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日帰り心臓カテーテル検査とは?検査の種類や適応疾患、適応条件について
心臓カテーテル検査とは、カテーテルとよばれる細い管を使用して心臓の様子を撮影することで、多くの心臓病を診断することができる検査方法です。心臓カテーテル検査を行うためには多くの病院では入院が必要と...
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日帰り心臓カテーテル検査とは?検査の種類や適応疾患、適応条件について

公開日 2017 年 10 月 31 日 | 更新日 2018 年 03 月 19 日

日帰り心臓カテーテル検査とは?検査の種類や適応疾患、適応条件について
緒方 信彦 先生

医療法人社団愛友会 上尾中央総合病院 循環器内科 科長

緒方 信彦 先生

目次

心臓カテーテル検査とは、カテーテルとよばれる細い管を使用して心臓の様子を撮影することで、多くの心臓病を診断することができる検査方法です。心臓カテーテル検査を行うためには多くの病院では入院が必要となりますが、近年検査の種類や患者さんの適応条件によっては日帰り(外来)で行う医療機関が増えてきました。

では実際に日帰り心臓カテーテル検査は、どのような疾患が対象となり、どのような検査が行われるのでしょうか。上尾中央総合病院の循環器内科科長・緒方信彦先生にお話を伺いました。

生命維持に欠かせない「心臓」−狭心症や心臓弁膜症は進行する前に発見を

心臓

心臓は全身に血液を送り出すポンプのようなはたらきをしており、生命を維持するためには欠かすことのできない臓器です。

心臓は心筋という筋肉によって絶えず収縮と拡張を繰り返し、全身に血液を送っています。この心筋がしっかりはたらけるように酸素や栄養素を含む血液を送っているのが、心臓を取り囲んでいる「冠動脈」であり、この冠動脈が何らかの原因で狭窄や閉塞を起こす疾患が「狭心症」です。

また心臓には4つの弁(大動脈弁・僧帽弁・三尖弁・肺動脈弁)があり、心臓の動きに合わせて開けたり閉じたりを繰り返すことで血液の逆流を防いでいます。この弁の動きが悪くなることを「心臓弁膜症」とよびます。

狭心症や心臓弁膜症が進行すると、心臓のはたらきが弱まり、全身に十分な血液を供給することができなくなる、心不全に陥る恐れがあります。ですから、これらの疾患に罹患している疑いがある場合、なるべく早期に心臓の検査を行い、必要な治療を受けることが重要です。

心臓の検査には心電図検査や冠動脈CTなどのいくつかの方法がありますが、多くの心臓病に対して正確な診断を行う際には「心臓カテーテル検査」が非常に有効であると考えられています。

心臓カテーテル検査とは

心臓カテーテル検査とは「カテーテル」とよばれる細い管を手足の動脈から挿入し、心臓まで到達させてから内部の圧力を測定したり、造影剤を使用することで心臓の様子を写し出したりすることができる検査の総称です。具体的には、冠動脈の狭窄や閉塞の有無、左室の形態、心臓内の圧力などを確認することで、狭心症や心臓弁膜症に罹患しているかどうか診断できます。

そのほか、電極カテーテルを使用して心臓の刺激伝導系(心臓を拍動させるための興奮刺激の流れ)の活動状況を確認することで不整脈の診断も可能です。

また、心臓カテーテル検査は検査の目的や方法によって、左心カテーテル検査や右心カテーテル検査などいくつかの種類に分かれます。

心臓カテーテル検査でわかる疾患−狭心症・心臓弁膜症について

前述のように、心臓カテーテル検査ではあらゆる心臓疾患を診断することができますが、ここでは心臓カテーテル検査の目的となる疾患で多い「狭心症」と「心臓弁膜症」について解説いたします。

狭心症−動脈硬化や血管のれん縮により冠動脈が狭窄する疾患

狭心症と心筋梗塞の違い

 

狭心症とは、冠動脈が徐々に狭窄や閉塞をしてしまうことで、心筋へ送られる血液が不足してしまう虚血性心疾患のひとつです。

同じ虚血性心疾患に「心筋梗塞」がありますが、心筋梗塞は病状が急速に進行して血管が完全閉塞に陥ります。この場合、心筋への血流が完全に途絶えるので、緊急で救急治療を行わなければ心筋が壊死する危険性があります。ですから、心筋梗塞は待機的に行われる心臓カテーテル検査の対象疾患になることはほとんどありません。そのため今回は、心臓カテーテル検査の対象となる狭心症に焦点を絞りご説明します。

狭心症の特徴的な症状としては以下が挙げられます。

狭心症の主な症状

  • 約5〜10分間持続する胸痛や胸部絞扼感(こうやくかん:ぎゅっと締め付けられる感じ)
  • 上記の胸部症状がニトログリセリン(狭心症治療薬である舌下錠)で治まる

など

また狭心症は、冠動脈が狭窄する原因や上記の症状が出現するタイミングによって大きく「労作性狭心症」と「冠れん縮性狭心症」の2種類に分かれます。

 

労作性狭心症

※労作性狭心症

労作性狭心症の主な発症原因は冠動脈の動脈硬化です。動脈硬化によって生じたアテローム(コレステロールや脂肪などが蓄積して形成される病変)によって冠動脈が狭くなることで発症します。

労作性狭心症では、歩行時や階段を登ったときなどの体を動かしたときに胸部の症状が出現し、安静にすることで症状が治まることが特徴です。

※冠れん縮性狭心症(かんれんしゅくせいきょうしんしょう)

冠れん縮性狭心症とは、冠動脈のれん縮(れんしゅく:一時的に冠動脈が収縮すること)によって冠動脈が狭窄してしまう疾患です。冠れん縮性狭心症の症状は、休息やリラックスの神経である副交感神経が活発になる明け方〜早朝にかけて起こることが特徴で、この時間帯に救急外来を受診される患者さんも多くいらっしゃいます。狭心症発作に伴う不整脈のために、一過性の「失神」を来すこともあります。

心臓弁膜症−心臓の弁が狭窄したり閉じなくなったりする疾患

心臓には「大動脈弁」「僧帽弁」「三尖弁」「肺動脈弁」という4つの弁があり、全身の血管と心臓の4つの部屋(左心房、左心室、右心房、右心室)を流れる血液の逆流を防ぐ役割を持っています。これらの弁が狭窄して血液が流れなくなったり、反対にうまく閉じなくなることで血液が逆流したりしてしまう疾患の総称を「心臓弁膜症」といいます。また、心臓弁膜症は生まれつき弁に異常のある「先天性」と、生後何らかの原因で発症する「後天性」のものに分けられます。

なかでも、患者さんの数が多い心臓弁膜症は以下のものが挙げられます。

主な心臓弁膜症

  • 大動脈弁閉鎖不全症
  • 大動脈弁狭窄症
  • 僧帽弁閉鎖不全症
  • 僧帽弁狭窄症
  • 三尖弁閉鎖不全症

心臓カテーテル検査が必要となるのはどのようなとき?

心臓カテーテル検査では狭心症や心臓弁膜症をはじめとした多くの心臓疾患を診断することができますが、そのなかでも特に狭心症の確定診断のために行われることが多いといえます。

しかし心臓カテーテル検査は容易な検査ではないので、はじめから心臓カテーテル検査を行うわけではありません。狭心症が疑われる場合には、まずは一般的に以下のような検査が行われます。

  • 問診(詳細な病歴)
  • 心電図/運動負荷心電図
  • 心臓核医学検査(心筋シンチグラフィー)
  • 冠動脈CT

これらの検査を行なったうえで、必要に応じて心臓カテーテル検査を実施することになります。

問診 症状が起こる「タイミング」と「持続時間」を詳細に聞き取る

時計

まずは問診で胸痛などの胸部症状が出現する「タイミング」や「症状の持続時間」などを患者さんから慎重に伺うことで、それが狭心症の症状であるのか、あるいは狭心症以外の胸部疾患(食道、肺、胸部大血管などに由来するもの)であるのかの鑑別を行うことが大切です。

繰り返しになりますが、狭心症の症状は「体を動かしたときに症状が出現して安静時に治まる」「明け方から早朝にかけて症状が出現する」「ニトログリセリン舌下錠を舐めることで症状が治まる」などが挙げられ、同時にこれらが「約5〜10分間持続する」ことが特徴です。

ですから、たとえば「胸部症状が一瞬出現しただけで、すぐに治まる」といった場合には狭心症ではなく、ほかの胸部疾患である可能性が高いといえます。

このような鑑別を行うためにも問診の際には、胸部症状がどのように繰り返されて、どのようなときに起こるのか、を詳細に伺うことが重要です。

画像診断 心電図検査・心臓核医学検査・冠動脈CT

問診で患者さんから症状の聞き取りを行ったら、画像診断などで精密な検査を行います。狭心症が疑われる患者さんの場合、一般的には下記のような検査が行われます。

・運動負荷心電図

狭心症(特に労作性狭心症)発作の多くは、運動中など心臓に負担がかかった状態で起こります。運動負荷心電図とは、心臓にある一定の負荷をかけた状態で心電図を記録する検査です。狭心症を疑う場合には通常の心電図検査も行いますが、これに加えて運動負荷心電図を行うことで、運動時に起こる心臓の異常を確認することができます。運動負荷をかける方法として、ベルトコンベアの上を歩く「トレッドミル」、自転車を漕ぐ「エルゴメーター」があります。

・心臓核医学検査

微量の放射線を放出する薬剤を点滴で体内に注入し、体内の放射線を撮影することで心臓における血液の流れを評価する方法です。心臓核医学検査は「心筋シンチグラフィー」ともよばれます。

・冠動脈CT検査

冠動脈CT検査とは、静脈に造影剤を注入して体外からX線を照射することで冠動脈の様子を立体的に撮影することができる検査方法です。

心臓カテーテル検査と同様に冠動脈の狭窄を確認することができますが、冠動脈が石灰化してしまっている場合などには十分に病変を描出できないというデメリットもあります。また、脈拍がはやい患者さんや、不整脈がある患者さんでは十分な静止画像を得ることが難しい場合があります。

心臓カテーテル検査の種類や適応によっては日帰りで行うことも

一般的には、1泊2日〜2泊3日の入院で心臓カテーテル検査を行います。しかし、一定の条件がそろえば、これを日帰りで行うことも可能です。上尾中央総合病院でも、心臓カテーテル検査の種類や患者さんの身体的な適応条件を満たす場合、日帰り(外来)で行う「日帰り心臓カテーテル検査」を実施しています。

では、具体的にどのような患者さんが日帰り心臓カテーテル検査を受けることが可能なのでしょうか。

日帰り心臓カテーテル検査の適応条件について

日帰り心臓カテーテル検査の適応基準は医療機関によって異なります。あくまで当院の基準だと、帰宅後の出血リスクを考慮して、「橈骨(とうこつ)動脈からのカテーテルの挿入が可能かどうか」を日帰り心臓カテーテル検査適応の判断軸としています。

日帰り心臓カテーテル検査は橈骨(とうこつ)動脈からカテーテルを挿入できる方に限る

橈骨(とうこつ)動脈からカテーテルを挿入s

通常の心臓カテーテル検査は主に、手首にある橈骨動脈、または足の付け根にある大腿動脈からカテーテルを挿入して行います。

日帰り心臓カテーテル検査の場合、帰宅後の止血の安全性が重要なので、橈骨動脈を選択します。つまり、橈骨動脈からカテーテルを挿入できることが条件になります。

手首の橈骨動脈であれば万が一自宅で穿刺部から出血した場合にも、患者さんご自身で反対側の手を使って傷口を抑える応急処置をしていただくことが可能です。

一方大腿動脈から出血が起きた場合には、患者さんご自身またはご家族でも止血を行うことが困難であり、医療従事者による早急な処置が必要となることがあります。

高齢で動脈硬化が進行している方は橈骨動脈からカテーテルを挿入できないことがある

ヒトの血管は、高齢になるにつれて動脈硬化が進行するとともに、狭窄だけでなく蛇行(曲がりくねること)するようになります。特に橈骨動脈から心臓に向かう途中にある、肩の腕頭動脈とよばれる箇所に高度な蛇行がみられることが多々あります。

この腕頭動脈の蛇行が高度であるとカテーテル操作の妨げになり、血管を傷つけたり、脳梗塞を合併したりする危険性があります。

そのため当院では、具体的な年齢制限を設けてはいませんが、80歳代以上くらいの方で動脈硬化が進行している患者さんについては、安全性の観点から大腿動脈からのアプローチを行い、入院をして検査を受けていただくこともあります。

日帰りでできる心臓カテーテル検査の種類

心臓カテーテル検査には

  • 左心カテーテル検査
  • 右心カテーテル検査
  • 冠血流予備能検査(FFR)
  • 血管内超音波検査(IVUS)
  • 冠れん縮薬物誘発試験

などいくつかの種類があり、これらは日帰りによる検査が可能です。

不整脈の診断を行う電気生理学的検査(EPS)など検査の種類によっては入院をする必要のある心臓カテーテル検査もあります。

左心カテーテル検査

心臓カテーテル検査のなかで最も多く行われているのが「左心カテーテル検査」で、これは主に狭心症の確定診断のために行います。また心臓弁膜症の術前の患者さんに対して、狭心症の合併がないかどうかを確認する目的でも行われます。

左心カテーテル検査では、動脈にカテーテルを挿入して冠動脈や左室の造影、心内圧の測定を行います。カテーテルを用いて冠動脈に造影剤を直接注入し、造影剤が流れる様子を確認することで狭窄の箇所や程度を確認することが可能です。また、左室造影では心臓の壁運動(心臓がきちんと拍動しているか)を評価することができます。

右心カテーテル検査

右心カテーテル検査は静脈からカテーテルを挿入して、肺動脈・右心室・右心房の右心系の圧測定を行ったり、心拍出量を測定したりする検査方法です。

冠血流予備能検査(FFR)

冠血流予備能検査(FFR)は左心カテーテル検査に付随して行います。左心カテーテル検査で冠動脈に狭窄が確認できた場合に、その狭窄がどの程度心臓への血流を阻害しているのかを確認し、狭心症の重症度を評価します。検査にはプレッシャーワイヤーという、血管内の圧力を測定するセンサー付きのワイヤーを使用します。

血管内超音波検査(IVUS)

血管内超音波検査(IVUS)も冠血流予備能検査と同様に左心カテーテル検査に併せて行われる検査です。左心カテーテル検査の最後に冠動脈内に超音波カテーテルというものを挿入することで、冠動脈の断面を内側から観察することができ、病変部のより詳細な情報を得ることができます

冠れん縮薬物誘発試験

冠れん縮薬物誘発試験とは、冠れん縮性狭心症の確定診断のために行われる検査です。

検査では、カテーテルで冠動脈内に血管のれん縮を誘発させる薬剤を注入して、血管のれん縮が起こるかどうかを確認します。

正常な血管の場合は血管のれん縮を誘発させる薬剤を投与してもれん縮は起こりませんが、冠れん縮性狭心症の患者さんの場合には病変部の血管に攣縮が起こります。

この試験は、薬剤でれん縮を誘発させる際に心筋梗塞を起こすリスクがあるため、医師の技量や安全対策が非常に重要となる検査です。

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熊本大学医学部卒業後、熊本労災病院、東京北社会保険病院、東海大学付属病院、自治医科大学附属病院などで循環器内科医としての臨床経験を積む。高度な技術を要するエキシマレーザー冠動脈形成術を得意とし、2017年現在は上尾中央総合病院循環器内科科長として循環器疾患を持つ多くの患者さんからの信頼を得ている。