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胃がんの治療方法。抗がん剤治療や化学療法の特徴
胃がんに対する化学療法には、術後の抗がん剤治療や、根治が難しい患者さんへの延命・症状緩和治療といった種類があります。記事3『食道がんの化学療法 術前化学療法の流れと効果とは?』に引き続き、胃がん...
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胃がんの治療方法。抗がん剤治療や化学療法の特徴

公開日 2017 年 12 月 27 日 | 更新日 2018 年 01 月 09 日

胃がんの治療方法。抗がん剤治療や化学療法の特徴
曽我部 進 先生

KKR札幌医療センター 消化器・腫瘍内科医長、外来化学療法室長

曽我部 進 先生

目次

胃がんに対する化学療法には、術後の抗がん剤治療や、根治が難しい患者さんへの延命・症状緩和治療といった種類があります。

記事3『食道がんの化学療法 術前化学療法の流れと効果とは?』に引き続き、胃がんの化学療法や、注目される免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブについて、KKR札幌医療センター 消化器・腫瘍内科医長であり外来化学療法室長も務めている曽我部進先生にお話をうかがいました。

胃がんの治療法にはさまざまな種類がある

胃がんの治療法には、化学療法、手術療法、内視鏡治療があります。食道がんと同様に、ステージや患者さんの置かれている状況を考慮しながら、どういった方法で治療を行うか決定します。

胃がんの内視鏡治療

ステージⅠ期の胃の粘膜内にとどまっている胃がんの場合、内視鏡治療で切除することが可能です。

胃がんの手術療法と術後化学療法

内視鏡的治療の適応にならないステージIおよび、がんが胃から遠く離れた場所へ転移していないステージII~Ⅲ期までの患者さんは、手術で腫瘍を摘出することが標準治療となっています。そして、術後の病理結果を踏まえ、手術の後にTS-1という抗がん剤を1年間服用すること(術後補助化学療法)が推奨されています。最近、TS-1にドセタキセルという抗がん剤を加えることでさらに再発する可能性を下げることができるとの報告がなされ、今後、臨床でも用いられることが予想されます。また、オキサリプラチンという抗がん剤を用いる治療も研究されています。

胃がんの延命・症状緩和の治療

がんの遠隔転移がみられるⅣ期の胃がんの場合、手術で腫瘍を摘出することは難しく、根治は難しいと考えられています。そのため、延命・症状緩和のための化学療法を行います。

胃がんの術前抗がん剤治療の臨床試験

胃がんがリンパ節に大きく転移している場合や、胃の隣にある膵臓などのほかの臓器にがんが食い込んでいる場合などは通常手術を行うことが困難です。しかし手術の前に抗がん剤を投与し、がんを小さくして手術を可能にするという臨床試験も行われています。

胃がんの延命・症状緩和の化学療法

胃がんの延命・症状緩和のための化学療法は、下の表のようにHER2陰性胃がんとHER2陽性胃がんに分類され、それぞれ一次治療、二次治療、三次治療の順に行われていきます。HER2とは、胃がん細胞に発現している分子でHER2を持っていない胃がんをHER2陰性胃がん、HER2を持っている胃がんをHER2陽性胃がんと分けます。

胃がん

上の図のように、最初の1次治療では、TS-1やカペシタビンといった5-FU系の薬剤にシスプラチンもしくはオキサリプラチンといった薬を併用します。一次治療の効果がなくなった場合、二次治療へと移り、パクリタキセルにラムシルマブという薬剤を加えた治療を行います。そして、二次治療の効果もみられなくなったときは、三次治療へと移行し、イリノテカンや後述のニボルマブなどの薬剤を使用します。基本的には一度無効となった薬剤は再度使用することはありません。

免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブとは

近年、既存の抗がん剤が無効となった患者さんで、ニボルマブという免疫チェックポイント阻害薬を使用することで延命効果が得られると示されました。ニボルマブは、2017年9月に保険適用となり、日本でも使用可能となりました。前述の胃がん治療ガイドラインにもニボルマブが記載されることになると思われます。

現時点ではニボルマブは、二次治療のパクリタキセルとラムシルマブ併用療法が無効になった後の三次治療で用いられることが多いと思われます。

ニボルマブは長期的な効果を発揮

免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブはすでに広く使われている肺がんにおいて、一部の患者さんで長期にがんが抑えられ長期の生存が得られる場合があるとされています。胃がんにおいても、現在三次治療として使用されているイリノテカンなどの殺細胞性抗がん剤と比較すると、一部の患者さんで長期的にがん腫瘍の増殖を抑えることが期待できるかもしれません。

ニボルマブの作用機序とは?

通常体のなかにはリンパ球などの免疫細胞があり、体内で異物と判断したものを攻撃する働きがあります。しかしがん細胞の一部はPD-L1という分子を出しているために、免疫細胞から攻撃されない特性を持っています。

がん細胞の持つPD-L1は免疫細胞が発しているPD-1と結合する性質を持ちます。そのため、免疫細胞はがん細胞を異物ではなく仲間だと判断します。その結果、がん細胞は免疫細胞から攻撃されなくなり、がんが進行していくのです。

そこにPD-L1とPD1を離す効果のあるニボルマブを投与することで、PD-L1の働きを抑制し、がん細胞に対して免疫細胞が攻撃をするように誘導するのです。

二ボルマブ

 

ニボルマブの副作用とは?

ニボルマブを使用するとがん細胞と戦っている免疫細胞だけでなく、体内のあらゆる自己免疫機能があちこちで活動を始めます。その影響によりさまざまな副作用が発生します。そのような副作用を、自己免疫疾患関連副作用(irAE)といいます。

もっとも懸念されるものは自己免疫に伴う肺炎です。また、膵臓の細胞が攻撃されることによって膵臓の機能が低下し、インスリンの分泌が少なくなり、その結果、劇症1型糖尿病を発症する場合もあります。その他、皮膚炎や腸炎、甲状腺機能や下垂体機能の異常を認めることもあります。

このような副作用は広く知られているので、副作用に注意しつつ生じた場合にも早急に対応することにより重症化を防ぐことが重要です。

記事5『消化器がんの延命・症状緩和のための化学療法 患者さんが注意すべき点とは?』では、根治不能な消化器がんと診断された場合に患者さんが心得るべきことについてご説明します。

 

北海道大学を卒業後複数の医療機関での経験を経て、現在はKKR札幌医療センター 消化器・腫瘍内科医長及び外来化学療法室長として勤務している。患者さんの話に耳を傾け、1人1人に適した治療を行うことを日々心掛けている。

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