【疾患啓発(スポンサード)】

クリップする
URLを入力して
記事をクリップしましょう
指定された URL のページが見つかりません
S664x430 f7e382e4 00db 4fa4 95e4 59485f74b519
食道がんの化学療法。ステージ別にみる化学療法の流れ
食道がんの治療法は、がんのステージ、患者さんの置かれている状況や希望によって異なります。そして、がんのステージがⅡ~Ⅲの患者さんは、化学療法を実施してからの手術が標準治療として推奨されています。...
クリップに失敗しました
クリップ とは
記事にコメントをつけて保存することが出来ます。検索機能であとで検索しやすいキーワードをつけたり、読み返し用のメモを入れておくと便利です。
また、記事を読んで疑問に思ったこと、わからないことなどをコメントに書き、「医療チームのコメントを許可する」を選んで頂いた場合は、医師や看護師が解説をメールにてお送りする場合があります。
※ クリップ内容は外部に公開されません

食道がんの化学療法。ステージ別にみる化学療法の流れ

公開日 2017 年 12 月 26 日 | 更新日 2018 年 09 月 19 日

食道がんの化学療法。ステージ別にみる化学療法の流れ
曽我部 進 先生

KKR札幌医療センター 消化器・腫瘍内科医長、外来化学療法室長

曽我部 進 先生

目次

食道がんの治療法は、がんのステージ、患者さんの置かれている状況や希望によって異なります。そして、がんのステージがⅡ~Ⅲの患者さんは、化学療法を実施してからの手術が標準治療として推奨されています。その他には、化学放射線療法や延命のための化学療法などの治療法があります。

今回は記事2『食道がんに適応される化学放射線療法。その特徴とは』に引き続き、KKR札幌医療センター 消化器・腫瘍内科医長であり外来化学療法室長も務めている曽我部進先生に、食道がんの化学療法についてお話をうかがいました。

食道がんのステージとは 0~Ⅳに分類

食道がんのステージはがんの深さとリンパ節などへの転移の有無により、以下の0期からⅣ期に分類されています。

(がん取り扱い規約第11版より。厳密にはⅡ期の一部はⅢ期、Ⅲ期の一部はⅡ期になります)

0期

がんが食道の粘膜にあり粘膜下層に達していない状態が0期です。リンパ節や他の臓器への転移もありません。

Ⅰ期

がんが食道の粘膜下層にまで達していますが、リンパ節への転移がない場合がⅠ期です。

Ⅱ期

がんが筋層を超えているか、食道の外側にわずかに達しています。そして、食道近くのリンパ節だけに転移がある状態がⅡ期です。

Ⅲ期

がんが食道の外側(外膜)や食道近くの臓器へ達しています。そして、食道からやや離れたリンパ節にも転移がみられる状態がⅢ期です。

Ⅳ期

がんが食道の近くの臓器に明らかに及んでいるか、食道から遠く離れたリンパ節もしくは他の臓器にも転移がみられる状態がⅣ期です。

食道がんの治療法 ステージ別の種類

食道がんの治療法には、

  • 放射線療法
  • 化学療法
  • 化学放射線療法
  • 手術療法
  • 内視鏡治療

があります。がんのステージや患者さんを取り巻く環境を考慮しながら、治療方法を選択します。

ステージ0やⅠ 内視鏡治療、手術療法、または化学放射線療法

ステージ0では内視鏡を使い食道の内側からがんを切除するという、低侵襲な内視鏡治療を行うことが可能です。ステージⅠの浅い食道がんの場合、手術または化学放射線療法が標準治療です。化学療法が困難な場合は放射線療法のみで治療する場合もあります。

ステージⅡ~Ⅲ 手術療法

ステージⅡやⅢの食道がんでは、手術療法を行います。また手術と併用して化学療法を行うこともあります。切除可能なステージⅡ、Ⅲの食道がんに対して、手術単独群と手術後の術後補助化学療法(シスプラチン+フルオロウラシル)を行った群を比較したJCOG9204試験(J Clin Oncol. 2003 Dec 15;21(24):4592-6.)があります。主要評価項目である5年無再発生存率では手術単独群が約45%に対し、術後補助化学療法群が約55%と有意な改善を認め、術後補助化学療法の有効性が示されました。つまり手術の後に化学療法を実施することで、予後が良好であることがわかっているのです。

その後の試験により、2017年現在は手術の前に化学療法を行う術前補助化学療法が標準治療となっています。

ステージⅣ 延命・症状緩和の治療

食道から遠く離れた組織にもがんが転移しているステージⅣの場合、治療によりがんを根治することは難しいと考えられています。そのため、延命・症状緩和のための化学療法や、場合によっては放射線療法を行います。

標準治療である術前補助化学療法の流れとは?

病院のベッドで点滴を受けている患者さん

食道がんの手術では、早急に手術が必要な患者さんを除き、手術前に抗がん剤による治療を2回行うことが推奨されています。また、手術前に抗がん剤治療を行えなかった患者さんの場合、再発する可能性を下げるために手術の後に抗がん剤治療を実施するケースもあります。

使用される抗がん剤は、フルオロウラシルという薬とシスプラチンという薬の2種類です。まず、基本的には、フルオロウラシルを5日間、シスプラチンを1日間点滴により投与します。この際、点滴の量が多いため1週間ほど入院が必要です。1回目の投与が終了した時点でがんの縮小がみられなかった場合は、すぐに手術を行います。縮小がみられた場合は、3~4週間ほどの期間を空け再度同様の投与を実施します。そしてそのおおよそ4週間後に手術を行います。

化学療法の間にCT撮影と胃カメラを実施する重要性

食道がんの術前抗がん剤投与の1回目と2回目の間には、上でも述べたようにがんの縮小を確認するため、CTの撮影と胃カメラを行います。もし腫瘍が小さくなっていなかった場合は、抗がん剤投与の効果はないと判断し、2回目の投与を行わずに手術に入ります。

またまれですが、CT撮影を実施したことにより以前は存在しなかったがんの遠隔転移がみつかるケースもあります。がんは転移してから画像で発見されるまで少なくとも数か月単位の時間がかかります。そのためこのような場合、仮に最初から手術をしていたとしても術後まもなく転移が明らかになります。食道がんの手術は、患者さんの体にとって負担がとても大きな手術です。転移があるステージⅣに対する手術は、根治させるための手術とはなりません。手術の前に転移が明らかになることで、根治にならず体への負担が大きいだけの手術を避けられるということは非常に大きなメリットなのです。

手術前の化学療法と術後の化学療法はどちらが効果的?

当初は手術のみが標準治療でしたが、その後、手術後に化学療法を追加(術後補助化学療法)したほうが良い成績であることが示されました。さらにその後、補助化学療法が術前と術後のどちらに適しているかを検討したJCOG9907試験(Ann Surg Oncol. 2012 Jan;19(1):68-74.)が行われました。主要評価項目である5年生存率で、術後群が約43%であったのに対し、術前群が約55%と、術前補助化学療法群で有意に良好な結果が認められました。そのため術後補助化学療法ではなく、手術前に化学療法を行うこと(術前補助化学療法)が現在の標準治療となっています。

食道がんの化学療法を行う際の副作用

食道がんの治療に使用するシスプラチンという薬は、とくに強い吐き気や食欲不振、だるさが生じます。また、シスプラチンは腎臓に対してダメージを与える作用を持っています。そのためもともと腎臓の働きが良くない患者さんには、慎重に投与していく必要があります。またこの治療は多量の点滴を投与するため、心臓に負担がかかることも理解しておくことが大切です。シスプラチンと一緒に用いるフルオロウラシルという薬は、下痢や口腔粘膜炎(口内炎)を生じることがあります。

記事4『胃がんの治療方法。抗がん剤治療や化学療法の特徴』では、食道がんのなかでも胃がんの化学療法について詳しく解説します。
 

北海道大学を卒業後複数の医療機関での経験を経て、現在はKKR札幌医療センター 消化器・腫瘍内科医長及び外来化学療法室長として勤務している。患者さんの話に耳を傾け、1人1人に適した治療を行うことを日々心掛けている。

関連記事