【インタビュー】

肺がんなどのがん治療が期待される陽子線治療。その費用とは?

公開日 2017 年 06 月 26 日 | 更新日 2017 年 10 月 24 日

肺がんなどのがん治療が期待される陽子線治療。その費用とは?
荻野 尚 先生

メディポリス国際陽子線治療センター センター長

荻野 尚 先生

目次

陽子線治療の治療費

がん治療において、費用は患者さんにとってもご家族にとっても非常に関心の集中するところだと思います。特に陽子線治療は健康保険の適用がなく(小児がんを除く)、費用について漠然とした不安を抱えている方も多いと思います。

ここでは陽子線治療の具体的な費用や、先進医療の治療費の仕組みについて引き続き一般社団法人メディポリス医学研究所 メディポリス国際陽子線治療センター センター長の荻野尚先生にご説明いただきます。

陽子線治療は先進治療-照射にかかる費用は全額自己負担

陽子線治療は先進医療と呼ばれる種類の治療方法で、一部症例を除き(後述)健康保険による負担額の免除を受けることができません。つまり陽子線の照射を受ける患者さんはそれにかかる費用を全額ご自身で負担することになります。

現在、陽子線治療の費用の相場はおおよそ250万円から310万円といわれています。その一方、重粒子線治療の費用は一般的に320万円前後といわれていますので、陽子線治療のほうが治療効果はほぼ変わらずにやや負担が軽く、治療を受けることができます。

 

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民間の医療保険の特約などに加入していれば陽子線の治療費はカバーされる。

陽子線治療の費用に健康保険の適用はありませんが、民間の生命保険や医療保険によっては、治療費のほとんどがカバーされます。

たとえば、契約している生命保険や医療保険に、がん保険・先進医療特約などがんや先進治療に特化したオプション契約をしていると、陽子線治療が保険給付の対象となり、契約している保険会社から治療費のほとんどが支払われ、患者さん自身の負担はわずかで済みます。

 

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小児がんには保険が適用される

小児がんについては、2016年4月より陽子線治療の保険適用が認められたため、小児がんの患者さんは陽子線治療を行う場合、健康保険により、一般の医療と同様に自己負担は3割で済みます。

陽子線治療に伴う通常の診察は保険診療

陽子線治療は前述の通り、基本的に健康保険の適用がありません。しかし、照射前後に行われる診療は保険診療として、健康保険が適用されます。

陽子線の照射には事前に患者さんの身体の状態を調べる検査や診察、場合によっては投薬が必要です。陽子線治療に際して行われる通常の診察・検査・投薬や入院料に関しては、一般の保険診療と同様に健康保険により、一般の医療と同様に自己負担は3割で済みます。

陽子線治療の治療費と税金の医療費控除

陽子線治療は健康保険に適応していないので、残念ながら高額療養費制度の適用を受けることはできません。しかし、税金の医療費控除を受けることは可能です。申告の際には治療の領収書が必要となりますので、治療を受けた際には必ず保管しておきましょう。

税金の医療費控除は、対象となる金額の全てが還付されるわけではありません。それぞれの患者さんやご家族の所得に応じて、還付される金額が異なりますので注意が必要です。

メディポリス国際陽子線治療センターの陽子線治療費-照射の回数ではなく、腫瘍の数による治療費設定

陽子線治療の装置(治療台)

メディポリス国際陽子線治療センターの陽子線治療は下記のような治療費の設定を行なっています。

・1部位の治療につき288万3千円(先進医療のため、健康保険による負担額の免除なし)
治療するがんの種類によって照射する回数は異なりますが、治療費は回数によらず一律288万3千円です。

・診療費(通常の医療費と同様に健康保険による3割負担)

・入院時の個室料金(健康保険による負担額の免除あり)

これらを合計すると約300万円となりますが、前述の民間の医療保険、生命保険の先進医療特約などの契約があると10万円程度の自己負担で済みます。

尚、かかる治療費は患者さんの病状によっても異なります。治療を検討されている患者さんはぜひ一度ご相談いただきたいと思います。

がん治療期間を快適に過ごすために-メディポリス国際陽子線治療センターの特徴                                                                     

記事1『陽子線治療とは?-効果・仕組み・他の治療方法との違いについて』でも述べましたが、陽子線治療は体への影響を少なくするために約1ヶ月というやや長い治療期間を設定しています。陽子線治療は1日の照射時間は数分と短いのですが、それを1ヶ月間継続的に行うことにより、腫瘍を確実に攻撃しつつ、正常組織への被ばくをおさえた治療を行うことができます。

しかし、長期にわたる照射が効果的だとしても、受診する患者さんの考え方によっては1ヶ月という長い治療期間に退屈したり、不安を覚える方もいます。そこでメディポリス国際陽子線治療センターでは、患者さんにとって貴重なこの1ヶ月をより有意義に使っていただけるよう、リゾート地のホテルに併設して陽子線治療施設を作りました。

がん患者さんの心もケアしたい

多くのがん患者さんはがんの宣告を医師から受けるととても大きなショックを受けます。またそのご家族も動揺され、大きなストレスを感じることになります。さらに、手術や抗がん剤などによるがん治療は闘病生活が長く険しい場合もあり、最初は気丈に振る舞っていた患者さんでも時間の経過につれて疲弊してしまうこともあります。

メディポリスではさまざまな事情や気持ちを抱えたがん患者さんが、治療期間中も快適でやすらぎのある時間を過ごすことができるよう、いろいろな工夫をしています。

リラックスできる陽子線治療施設を作りたい

今まで作られてきた陽子線治療施設のほとんどが都心にあり、通院できる距離に住む患者さんには便利である反面、遠方から治療を受けにくる患者さんにとってはやや不便な側面がありました。ただでさえ、がんの罹患による心労や不安を抱えているにもかかわらず、不慣れな土地で狭いビジネスホテルに宿泊したり、片道数時間の移動を繰り返しながら1ヶ月間治療に通うことは患者さんへの大きな負担になるでしょう。

そこでメディポリス国際陽子線治療センターは患者さんがよりリラックスして治療を受けられるよう、緑が豊かな鹿児島の地で、長期滞在しても飽きることのない暮らしの提供を心がけています。

ホテル

 

眺めのいい風景

海外の患者さんにも門戸を開く-中国から受診に訪れる患者さんも

メディポリス国際陽子線治療センターでは、がんで苦しむ多くの方に治療と療養環境が提供できるよう様々な取り組みを行なっています。近年新たに注目されているのは中国から訪れる患者さんの増加です。記事3『陽子線治療の適応疾患は?前立腺がん・肺がんなど様々な部位のがんに効果的』でも述べましたが、中国はPM2.5(微小粒子状物質)の影響などで肺がんの罹患率がとても高い国なので、肺がんの先進治療に対する関心が非常に高いです。メディポリス国際陽子線治療センターは立地的に中国に近い鹿児島に位置することもあり、中国からもたくさんの患者さんが治療のためにいらっしゃいます。近年増加している中国からの患者さんのために、私たちは以下のような取り組みを行っています。

上海に相談センター

中国・上海には「メディポリス粒子線医療上海相談センター」という施設を設置しています。ここには中国人医師が1名常駐しており、中国語あるいは日本語での陽子線治療の相談が受けられるほか、実際にメディポリス国際陽子線治療センターで治療を受けることになった患者さんに事前準備などの支援を行なっています。

メディポリス国際陽子線治療センターにも中国人スタッフを配備

また、メディポリス国際陽子線治療センターにも中国人スタッフが2名常駐しています。このように言葉の壁を取り払い、中国からの患者さんにも安心して治療を受けていただけるように努めています。

最後に-「からだと心に優しいがん治療」を目指して

荻野尚先生

現在、様々な分野の専門家ががん治療を研究し、より多くのがんを治療できるように日夜努力しています。その結果、がんは「不治の病」から「克服できる病」へと少しずつ変化してきています。

「からだと心に優しいがん治療」をテーマに痛みの少ない、身体に優しいより高質ながん治療を提供していきたいと思います。

 

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