考えています。

訪問歯科診療の目的は、口腔内の健康維持と誤嚥性肺炎の予防です。訪問歯科診療の知名度が上昇して、本当に必要な人を診療できるようになれば、在宅療養者のQOL(生活の質)はさらなる向上をみせるでしょう。

 

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1994年 朝日大学歯学部を卒業後、岐阜、大阪、三重県など多くの地域での経験を重ね、歯科医療の基礎から高度治療など様々な専門分野を学び、2005年4月 愛知県あま市で「ひろいし歯科クリニック」を開院。地域医療、多職種との連携を大切にし、地域の患者さまと共に健康なお口、身体を維持していけるよう、お一人お一人に寄り添った医療を提供しています。

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