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人工呼吸器の治療方法。求められる看護体制
 病気の発症や事故などによって、人工呼吸器を使用した長期間の治療が必要になる患者さんがいらっしゃいます。そうした患者さんが、人工呼吸器を外さずにこのまま治療を続けていきたいと希望した場合、現在の...
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人工呼吸器の治療方法。求められる看護体制

公開日 2018 年 01 月 09 日 | 更新日 2018 年 01 月 11 日

人工呼吸器の治療方法。求められる看護体制
川村 一彦 先生

医療法人財団愛慈会 相和病院 理事長・院長

川村 一彦 先生

目次

 

病気の発症や事故などによって、人工呼吸器を使用した長期間の治療が必要になる患者さんがいらっしゃいます。そうした患者さんが、人工呼吸器を外さずにこのまま治療を続けていきたいと希望した場合、現在の病院の仕組みでは一般病院で長期間治療を続けていくことは難しく、退院して在宅で治療を続けるか、他の病院へ転院するかを選択しなければなりません。

人工呼吸器による治療を続けていくために、どのような看護・対応が求められていくのでしょうか。在宅で治療を続けていくときの課題や、ほかの医療機関への転院などについて、医療法人財団愛慈会 相和病院 理事長・院長 川村 一彦先生にお話を伺いました。

人工呼吸器の概要については記事1『人工呼吸器とは? 種類・適応基準・合併症などを解説』をご覧ください。

人工呼吸器を使用する患者さんに必要な看護・対応とは?

痰の吸引(気管吸引)

人工呼吸器を使用している患者さんは、気管にカニューレが挿入されることにより、加温保湿不足となり気道粘膜の働きが弱まり、痰が貯留しやすくなるため、気管カニューレの閉塞や感染を起こしやすくなります。そのため吸引操作は、清潔操作で効果的かつ安全に行う必要があります。

医療機関においては医師、看護師、または一定の条件を満たしたリハビリテーション関連職種である理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、そして臨床工学技士などが、気管吸引を行います。

痰の吸引

気管吸引は、医療ガスの陰圧ガスとして配管端末器(アウトレット)に接続して行います。患者さんの病状に合わせて、低酸素にならないよう経皮的酸素飽和度をモニタリングしながら、清潔操作で効果的かつ安全に吸引操作を行います。たとえば相和病院では、看護師が中心となり毎日決まった時間にこの機器を用いて痰の吸引を行っています。

患者さんの容態によっては1時間おき、2時間おきに吸引をしたほうがよい方もいらっしゃいます。決められた時間以外にも患者さんの状態に合わせて対応することが大切です。

入浴などの日常生活のサポート

病院のお風呂

入浴時には人工呼吸器を外し、アンビューバッグを使用して徒手的に換気を行います。患者さんの呼吸に合わせて換気を行ったり、患者さんの呼吸状態によりポータブル式の人工呼吸器を使用することもあります。気管切開部から感染等の問題が起こらないように注意すれば、湯船に浸かることもできます。

患者さんの状態をチェックする

患者さんの状態を日々チェックしていくこともとても重要です。たとえば医療機関では、痰が溜まっているかどうか聴診器を用いて患者さんの呼吸をチェックして、肺の状態に異常があらわれないよう日々患者さんの状態を確認しています。

また終末期になると心不全などによって脈が速くなる傾向がみられます。その場合には人工呼吸器の設定を変えていく必要があります。一度人工呼吸器の設定をすれば、ずっとそのままでよいということはなく、こうした患者さんの状態の変化に気付き、より適切な設定に合わせていくことも重要です。

人工呼吸器の看護や対応 ―在宅と医療機関での違いとは?

このように人工呼吸器の治療ではさまざまなサポートや対応が求められます。冒頭でもご紹介したように、人工呼吸器による治療を続けていく場合には、在宅にするか、療養型の病院へ転院するかのどちらかを選択していきますが、「在宅」で人工呼吸器による治療を進めようと考えた場合、医療機関と在宅ではどのような対応の違いが生まれてくるのでしょうか。在宅で人工呼吸器治療を行う場合を想定して考えてみます。

患者さんの変化に気付くための体制

患者さんの変化に気付くために、医療機関では病室にモニターが設置されており、患者さんの状態に変化があった場合や、人工呼吸器にトラブルがあった場合には24時間医療従事者が駆け付けることができる環境が整っています。モニターには心電図や酸素濃度なども表示されており、患者さんの状態の変化をしっかりと確認することができます。しかしこうしたモニターは高額なケースが多く、在宅で環境を整えていくことは難しい場合があります。

正しい痰の吸引をできているかどうか

在宅でしっかりと痰の吸引ができているのかどうか、というところは大きなポイントです。痰の吸引は、人工呼吸器を在宅で使用し続けるうえで最も困難な点だと考えられます。慣れていない方では、奥のほうまで吸引することを怖がってしまい、手前の部分までしか吸引できていないケースがあります。また場合によっては痰をより確実に回収するために患者さんの体位を変えて吸引する必要がありますが、そうしたしっかりとした吸引を行うにはスキルが必要になります。

医療機関の看護師は患者さんの吸引に慣れているため十分なスキルを身に付けていますが、在宅でご家族などが吸引を行う場合にはしっかりとできているか、注意する必要があります。

人工呼吸器の正しい取り扱い

また人工呼吸器の機器を扱ううえでも、正しい取り扱いを身に付ける必要があるでしょう。人工呼吸器の取り扱いでは、経験してみないとわからない部分もたくさんあるといえます。医療機関では人工呼吸器の扱いに慣れた医療従事者がいると思いますが、在宅で扱う際にはたとえばどのアラームが鳴ったときに、どんな対応をするべきか、また機器の故障やアクシデントが起きたときにはどうするのかを知り、正しい対応を行えるように準備する必要があります。一般的には、人工呼吸器機器メーカーの方が使用方法を指導していくと思います。こうした指導などを活用しながら緊急時にも適切な対処をとることができる心構えが求められるでしょう。

▲人工呼吸器を取り扱う理学療法士さん

感染症の発症を防ぐ姿勢

感染症の発症予防にも気を付けるべきでしょう。病院は感染症の発症を防ぐためにさまざまな取り組みをしています。病室は安全で清潔に保つよう指導されており、痰の吸引をする際に使う吸引機も、繰り返し使用せずに毎回新しいものを使います。在宅ではそうした設備・準備が難しいと考えられますが、清潔な環境を整え、感染症の発症を予防する姿勢が重要です。

肺炎などの合併症への対応

記事1でもご紹介したように人工呼吸器を使用される患者さんでは合併症として肺炎が起こりやすくなっています。肺炎を引き起こしてしまった場合には、医師の治療方針にもよりますが、すぐに肺炎に対する治療を開始することが望ましいケースも多くあります。

肺炎の治療を行う際、重要となるのが「痰を吸引して肺炎の原因となっている菌を明らかにすること」だと考えています。吸引によって回収した痰を調べることで肺炎を引き起こした原因菌を明らかにすることができ、菌を正確に特定することができれば、その患者さんにとって適切な抗生物質を選択することができます。適切な抗生物質を選択できれば早期に的確な治療を行うことが可能になります。

さらに治療後に再び肺炎を引き起こした場合でも、その原因菌が同一である可能性が高いです。こうしたことから相和病院では肺炎に対する治療を行う際には気管吸引によって回収された菌を調べ、適切な抗生物質を選定することを重要視しています。

そのほか、肺炎を疑った場合にはすぐに胸部のレントゲン撮影を行う、血液検査をして白血球やCRPといった炎症に関連する項目をチェックするといったことも大切です。合併症は肺炎だけでなく、そのほかにもさまざまなものがあります。医療機関ではこうした合併症に早期に気付き、適切な対応をとる体制が整えられていますので、在宅ではどれほどこうしたリスクに対応していけるかというところが、大きな課題となります。

人工呼吸器を使用する患者さんは「病院」で受け入れてもらえる?

このように人工呼吸器による治療を長期間続けていく場合、在宅ではなかなか難しい部分も挙げられます。そのため、患者さんに転院していただき医療機関で人工呼吸器治療を続けたいと考えられるケースも多くあります。

しかしその際、大きな課題となるのが「受け入れ先」を探すことだと考えられます。実際には人工呼吸器を使用している患者さんを受け入れている施設は限られており、受け入れている施設でも、ベッド数には限りがありますので、患者さんの受け入れを制限している場合もあります。そうした状況からなかなか転院先が見つからず、困惑されるご家族の方も少なくありません。

こうした現状のなか、「人工呼吸器を使用する患者さんを積極的に受け入れる取り組み」が注目される機会も多くなってきていると思います。

 

医療法人財団愛慈会 相和病院の理事長・院長をつとめる。慢性期の重症な患者さん、救命救急センター病院や一般病院で急性期の治療を終えた患者さんの長期療養が可能となる療養病院をつくるべく、相和病院の経営に力を入れてきた。安心安全な医療提供を目指し、日々患者さんと向き合っている。

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