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肺がんの術後の予後についてー肺がん治療、今後の展望とは
肺がん治療では、安全性と確実性を確保しながら負担を軽減する胸腔鏡を用いた手術が実施されています。手術は根治的治療において非常に大きな役割を果たしますが、肺がんでは手術だけで治療が完了することは残...
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肺がんの術後の予後についてー肺がん治療、今後の展望とは

公開日 2017 年 08 月 30 日 | 更新日 2017 年 08 月 30 日

肺がんの術後の予後についてー肺がん治療、今後の展望とは
梶 政洋 先生

東京都済生会中央病院 呼吸器外科 部長

梶 政洋 先生

目次

肺がん治療では、安全性と確実性を確保しながら負担を軽減する胸腔鏡を用いた手術が実施されています。手術は根治的治療において非常に大きな役割を果たしますが、肺がんでは手術だけで治療が完了することは残念ながらステージIの方以外は稀であるといいます。

東京都済生会中央病院の梶 政洋先生は、「肺がんの治療では内科と外科の連携が重要になる」とおっしゃいます。それはなぜなのでしょうか。また、分子標的薬など、肺がんにおいて今後期待されている新たな治療法も登場しているそうです。

今回は、同病院の梶 政洋先生に、分子標的薬など肺がんの新たな治療から、内科と外科の連携まで、肺がん治療を進歩させる取り組みをお話しいただきました。

肺がん患者さんの術後の予後

近年は高齢化が進行していることもあり、特に合併症を有する肺がん患者さんが少なくありません。そのため、術後には、合併症が悪化しないようケアすることが重要になります。

入院患者

肺がん手術の術後の回復には個人差がありますが、大半の方が一週間ほどで退院しています。早い方であれば4日ほどで自宅に戻られる方もいらっしゃいます。長くても一週間もあれば退院できますし、自分のことを自分でできるまで回復される方が多いでしょう。

退院後の注意事項はほとんどありません。たとえば、手術後1~2日までにドレーン(体内に溜まった水分や血液、リンパ液などを体外に排出するために用いられる管)などの装置はすべて外しますし、帰宅後の傷の消毒も必要ありません。

私たち東京都済生会中央病院では、入院中にシャワーも浴びてもらいますし、食事も手術の翌日から通常通りとっていただいています。日常生活のリハビリをすすめながら入院生活を送ってもらうので、常識的な範囲で体を動かすことも可能です。患者さんには、体調さえ問題がなければ色々なことをしていいとお伝えしています。

術後の再発は?

肺がんにおいて、早期の方であれば術後の再発はそこまで多くありません。しかし、手術を何とか実施できたものの再発のリスクが高い進行がんと判断した患者さんに対しては、術後に抗がん剤の治療を実施するケースがあります。

私たちの病院では、術後の化学療法は呼吸器内科が主体となり行いますが、呼吸器外科も患者さんの経過を常に把握し、連携をとり相談しながら治療にあたっています。

肺がんの治療では内科と外科の分業・連携が重要

昔は、がんの治療というのは、最初に手術をした患者さんや運悪く再発してしまい、抗がん剤治療が必要となった患者さんも外科医が受け持ち、治療を担当しました。

がんの治療において分業体制が確立されるようになったのは、1990年代半ばくらいからになります。手術など外科的治療は外科が担当しますが、抗がん剤による化学療法などは内科で担当するなど、専門的治療を専門家が担当する体制が確立されたのです。ここ10年くらいで肺がんにおいてもこの分業体制が築かれました。

握手など、連携

内科と外科が同じ病棟にあるから可能である連携体制

私たち東京都済生会中央病院では、呼吸器外科と呼吸器内科が同じ病棟にあります。そのため、毎日外科と内科のスタッフが顔を合わせ情報交換ができる体制があるのです。内科からの紹介を受け外科で手術をし、その後、必要な方については追加の治療を内科で行うといったことも積極的に実施しています。

がんの治療において手術は重要ですが、手術だけで治療が終わることは残念ながらステージIの方以外は稀です。特に、リンパ節に転移があるステージⅡ期やⅢ期であると、術後補助化学療法と呼ばれる抗がん剤による治療や、場合によっては放射線治療を適応されることもあります。そのような場合には、外科だけではなく内科との連携が非常に重要になります。その点、当院の呼吸器外科、呼吸器内科は一つのチームとして機能しているので連携がとてもスムーズに行われています。

肺がん治療における分子標的薬の可能性

分子標的薬とは、がん細胞の増殖、浸潤、転移に関わる特異的な性質を標的として、がん細胞の増殖を抑制するとともに、腫瘍の進展過程を阻害することを目的として開発された薬剤を指します。これは、発生源である原発腫瘍の抑制とともに、腫瘍の転移をも抑制することを可能にしました。

薬

分子標的薬の適応による効果

近年、肺がんに有効な様々な種類の分子標的薬が登場しています。当院でも、手術ができないほど疾患が進行していた患者さんが、分子標的薬が劇的に効いたために手術が可能になったケースがあります。

分子標的薬はまだまだ長期的な成績が明らかになっておらず、当初は薬ががんに対して効いていたのに、徐々に効かなくなってくる耐性と呼ばれる問題もあります。しかし、実際に、播種(はしゅ)といって胸のなかにがん細胞が広がる状態まで進行した患者さんが、分子標的薬の適応によりがん細胞がほぼ消え、手術が適応できる状態にまで回復した例が当院でも2017年の前半だけで2件もありました。

この方は、肉眼で確認する限りはがん細胞を確認できないほどにまで改善されました。このように、分子標的薬が効き、がんが小さくなりダウンステージした結果、根治手術が不可能であった進行性肺がんの方が手術まで漕ぎつけたことは、分子標的薬が出てくる数年前まではほぼ考えられなかったことです。

肺がん治療の今後の展望

さらにそのような患者さんに長期生存が得られることがわかれば、肺がんの生存率向上につながるのではないかと期待しています。

将来的に、分子標的薬などの薬の治療の進歩によってがんのコントロールができるようになれば、手術不要で、がんがあっても共存して長生きできる時代もやってくるかもしれません。これはまだ推測の域を出ませんが、可能性はゼロではないと考えています。

どこまでもサポートするから前向きに治療に取り組んでほしい

梶先生

私は長期にわたり肺がんの治療に携わってきました。運よく肺がんが早期に見つかったとしても、手術で治療が終了する方は、肺がんの患者さん全体で見みるとまだまだ多くはないのです。手術ができるかどうかを知るために私のところに来た患者さんのなかにも、既に手術ができないほどがんが進行しているために、外科ではなく内科の治療を受けていただくような方が肺がん患者さんの2/3以上もいるといわれています。

お話ししましたように、分子標的薬の登場など、肺がんの治療は日々進化しています。私は、肺がんの患者さんには、たとえ進行がんであっても事実を受け止めながらも希望を持ち、前向きに治療に取り組んでほしいと考えています。

そのため私は、病状をお伝えするときに、仮に肺がんが進行しどんなに厳しい状況であっても、その状況に応じた何らかの治療の選択肢があり、治療に専念していただけるようにどこまでもサポートする姿勢をお伝えするようにしています。

また、残念ながら治療の手立てがないという結論にいたってしまった患者さんに対しても、残された時間をいかに充実して過ごしていただけるかを念頭に置き、出来る限りのサポートを心がけております。

私たち東京都済生会中央病院は、呼吸器外科と呼吸器内科の連携が非常に密にとれています。手術だけではないトータルなサポートが実現できる体制がありますので、安心してお越しいただきたいと考えています。

 

肺がん(梶 政洋先生)の連載記事

1990年より名古屋市立大学及びその関連病院にて一般外科を習得。1994年より専門を呼吸器外科に定め、国立がんセンター中央病院にて肺がんを中心とする修練を開始した。修練は外科手術のみではなく、画像診断学、病理細胞診、化学療法など多岐にわたり、各方面の一流レベルの先輩医師に鍛えられ、大いに啓蒙された。1999年、大学帰局後は学位取得のため肺がんの臨床と基礎の懸け橋となるテーマを選び、臨床を行いながら研究にも勤しみ、2002年に学位を取得。その後は臨床の現場一筋に打ち込み、2005年より東京都済生会中央病院に赴任し現在に至る。

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