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肺がんの基礎情報ー原因・種類・症状・検査について
肺がんは、日本人に多いがんの1つです。喫煙や受動喫煙により疾患に罹患するリスクが高まるということはよく知られているのではないでしょうか。肺がんの初期には咳などの症状が現れることもありますが、無症...
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肺がんの基礎情報ー原因・種類・症状・検査について

公開日 2017 年 08 月 28 日 | 更新日 2018 年 03 月 06 日

肺がんの基礎情報ー原因・種類・症状・検査について
梶 政洋 先生

東京都済生会中央病院 呼吸器外科 部長

梶 政洋 先生

目次

肺がんは、日本人に多いがんの1つです。喫煙や受動喫煙により疾患に罹患するリスクが高まるということはよく知られているのではないでしょうか。肺がんの初期には咳などの症状が現れることもありますが、無症状の場合も少なくないといいます。そのため、早期発見・早期治療のためには、医療機関における検査が何よりも重要です。

東京都済生会中央病院の梶 政洋先生は、外科医として肺がん治療に携わっていらっしゃいます。同病院の梶 政洋先生に、肺がんの原因や症状から、診断までお話をお伺いしました。

肺の構造と働き

肺は、心臓や大血管、気管、食道などを挟んだ胸の左右に1つずつある臓器を指します。右肺は上葉・中葉・下葉と呼ばれる3つの部位に、左肺は上葉と下葉の2つに分かれています。

はいの構造

肺は、体の中に酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出する役割を担っています。空気は口や鼻から咽頭(いんとう)・喉頭(こうとう)を経て気管を通り、気管支と呼ばれる管に分かれ左右の肺に入ります。気管支は肺の中で細気管支と呼ばれるより細い管に分かれ肺内に広がり、最終的には肺胞(はいほう)と呼ばれる小さな部屋で酸素が血液にとり入れられ、二酸化炭素が排出されます。

肺がんの発生メカニズム

肺がんは肺の気管、気管支、肺胞(はいほう)のいずれかの一部の細胞が何らかの原因でがん化することにより発症するがんです。肺がんは、疾患が進行するに従って周囲の正常組織を破壊しながら増殖し、血液やリンパの流れに乗りがんが広がる疾患ということができます。

肺がん患者さんの特徴-肺がんの原因とは?

肺がんは、特に40歳代後半から増加し始めることがわかっています。男女差で考えると、男性のほうが罹患率・死亡率ともに割合が高く、女性の2〜3倍に上るといわれています。

肺がんの原因1:喫煙習慣や受動喫煙が発症リスクを高める

肺がんは、喫煙により疾患に罹患するリスクが高まることがわかっていますが、喫煙をしない方であっても発症するケースがあります。

また、たばこの煙を吸ってしまう受動喫煙により肺がんに罹患するリスクが高まることも明らかになっています。受動喫煙者は、受動喫煙がない方と比較すると肺がんに罹患するリスクが20〜30%ほど高くなるといわれています。特に女性の受動喫煙の影響は大きいということがわかっています。

喫煙

肺がんの原因2:環境要因の影響

喫煙以外の要因としては、飲料水中のヒ素という物質が大きく影響することがわかっています。その他、アスベスト、シリカ、クロム、コールタール、放射線、ディーゼル排ガス等への曝露、ラドンなどによる室内環境汚染も肺がんのリスク要因といわれています。

また、喫煙者がβ-カロテンを摂取することも肺がんのリスクを高めることが明らかになっています。

肺がんの分類-小細胞肺がん・非小細胞肺がん

肺がんは、組織型から以下の表のように小細胞肺がんと非小細胞がんに分類されます。

肺がんの分類

小細胞肺がん-喫煙との関連が大きく転移しやすいがん

小細胞肺がんは主に肺門部(肺の入り口の太い気管支)に多く発生し、肺がんの約15〜20%を占めるといわれています。この小細胞肺がんは悪性度が高く、がんの増殖が速いことに加え、脳・リンパ節・肝臓・副腎・骨などに転移しやすい点が特徴です。また、喫煙との関連が大きいということもわかっています。

非小細胞肺がん-日本人に最も多いものは腺がん

非小細胞肺がんは、上記の小細胞がんではない肺がんを指し、肺がんの約80〜85%を占めています。腺がん 、扁平(へんぺい)上皮がん 、大細胞がんと呼ばれる異なる組織型が含まれている点が特徴でしょう。

なかでも、日本人に最も多い肺がんは腺がんです。腺がんは、日本における男性の肺がんの40%、女性の肺がんの70%以上を占めるほど発生頻度の高いがんです。ほかの組織型に比べ症状が多彩で、がんの進行のスピードも速いものから緩やかなものまであります。

次に多いものが、男性の肺がんの40%、女性の肺がんの15%を占める扁平上皮がんであり、この扁平上皮がんは喫煙との関連が大きい点が特徴です。

咳など肺がんの主な症状

肺がんの初期症状

肺がんの一般的な症状としては、咳(せき)、血痰(けったん:痰に血液が混じること)、胸痛、呼吸時の喘鳴(ぜいめい:ぜーぜーした音)、息切れ、嗄声(させい:声が枯れること)などがあります。

咳をする男性

これらの症状は必ずしも肺がんに特有の症状ではなく、他の呼吸器疾患にも現れる症状です。そのため、肺がんは、症状からほかの呼吸器疾患と区別することが難しい点が特徴です。上記の症状を認める場合には、早期の医療機関の受診をお勧めします。

また、肺がんは進行の程度にかかわらずこうした症状がほとんど現れないケースも多く、検診などの胸部X線検査やCT検査によって発見されることもあります。そのため、特に症状が現れていない場合であっても、喫煙歴のある40歳以上の方は、定期的な検査を受けることが早期発見につながるでしょう。

肺がんの組織型と症状

扁平上皮がんや太い気管支に発生する肺門型の肺がんは、お話ししたような咳や血痰などの症状が現れやすい点が特徴です。

一方、腺がんに多い肺の抹消に発生する肺野(はいや)型の肺がんは、初期の段階では症状がほとんど現れない傾向があります。そのため、がんが転移した部位の症状が最初の症状であるケースもあるでしょう。たとえば、脳転移による頭痛や骨転移による骨格の痛みなどがこれにあたります。

腫瘍随伴症候群による症状

さらに、肺がんでも、ほかのがんと同様、疲れやすさや食欲不振、体重減少、発熱などが現れる場合があります。

肺がんでは、がん組織から分泌されたホルモンが、がんの部位だけでなく全身でさまざまな症状を引き起こす腫瘍随伴(ずいはん)症候群が他のがんと比較して多くみられることがわかっています。腫瘍随伴症候群により、たとえば、食欲不振などの消化器症状や神経症状・意識障害などが現れるケースがあります。

肺がんの診断とは? 胸部X線検査やCT検査など

肺がんの診断では、まず胸部X線検査やCT検査、血液検査などを行い、異常な陰影やリンパ節の腫れ、胸水(きょうすい)などを確認します。

その後、喀痰(かくたん)細胞診や気管支内視鏡検査、経皮的肺生検(けいひてきはいせいけん)、胸水の検査などを行い、実際に肺がんの細胞や組織を採取し調べることで、肺がんの診断を確定します。

さらに、必要であれば他の臓器への遠隔転移の有無を調べるために、脳のMRI検査や腹部のCT・超音波(エコー)検査、骨シンチグラフィー、PET検査を行うこともあります。

検査

PET検査により肺がん診断の精度を高める

PET検査(positron emission tomography:陽電子放出断層撮影)では、全身の転移、リンパ節の転移を診断します。PET検査とは、放射線を含む検査薬を体内に注射し、その薬剤が放出する放射線を撮影し画像化する検査です。この検査を用いることで、がん細胞だけが有する特殊なブドウ糖代謝機能の異常を映像化することができます。

もともと、肺がんにおけるリンパ節転移は手術前に行う従来のCT検査では50〜60%ほどの確定診断しかできませんでした。しかし、PET検査を用いることで85%まで確定診断をすることが可能になりました。

また診断が困難とされている副腎(左右の腎臓の上の後腹膜腔とよばれるところにある臓器でホルモンを分泌する役割を持つ)や骨への転移も、このPET検査により、従来のCT検査などと比較すると、より正確に診断できます。さらに、がんの悪性度もある程度調べることができ、このように、PET検査は肺がんの治療を決定する際に大きな役割を果たします。

肺がんの診断は格段に進歩している

診断技術の向上により肺がんの早期発見が可能に

CT検査やPET検査など、近年、肺がん診断の技術は向上しています。診断技術の進化は、ひと昔前であれば見つからなかったような肺がんの早期発見を可能にしました。特にPET検査がなかった時代では診断がつかなかったような肺がんの患者さんにも、診断がつくようになったのです。

がんは早期発見・早期治療が、重篤な状態を避けるために非常に重要になります。それは、肺がんも例外ではありません。お話ししたような症状が現れた方だけでなく、特に40歳以上の方であれば、医療機関における定期的な検査を受けることをお勧めします。

 

肺がん(梶 政洋先生)の連載記事

1990年より名古屋市立大学及びその関連病院にて一般外科を習得。1994年より専門を呼吸器外科に定め、国立がんセンター中央病院にて肺がんを中心とする修練を開始した。修練は外科手術のみではなく、画像診断学、病理細胞診、化学療法など多岐にわたり、各方面の一流レベルの先輩医師に鍛えられ、大いに啓蒙された。1999年、大学帰局後は学位取得のため肺がんの臨床と基礎の懸け橋となるテーマを選び、臨床を行いながら研究にも勤しみ、2002年に学位を取得。その後は臨床の現場一筋に打ち込み、2005年より東京都済生会中央病院に赴任し現在に至る。

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