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前立腺肥大症の治療。薬物治療と手術治療の特徴

前立腺肥大症の治療。薬物治療と手術治療の特徴
小林 一樹 先生

国家公務員共済組合連合会 横須賀共済病院 診療部長・泌尿器科部長

小林 一樹 先生

目次
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前立腺肥大症は薬物治療と手術治療で治療することができます。なかでも薬物治療は患者さんの約80%が最初に選択する治療方法です。

前立腺肥大症の薬物治療には大きく分けて3つの治療薬が使用されています。「α1ブロッカー」は交感神経に関与する「α1受容体」を阻害することで、前立腺を弛緩させ、その結果として、前立腺の尿道に対する圧迫を軽減し、尿道を広げます。「5α還元酵素阻害剤」は肥大の原因となる男性ホルモンを阻害することで前立腺を縮小させます。「PDE5阻害薬」は尿道の筋肉を緩めることで尿道を確保します。

今回は薬を使った前立腺肥大症の治療について横須賀共済病院 泌尿器科部長 小林一樹先生にお話を伺いました。

薬

前立腺肥大症の治療には「薬物治療」と「手術治療」があります。ここではまず比較的症状の軽い患者さんが選択する薬物治療についてご説明します。

手術治療については記事5『前立腺肥大症の手術治療』を御覧ください。

前立腺肥大症には2017年現在3つの治療薬があります。

  • α1ブロッカー
  • 5α還元酵素阻害剤
  • PDE5阻害薬

α1ブロッカーは交感神経に関与する「α1受容体」を阻害することによって、肥大した前立腺を縮小させ、尿道を広げる薬です。2017年現在、日本には4〜5種類のα1ブロッカーの治療薬があり、前立腺肥大症の第一選択薬として使用されています。

α1ブロッカーにはめまいや血圧低下、肝機能障害など、いくつかの副作用が考えられます。

5α還元酵素阻害剤は男性ホルモンをブロックし、肥大した前立腺を小さくする治療薬です。α1ブロッカーのみでは症状が改善しない患者さんに追加して処方することがあります。

5α還元酵素阻害剤の服用には2つの注意点があります。1つめは副作用です。5α還元酵素阻害剤は男性ホルモンをブロックしてしまうため、活力がなくなり、骨粗しょう症を発症するリスクが高くなるなど男性の更年期障害が起こることがあります。また勃起不全、性欲減少などの生殖系の副作用が出現することがあります。2つめは前立腺がんのスクリーニング検査であるPSA検査の数値に影響を与えます。5α還元酵素阻害剤は服用するとPSA値を低下させるため、前立腺がんの発見が遅れる可能性がります。

PDE5阻害薬は尿道の筋肉を緩め、尿の通りを改善させる治療薬です。もともとはEDの治療薬として使用されていたものが前立腺肥大症の治療薬として保険適用で使われるようになりました。血流改善の効果もあり最近使用が増えてきています。

PDE5阻害薬の副作用には消化不良や頭痛、ほてりなどが挙げられます。

患者

前立腺肥大症の薬物治療は薬の種類が増えたことで大きく変化してきました。2017年現在、前立腺肥大症の患者さんの多くが、まずは薬物治療を選択します。なぜなら薬物治療は、手術治療を比較して侵襲が少なく、入院も不要だからです。

しかし薬物治療には限界があることも事実です。前立腺肥大症の治療薬は必ずしも尿路症状を和らげるとは限りません。また薬の服用を中止した段階で効果が切れてしまいます。そのため最初は薬物治療を選択した患者さんでも、症状がよくならない場合や、肥大が悪化してきてしまった場合には手術治療を検討します。

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    小林 一樹 先生

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