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【画像解説】髄膜腫とは―原因・症状・治療について

疾患啓発(スポンサード)

最終更新

2018/09/21

2018 年 09 月 21 日
更新しました
2017 年 07 月 12 日
掲載しました
【画像解説】髄膜腫とは―原因・症状・治療について
周藤 高 先生

横浜労災病院脳神経外科 部長

周藤 高 先生

目次
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髄膜腫(ずいまくしゅ)は、数ある脳腫瘍のなかでもポピュラーなものです。しかしながら、その原因や発生のメカニズムはまだ解明されていません。がんと異なり、ほとんどは良性の腫瘍のため、適切な治療を受ければ予後も良好です。今回は髄膜腫とは何か、症状や治療など、髄膜腫の基礎知識について横浜労災病院 脳定位放射線治療センター長兼脳神経外科 部長の周藤 高先生にお聞きしました。

髄膜腫とは―髄膜腫の原因

頭蓋の構造

髄膜腫とは、頭蓋骨の内側にあり、脳の表面を覆っている髄膜のうちのひとつである「くも膜」という膜の細胞から生じる腫瘍です。髄膜腫のほとんどは脳の表面に発生するものの、髄膜は脳の表面だけでなく脳室(脳の内側にあり、脳脊髄液を満たしている空洞)内にもあるため、脳室内に発生することもあります。

髄膜腫のほとんどは良性です。腫瘍が大きくなるスピードは遅く、転移することもありません。そのため適切な治療を行えばほとんどの場合、腫瘍をコントロールしながら日常生活を送ることができます。まれに、良性と悪性の中間である異型性髄膜腫、悪性度が高く急速な増殖や転移を引き起こす悪性髄膜腫が生じることもあります。

良性髄膜腫

髄膜腫のほとんどがこの良性髄膜腫です。WHO(世界保健機関)の腫瘍の悪性度分類でグレードⅠに分類されます。転移する可能性はほとんどありません。手術などで完全に摘出すれば、予後は比較的良好です。

異型性髄膜腫

腫瘍の悪性度分類でグレードⅡに分類される髄膜腫です。腫瘍の成長はゆっくりであるものの、周囲に広がっていくことがあります。また、腫瘍を摘出しても再発することが少なくありません。

悪性髄膜腫

腫瘍の悪性度分類でグレードⅢに分類される髄膜腫です。急速に腫瘍が成長し、周囲に広がったり、転移したりすることがあります。治療しても再発・増悪の可能性が高い髄膜腫です。

髄膜腫は脳腫瘍のなかでも発生頻度の高いもので、近年では無症状のうちに脳ドックなどの脳の検査でみつかることがあります。中年以降に多いといわれ、年齢があがるごとに発症率も高まります。

髄膜腫は小児には極めてめずらしい疾患ですが、発症した場合は成人の髄膜腫よりも悪性の割合が高く、予後が不良なことも多いといわれています。

髄膜腫の原因

髄膜腫は女性のほうが発症しやすく、一部の髄膜腫は妊娠による増大、また乳がんや子宮筋腫などの女性特有の疾患との合併がみられることから性ホルモンとの関係が示唆されています。しかしながらまだエビデンスははっきりとしておらず、その原因はいまだに不明です。

髄膜腫は予防できる?

原因が明らかでないため、現時点での有効な予防策はありません。脳ドックなどを定期的に受けることで早期発見が可能になりますが,治療が必要かどうかは主治医の先生の説明をよく聞くことが大切です。

髄膜腫の発生部位―頭のどこにできる?

髄膜腫はくも膜のどこにでも発生する可能性があります。髄膜腫ができやすい部位もあるものの、その理由はわかっていません。以下に、特に髄膜腫ができやすい部分を紹介します。

円蓋部(えんがいぶ)

髄膜腫が一番生じやすい場所が円蓋部という頭蓋骨の丸い蓋の部分です。全髄膜腫の25%程度がこの円蓋部に生じるといわれています。手術で取りやすい部分にあるため、手術は比較的容易です。

傍矢状洞(ぼうしじょうどう)

頭の中心を通っている静脈の通り道である、上矢状静脈洞(じょうしじょうじょうみゃくどう)に接するかたちで発生します。静脈洞にまで腫瘍が入り込んでいることが多いため、手術の際、静脈洞に浸潤している腫瘍は残しておくことが一般的です。

蝶形骨縁(ちょうけいこつえん)

頭蓋底腫瘍の発生部位
頭蓋底腫瘍の発生部位

頭蓋骨の底部にある、前頭部と側頭部をわける蝶形骨縁という部分にできる髄膜腫です。蝶形骨縁外側にできた腫瘍の摘出は容易ですが,蝶形骨縁内側に生じた腫瘍は視神経や重要な血管を巻き込んでいることが多いため手術で全摘出することが困難なことがあり、その手術は大掛かりになります。

そのほかの髄膜腫の発生部位

大脳鎌(だいのうかま)

頭蓋内の真ん中にあり、左右の大脳半球の間の硬膜を指します。脳の表面ではないため少々手術の難易度が上がりますが,多くの場合全摘出が可能です。両足に麻痺が生じることがあります。

小脳テント

大脳と小脳のあいだにある「小脳テント」という部分から髄膜腫が生じます。

脳室

脳脊髄液で満ちている脳室という脳内の空洞部にできます。症状が出にくい部位のため、症状が出て発見されるころには腫瘍が非常に大きくなっていることも多いです。摘出には脳の一部を切開して腫瘍に到達することが必要になります。

シルビウス裂

前頭葉と側頭葉のあいだの溝をシルビウス裂といいます。この部位に髄膜腫が生じることはまれです。小児の髄膜腫はこの部位に生じることが多いといわれています。

視神経鞘(ししんけいしょう)

視神経のまわりに髄膜腫が生じます。この部位の髄膜腫を手術で摘出しようとすると、視神経を傷つけ視力に影響を及ぼす可能性があるため、手術でなく放射線治療が第一に選択されます。

嗅窩(きゅうか)

鼻の後ろの部分で、頭蓋底にあたります。匂いを感知し脳に伝える嗅神経に沿って発生します。腫瘍が大きくなると、匂いがわからないなどの症状がでることがあります。

鞍結節(あんけつせつ)

頭蓋底の鞍結節という部位から髄膜腫が生じます。視神経を圧迫・浸潤することがあるため、視野欠損の症状が現れることがあります。

錐体後面(すいたいこうめん)

小脳橋角部(しょうのうきょうかくぶ)とも呼ばれる部分で、頭蓋底にあります。顔面を動かす神経や聴神経の近くにあることから、進行すると顔面麻痺や耳が聞こえにくいなどの症状が出ることがあります。

錐体斜台(すいたいしゃだい)

頭蓋底部にあり、全髄膜腫の6%が錐体斜台に生じます。嗅神経や視神経以外のすべての脳神経を巻き込む可能性があるため、全摘出は難しいといわれています。

ほかに、多発性髄膜腫といって頭蓋内に多数の髄膜腫が生じることもあります。特に両側の前庭神経シュワン細胞腫とともに多発性髄膜腫が出現した場合は「神経線維腫症2型」という遺伝性疾患で、難病に指定されています。神経線維腫症2型の場合は染色体にあるがん抑制遺伝子がうまく機能していないことが原因です。