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乳がん専用のPET検査 「PEM」とは?
『PET検査とは?活用してがんの早期発見に役立てよう!』でお話ししたとおりPET検査とは、特殊な放射性薬剤を注射した後に専用の装置で撮影することで、病気の状態を調べる検査のことです。このPET検...
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乳がん専用のPET検査 「PEM」とは?

公開日 2017 年 07 月 22 日 | 更新日 2018 年 03 月 14 日

乳がん専用のPET検査 「PEM」とは?
佐藤 俊彦 先生

宇都宮セントラルクリニック 理事

佐藤 俊彦 先生

目次

『PET検査とは?活用してがんの早期発見に役立てよう!』でお話ししたとおりPET検査とは、特殊な放射性薬剤を注射した後に専用の装置で撮影することで、病気の状態を調べる検査のことです。このPET検査の中に、乳腺の検査に特化したPEM(ペム)があります。栃木県宇都宮市にある宇都宮セントラルクリニックは、がんだけでなく認知症やパーキンソン病などさまざまな病気の検査にPET検査を導入しています。

宇都宮セントラルクリニック理事の佐藤俊彦先生に、PEMについて教えていただきました。

※本記事内では、PET検査で使用する薬剤のことをFDGに統一して表記しています。

※本記事内でご紹介するPET検査とは、18FDGを用いたFDG-PET検査のことです。

乳がん専用のPET検査「PEM」 とは?超早期の乳がんの発見も期待できる

PET検査には、乳腺の検査に特化したPEM(ペム)と呼ばれる検査があることをご存知でしょうか。

PEM検査とは

PEMとは、乳腺専用の装置を使用したPET検査のことです。通常のPET検査でも乳房の検査は可能ですが、小さいがん組織や特殊な組織型のがんの場合は発見が難しく、PET検査による乳がん発見率向上が大きな課題でした。そこで全身用PET/CT装置と比べてより効率のよい検出素子を用いたり、ガンマ線を受ける検出素子を小さくしたりすることなどで感度や解像度を向上させたセンサーを搭載した装置が開発されました。

PET/CTとの比較

PET/CT vs PEM、PEM検査のメリット

セティ株式会社、宇都宮セントラルクリニックご提供

PET/CTでは5mm〜10mmの腫瘍を描写できますが、PEMではさらに小さい2mm程度の微細な腫瘍も描出可能です。

PEM検査の特長-通常のPET/CTやMRI、マンモグラフィーとは何が違う?

乳がんに対する特異度が高い

特異度とは、検査における有用性について評価するため、感度とともに重要視されている指標のことです。特異度が高い検査とは、検査結果が陽性であればその病気の可能性が高いということを意味しています。

PEMは腫瘍の性質を見抜くことにも優れています。MRI検査で両方の乳房に悪性腫瘍が疑われる方にPEMを実施したところ、FDGの集積具合から片方は悪性腫瘍(浸潤性腺管がん)、もう片方は嚢胞(良性)と、それぞれの性質の違いを見抜いた例も報告されています。

超早期の乳がんの発見率向上

超早期の乳がんの発見率

宇都宮セントラルクリニックご提供

PEMでは通常のPET/CTよりもさらに精度の高いカメラを使用しています。よりくっきりとした鮮明な画像を描出可能なため、前述の通りこれまでのPET検査では見つけられないほど小さな病変も見つけられます。

術前検査や乳房内再発の有無でも活用できる

PEMでは乳房をスライス状の断層画像にして描出します。FDGの集積具合をより立体的に把握できるので、乳がん再発時の治療方法や手術範囲を決定する際の判断材料とすることができます。

乳房再建後の検査でも有効

自家組織によって再建された乳房は、MRIやマンモグラフィーで検査しても病変の描出が難しいケースが少なくありません。PEMではFDGの集積具合によってがん細胞の有無を調べるので、乳房再建をした方でも精度の高い検査を受けることができるといわれています。

豊胸手術を受けた方の乳がん検診ではPEMが第一選択になる

豊胸手術を受けた方の乳がん検診

病歴: 45歳、女性、インプラントあり
所見: PEMにて、乳首近傍に代謝亢進部及び右乳房外側1/4上部に第2の集積を認める。
Pathology: 乳首近傍患部 -IDC, DCIS 外側1/4上部 -IDC 
(Images Courtesy Diagnostic Specialty Imaging, Bensalem, Pennsylvania提供)

豊胸手術を受けた方が乳がん検診を受ける場合、PEMが第一選択といわれています。これはマンモグラフィーでは乳房を強く圧迫するためインプラントが破裂する危険があることに加え、超音波検査やCT・MRIではインプラント(シリコンなどの詰め物)が画像描出の精度に影響を与えるためです。

時間をずらして撮影することで良性悪性の判定に役立てることができる

超音波検査やCT・MRIでのインプラントの影響

宇都宮セントラルクリニックご提供

撮影タイミングをずらした画像を比較して細胞の性質を判定する材料にすることもあります。これは正常細胞とがん細胞におけるブドウ糖の集積具合が違うことを利用した、PET検査ならではといえるでしょう。

乳がんの術前化学療法に対する効果判定

乳がんの手術前に化学療法を行うことがありますが、PEMはこの術前治療の有効性を判断する検査としても有用とされています。

乳房を装置に挟まないため痛みが少ない

日本では、乳がん検診は痛いというイメージをもたれる方もいるかもしれません。

PEMで使用するガンマ腺は人体を突き抜けていく性質があります。そのためPEMでは、機械に乳房を挟んで強く押さえつける必要はありません。機械に乳房を乗せたら軽くフワッと挟む程度なので、痛くない検査といえるでしょう。乳房を装置に無理やり挟むことがないので、胸のボリュームが少ない方でも安心して受けていただけます。

閉所恐怖症の方でも受けやすい

MRIは撮影時に装置内部に入る必要があるため、閉所恐怖症の方は検査を受けられない、または検査を負担に感じることがあります。PEMでは装置に乳房を軽く挟むだけで、密室で検査を受ける必要がないため、閉所恐怖症の方でも精神的な負担が少なくなります。

PEMのしくみはFDG-PETと同じ

PEMでは、18Fで標識したFDGを使用します。そのため、検査の流れや注意点は通常のPET検査に準じます。

PET検査の流れや注意点について、詳しくは『PET検査の流れ−検査にかかる時間や注意点とは?』をご覧ください。

日本の乳がん検診の現状-34.2%にとどまる受診率

日本人女性は乳がん検診に対する意識が低い

1996年以降、乳がんは日本人女性のがん罹患率第1位であるにもかかわらず、2013年に厚生労働省が発表した国民生活基礎調査によれば、日本人女性の乳がん検診受診率は34.2%にとどまっています。

これは、乳がんに対する意識の低さなど、さまざまな要因が考えられます。

たとえば乳がんは、しこりができるから定期的に触診すれば大丈夫といわれています。しかし乳がんはしこりのできないタイプもあるうえ、触ってわかる大きさのしこりががんだった場合にはすでに進行がんであるケースもあります。

乳がん罹患率は年々上昇している

日本の乳がん罹患者数は20歳を過ぎたあたりから少しずつ増え、30代で急激に増加、40代後半から50代にかけてピークを迎えます。

また、日本人を含むアジア人女性はデンスブレスト(高密度乳腺)の方が多く、マンモグラフィーを実施しても画像が全体的に白くなるため、乳がんを見つけにくい場合があります。デンスブレストは加齢とともに解消することが多いですが、年齢を重ねてもデンスブレストの状態が続いている方の乳がん罹患率は、そうでない方より高い傾向にあるといわれています。

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乳がんを小さく見つけて切らずに治す!を実現するために

乳がんの手術では乳房にメスを入れるため、傷や凹み、形崩れなどが体に残るケースもあります。そのため乳がん手術を受けた方のなかには乳房の見た目だけでなく、パートナーや子どもとの関係も大きく変化して、心にも傷を負う方がいらっしゃいます。

たとえ乳房再建をしたとしても、乳がんによって生じた身体的・精神的な傷が患者さんから完全に消えることは難しいと考えています。

PEMで乳がんの有無を調べることは、女性の体と心、そしてパートナーとの関係性を含めた将来を守ることにつながります。

自分は乳がんにならないという思い込みをせず、乳がん検診を定期的に受診していただければと考えています。

福島県立医科大学を卒業後、日本医科大学第一病院、獨協医科大学病院などの放射線科で研鑽を積み、画像診断に不可欠な読影技術を磨く。
2003年には栃木県内初となるPETセンターを、宇都宮セントラルクリニック内に開設。以来、最新鋭の検査機器を駆使して、「小さく見つけて切らずになおす」を目標に高度な診療を提供し続けている。
近年ではPET検査をがんの発見だけでなく、パーキンソン病や遺伝子疾患のAADC欠損症、認知症の早期発見のためにも活用している。

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