インタビュー

冠攣縮性狭心症とは――原因・検査・治療について

冠攣縮性狭心症とは――原因・検査・治療について
メディカルノート編集部 [医師監修]

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この記事の最終更新は2017年07月23日です。

狭心症とは心臓の筋肉に栄養を与えている冠動脈という血管が何らかの理由で細くなり、心臓が酸素不足になってしまう病気です。放っておくと死に至る可能性もあるため、早期発見、早期治療が求められます。

今回は狭心症の種類や症状、治療について、2記事にわたってご説明します。まず本記事では狭心症の基本的な概要と、狭心症の中でも投薬で治療が完結し比較的予後がよいとされる冠攣縮性狭心症(かんれんしゅくせいきょうしんしょう)についてお話を伺いました。

狭心症とは、心臓の筋肉に栄養を与え、心臓を動かしている冠動脈の血液の循環が何らかの理由で悪くなり、心臓が酸素欠乏をきたす病気です。冠動脈には右冠動脈、左冠動脈があり、左冠動脈は左主幹部を起点にさらに左回旋枝(ひだりかいせんし)左前下行枝(ひだりぜんかこうし)とに分かれています。

心臓の血管

狭心症の代表的な症状は“発作”です。ここでいう発作とは、胸が痛み、苦しくなることを指します。これは何らかの理由で冠動脈の血流が滞り、心臓に十分な酸素が送られなくなることによって起こります。

胸の痛みといっても、瞬間的な痛み、持続的な痛み、ズキっとした痛みや、チクチクした痛み、締め付けられる痛みなど、その痛み方はさまざまですが、狭心症の発作における胸の痛みは持続的で、胸がぎゅっと締め付けられるような一過性の痛みです。1回の発作は5〜10分間といわれており、時間が経過すると症状は落ち着きます。

狭心症には大きく分けて2つの種類があります。

<狭心症の種類>

また、このほかに川崎病の後遺症や大動脈弁狭窄症(だいどうみゃくべんきょうさくしょう)による虚血で狭心症のような症状を引き起こすこともありますが、病気の分類としては少し異なりますので、今回は割愛します。

狭心症はその種類に応じて原因や症状が現れるメカニズム、治療方法が異なります。今回はまず若年の方に多い冠攣縮性狭心症についてご説明します。

労作性狭心症に関しては記事2『労作性狭心症の原因・検査・治療法――患者さんの特徴とは』をご覧ください。

冠攣縮性狭心症は血管の壁を作っている筋肉“平滑筋(へいかつきん)”がけいれんを起こすことによって、冠動脈の一部が一時的に狭窄し、発作を引き起こします。

冠攣縮性狭心症は日本人に多く、突発的に朝方に発作が起きることが特徴です。記事2『労作性狭心症の原因・検査・治療法――患者さんの特徴とは』でお話しする労作性狭心症と違って、運動などが引き金となって発作が生じることはなく、罹患後に段階的に悪くなっていくこともほとんどありません。

飲酒

冠攣縮性狭心症の原因は、実はまだあまりはっきりと分かっていません。今のところ原因としてあげられているのは下記の2つです。

<冠攣縮性狭心症の原因>

  • 飲酒
  • 寒冷

まず、前夜に飲酒した翌朝に発作が起きることが多いため、お酒の代謝物質が血管のけいれんを引き起こしているのではないかといわれています。さらに、寒い時季に発作が多く、暖かくなってくると発作が減る患者さんが多いことから、寒いと血管がけいれんしやすいのではないかとも考えられています。

冠攣縮性狭心症労作性狭心症と比べると発症年齢が若いことが特徴です。働き盛りで比較的若い40〜50歳代の方が多く罹患します。また先ほど述べたように日本人の罹患率が高いことも特徴の1つです。

検査において重要なことは、労作性狭心症冠攣縮性狭心症かを見極めることで、基本的な検査は同じです。またホルター心電図の検査で心電図変化と症状が一致していれば、診断に大きく前進するといってよいでしょう。場合によってはカテーテル検査で、冠動脈の痙攣を誘発するようなテストを行うこともあります。

のみ薬

冠攣縮性狭心症の治療は外科手術などの必要がなく、薬の服用だけで治療が可能です。“カルシウム拮抗薬”の中でも、冠動脈の平滑筋に作用し収縮を防ぐタイプのものを内服していただきます。場合によってはそのほかに硝酸薬などを追加で内服や外用していただくこともありますが、発作を防ぐことができ、比較的予後もよいため、発作に早期に気づき診断を受けることが第一です。

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