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消化器がんの化学療法。がんの遺伝子解析とは?

消化器がんの化学療法。がんの遺伝子解析とは?
曽我部 進 先生

KKR札幌医療センター 消化器・腫瘍内科医長、外来化学療法室長

曽我部 進 先生

目次
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消化器がんの化学療法として使用される薬の研究は日々盛んに行われています。また、がんの遺伝子解析を行い、変異のある遺伝子ごとに効果的な薬を投与するという研究も進められています。

記事5『消化器がんの治療方法。症状緩和の化学療法とそのメリット』に引き続き、北海道大学で行われている臨床試験や、がんの遺伝子解析を行うSCRUM-JAPAN(GI-screen)について、KKR札幌医療センター 消化器・腫瘍内科医長であり外来化学療法室長も務めている曽我部進先生にお話をうかがいました。

私は北海道大学の消化器癌化学療法グループ(HGCSG)の一員でもあります。我々のグループでは、消化器がんである食道がん胃がん大腸がん、膵がん、GIST*などに対する新しい治療の開発(臨床試験)を行っています。また、北海道大学病院では、消化器がんに対する新薬の治験も多数実施しています。

GIST…消化管の壁にできるがん。通常の消化器がんは粘膜から発生するが、GISTは粘膜の下にある筋肉の層から発生するという特徴がある。

当施設の患者さんのなかでも、患者さんの条件が合致しご希望があれば、北海道大学で行われている新しい薬の治験をご紹介し参加してもらっています。

治験に参加するためにはいくつかの条件があります。治験に参加された場合は治療薬の薬剤費の負担が軽減されるといったことに加え、その薬が有効であれば患者さんにとっての利益にもなります。

北海道大学消化器癌化学療法グループ

遺伝子

国立がん研究センターを中心にSCRUM-JAPAN(GI-screen)という、がんの遺伝子解析の研究が進められています。がんの遺伝子解析とは、がんの組織を採りその組織から変異のある遺伝子を調べるというものです。近年は、がんと関係しているとされる遺伝子の変異があることで、がんの発症につながっているということがわかってきています。そのためSCRUM-JAPAN(GI-screen)では、消化器がん全体の遺伝子を調査しており、がんの原因遺伝子の変異を抑える薬を使用することで、がんを抑制する効果があるのかという研究にもつなげています。

SCRUM-JAPAN(GI-screen)は、国立がん研究センターが中心となり遺伝子解析を行いながら、地域連携拠点として地域の中核病院と連携しています。たとえば、地域連携拠点の地域の病院は患者さんに同意を得た検体を中核病院へと送り、そこから国立がん研究センターへと届けられます。そして国立がん研究センターで遺伝子解析を行い、その結果が地域の病院へ帰ってくるという体制になっています。

北海道では北海道大学が地域連携拠点となっており、KKR札幌医療センターもSCRUM-JAPAN(GI-screen)に参加するための準備を整えています。

SCRUM-JAPAN(GI-screen)の目的は2つあります。1つは、新薬の開発スピードを上げることです。たとえば消化器がんに対して使われる一部の薬の効果は、ある特定の遺伝子が変異しているのかどうかで変わることがわかっています。そのためSCRUM-JAPAN(GI-screen)で患者さんの遺伝子変異を調べ、現在治験が行われている薬に関連する遺伝子変異と合致している場合は、患者さんに治験への参加をおすすめします。患者さんが治験に協力してくれることで、新薬の開発を早く進めることが可能です。効果が認められれば、参加された患者さんのメリットにもなります。

もう1つの目的は、遺伝子変異ごとの患者さんの経過をデータに残すことです。「この種類の遺伝子変異を持った患者さんはこのような経過をたどった」という情報を残すことで、同じ遺伝子変異を持った患者さんの今後の治療に役立てることができるのです。

SCRUM-JAPAN(GI-screen)

曽我部進先生

2017年現在は、がんが発生する臓器によって使用する薬を決めることが一般的です。しかし、がんの遺伝子解析が今後発展することによって、臓器に関係なく遺伝子変異の種類によって投与する薬を決めるという流れに変化していくことが考えられます。

実際にアメリカでは、ある種類の遺伝子に変異がある患者さんには、がんの種類に関係なくニボルマブとペムブロリズマブの使用が推奨されています(本邦でもおそらく同様に使用可能となることが予想されます)。がんの遺伝子解析は今後のがん治療に欠かせない検査になっていくことが予想されます。

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