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陽子線治療が適しているがんの種類とは
記事1『陽子線治療とは?-効果・仕組み・他の治療方法との違いについて』では、陽子線治療の効果や仕組みが他の治療方法と比較してどのように異なるのかご説明いただきました。残念ながら陽子線治療で、すべ...
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陽子線治療が適しているがんの種類とは

公開日 2017 年 06 月 26 日 | 更新日 2018 年 04 月 02 日

陽子線治療が適しているがんの種類とは
荻野 尚 先生

メディポリス国際陽子線治療センター センター長

荻野 尚 先生

目次

記事1『陽子線治療とは?-効果・仕組み・他の治療方法との違いについて』では、陽子線治療の効果や仕組みが他の治療方法と比較してどのように異なるのかご説明いただきました。

残念ながら陽子線治療で、すべてのがんを治療できるわけではありません。しかし前立腺がん・肝臓がん・肺がんなど、多くのがんには効果があることがわかってきました。また2016年4月には小児がんに対する陽子線治療の保険診療が認められ、ますます注目を集めています。

実際に陽子線治療が効果を示す疾患について、引き続き一般社団法人メディポリス医学研究所 メディポリス国際陽子線治療センター センター長の荻野尚先生に伺いました。

陽子線治療の適応は?どんながんに効果があるのか

手術

陽子線治療を受ける患者さんのほとんどは、何らかの理由で外科手術が行えない方です。手術が行えない患者さんには下記のようなケースがあります。

・医療機関にて医師から手術ができないと診断された患者さん:外科手術で切除できない部位に腫瘍がある、体力・身体機能の点で手術に耐えられない

・がんが進行しており広範囲に転移している

・医療機関の診断では手術は可能であるが、本人の意思で手術を拒否した患者さん:患者さん自身に「体にメスを入れたくない」、「負担や痛みが大きいため手術をしたくない」という意思がある

このような患者さんに対し、陽子線治療を検討します。

手術ができない患者さんが必ずしも陽子線治療の適応というわけではない

外科手術を行わない患者さんすべてが陽子線治療の対象になるかといえば、必ずしもそうとは限りません。とりわけ進行がんで転移が広範囲にみられる患者さんの場合は、陽子線治療をもってしても十分な治療が行えない可能性があります。

しかし、手術ができないと診断されたからといって治療を諦めず、一度、陽子線治療施設にご相談いただきたいと思っています。

陽子線治療に効果が見込めるがんは?-前立腺がん、肝臓がん、肺がん、すい臓がんなど

メディポリス国際陽子線治療センターは、あらゆるがんを罹患した患者さんが受診します。ここでは、中でも最も多く治療を行なっているがんを種類別にご紹介します。

前立腺がん

荻野尚先生

メディポリス国際陽子線治療センターが最も多く治療しているがんは前立腺がんです。前立腺がんは早期発見し、きちんと治療を行えば根治も十分に期待できるため、治療後20〜30年とご存命の患者さんも多くいます。陽子線治療が前立腺がんに適している理由は、大きく2つあります。

陽子線治療後の障害が少ない

前立腺がんの陽子線治療は施行後に残る障害が少ないため、若年の患者さんが多く希望します。

一般的に手術で前立腺がんの治療を行う際は、腫瘍周辺の神経を切除しなければなりません。神経は身体を動かす際に重要な機能を果たすので、切除してしまうと術後の機能に支障が生じてしまいます。たとえば、排尿が不自由になり尿パッドが必要になったり、性機能が落ちてしまったりするため、とりわけ若い男性は手術を受けることに不安を覚えます。

一方、陽子線で前立腺がんの治療を行う場合、効率良く前立腺がんを攻撃することができます。手術のように治療に伴って神経を切除することはないので、同じ根治術でも、手術では損なわれてしまう機能(排尿や性機能)を温存することが期待できます。また、記事1『陽子線治療とは?-効果・仕組み・他の治療方法との違いについて』でも述べたように陽子線治療は他の放射線治療と比べて、正常組織に与える放射線量がかなり少ないため、治療後の晩期放射線障害や、放射線による発がんも少なく、不安の少ない予後を送ることができます。

手術と比べて低侵襲のため高齢者の希望も多い

前立腺がん治療に限らず言えることですが、陽子線治療は痛みが少ない上、患者さんの体力を極力温存して治療できます。ですから、高齢で身体が手術に耐えきれない患者さんや、他の疾患を抱えた患者さんでも治療が受けやすいという特徴があります。

 

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肝臓がん

肝臓

陽子線は肝臓がん治療との相性も良く、メディポリス国際陽子線治療センターでも2番目に多く治療しています。陽子線治療が肝臓がん治療に適している理由は下記のとおりです。

腫瘍だけに集中した治療ができる

肝臓がんを手術で治療する場合、「区域切除」といって、がんがあるエリアを丸ごと切除する方法が標準治療になっています。この区域切除はかなり大きな肝臓の体積を一度に切除してしまうので、腫瘍だけでなく正常な組織も一緒に取り除かれてしまいます。

一方で陽子線治療の場合は、腫瘍だけに集中できるので、正常な組織を切除することがなく、肝臓の機能の大幅な温存が可能となります。

繰り返しの治療が可能

肝臓がんは再発の多いがんです。なぜなら肝臓がんに罹患している患者さんの多くが肝臓がんを引き起こす原因となるB型肝炎やC型肝炎に罹患しているからです。肝臓がん患者さんのうち、実に約8割の方が再発を経験しているというデータもあります。

しかしながら肝臓がんを手術で治療した場合、再発の際に再手術は行えないことがあります。これは肝臓がんの手術の際に正常な肝臓も含めて大きく切除してしまうので、1回でも手術を行うと肝臓そのものの機能が低下してしまうからです。

その点、陽子線治療は病巣部以外の部分に与える障害が少なく肝臓の機能を大きく低下させないため、再発してしまった場合でも、繰り返し治療を行うことができます。再発の可能性が高い肝臓がんにとって、再度効果的な治療が行えることは大きな強みとなります。

 

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肺がん

肺

肺がんの陽子線治療は「痛みの少ない治療」を希望する方が選択

肺がんを手術で治療する場合、開胸術(胸を切り開いて行う手法)が一般的です。しかし開胸術は強い痛みが長く続くことで知られています。そこで近年は、「胸腔鏡手術」を行う医療施設も増えてきました。胸腔鏡手術とは、開胸をせずに身体にいくつかの小さな穴を開け、そこから器具を入れて腫瘍を除去する手法です。この治療は従来の手術と比べると低侵襲で、痛みの少ない治療として注目されているものの、リンパ節に転移が見受けられる場合は十分な治療ができないなど、適用が絞られるという問題点もあります。

そこで近年肺がん治療の分野でも、適用の広い陽子線治療が注目を集めています。第一に、陽子線治療には痛みがほとんどありません。さらに、リンパ節に転移が見受けられた場合には、抗がん剤との併用によって、より効果的な治療が可能となります。

肺がん患者の多い中国から治療に訪れる方も

肺がんはPM2.5(微小粒子状物質)の影響などもあり、中国で暮らす方の罹患率が高いという特徴があります。そのため、メディポリスにも中国から治療に訪れる患者さんが多くいます。当院は中国語が話せるスタッフも駐在していますので、スムーズなコミュニケーションで治療にあたっています。

 

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すい臓がん

膵臓

すい臓がん患者の80%以上は手術不可能

すい臓がん治療についてまず知っておいていただきたいことは、すい臓がんに罹患している患者さんの中で手術ができる患者さんは全体の15%前後であるということです。つまりすい臓がんを罹患する80%以上の患者さんはすい臓がんが発見された段階で、手術不能と診断されます。

なぜならすい臓がんに罹患しているほとんどの患者さんは、発見された時点で既にがんが進行して広範囲に転移していたり、手術で切除できない部位に病巣が見受けられたりするからです

陽子線治療は「手術不能な局所進行すい臓がん」が対象

このようにすい臓がんの進行にも「転移性すい臓がん」「局所進行すい臓がん」の2種類があります。このうち手術不能の局所進行すい臓がんに対し、陽子線治療に強い期待が寄せられています。

・転移性すい臓がん:がんが全身のいたるところに転移している状態。陽子線治療を用いても根治は難しい。

・局所進行すい臓がん:病巣の位置が集中しているタイプのすい臓がん。重要な血管の付近への浸潤など、手術によって除去が難しい部位に腫瘍がある場合、手術不能と診断される。

陽子線を使った局所進行すい臓がんの治療の場合、転移の発生を抑制するために、抗がん剤による化学治療を併用する事が必須となっています。

陽子線治療が手術前の術前治療として活用されることも

また、すい臓がん患者さんの中で腫瘍の大きさなど条件的に手術が行えるかどうかのボーダーラインにある場合、術前治療として陽子線治療を用いることがあります。陽子線治療を行うことで状態がよくなり、手術が行えるようになったという事例もあります。

 

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保険適用が認められた「小児がん」治療について-合併症・副作用の少ない放射線治療

2016年4月より、陽子線による小児がん治療が保険診療となりました(診断時に20歳以下であること)。これは陽子線が、X線など従来用いられていた放射線と比較して利点があると認められたからです。記事1『陽子線治療とは?-効果・仕組み・他の治療方法との違いについて』でもご説明しましたが、陽子線はがん細胞に与える殺傷力がX線よりも強いのに対し、正常組織に与えるダメージはX線よりもかなり少ないという特徴があります。この長所を生かし、これから長い人生を生きる子どもたちが放射線治療の合併症として、成長障害や有害事象の発生を可能な限り低減し、長期的に見て2次発がんする恐れがないよう、小児がんを陽子線で治療することが有効であると認められました。

陽子線治療の認知を広げ、より多くの子どもたちを救う

荻野尚先生

メディポリス国際陽子線治療センターでも小児がんに対する陽子線治療を行なっています。小児がんに対する陽子線治療はまだ保険適用化されたばかりなのでご存知でない親御さんも多いかと思いますが、この認知が広がり、小児がんに苦しむお子さんが少しでも治療を受けて元気になってくださることを私たちも望んでいます。

新潟生まれ。1982年千葉大学医学部卒業。学生時代は陸上競技に取り組み、箱根駅伝予選会にも出場。
1996年より陽子線治療に従事。国内初の医療専用陽子線治療施設、国立がんセンター東病院の設立にも携わる。主に肺・肝・胆・頭頸部の腫瘍を中心に診療を行っており、患者さんにわかり易く丁寧に説明することを心がけ、日々の診療に当たる。

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