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ステージ3の乳がん治療選択について
乳がんの評価には、ステージ0~Ⅳまでの全5段階で評価する病期分類「TNM分類」がよく用いられています。そのなかでも「ステージⅢ」というのは、ステージ0から数えて3番目の、比較的進行した病期である...
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ステージ3の乳がん治療選択について

公開日 2018 年 01 月 11 日 | 更新日 2018 年 01 月 11 日

ステージ3の乳がん治療選択について
花立 史香 先生

まつなみ健康増進クリニック 院長

花立 史香 先生

乳がんの評価には、ステージ0~Ⅳまでの全5段階で評価する病期分類「TNM分類」がよく用いられています。

そのなかでも「ステージⅢ」というのは、ステージ0から数えて3番目の、比較的進行した病期であるとされています。しかし、ひとことにステージⅢといってもⅢA、ⅢB、ⅢCのどれかによって、がんの状態や治療方法は変わってきます。そのためステージⅢの方では、ご自身のがんがどういった状態なのか、また手術はできるのかといった疑問を抱え、悩まれる方もいらっしゃいます。

実際に、ステージⅢの乳がんでは手術を行うことができるのでしょうか。ステージⅢの乳がんの治療選択肢について、乳腺外科医である社会医療法人 蘇西厚生会 まつなみ健康増進クリニック クリニック長の花立 史香先生にお話を伺いました。

▼乳がんの手術については記事1『乳がんの治療と手術 乳房切除・乳房温存・乳房再建について詳しく解説』をご覧ください。

ステージ3の乳がんとは? 

乳がんの病期(ステージ)とは

乳がんは、がんの大きさ、広がる範囲、転移の状態などから、下記のような病期(ステージ)分類がなされています。

---

  • 0期
  • Ⅰ期
  • Ⅱ期(ⅡA、ⅡB)
  • Ⅲ期(ⅢA、ⅢB、ⅢC)
  • Ⅳ期

---

ステージがⅣ期に近づくほど、がんが進行している状態になります。この5つのステージのうち、0期から数えて3つめの病期を、ステージⅢといいます。ステージⅢは比較的病期が進行した状態と考えられています。

ⅢA、ⅢB、ⅢCの定義 -しこりの大きさ・リンパ節転移・遠隔転移の状態が重要

ステージⅢA、ⅢB、ⅢCとは?

ステージⅢはさらに細かく、ⅢA、ⅢB、ⅢCに分類されます。

乳がんステージⅢ

このようにしこりの大きさ、そして転移の状態によって、同じステージⅢでもさらに細かく分類されています。

ステージⅢという病期は比較的進行した病態と考えられますが、ステージⅢといってもⅢA、ⅢB、ⅢCのどれであるのか、またがんの状態はどのようなものであるかによって、治療の方針は変わってきます。

ステージ3の乳がんの治療法とは ―抗がん剤治療は行われる?

ステージⅢAは「浸潤がん」 状態によって治療法を検討する

ステージⅢAの乳がんは、ステージⅠ~Ⅱと同様に「浸潤がん」とよばれています。

ステージⅢAの場合は、まず手術によってがん病変を切除することになります。

このときステージⅢAではがんが大きい状態であるため、がん病変を取り除いても、からだのなかに微細ながん細胞が残っている可能性があります。そのため術後には化学療法(抗がん剤)や放射線療法を行い、再発を予防していくことが必要です。

また、手術前に薬物治療を行うことでがんが小さくなる場合には、手術の前に抗がん剤などを用いてがんを小さくしてから手術を行う場合があります。

ステージⅢB・ⅢCは「局所進行乳がん」 全身療法が主軸となる

ステージⅢB・ⅢCの乳がんは「局所進行乳がん」とよばれます。

ステージⅢB・ⅢCの乳がんでは、がんが乳房以外のところへ微細な転移を伴っている可能性が高いため、全身に対する治療法、つまり抗がん剤などを用いた薬物治療を主軸として治療を進めることになります。

そのためステージⅢAではまず手術を検討しましたが、ステージⅢB・ⅢCではまず全身療法を検討し、その後手術や放射線療法などの局所に対する治療を行っていくことになります。

ステージ3で手術は可能? ―乳房温存手術はできるのか

一般的には「乳房切除」が選択される

乳がんの手術にはいくつか種類があります。

現在の主流となっているのは下記の2つの方法です。

---

  • 乳房切除術(胸筋温存乳房切除術)

   乳房と腋窩リンパ節の全部もしくは一部を摘出する術式

  • 乳房温存手術

   がん病変とその周囲の組織だけを摘出してできる限り患者さんご自身の乳房を残す術式

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なかでも現在日本で最もよく行われている手術方法は、乳房温存手術です。より低侵襲な手術で、術後もご自身の乳房を残すことができ、さらに術後の入院期間も短いというメリットがあり、多くの乳がん患者さんに乳房温存手術を施行しています。

しかし、ステージⅢA乳がんでは乳房温存手術が難しい場合が多くあります。

手術が検討できる乳がんのなかでも進行した症例であるステージⅢAでは、検査を行うなかで、やはり乳房の広い範囲にがんが広がっている、がん病変がいくつか存在することなど術前の検査によって明らかとなり、乳房の温存が難しくなる場合が多くなってきます。そのためステージⅢAの乳がんにおいては、乳房温存ではなく、乳房切除による手術を行うことが多いと考えられます。

しかしステージⅢであっても、がん病変が小さく、リンパ節転移が少ない場合であれば乳房温存手術を行う場合があります。手術を行えるかどうか、乳房を温存できるかどうかは、がんの状態や患者さんの希望によって変わってきますので、主治医とよく相談しながら手術方法を判断していきましょう。

▼乳がんの手術方法については記事1『乳がんの治療と手術 乳房切除・乳房温存・乳房再建について詳しく解説』もご覧ください。

ステージ3のリスク ―生存率・再発の時期は?

ステージⅢ乳がんの生存率は約80%

国立がん研究センターがん情報サービスのganjoho.jpによると、乳がんステージⅢの生存率は下記のように記載されています。

【乳がん ステージⅢの生存率】

5年相対生存率  80.3%

※ 症例数:1,710件  、臨床病期にはUICC(Union Internationale Contrele Cancer:国際対がん連合)のTNM分類を活用、全国がん(成人病)センター協議会の生存率共同調査 KapWeb(2016年2月集計)による

乳がんはほかの部位のがんと比較すると、予後がよいがんだといわれています。ステージⅢであっても適切な治療を行うことでがんを乗り越えることができる方は多くいらっしゃいます。

▼乳がんの全病期の生存率については記事3『乳がんの転移・再発 転移で痛みはあらわれる?』をご覧ください。

乳がんの再発は2~3年以内が多い

乳がんの再発の時期は、がんの性質や進行度によって変わってきます。日本乳癌学会 患者さんのための乳癌診療ガイドラインでは、再発する方では術後2~3年以内に起きることが多いとされています。しかし10年、20年後に再発する方もおり、再発の時期は一概にはいえないと考えられます。

乳がんは先ほどもお話したとおり比較的予後がよいがんであるため、どの治療法が適切であったのかを見極めるためには非常に長い期間、患者さんをフォローアップする必要があります。どういった治療がより適切であるのか、今後さらなる研究が望まれるでしょう。

 

1985年金沢大学医学部卒業後、1990年金沢大学大学院を卒業し医学博士取得。その後1991年より国立静岡病院外科、1996年より厚生連高岡病院外科、1998年より小松市民病院外科医長をつとめる。そして2005年に松波総合病院外科部長、2017年に まつなみ健康増進クリニック院長に就任する。乳腺外科を専門とし、日々多くの乳がん患者さんの診療にあたっている。

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