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認知症のPET検査(FDG-PET・PIB-PET)とは
日本では高齢化の進展とともに認知症が大きな社会問題となりつつあります。認知症の検査に、『PET検査を活用してがんの早期発見に役立てよう!』でご紹介したPET検査が大いに役立つことをご存じでしょう...
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認知症のPET検査(FDG-PET・PIB-PET)とは

公開日 2017 年 07 月 24 日 | 更新日 2018 年 03 月 14 日

認知症のPET検査(FDG-PET・PIB-PET)とは
佐藤 俊彦 先生

宇都宮セントラルクリニック 理事

佐藤 俊彦 先生

目次

日本では高齢化の進展とともに認知症が大きな社会問題となりつつあります。認知症の検査に、『PET検査を活用してがんの早期発見に役立てよう!』でご紹介したPET検査が大いに役立つことをご存じでしょうか。

本記事では宇都宮セントラルクリニック理事の佐藤俊彦先生に、認知症の発見と診断に対するPET検査実施の有用性について教えていただきました。

※本記事内では、PET検査で使用する薬剤のことをFDGに統一して表記しています。

日本の高齢化と認知症患者増加は無関係ではない

日本では3人に1人が高齢者の時代がやってくる

宇都宮セントラルクリニックご提供

総務省統計系局の発表によると、2015年における65歳以上の方は約3384万人で全人口の26.7%、80歳以上の方は約1002万人で、これは全人口のうち7.9%に相当します。こうした数値から、日本では約4人に1人が高齢者といえるでしょう。

しかし20年後の2035年では、高齢者数と全人口における割合はさらに増加し、65歳以上は3741万人で33.4%、80歳以上は1627万人で14.5%と、約3人に1人が高齢という社会を迎えるだろうと予測されています。

増え続ける認知症患者

高齢化が進展すると、認知症は現在よりも大きな社会問題になります。これは厚生労働省の発表ですが、2012年の時点で65歳以上の高齢者人口は約3079万人、このうち認知症の方は約462万人、そして認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)の方は約400万人とのことです。この発表により2013年の段階で、高齢者のうち4人に1人の方が認知症もしくは認知症予備軍と診断されていることがおわかりいただけると思います。

これから高齢化社会を迎える日本では、認知症を発症する、もしくは軽度認知症と診断される方は激増すると考えられるため、高齢化対策だけでなく認知症対策も大きな課題なのです。

認知症と物忘れは別物!

認知症とは

宇都宮セントラルクリニックご提供

認知症とは今まで正常に機能していた脳神経細胞が、何かしらの理由で働きが悪くなる・もしくは死んでしまうことで、認知機能が低下する病気です。

認知症には、脳神経細胞の減少や変化が原因の変性性認知症と、外傷や疾患の影響が原因の二次性認知症があります。

・変性性認知症(アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、パーキンソン病が引き起こす認知症、前頭側頭型認知症)

・二次性認知症(血管性認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫)

認知症の症状は、中核症状行動・心理症状(周辺症状)の2種類に大きく分けることができます。中核症状とは脳内の神経細胞が障害されたことで生じる症状のことで、認知機能が低下した方であればどなたにも生じます。中核症状の代表的な例として、

  • 記憶障害(新しい事柄を覚えられない)
  • 見当識障害(時間や場所、人物の顔がわからない)
  • 判断力障害(論理的思考ができなくなる)
  • 実効機能障害(順序だって物事を進められない)

などが挙げられます。

もう1つの行動・心理症状(周辺症状)の程度は、先にご紹介した中核症状の進行状態やその方の本来の性格、身体症状や生活環境など複数の要素に左右されるため、かなり個人差があるといえるでしょう。代表的な症状としては、妄想・失禁や不潔行為・幻覚・異食・不安、焦燥・睡眠障害・抑うつ・介護抵抗などがあります。

認知症が進行すると中核症状や行動・心理症状も悪化するため、次第に日常生活にも支障をきたすようになります。

物忘れと認知症の違い

認知症は、健忘(けんぼう)と呼ばれる老化現象のひとつである良性の物忘れと混同されがちです。

しかし物忘れはきっかけがあれば思い出せるのに対し、認知症はきっかけがあっても思い出せないという違いがあります。たとえば、何を食べたか思い出せないのを物忘れ、食事をしたこと自体を思い出せないのを認知症と区別することができるでしょう。

 

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軽度認知症(MCI)とは

軽度認知症とは、記憶や意思決定に関する5つの定義すべてにあてはまるものの日常生活には支障をきたしていない、いわば健常者と認知症の中間にあたるグレーゾーンのことです。

軽度認知症であれば発見後の対応の仕方によって、症状の回復や認知症発症を遅くできる可能性もあります。しかし軽度認知症をそのままにしてしまうと脳の認知機能はさらに低下するため、5年間で約50%の方は認知症へ進行するともいわれています。

 

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早期の段階で「認知症の芽」を見つけることがQOL(生活の質)改善につながる

認知症では、脳神経細胞が完全に死滅してない早期の段階で発見して治療を開始できれば、病気の進行をある程度遅らせることができます。特に進行抑制剤を使用した薬物療法は、進行度が軽い段階で実施すればその分効果を発揮しやすいため、認知症治療では、いかにして認知症の芽を見つけ、これ以上大きくならないようにするかが重要視されています。

 

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認知症診断の手がかりとなる画像診断PET検査とは?アルツハイマー型認知症のケース

アルツハイマー型認知症とホモシステイン酸の関係

ホモシステイン酸とは、血液中にあるアミノ酸の一種です。近年の研究で、ホモシステイン酸がアルツハイマー型認知症の発症と大きく関連していることがわかりました。

ホモシステイン酸はビタミンB6・B12や葉酸などのビタミン類と結合して、必須アミノ酸の1つであるメチオニンを作り出します。しかし、ビタミン類が不足して血液内にホモシステイン酸が溜まりすぎると、高ホモシステイン血症という状態になります。ホモシステイン酸が多い状態が続くと、脳神経細胞の変性を招き、アルツハイマー型認知症の原因となることがわかったのです。

また高ホモシステイン血症は、ビタミン不足だけでなくストレスとも密接に関係しています。そのため、長期間にわたりストレスを貯め続けることも、高ホモシステイン血症を招き、アルツハイマー型認知症の発症リスクが高くなるといえるでしょう。

 

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認知症の方の脳のなかでは何がおきている?

認知症の検査方法についてご紹介する前に、認知症の方の脳内ではどのような変化が起きているのか、ここでは認知症のなかで最も多いアルツハイマー型認知症を例にご紹介します。

アルツハイマー型認知症の鍵を握るのは、アミロイドβという物質です。アミロイドβとは神経細胞毒性の強いタンパク質のことで、健康な方であればゴミとして脳内から排出されます。しかしこのアミロイドβが排出されず脳内に蓄積し続けると、ニューロンと呼ばれる神経細胞周辺に沈着して細胞死を引き起こし、老人斑を形成します。アルツハイマー型認知症の方の大脳皮質では、この老人斑を確認できます。

老人斑が進行すると、神経細胞のなかにタウというタンパク質が凝集して、神経原線維化変化と呼ばれる変化が生じ、周辺に糸くずのようなものが蓄積するようになります。こうして神経細胞内のタウが正常に機能しなくなり異常な線維をつくることで、アルツハイマー型認知症の方の脳神経細胞は死滅していくのです。

PET検査はがんだけでなく認知症の診断にも役立つ!

宇都宮セントラルクリニックご提供
脳は栄養源がブドウ糖なので、FDG-PETにより神経細胞の活動をチェック可能

宇都宮セントラルクリニックご提供
若年性アルツハイマー病は、連合野から変化が出てくるのでMRIでは診断できない

画像診断には、CTやMRIのように対象の形を調べる形態診断と、PET検査やSPECT(スペクト)のように細胞や組織の機能を調べる機能診断があります。

PET検査とは、放射性薬剤を投与した後、特殊な装置で撮影する検査のことです。現在PET検査といえば、大半はがん発見を目的とした18F-FDGを用いたFDG-PETを指しています。

 

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FDG-PET検査とは?

がん細胞には通常の細胞よりもブドウ糖を大量に消費する性質があり、FDG-PETとはこの性質を利用した検査です。ブドウ糖に18Fという放射性同位元素を標識したFDGと呼ばれる放射性薬剤を体内に入れ、その集積具合をPETカメラで撮影することで、がん細胞の有無や進行具合の診断材料にします。

脳はブドウ糖を唯一の栄養源としています。そのためブドウ糖に似たFDGは投与されると脳に集積します。そのためFDG-PETは脳のブドウ糖代謝、つまりFDGの集積具合をみることで、脳神経細胞がどの程度生きているかと機能しているかがわかるため、認知症の診断材料にできるのです。

認知症はFDG-PETとPIB-PETで調べる

認知症に対するPET検査、特にアルツハイマー型認知症に対するPET検査には、先にご紹介したFDG-PETだけでなくPIB-PETもあります。

PIB-PETとは、PIBというアミロイドβに集まる放射性薬剤を使用して脳内のアミロイドβの蓄積状態を調べる検査方法のことです。PIBはアミロイドβが蓄積している部分に集積するため、PIB-PETではその部分が白くハッキリと映し出されます。このようにPIB-PETは、脳内のアミロイドβ集積を調べるため非常に有用な検査といえるでしょう。しかし薬剤は老人斑を形成するアミロイドβだけでなく、脳血管障害によるアミロイドβにも結合することや、レビー小体型認知症でも高い割合で結合がみられることにも留意する必要があります。

PET検査では脳の機能そのものを調べている

宇都宮セントラルクリニックご提供

 

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大学病院のものわすれ外来でなにもないといわれ、来院。MRIでは前頭側頭葉に萎縮を認める。PETでは、前頭・側頭葉・連合野にFDGの修正低下を認め、前頭側頭型認知症と診断できる。

認知症、特に早期のアルツハイマー型認知症の発見率はPET検査が最も高く、SPECT、MRIがその後に続きます。PET検査とSPECTの発見率が高いのは、これらが機能診断であるためです。

もちろんCTやMRIでも認知症を検査・発見することができます。しかしこれらの検査で見つけることができるのは中期以降の、ある程度進行した認知症であることがほとんどです。認知症は発見と治療開始時期が遅くなればその分、治療効果も見込めなくなります。認知症の芽をより早い段階で発見して治療につなげるためには、脳の機能そのものを調べるPET検査は適した検査方法といえるでしょう。

PET/CTでは3次元表示が可能に!認知症の研究を進めるSPM解析とは?

PET検査では断層像で脳の機能を推し量ることができますが、CTのような形態画像と組み合わせることで、今日では3次元の表示も可能になっています。

3次元の表示は診断精度をさらに向上させました。

また、Statistical Parametric Mapping (SPM解析)と呼ばれる手法が応用されるようになったことで、過去の多くのデータに基づいた統計的な視点から症例の結果を検討することも可能になっています。

認知症PET検査の流れ

基本的な流れは通常のPET検査に準じる

認知症を対象としたPET検査では、FDGを使用して糖代謝を調べる場合は30分、PIBを使用する場合は安静時間を挟むことなく検査可能です。基本的な検査の流れや注意事項はFDG-PET検査に準じます。

PET検査の流れについては『PET検査の流れ−検査にかかる時間や注意点とは?』をご覧ください

認知症PET検査の時間が短い理由

がんの有無や進展状態について調べる場合は、検査対象が全身のためFDGを全身に行き渡らせる必要があります。しかし認知症で検査するのは頭部に限られているため、FDGが頭部に行き渡るのを待つだけでよいためです。

認知症PET検査の費用-健康保険は適用外

認知症を検査するためにPET検査を実施した場合は健康保険の適用外となるため、検査費用は全額自己負担となります。

宇都宮セントラルクリニック アルツハイマーPET検査1回30,000円(税抜き)でご案内しています。PETのがん検診を受診した方には、両方の受診をおすすめしています。

 

福島県立医科大学を卒業後、日本医科大学第一病院、獨協医科大学病院などの放射線科で研鑽を積み、画像診断に不可欠な読影技術を磨く。
2003年には栃木県内初となるPETセンターを、宇都宮セントラルクリニック内に開設。以来、最新鋭の検査機器を駆使して、「小さく見つけて切らずになおす」を目標に高度な診療を提供し続けている。
近年ではPET検査をがんの発見だけでなく、パーキンソン病や遺伝子疾患のAADC欠損症、認知症の早期発見のためにも活用している。

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