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脳卒中の後遺症ー復職はできるのか
脳の血管に何らかの障害が起こり、ある日突然に発症する脳卒中。手足の麻痺症状や筋肉の硬直などの後遺症に直面し、「もう自分は職場に戻れないのではないか」と悩んでしまう就業中の患者さんも多数おられます...
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脳卒中の後遺症ー復職はできるのか

公開日 2017 年 07 月 01 日 | 更新日 2018 年 08 月 28 日

脳卒中の後遺症ー復職はできるのか
小山 浩永 先生

独立行政法人労働者健康安全機構・関東労災病院リハビリテーション科部長

小山 浩永 先生

目次

脳の血管に何らかの障害が起こり、ある日突然に発症する脳卒中。手足の麻痺症状や筋肉の硬直などの後遺症に直面し、「もう自分は職場に戻れないのではないか」と悩んでしまう就業中の患者さんも多数おられます。

関東労災病院の勤労者リハビリセンターでは、仕事を持つ脳卒中患者さんの心身に寄り添い、後遺症の治療と共に元の職場に戻れるよう復職支援を行っています。実際に多くの患者さんの社会復帰を後押ししてきた関東労災病院リハビリテーション科部長の小山浩永先生に、復職のために改善が必要な脳卒中の後遺症について、解説していただきました。

はじめに-脳卒中の後遺症は改善できる

脳の血管が破れたり詰まってしまうことで起こる疾患の総称を脳卒中、正式には脳血管障害といいます。脳には心身の機能を司る神経が多数走っているため、障害された部位によっては後遺症が残ります。しかしながら、たとえ後遺症が生じたとしても、必ずしもそれまでの生活や仕事を諦めなければならないわけではありません。私たち勤労者リハビリセンターの医療スタッフは、以下に述べる後遺症の改善と、就労中の患者さんの復職支援に全力をあげて取り組んでいます。

脳卒中の主な後遺症、片麻痺と痙縮(けいしゅく)

脳卒中の代表的な後遺症には、片麻痺と痙縮があります。片麻痺とは、文字通り体の片側のみに現れるしびれや動かしづらさといった麻痺症状です。麻痺症状の重さは人により大きな差異があり、なかには車椅子生活を余儀なくされる方もいます。その一方で、歩行は問題なくできるため、ADL(日常生活動作)には何ら問題が生じない患者さんも多々いらっしゃいます。

痙縮(けいしゅく)とは、腕や指が曲がったまま、あるいは足の関節が伸びきったままになり、歩行や手作業などに支障をきたすこともある後遺症です。痙縮は手足の筋肉が過剰に緊張することにより生じる後遺症で、具体的には文字が書けない、箸を持てないといった問題を引き起こすことがあります。

 

手の機能と復職率には相関関係がある

キーボードなどを打っている社会人の手

「復職を目指す」という視点に立つと、足の麻痺や痙縮以上に手指の後遺症の改善が重要になります。

脳卒中後もある程度のADLを維持できていることが前提となりますが、手の機能が高いほど復職しやすくなることが様々なデータから明らかになっています。

そのため、当リハビリテーションセンターでは、磁気や電気刺激を用いた麻痺の治療と共に、ボトックス療法と呼ばれる手指の痙縮の治療にも力を入れています。手の機能回復のための治療とリハビリテーションの詳細については記事2『脳卒中のリハビリで機能はどこまで回復する?脳卒中後の復職率と治療の方法』をお読みください。

記憶障害などの高次脳機能障害も脳卒中の後遺症のひとつ

脳卒中後に認知症と似た症状や性格の変化が生じることも

脳卒中には、脳の大きな血管が詰まる脳梗塞、脳の血管が破れる脳出血、動脈瘤が破れるくも膜下出血があります。このうち、特に脳梗塞を起こした後には、高次脳機能障害と呼ばれる脳の障害が残ることがあります。

高次脳機能障害の種類は多岐にわたりますが、代表的な後遺症は、記憶障害、遂行機能障害、注意障害、行動性格変化の4つです。

記憶障害

物忘れなど、認知症とよく似た症状が現れます。特に、新しいできごとや知識を記憶することが困難になります。

遂行機能障害

自分で計画を立て、実行することができなくなります。

注意障害

長時間ひとつのことに集中できなくなったり、同時に複数のことを行えなくなったりします。

行動や性格の変化

意欲がなくなり引きこもりがちになる、怒りっぽくなるなど、行動や性格に変化がみられます。

脳卒中後の復職-精神的な疲れやすさ「易疲労性」の克服が重要

焦らず通勤や継続勤務のための十分なリハビリテーションを

疲れている社会人

高次脳機能障害のなかには他にも様々な障害がありますが、復職を目指す際には、特に易疲労性(いひろうせい)を克服することが重要になります。易疲労性とは、精神的な疲れやすさのことを指し、日々継続的に勤務するにあたり問題となることがあります。

脳卒中を起こして休職される患者さんのなかには、「職場に迷惑をかけている」といった思いから、早期に復職されようと焦ってしまう方も多々おられます。しかしながら、たとえ病院のなかではADL(日常生活動作)が十分に獲得できており、業務を遂行する能力があったとしても、実際に職場に戻った際に数時間で疲労してしまい横になりたくなることや、通勤に困難を感じるといった壁に直面することがあります。そのため、復職前の医師による機能評価の際には、易疲労性が改善できているかどうか、継続的な勤務への耐久性は十分かをしっかりと確認します。

復職後に精神障害をきたす脳卒中患者さんを減らしたい

うつ状態を悪化させないために職場にも働きかける

脳卒中に限らず、病気により休職されていた患者さんが復職されるときには、精神的・肉体的な緊張やストレスが生じます。また、後遺症や体力の低下により、できると思っていた業務や以前は容易にこなせていた作業がうまくできないといった現実に直面すると、自信を失い落ち込みがちになることもあります。その結果、職場に戻った後にうつ状態が悪化してしまい、病院へと再び戻ってこられる脳卒中の患者さんもおられます。

このような「逆戻り」を回避するためにも、十分に休職できる環境にある患者さんにはどうか焦らないでいただきたいとお伝えしています。

当リハビリテーションセンターでは、患者さんが復職に臨む際、逆戻りなどのケースがあることを考慮し、患者さんへのケアだけでなく、職場の方への周知や、受け入れ体制、利用される交通機関の確認にも力を入れています。

※医師による企業訪問の詳細は記事3『脳卒中のリハビリと復職までにかかる期間-医療者による会社訪問の目的とは』をお読みください。

その他の代表的な脳卒中の後遺症

脳卒中後の摂食嚥下障害-栄養管理が重要

食べ物や飲み物がうまく飲み込めなくなる障害を摂食嚥下障害といいます。飲食ができないことによる栄養障害や、誤嚥による肺炎(誤嚥性肺炎)などのリスクがあるため、栄養管理や感染症対策も重点的に行っています。

 

脳卒中後の言語障害-言葉が出なくなるだけではない

言葉の理解や伝達ができなくなることがあります。相手の話していることは理解できるものの、自分の思うことをスムーズに言葉に出せないというケースや、相手の言葉がほとんど理解できないというケース、滑らかによく喋るものの相手にとって理解困難なことを口にしているケースなど、症状の現れ方は多様です。

脳卒中後のてんかん-脳に傷がつくことで起こる

脳出血や脳梗塞により、脳が傷害されたり圧迫されたりすることで、てんかんを発症することがあります。突然の意識消失や繰り返すけいれん発作などが主な症状として挙げられ、治療の確立にむけた研究が進められています。

 

脳卒中後の排泄障害

頻尿や尿失禁、常にトイレが近いと感じるといった症状が現れます。尿失禁がある患者さんは自宅退院率が低くなることがわかっているため、リハビリテーション科におけるトレーニングのほか、カテーテル留置といった治療を行なうこともあります。

 

 

脳卒中後の復職のカギは後遺症の有無だけではない

復職の促進因子や阻害因子を調べる研究も行われている

人間関係のいい職場

ここまでに、脳卒中後に起こりやすい代表的な後遺症について解説してきました。しかしながら、脳卒中を発症した患者さんがスムーズに社会復帰できるかどうかを決定する因子は、後遺症の種類やその重症度のみではありません。

就業されていた会社の規模や制度の有無はもちろん、発症前の業績や職場における人間関係なども関与しています。脳卒中後の復職を促進・阻害する因子を調べる研究も行われており、多量の飲酒歴が復職を阻む因子となることも明らかになっています。

脳卒中の後遺症により仕事を辞めるか悩んでいる方へ

定説と実際-「復職される患者さんは思っていたよりも多いと感じる」

定説としては、いわゆるホワイトカラーと呼ばれる職種の方のほうが復職しやすく、肉体労働を主とするブルーワーカーの方のほうが元の仕事に戻りにくいとされています。

しかしながら、私は勤労者リハビリセンターで復職支援に従事しはじめて以来、上記はあくまで定説であり、現実はこの限りではないと感じるようになりました。

当リハビリテーションセンターを利用され、復職された患者さんのなかには、手先を使う調理師の方やタクシードライバーの方なども多数おられます。

ご自身やご家族の意志、お勤め先の制度上の問題などにより一旦は離職しても、一定の心身の機能が保たれており、なおかつ「仕事に戻りたい」という思いを持つ方は、転職して社会復帰されています。

ですから、脳卒中後の復職を、後遺症の程度や企業規模、職種などにより一括りにして語ることはできません。これはあくまで私個人の印象ですが、復職される脳卒中患者さんや理解を示し受け入れ体制を整える企業の数は、勤労者リハビリセンターで就労支援に携わり始める前に思っていたよりも数割多いように感じています。

ですから、仕事に戻りたいという思いを持つ脳卒中患者さんには、ぜひ当リハビリテーションセンターのように復職支援を行う施設があることを知っていただき、希望を持ってリハビリテーションに臨んでいただきたいとお伝えしたいです。

次の記事2『脳卒中のリハビリで機能はどこまで回復する?脳卒中後の復職率と治療の方法』では、復職を目標とした脳卒中リハビリテーションとはどのようなものか、詳しくご紹介します。

 

関東労災病院リハビリテーション科では一緒に働く仲間を募集しています

発展する脳卒中のリハビリテーション

発展する脳卒中のリハビリテーション

大泉学園複合施設 ねりま健育会病院 リハビリテーション部

二瓶 太志 さん

よりよいリハビリを受けたい、より自分に合う作業療法士と出会いたいと望むのは、治療に取り組む患者さんやご家族にとって当然のことでしょう。現在のところ、どんな病院が自分に合っていてどんな作業療法士を探せばよいのか、その基準となるはっきりした指標がないためリハビリに課題を抱えていらっしゃる方も多いかもしれません。しかし、インターネットの普及などにより、私たちが知ることができる情報もあります。大泉学...

この記事の目次

  • 自分にとってよい作業療法士やリハビリ施設を探すことは可能なのか

  • 評価指標の例

  • 回復期リハビリテーションのその後

脳卒中の後遺症とリハビリが必要な症例

脳卒中の後遺症とリハビリが必要な症例

大泉学園複合施設 ねりま健育会病院 リハビリテーション部

二瓶 太志 さん

最近ではカテーテル治療などが発達し、もし脳卒中を発症してもすぐに亡くなってしまうことが少なくなりました。しかしその代わりに、後遺症に苦しむ患者さんも少なくありません。リハビリを必要とするかどうかの判断は、手足の麻痺をはじめ言語障害や視覚障害、感覚障害、高次脳機能障害など、患った部位と障害の程度によります。脳卒中を発症するとどのようなことが起こるのか、大泉学園複合施設 ねりま健育会病院 リハビ...

この記事の目次

  • 後遺症を発症しやすい脳卒中

  • 脳卒中を発症したら必ずリハビリをするの?

  • リハビリが必要なのはどんな症状?

脳卒中の急性期リハビリテーション

脳卒中の急性期リハビリテーション

医療法人社団健育会 ねりま健育会病院

酒向 正春 先生

脳卒中における障害をいち早く回復させるためには、リハビリテーションの方法が非常に重要なポイントとなります。リハビリテーションには急性期のリハビリと回復期のリハビリがあり、患者さんがどの段階に該当するかによってリハビリの内容も異なってきます。 では、脳卒中のリハビリテーションとは具体的にどのようなことをしていくのでしょうか。まずは急性期のリハビリについて、医療法人社団健育会 ねりま健育会病院...

この記事の目次

  • 急性期の脳卒中リハビリテーション―迅速なリハビリへの着手が重要不可欠

  • 急性期リハビリテーションへのタイムリミットは「2週間」

  • リハビリテーション制度の遷移―回復期リハビリテーション医療制度ができるまで

脳卒中を発症した就業中の患者さんがスムーズに社会復帰できるよう、仕事を行うために必要な手の機能回復に有効性の高い機能的電気刺激治療や経頭蓋磁気刺激治療を積極的に行っている。個々の患者さんのバックグラウンドを把握したリハビリや企業訪問を行い、多くの患者さんの復職を実現に導いた。発症初期から就労支援の対応を行い、患者さんと二人三脚の関係性を構築している。

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