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肺がんの原因や症状とは? 肺がんの基礎情報について解説
肺がんは、日本のがん罹患数第3位のがんです1)。肺がんは、喫煙や受動喫煙により発症のリスクが高まると考えられています。早期であると症状が現れないことが多いといわれますが、進行と共にどのような症状...
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肺がんの原因や症状とは? 肺がんの基礎情報について解説

公開日 2017 年 08 月 28 日 | 更新日 2018 年 10 月 17 日

肺がんの原因や症状とは? 肺がんの基礎情報について解説
梶 政洋 先生

東京都済生会中央病院 呼吸器外科 部長

梶 政洋 先生

目次

肺がんは、日本のがん罹患数 第3位のがんです1)。肺がんは、喫煙や受動喫煙により発症のリスクが高まると考えられています。早期であると症状が現れないことが多いといわれますが、進行と共にどのような症状が現れるのでしょうか。

東京都済生会中央病院の梶 政洋先生は、外科医として肺がんの治療に携わっていらっしゃいます。同病院の梶 政洋先生に、肺がんの原因や症状についてお話をお伺いしました。

肺がんとは?

肺の構造とはたらき

肺は、心臓や大血管、気管、食道などを挟んだ胸の左右に1つずつある臓器を指します。右肺は上葉・中葉・下葉と呼ばれる3つの部位に、左肺は上葉と下葉の2つに分かれています。

はいの構造

肺は、体の中に酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出する役割を担っています。空気は口や鼻から咽頭(いんとう)喉頭(こうとう)を経て気管を通り、気管支と呼ばれる管に分かれ左右の肺に入ります。気管支は肺の中で細気管支と呼ばれるより細い管に分かれ肺内に広がり、最終的には肺胞(はいほう)と呼ばれる小さな部屋で酸素が血液にとり入れられ、二酸化炭素が排出されます。

肺がんの概要

肺がんは肺の気管、気管支、肺胞のいずれかの一部の細胞が何らかの原因でがん化することにより発症するがんです。肺がんは、進行するに従って周囲の正常組織を破壊しながら増殖し、血液やリンパの流れに乗りがんが広がる病気ということができます。

肺がんは、特に40歳代後半から増加し始めることがわかっています。また、男性のほうが発症率・死亡率どちらも割合が高く、女性の2〜3倍に上るといわれています。

肺がんの分類

肺がんは、組織型から以下の表のように小細胞肺がんと非小細胞がんに分類されます。

肺がんの分類

小細胞肺がん-喫煙との関連が大きく転移しやすいがん

小細胞肺がんは主に肺門部(肺の入り口の太い気管支)に多く発生し、肺がんの約15〜20%を占めるといわれています。

この小細胞肺がんは悪性度が高く、がんの増殖が速いことに加え、脳・リンパ節・肝臓・副腎・骨などに転移しやすい点が特徴です。また、喫煙との関連が大きいということもわかっています。

非小細胞肺がん-日本人にもっとも多いものは腺がん

非小細胞肺がんは、上記の小細胞がんではない肺がんを指し、肺がんの約80〜85%を占めています。腺がん 、扁平(へんぺい)上皮がん 、大細胞がんなど、異なる組織型が含まれている点が特徴です。

中でも腺がんは、日本人にもっとも多くみられるがんです。進行のスピードが緩やかなことが多く、症状が現れにくい点が特徴です。腺がんの次に多いものが、扁平上皮がんです。この扁平上皮がんは喫煙との関連が大きいことがわかっています。

 

肺の構造

肺がんの原因

タバコが肺がんの発症につながる

肺がんは、喫煙により発症のリスクが高まることがわかっています。また、喫煙していないとしても、タバコの煙を吸ってしまう受動喫煙により肺がんを発症するリスクが高まることも明らかになっています。

喫煙

大気汚染など環境要因の影響

喫煙以外の要因では、飲料水中のヒ素という物質が肺がんの発症に影響することがわかっています。そのほか、アスベスト、シリカ、クロム、コールタール、放射線、ディーゼル排ガス等への曝露(さらされること)、ラドンなどによる室内環境汚染も肺がんのリスク要因といわれています。

肺がんの症状

進行と共に咳や血痰、胸痛、息切れなどが現れる

咳をする男性

肺がんは早期であれば症状が現れないことが多いです。病気の進行と共に、(せき)血痰(けったん)(痰に血液が混じること)、胸痛、呼吸時の喘鳴(ぜんめい)(ぜーぜーした音)、息切れ、嗄声(させい)(声が枯れること)などが現れます。

ただし、症状の程度は患者さんによって異なり、病気が進行しても症状がほとんど現れないケースもあります。

肺がんの組織型と症状

扁平上皮がんや太い気管支に発生する肺門型の肺がんは、お話ししたような咳や血痰などの症状が現れやすい点が特徴です。

一方、腺がんに多い肺の末梢に発生する肺野(はいや)型の肺がんは、初期の段階では症状がほとんど現れない傾向があります。そのため、がんが転移した部位の症状が最初の症状であるケースもあるでしょう。たとえば、脳転移による頭痛や骨転移による骨格の痛みなどが現れることがあります。

腫瘍随伴症候群による症状 

さらに、肺がんでは、がん組織から分泌されたホルモンが、がんの部位だけでなく全身でさまざまな症状を引き起こす腫瘍随伴(ずいはん)症候群がほかのがんと比較して多くみられることがわかっています。

腫瘍随伴症候群により、疲れやすさや食欲不振、体重減少、発熱などが現れる場合があります。

肺がんの症状から病気に気づくことはできる?

症状を自覚することは難しいため定期的な検診を

お話ししたように、肺がんは進行の程度にかかわらず症状がほとんど現れないケースがあるため、検診などの胸部X線検査やCT検査によって発見されることも多いです。

症状が現れていない場合であっても、40歳以上の方は、定期的な検査を受けることが早期発見につながるでしょう。

症状があれば早期に受診を

症状が現れたとしても、咳や血痰などの症状は肺がんに特有のものではありません。ほかの呼吸器の病気でも現れる症状といえます。症状から肺がんに気づくことは難しいため、お話ししたような症状を認める場合には、早期の受診をおすすめします。

肺がんの診断

胸部レントゲン検査やCT検査など各種検査

肺がんの診断では、まず胸部X線検査やCT検査、血液検査などを行い、異常な陰影やリンパ節の腫れ、胸水(きょうすい)がないかを確認します。

その後、喀痰(かくたん)細胞診や気管支内視鏡検査、経皮的肺生検(けいひてきはいせいけん)、胸水の検査などを行います。これらの検査によって、肺がんの細胞や組織を採取し調べることで、肺がんの診断を確定します。

さらに、必要であればほかの臓器への遠隔転移の有無を調べるために、脳のMRI検査や腹部のCT・超音波(エコー)検査、骨シンチグラフィー、PET検査を行うこともあります。

検査

PET検査により肺がん診断の精度を高める

PET検査(positron emission tomography:陽電子放出断層撮影)では、全身の転移や、リンパ節の転移を確認します。このPET検査は、肺がんの診断の精度を高めたと考えられています。

もともと、肺がんにおけるリンパ節転移は、手術前に行う従来のCT検査では50〜60%ほどの診断しかできませんでした。しかし、PET検査を用いることで85%まで診断をすることが可能になりました。

また、診断が困難とされている副腎(左右の腎臓の上の後腹膜腔とよばれるところにある臓器でホルモンを分泌する役割を持つ)や骨への転移も、従来のCT検査などと比較すると、より正確に診断できます。さらに、がんの悪性度もある程度調べることが可能です。

※PET検査:放射線を含む検査薬を体内に注射し、その薬剤が放出する放射線を撮影し画像化する検査

肺がんの早期発見のために

定期的な検査を受けてほしい

お話ししたように、近年、PET検査など肺がんの診断の技術は向上しています。診断技術の進化は、ひと昔前であれば見つからなかったような肺がんの早期発見を可能にしました。

がんは、重症化を防ぐために早期発見・早期治療が非常に大切です。それは、肺がんも例外ではありません。お話ししたような症状が現れた方だけでなく、40歳以上の方には定期的に検査を受けることをおすすめします。

記事2『肺がんの治療-主な治療法や新たな治療法の可能性』では、肺がんの治療についてお話しいただきます。

【参考出典】

1) 国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」. 部位別年齢階級別がん罹患数(2013年地域がん登録全国推計値)

 

1990年より名古屋市立大学及びその関連病院にて一般外科を習得。1994年より専門を呼吸器外科に定め、国立がんセンター中央病院にて肺がんを中心とする修練を開始した。修練は外科手術のみではなく、画像診断学、病理細胞診、化学療法など多岐にわたり、各方面の一流レベルの先輩医師に鍛えられ、大いに啓蒙された。1999年、大学帰局後は学位取得のため肺がんの臨床と基礎の懸け橋となるテーマを選び、臨床を行いながら研究にも勤しみ、2002年に学位を取得。その後は臨床の現場一筋に打ち込み、2005年より東京都済生会中央病院に赴任し現在に至る。

「肺がん」についての相談が6件あります

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