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肺がんの検査と診断の流れ−早期の発見と適切な治療が大切
肺がんは日本人のがん死亡数第一位(2018年1月現在)の疾患で、初期症状がほとんど現れないことから、症状が出てきた頃には、すでに進行してしまっているケースも多々あります。しかし肺がんは早期に発見...
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肺がんの検査と診断の流れ−早期の発見と適切な治療が大切

公開日 2017 年 09 月 26 日 | 更新日 2018 年 01 月 12 日

肺がんの検査と診断の流れ−早期の発見と適切な治療が大切
西村 英輝 先生

神戸低侵襲がん医療センター 放射線治療科 部長

西村 英輝 先生

目次

肺がんは日本人のがん死亡数第一位(2018年1月現在)の疾患で、初期症状がほとんど現れないことから、症状が出てきた頃には、すでに進行してしまっているケースも多々あります。しかし肺がんは早期に発見して治療を行うことで、治癒が得られる可能性を高めることができます。

記事1では、肺がんの基礎知識や早期発見のための検査方法について、神戸低侵襲がん医療センター放射線治療科部長である西村英輝先生にお話を伺いました。

肺がんとは−早期の発見と適切な治療で治癒の可能性を高められる

肺

肺がんとは、肺にできるがんの総称です。肺がんと聞くと「怖い病気、治らない病気」と考えている方も多いかもしれません。たしかに肺がんは進行した状態で発見されることも多く、発見が遅れてしまうと、全身へ転移しやすいがんでもあり、転移の範囲が広がると完治できる確率は低下してしまいます。

しかし肺がんは初期の段階で発見し、早期に手術や放射線治療といった適切な治療を受けることができれば、治癒の可能性が期待される疾患です。そのため肺がんの治療には「早期発見できるかどうか」が重要です。

肺がんの原因と症状

肺がんの原因−喫煙や受動喫煙が主な原因

タバコを吸っている人

肺がんの発症原因の多くは喫煙であるといわれています。また喫煙を原因とする疾患「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」に罹患(りかん)している方が、肺がんを併発する事例もあります。慢性閉塞性肺疾患自体が、肺がんの直接的な原因ではありませんが、慢性閉塞性肺疾患とすでに診断されている方は、肺がんの発症には特に注意が必要です。

また、受動喫煙でも肺がんを引き起こす確率は高くなります。

肺がん初期は無症状のことが多い

肺がんは、初期段階では症状がほとんどみられません。例外として肺の中心部あたりにできた肺がんですと、初期段階でも血痰(血が混ざった痰)や咳がでることがありますが、肺の奥や末梢などの目立たない箇所に発症した場合、症状によって早期発見することは困難でしょう。ですから、初期段階で肺がんが発見されるのは、がん検診や他の病気で受診した際に撮影したCTなどがきっかけとなります。

また一方で病気が進行すると胸や背中の痛み、呼吸困難感などが現れます。

肺がんの転移と進行速度

リンパの流れに乗って、肺門リンパ節→縦隔リンパ節→全身の臓器へ転移

肺がんとリンパの流れ

肺にできたがんはリンパの流れに乗って、最初に肺門(肺の入り口)に転移することがあります。これを肺門リンパ節転移とよびます。肺門に転移したがんは、さらに進行すると、左右の肺に囲まれた場所にある縦隔へと流れ、縦隔リンパ節転移となります。

縦隔リンパ節に転移したがんは、そこからさらに全身のリンパ節や骨、肝臓、副腎、脳へと広がっていくことがあります。

また、肺にできたがんが肺門リンパ節ではなく、最初に鎖骨上窩のリンパ節に転移したり、リンパ節転移せずに骨・肝臓・副腎・脳などの遠隔臓器に転移することもあります。

リンパ節に転移する前に治療を開始することが大切

肺がんは、がんの大きさや転移の状態などによって、I期からⅥ期までのステージ(病期)という形で分類されます。

病期分類は細かい定義をみると非常に複雑ですが、大きくはリンパ節に転移がない状態をI期、肺門リンパ節に転移がある状態をII期、縦隔リンパ節にまで転移をしている状態はIII期に分類されます。

I→II→III→IV期と、病期が進行するにしたがって治癒を得られる確率が低くなることが一般的です。

ですから、冒頭でもお伝えしたように、肺がんはなるべく早期に発見することが大切で、可能であればリンパ節に転移する前の段階で早期発見することが望ましいです。

進行速度は性別・年齢関係なく患者さんによって違う

肺がんの進行速度は、性別・年齢関係なく患者さんによってさまざまです。

半年〜1年で着実に大きくなっていく場合もあれば、2〜3年経過観察をしていても、少しずつしか大きくならないこともあります。

また「高齢者はがんの進行が遅い」と考える方もいるかもしれません。しかし肺がんの場合はそうとは限りません。高齢であったとしても進行してしまうがんは、どんどん進行していきますので、「自分は高齢だから大丈夫」と油断することは禁物です。

肺がんの検査方法

肺がんの診断にはまずCT検査

肺がんのCT

神戸低侵襲がん医療センターで実際に使用しているCT装置(2017年8月現在)

肺がんの診断ではCT検査(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)が用いられます。CT検査とは、X線を使用して体の断面が輪切りのようになった画像を撮影して行う検査方法です。

肺がんが疑われる場合は胸からお腹までの撮影を行います。検査時間は約10分間です。

肺がんの確定診断のために気管支鏡検査やCTガイド下肺生検

CT検査で肺がんが疑われる所見が得られたら、それが本当にがん(悪性腫瘍)であるかを証明し、今後の治療計画を立てる必要があります。

そこで、気管支鏡検査もしくはCTガイド下肺生検で、組織の一部を採取し顕微鏡で詳細な検査を行います。顕微鏡で調べた組織の形態により同じ「がん」という診断であっても治療方針が大きく変わることもあり、がんの治療においては非常に重要な検査となります。

※気管支鏡検査

口または鼻から、先端に小型カメラがついた管(内視鏡)を挿入して行う検査方法です。カメラを使った気管支の観察や、病変部からの組織の採取を行うことができます。

気管支鏡検査は通常局所麻酔下で行い、検査にかかる時間は約30分〜1時間です。副作用としては、気管に直接管を入れるので、検査後の喉の痛みや咳、血痰がでることがあります。

また、気管支鏡検査のために一般的には1泊2日〜2泊3日の入院が必要です。

※CTガイド下肺生検

CTガイド下肺生検とは、CT装置で体の断面を観察しながら、局所麻酔下で肺の病変部に細い生検針を刺して、病変部から組織の一部を採取する検査です。

気管支鏡検査では採取しにくい箇所の病変などに対して用いる検査で、気管支鏡検査と同様、一般的には1泊2日〜2泊3日の入院が必要です。

肺がん転移を診断するための検査方法

また肺がんが他臓器へ転移していないかを調べるためには、MRI検査やPET-CT検査を行います。

繰り返しになりますが、肺がんは全身のリンパ節、骨、肝臓、副腎、脳などあらゆる臓器へ転移する可能性があり、転移の有無によっても大きく治療方針が変わります。たとえば、他の臓器への遠隔転移があるのに肺の原発巣のみを手術をしても病気全体の治癒にはつながらないことがほとんどです。ですから肺がんが疑われた時点で、転移の有無を検査しておくことは大切です。

特に脳や骨の場合は、CT検査だけではどこまで転移が広がっているのかを確認することは困難なので、転移の確認のために脳のMRI検査と全身のPET-CT検査を行います。

脳転移の有無を確認するためのMRI検査

脳への転移があるかないかを確認するためには、脳MRI(Magnetic Resonance Image:磁気共鳴画像)検査を行います。脳MRI検査は、磁場のなかで起こる脳内の水素分子の振動をコンピュータで解析して、詳細な画像を撮影する検査です。

検査時間は通常約15〜20分ですが、2017年8月現在神戸低侵襲がん医療センターでは、約30分かけて脳MRI検査を行います。

当院では造影剤を使用しながら、脳を非常に細かい0.9mmスライスにした撮影を行っています。こうすることで、小さな転移も見逃しにくくなります。

 

また、当院では脳転移の放射線治療にサイバーナイフ(ピンポイント照射の専用装置)を使用しています。(サイバーナイフについては記事2

『肺がんのステージごとにおける放射線治療の効果と最新の放射線』をご覧ください)

これらの理由から、当院では肺がんが疑われる患者さんに対して、時間をかけて脳MRI検査を行っています。

PET-CT検査で全身への転移を確認

肺がんが全身へ転移していないかを確認するためには、PET-CT検査(Positron Emission Tomography:陽電子放出断層撮影)もおこわれることがあります。PET-CT検査はCTやMRIで病気が疑わしいが診断がつかない場合にのみ追加すべきとされていますが、リンパ節転移や骨転移はCTだけでは診断できないこともしばしばあります。当院ではCTやMRIで少しでも疑わしい、気になる部位がある場合は、積極的にPETを施行し、より精密な診断を行うべきだと考えます。

単純なCT検査は特定の部位(腹部や胸部など)に限定して検査を行いますが、PET-CT検査は全身の臓器を一度で調べることができます。

PET-CT検査では、最初に18F-FDG(フルオロデオキシグルコース)というブドウ糖と同じような性質を持った薬剤を静脈注射します。

がん細胞には、正常細胞よりもブドウ糖を多く取り込む性質があります。この性質から、ブドウ糖と同じ性質を持つ18F-FDGを投与すると、がん細胞は18F-FDGを取り込もうとします。18F-FDGを投与後、しばらくして画像をみてみると、肺がんの病巣や転移がある場所に18F-FDGが集積していることが確認できます。

PET-CT検査によって、肺がんを疑った時点では予想していなかった場所への転移も、早期に確認することが可能です。ただし、脳転移はPETでは検出できない場合が多いので、先述のMRIの検査とPETと両方の検査が必要です。

神戸低侵襲がん医療センターでは早期にPET-CT検査を行う

神戸低侵襲がん医療センターでは2017年8月現在、早い段階でステージ診断を行うために、肺がんが疑われた時点で積極的にPET-CT検査を行っています。

一般的には気管支鏡検査を行い、肺がんが確定してからステージ診断を行うことが多いですが、気管支鏡検査は結果が出るまで数週間の期間を要します。

そのため、当院では気管支鏡検査の入院が決定した段階で、気管支鏡検査までにPET-CT検査や脳MRI検査などの、ありとあらゆる精密な画像診断を行うようにしています。他の病院で気管支鏡検査等により肺がんと診断され当院に紹介となった患者さんでも、PETが施行されていない場合はすぐにPET-CT検査を行うようにしています。「早期診断・早期治療」を実現するためにも、なるべく早い段階でPET-CT検査を行うことは非常に大切なことであると考えます。

 

人間ドッグ・肺がんを受ける頻度は?

検診を受けている人

肺がんは初期段階ではほとんど症状が現れません。ですから、肺がんを早期に発見するためには定期的に人間ドッグやがん検診を受ける必要があります。

胸部レントゲンではみつからない肺がんは多い

皆さんの所属する会社やお住まいの市町村で実施されている健康診断の肺の検査は、一般的に「胸部レントゲン撮影」であることが多いでしょう。

もちろん胸部レントゲン撮影で、肺がんを早期発見できる場合もありますが、がんが小さかったり、がんのある場所が肋骨や血管、横隔膜に重なる部位や縦隔の近くなどにあったりすると、レントゲンでは検出されないこともあります。

そのため定期的に会社の健康診断を受けていて、異常なしと診断されていたにもかかわらず、病院にきたときにはすでに肺がんが進行してしまっているという方もいらっしゃいます。

早期発見のためには定期的なCT検査が望ましい

肺がんを早期発見するためには、CT検査を受けていただくことが望ましいと私は考えます。

CT検査では、レントゲンでは確認できないような、小さながんやわかりにくい場所にあるがんの発見につながる場合もあります。

普段から病院にかかっている方は、他の病気の検査でCT検査を受ける機会がありますが、健康な方ですとCT検査を受ける機会はなかなかありません。

肺がんはレントゲンで発見できないことも多いので、「私は住民検診や会社検診を受けているから大丈夫」と思わずに、金銭的な負担はかかりますがCT検査が受けられる人間ドッグやがん検診などを定期的に受診することをおすすめします。

喫煙者は特に肺がん検診を受けてほしい

肺がんは誰にでも発症し得る病気ですので、人間ドッグや肺がん検診は皆さんに受けていただきたいと思います。なかでも、日常的に喫煙の習慣がある方は、非喫煙者に比べて発症リスクが高い状態にありますので、出来る限りがん検診を受けるようにしましょう。

またすでに禁煙をした方であっても、肺がんの発症リスクがあるという報告がされています。ですから、「もう禁煙しているから大丈夫」と油断をせずに、がん検診で精密な検査を受けることをお勧めします。

検診の頻度は1年に1回を目安に

がん検診は最低1年に1回の頻度で受けていただくことが望まれます。肺がんの進行は人によってさまざまで、1年前の人間ドッグでは特に異常のなかった方が、1年後には大きな肺がんができていたというケースもみられます。この場合1年以上放置してしまうと、肺がんが発見されたときにはすでに治療ができない状態である可能性もあります。

ですから、「1年に1回は検診を受けること」を一つの目安とだと考えられます。

症状が出る前に早期発見することが治癒につながる

西村先生

早期発見のためには検診が非常に重要ですが、本邦では国民の検診受診率がまだまだ低いのが現状です。

その理由の一つとして、私は「がんが見つかったら怖い」と思っている方が多いからではないかと考えます。しかし、肺がんは早期発見さえできれば、治療によって治癒の確率を高めることも出来る疾患です。このことを、たくさんの方に知っていただくことができれば、検診受診率と早期発見率の上昇につながるのではないかと考えます。

肺がんは、症状が出る前に発見することが、治癒につなげる一番の方法です。早期に発見できれば治癒の可能性が高まる病気ですから、「もし病気がみつかったら怖い」「自分は大丈夫」と思わずに、ぜひ一度がん検診を受けていただきたいと思います。

気管支鏡による肺がんの検査

気管支鏡による肺がんの検査

聖マリアンナ医科大学呼吸器内科 特任教授

宮澤 輝臣 先生

気管支鏡(気管支ファイバースコープ)ではさまざまな検査をすることができます。気管支鏡を使った肺がんの検査について、呼吸器インターベンションのパイオニアである聖マリアンナ医科大学呼吸器内科特任教授の宮澤輝臣先生にお話をうかがいました。 気管支鏡による検査とは 組織や細胞などの検体を採取する方法によって、次のような検査の種類があります。 直視下経気管支生検、擦過細胞診 ...

この記事の目次

  • 気管支鏡による検査とは

  • 気管支鏡による肺がんの検査とは

肺がんのステージごとの治療について

肺がんのステージごとの治療について

神戸低侵襲がん医療センター 放射線治療科 部長

西村 英輝 先生

肺がんでは、ステージに合わせた治療が行われます。ステージはI期〜Ⅳ期の4つに分類され、そのすべての段階で放射線治療が行われます。放射線治療というと、効果が少なく副作用が強い、というイメージを持たれている方も多いかもしれません。しかし、放射線治療は画像診断や治療の技術進歩に伴い、初期の根本治療から緩和治療まで幅広い範囲で有効的な治療となりました。 今回は、神戸低侵襲がん医療センターの放射...

この記事の目次

  • 肺がんのステージ(病期)分類

  • ステージごとの肺がんの治療法と放射線治療の進歩

  • 放射線治療は脳転移の治療や疼痛緩和にも有効

肺がんの放射線治療(西村 英輝 先生)の連載記事

医師となり2年目に千葉県の放射線医学総合研究所、重粒子医科学センターに勤務し、粒子線治療を通じて新しいがん治療の開発に関わったことが放射線治療医としての第一歩となった。国立がんセンター東病院においても粒子線治療や当時国内ではまだ広く普及していなかったIMRTという高精度放射線治療の立ち上げに関わり、がん専門病院でのチーム医療を学ぶ。神戸大学では放射線治療の基礎研究・培養細胞を用いた実験も行い、臨床・研究の両面から放射線治療の研究を行なった。

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