インタビュー

内視鏡を用いた炎症性腸疾患・逆流性食道炎の診断

内視鏡を用いた炎症性腸疾患・逆流性食道炎の診断
広島大学病院内視鏡診療科 教授 / 広島大学大学院医歯薬保健学研究科内視鏡医学 教授 田中 信治 先生

広島大学病院内視鏡診療科 教授 / 広島大学大学院医歯薬保健学研究科内視鏡医学 教授

田中 信治 先生

記事1『消化管内視鏡とは—その種類とメリット』では、診断を中心に内視鏡検査の種類やメリットをお話しました。本記事では、内視鏡を用いた炎症性腸疾患・逆流性食道炎の診断についてご説明します。広島大学病院の田中信治先生にお話を伺いました。

炎症性腸疾患の診断

炎症性腸疾患:慢性に経過する腸炎

炎症性腸疾患とは、未だ原因が明らかとなっていない慢性に経過する腸炎で、潰瘍性大腸炎クローン病の総称です。潰瘍性大腸炎はおもに大腸に、クローン病では口から肛門までのあらゆる消化管に炎症を生じます。

潰瘍性大腸炎では血便や下痢、クローン病では下痢や腹痛を訴える方が多く、これらの症状が長期に持続、もしくは反復するケースでは炎症性腸疾患の可能性があり、検査の対象となります。いずれの診断にも画像診断は不可欠であり、その主役は内視鏡検査となります。

正常大腸の内視鏡像
正常大腸の内視鏡像
潰瘍性大腸炎(びまん性のびらん,発赤,浮腫)
潰瘍性大腸炎(びまん性のびらん,発赤,浮腫)
クローン病(縦走潰瘍)の内視鏡像
クローン病(縦走潰瘍)の内視鏡像

内視鏡検査でみられる特徴的な所見

  1. 潰瘍性大腸炎:直腸から連続する途切れのない大腸炎
  2. クローン病:潰瘍が縦方向に伸びる縦走潰瘍や、平坦な石を敷き詰めたように見える敷石状外観などが小腸と大腸の広範囲に生じる

発症部位による検査方法の違い

食道・胃・十二指腸は上部消化管内視鏡検査、大腸と小腸(回腸)終末部は大腸内視鏡検査、そして小腸はカプセル内視鏡とダブルバルーン内視鏡検査にて検索を行います。また、内視鏡検査時に消化管粘膜から組織を採取する生検検査も、これらの疾患の診断では重要となります。先ほど、潰瘍性大腸炎はおもに大腸に炎症が生じると述べましたが、なかには大腸以外の消化管にも炎症を生じる例外的なケースや、クローン病との鑑別が難しいケースもあり、潰瘍性大腸炎を疑う患者さんであっても、上部消化管内視鏡検査や小腸カプセル内視鏡検査を提案することがあります。またバリウムを使用した造影検査も診断に威力を発揮します。これらの検査の結果を総合し、炎症性腸疾患の診断を行います。

逆流性食道炎の診断

逆流性食道炎とは、胃酸や胆汁などの消化液が食道に逆流することで食道粘膜に傷害を起こした状態をさします。症状は、胸焼け、呑酸(どんさん:胃液が口内に逆流する)、胸痛、喉の違和感、咳などです。逆流性食道炎の診断は、まず問診により自覚症状を把握し、Fスケールと呼ばれる専用の問診票を用います。問診により逆流性食道炎が強く疑われるときには内視鏡検査で食道粘膜の評価を行い、診断を確定します。費用は、胃・十二指腸ファイバースコピーが11,400円です。

逆流性食道炎の内視鏡像
逆流性食道炎の内視鏡像