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糖尿病は継続的な治療が重要ー合併症の併発を防ぐために
糖尿病は、日本人にとって非常に身近な疾患です。国民の4人に1人が糖尿病あるいはその予備群であるといわれており(※)、糖尿病は国民病といっても過言ではないほど罹患率の高い疾患なのです。近年では、糖...
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糖尿病は継続的な治療が重要ー合併症の併発を防ぐために

公開日 2017 年 07 月 01 日 | 更新日 2018 年 09 月 20 日

糖尿病は継続的な治療が重要ー合併症の併発を防ぐために
浜野 久美子 先生

関東労災病院 糖尿病・内分泌内科 部長

浜野 久美子 先生

目次

糖尿病は、日本人にとって非常に身近な疾患です。国民の4人に1人が糖尿病あるいはその予備群であるといわれており(※)、糖尿病は国民病といっても過言ではないほど罹患率の高い疾患なのです。

近年では、糖尿病の治療は大きく進歩し、重症化を防ぐことが可能になっているといいます。しかしその一方で、治療を受けないまま放置してしまったり、治療を中断してしまったりする患者さんは数多くいるといいます。ではなぜ糖尿病は、未治療・治療中断の患者さんが後を絶たないのでしょうか。

関東労災病院 糖尿病・内分泌内科の部長である浜野 久美子先生は、糖尿病患者さんの治療や就労支援に尽力されていらっしゃいます。今回は、同病院の浜野 久美子先生に、糖尿病患者さんの未治療・治療中断の実態についてお話しいただきました。

(※)平成19年国民健康・栄養調査報告より

国民病である糖尿病は継続的な治療が重要

糖尿病の患者さんは、予備群も含めると推定で約2210万人にまで上るといわれています。 これは国民の4人に1人が糖尿病あるいはその予備群であることを意味し、日本人は2型糖尿病に罹患しやすい民族であるともいわれています。

糖尿病には、血糖値を下げるインスリンを分泌することができない1型糖尿病と、主に生活習慣の乱れによって引き起こされる2型糖尿病があります。1型糖尿病、2型糖尿病を問わず、一度罹患すると治癒することがない点が大きな特徴であり、糖尿病の患者さんには生涯を通じた継続的な治療が必要です。

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継続的な治療をしなければ重篤な合併症を引き起こす場合もある

糖尿病では、たとえ症状が現れていない初期の段階であっても治療を継続しなければ疾患が進行し、様々な合併症を併発することがわかっています。

治療を放置することで、視力を失ってしまう糖尿病網膜症や腎臓に障害が起こり最終的に尿を作りだすことができなくなる糖尿病腎症など、重篤な合併症に罹患する患者さんもいます。

このような重篤な状態を避けるためには、糖尿病の患者さんは、適切な治療を継続して受けることが重要になります。

 

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糖尿病患者さんの約4割が未治療・治療中断の実態

しかし、その一方で糖尿病には、診断を受けても治療を受けない未治療の方や、治療を中断してしまう患者さんが数多くいるという実態があります。

実際に、糖尿病患者さんの約4割は糖尿病の治療を中断してしまったり、一度も治療を受けないまま過ごしているといいます。

日本糖尿病学会の調査(※)では、定期的な通院を自己中断した主な理由として「仕事が多忙である」との理由が51%と最も多くを占めています。また、治療の中断率は男性・若年・サラリーマンや専門職で高い傾向にあることが明らかになっています。

※就労と治療の両立・職場復帰支援 (糖尿病)研究中間報告 (平成23年度)

サラリーマン

つまり、仕事が多忙な働き盛り世代にとって、糖尿病の治療を継続することが困難な実態があるのでしょう。

若年層の受診率は低い傾向がある

私たち関東労災病院でも、他の医療機関でも、受診する糖尿病の患者さんは高齢者が多いといわれています。

しかし、その一方、糖尿病の全人口は高齢者ばかりというわけではないのです。40代・50代の罹患率から考えると、通院自体していない方が多くいるということが推測できます。

治療を中断する方は重症化していない初期のケースが多い

治療を中断する方は、そこまで重症化していない方が多いでしょう。糖尿病が進行し、多数の薬剤が処方されている状態でその治療をバッサリと中断してしまう方は実は少ないのです。

それは、重症化した方には、そもそも未治療のまま放置してしまったり、治療を中断してしまったりした経験を持つ方が多いからです。疾患を放置した結果、重症化してしまった方が多いため、よほどのことがない限り再び治療を中断することはないと思いますし、治療の中断は生死に直結してしまいます。

やはり、治療を中断してしまう方は、症状がほとんど現れない初期の方が多い点が特徴です。

糖尿病未治療・治療中断の理由1:病として認識しづらい疾患である

ではなぜ糖尿病はこれほど治療を受けないまま過ごす患者さんが多いのでしょうか。これには、まず、糖尿病が「病として認識しづらい疾患」であるという特徴が大きく影響しているでしょう。

糖尿病は、特に疾患に罹患した初期の段階では症状が現れない場合が多く、治療すべき病として認識することが難しいという背景があります。そのため、診断を受けても放置してしまうケースが後を絶たないのです。

また、治療を中断してしまう場合には、治療の効果を実感しづらい点が挙げられます。症状が特に現れないなか、微細な数値の差で厳しい指導を受けても感覚的にピンとこないのは当然であると思います。

悩む男性

そのため、無意味に薬が処方されているように感じ、本来は楽しみであるはずの食事に制限がかけられることを苦痛に感じてしまう方は、治療を中断しやすいという特徴があります。

糖尿病未治療・治療中断の理由2:紹介制度の問題も?

病院の機能分化と病診連携が推進されている近年では、いわゆる総合病院や専門病院は特に重症化した患者さんを扱います。そのため、疾患に罹患した早期や軽症の方は、来院しても紹介状とともに他の診療所を紹介されるケースもあります。それは、逆も同様であり、診療所から総合病院や専門病院への紹介という場合もあります。

この紹介制度によって慣れない医療機関を受診せざるをえなくなった患者さんが、そのまま治療を中断してしまうことも多いのではないでしょうか。紹介状を発行されても、受診しないケースも少なくないと考えています。

糖尿病未治療・治療中断の理由3:仕事と治療の両立が困難である

さらに、特に働き盛りの世代にとって、定期的な通院のハードルが非常に高いことが挙げられます。

私は、労働者健康福祉機構の平成24年度病院機能向上研究において、就労と糖尿病治療両立に関する実態調査に参加しています。

この調査により以下のようなことが明らかになりました。それは、10分程度の診察のために数時間待たされるのが当たり前という糖尿病診療の実態があるということです。さらに、通院のために約4割の患者さんは有給を取得しているという現状もわかりました。

*「就労と糖尿病治療両立に関する実態調査の報告」はこちらへ

職場に糖尿病であることを伝えていない

しかしその一方、そもそも糖尿病であることを職場に伝えていない方も少なくありません。

私は、これには一般的に糖尿病のイメージが悪いという背景もあると考えています。たとえば、若い女性が糖尿病に罹患した場合、「糖尿病に罹患したことはかっこ悪い」という心情的な問題により周囲の方に伝えることができないケースも多いのではないでしょうか。

このように周囲の方、特に職場に伝えていないことが通院を困難にしているケースも少なくありません。

それは、定期的に休暇を取得するものの「治療・通院のため」と伝えることができないために休暇取得を困難にすることにつながっています。

複数の診療科を受診する時間確保が困難である

診療を待つ患者さん

糖尿病の患者さんは、必ずしも内科のみに通院すれば治療が完了するわけではありません。

眼科や歯科など、複数の診療科への受診が必要になる患者さんも数多くいます。それは、糖尿病が様々な合併症を併発しやすい疾患であるからです。実際に、当院の糖尿病患者さんのなかにも、5つの診療科を受診している方がいます。

このように複数の診療科を受診しなくてはならない場合であると特に、通院の時間を確保することは非常に難しいのです。

特にシフト制の仕事に従事しているような方は、病院の予約日が自身の休日とうまく重なるとは限りません。仕事で急に受診することができなくなったというケースも多数報告されています。このように、治療を受ける時間の確保が原因となり、治療を中断してしまっている実態があります。

 

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初期の治療が健康寿命・医療費の軽減につながる

医療費という観点から見ると、糖尿病の患者さんが治療を中断することは、生涯医療費にも大きく影響することが明らかになっています。定期的に通院した方、通院せず放置した方、その中間の方でどれくらいの医療費になるか、それを計算したデータがあります。

糖尿病の初期の改善であれば、そこまで診療費はかかりません。自己負担として影響があるものは検査代くらいでしょう。しかし、重症化するに従い検査や治療の費用は増加していきます。

診療を受ける患者さん

検査にかかる費用を初期投資として考えていただき、糖尿病の初期に教育入院(入院しながら患者さんが糖尿病に関する正しい知識を身につけ、専門医療スタッフから自己管理のトレーニングを受けること)に参加することも有効です。

初期の段階で糖尿病の正しい知識を身につけることができれば、治療を中断する方が減り、国の医療費の減少にもつながるかもしれません。

また、患者さんとっては、お金の問題だけではありません。高齢になったときに健康に生き生きとした老後を過ごすためにも、早めに治療に取り組むとともに継続して治療を受けることが非常に重要となります。
 

糖尿病と仕事(浜野 久美子先生)の連載記事

東京大学医学部を卒業後、エール大学(アメリカ)内分泌代謝内科、東京大学病院やNTT関東病院などで経験を積む。糖尿病の治療に携わるなかで未治療や治療中断の実態を知り、糖尿病患者さんの就労支援に携わることを決意。患者さんに寄り添った診療とともに、糖尿病患者さんが治療を継続しやすい体制づくりに尽力している。

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