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脳卒中の予防−生活習慣の見直しと定期的な脳ドッグ受診の必要性

脳卒中の予防−生活習慣の見直しと定期的な脳ドッグ受診の必要性
沼澤 真一 先生

医療法人財団 健貢会 総合東京病院 副院長 脳神経外科統括部長

沼澤 真一 先生

目次
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脳卒中は高齢化や食生活の変化などが原因で年々増加傾向にある疾患です。脳卒中は発症直後から命にかかわる危険性があります。またその多くは突如に発症し、前兆となる症状が起きることはあまり多くありません。

脳卒中の患者さんが増えている中、その予防が現在注目されています。脳卒中を予防するためにはいったい何をすればよいのでしょうか。少数ながら生じることのある脳卒中の前兆や、脳卒中にならないための予防策について、総合東京病院 副院長 脳神経外科統括部長の沼澤真一先生にお聞きしました。

脳卒中とは

脳卒中とは、脳の血管が破れる、詰まることにより脳の機能が障害される疾患です。具体的には脳梗塞くも膜下出血脳出血の総称です。脳卒中で医療機関に搬送される患者さんのうち、およそ70%は脳梗塞だといわれています。

脳卒中は発症から治療開始までの時間が予後の鍵を握ります。治療が早ければ早いほど、一命を取り留め、後遺症が少なくなる確率が高まります。特に脳梗塞では発症後4.5時間以内に限り血栓溶解薬を用いたt-PA療法を実施可能です。

脳卒中を含む脳血管疾患による死亡は日本人の死因第4位

日本では脳卒中を含む脳血管疾患が原因で年間約11万人(厚生労働省 平成27年人口動態統計による)が死亡しています。これは日本人の死因の第4位です。この統計結果からもわかるように、脳卒中は早期に適切な治療を実施しなければ、命にかかわるリスクが高い疾患なのです。

脳卒中の前兆はほとんどないが一部生じることも

脳卒中は時間との勝負といわれるほど、発症から治療開始までの時間が重視されます。脳卒中の前兆がわかればよいのですが、ほとんどの場合は無症状で、ある日突然発症します。しかし、まれに前兆と思しき症状が現れることもあります。

一過性脳虚血発作

一時的に脳虚血(血流不全)が生じ、顔面の麻痺やろれつが回らないという症状が起きます。症状はすぐに消失しますが、一過性脳虚血発作が起きてから短期間で脳梗塞を発症する方が少なくありません。ですから、一過性脳虚血発作は見逃せない症状です。一過性脳虚血発作が現れたらすぐに病院を受診してください。

一過性黒内障

主に頸動脈の動脈硬化で生じた血栓が眼動脈に飛ぶと、一時的に視力が低下し、目がみえなくなります。一過性というとおり、この症状は数秒〜数分間しか続きません。しばらくするとまたみえるようになるため見過ごしがちですが、これは脳梗塞の前駆症状(前兆といえる症状)であると捉えられます。

動眼神経麻痺

まぶたが垂れ下がって視野が狭くなる、物が二重にみえる、目の動きが悪い、目が外側に向いてしまうといった症状が出ると、動眼神経麻痺が疑われます。動眼神経麻痺は脳動脈の圧迫により症状が出現し、脳動脈瘤の破裂の前兆であることがあります。動眼神経麻痺が生じたからといってすべてがくも膜下出血の前兆であるとはいえませんが、脳動脈瘤破裂の予兆である場合もあります。

脳卒中の予防

脳卒中はいつ、どこで突如発症するかわからない疾患です。しかし発症の背景には生活習慣が大きくかかわっています。そのため、生活習慣を改善し、脳卒中の引き金になりうる高血圧、動脈硬化、不整脈、脂質異常症、メタボリック・シンドロームなどを防ぐことが大切です。

脳梗塞の予防

脳梗塞には、高血圧を主原因とする「ラクナ梗塞」、動脈硬化が原因の「アテローム血栓性脳梗塞」、そして不整脈が原因となる「心原性脳塞栓症」の3種類があります。動脈硬化は食生活の乱れが主な理由で、40代でも発症するケースが増えています。

近年では、高齢化に伴って心原性脳塞栓症の割合も増加傾向です。特に高齢者は、歳を重ねるにつれて不整脈を発症するケースが増えます。

心原性脳塞栓症を発症するリスクを予想する指標には「CHADS(チャズツー)スコア」があります。CHADSは、「うっ血性心不全・高血圧・75歳以上・糖尿病・脳梗塞またはTIA(一過性脳虚血発作)の既往」の頭文字をとったもので、脳梗塞またはTIA(一過性脳虚血発作)の既往があれば2点、その他を各1点として、リスクの度合いを点数化するものです。下のグラフをご覧いただくと分かるように、CHADS2スコアが高くなればなるほど、心原性脳塞栓症の発症率が高くなると報告されています。

 

CHADS2スコア
【参考】Rockson A & Albers G, JACC 2004;43:929-935

脳梗塞の発症予防のためにも、不整脈がみられる場合には、しっかりと不整脈治療を行うことが重要です。

不整脈治療のためには、近年新しく登場したDOAC(ドアック)と呼ばれる新しい抗凝固薬が広く使用されています。

DOACが登場するまで使用されていた抗凝固薬は、ビタミンKを摂取した途端に効き目が悪くなってしまうため、ビタミンKを多く含む納豆などは絶対に摂取してはいけない、といった食事制限があるうえに、薬のコントロールが難しい薬でした。

しかしDOACには、そういった食事制限はなく、出血リスクが低くコントロールも容易であるというメリットがあります。

心原性脳塞栓症を防ぐには、まずは服薬によってしっかりと治療することが大切です。動悸や、胸が一瞬だけ痛くなるだけでたいしたことはない、と思わずに、ぜひ病院を受診してください。近年では、心房細動そのものの治療が容易となってきており、積極的に治療が行われるようになってきています。

くも膜下出血の予防

くも膜下出血の原因の多くは脳の血管の一部がこぶのように膨らむ脳動脈瘤の破裂です。言い換えれば、脳動脈瘤の破裂を防げばくも膜下出血のほとんどは防げるといってもよいでしょう。

脳動脈瘤の治療では、開頭して脳動脈瘤の根元をクリップで挟む「クリッピング術」や血管内にカテーテルを通して、脳動脈瘤内にコイルを詰める「コイル塞栓術」で破裂を予防します。しかしながらいずれの治療法も大なり小なり患者さんの体に負担をかけますし、術後の合併症のリスクもあります。

また、脳動脈瘤ができたからといってすべてが破裂してくも膜下出血につながるというわけではありません。脳動脈瘤が破裂する確率は年間約1%弱です。なかには脳動脈瘤があっても一度も破裂しないまま生涯を終える方もいます。小さな脳動脈瘤であれば積極的に治療せず経過観察を行うことも珍しくありません。

脳動脈瘤を治療する基準として、日本脳ドック学会では以下の条件が示されています。

  • 脳動脈瘤の最大径が5ミリ前後より大きい
  • 年齢がほぼ70歳以下
  • その他の条件が手術の条件の妨げにならない場合(例:手術に耐えうる体力がある)

もちろん、最大径が5ミリに満たない、70歳を超えている場合でも脳動脈瘤の形や部位、くも膜下出血の既往などにより治療をすすめられることがあります。

脳出血の予防−血圧の管理がもっとも重要

脳出血の多くは高血圧が原因です。一番の治療法は塩分を控えて低脂質の食生活、適度な運動などの生活習慣の改善です。生活習慣を改善してもなかなか血圧が下がらない場合は、降圧剤などの薬物治療を行います。

予防と併せて脳ドックなどの検診を

脳卒中の予防は生活習慣の改善が鍵です。そのほか、脳卒中につながるリスクがある不整脈の治療や、脳動脈瘤の治療を行います。こうした予防に加え、ぜひ受けていただきたい検診が脳ドックです。

脳ドックとは―脳の病気がないかを調べる健康診断

脳ドックは、一言でいうと脳の健康診断です。脳ドックを受けることで、破裂しない限り診断することが難しい未破裂の脳動脈瘤や、脳の動脈硬化、無症候性脳梗塞(はっきりとした症状はないが脳の血管が詰まっている状態)を発見することができます。

このような脳卒中の危険因子の早期発見のほか、認知症の早期発見にも役立つと考えられています。

脳ドックはどのような方が受けるべき?

会社の健康診断などで高血圧や高コレステロールを指摘された方や、50代後半〜60代以上の方は積極的な脳ドックの受診を推奨します。また、脳動脈瘤の保有率は男性よりも女性のほうが多く、家族歴を指摘する報告もあるため、このような方も定期的に脳ドックを受けるようにしましょう。

脳ドックを受ける頻度は?

脳ドックは、毎年受けることがもっとも理想的ですが、定期的に2年に1回程度は受診することをおすすめします。

脳動脈瘤の場合、脳動脈瘤が小さすぎると検査をしてもみつけることは難しく、実際に検査でみつかるのは約3〜4ミリの脳動脈瘤です。そして、脳動脈瘤は2年間で1ミリ程度大きくなる方は、破裂のリスクがあり、5ミリ未満で発見するためには、2年に1回の頻度で調べることが推奨されるのです。

総合東京病院における脳ドック

当院の脳ドックで行うMRI検査では、3.0テスラMRIを使用しています。テスラとは、磁場の強さを表した単位であり、テスラが大きいほど血管を鮮明に写し出すことができます。3.0テスラMRIは、現在普及しているMRIの中で、もっとも磁場の強いMRIです。

また、当院における脳ドックの金額は、税込21,600円(2019年2月時点)です。

脳卒中を予防するために〜沼澤真一先生からのメッセージ

脳卒中は「脳が卒然と中(あた)る(脳に突然障害が起こる)」と書きます。いつ、どこで発症してもおかしくない疾患です。しかしながら、脳卒中の発症を高めるリスクはあります。

特に高齢の方においては、日々の生活習慣を見直し、不整脈など脳卒中のリスクとなる疾患はしっかりと治療しましょう。血圧の管理も非常に重要です。そのうえで、定期的に脳ドックを受けて異常がないかどうかを調べることをおすすめします。

脳卒中は命にかかわる疾患です。しかし、至極当然ですが、そもそも発症しなければ脳卒中によって命が危険にさらされることはありません。

生活習慣の変化や高齢化の時代で、脳卒中を発症する方が増えている今だからこそ、予防は非常に大切です。脳卒中を防ぐために、今一度ご自身の生活を見直し、まずは一度脳ドックを受けてみてください。

 

 

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