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人工膝関節置換術とは?種類やメリット・デメリットを解説
 人間の膝は加齢とともに表面の軟骨が削れ、その周囲の骨は弱くなっていきます。そのうえ徐々に、膝の関節全体も変形し痛みが出現する病気を変形性膝関節症といいます。具体的には40代から50代あたりから...
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人工膝関節置換術とは?種類やメリット・デメリットを解説

公開日 2018 年 02 月 07 日 | 更新日 2018 年 02 月 07 日

人工膝関節置換術とは?種類やメリット・デメリットを解説
山下 博樹 先生

社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス 座間総合病院 人工関節・リウマチセンター 医長

山下 博樹 先生

目次

 

人間の膝は加齢とともに表面の軟骨が削れ、その周囲の骨は弱くなっていきます。そのうえ徐々に、膝の関節全体も変形し痛みが出現する病気を変形性膝関節症といいます。具体的には40代から50代あたりから軟骨の変化が起こりはじめ、60代から70代くらいになると変形が進行し、痛みがあらわれます。その結果、階段の昇り降りや長時間の歩行、今までできていたスポーツができなくなるなどといった障害が発生します。

今回は、変形性膝関節症や関節リウマチによる膝の変形に対して実施されている治療法「人工膝関節置換術」の種類やメリット・デメリットについて、社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス 座間総合病院 人工関節・リウマチセンター医長の山下博樹先生にお話をうかがいました。

人工膝関節置換術とは?

人工膝関節置換術とは、変形した膝の表面を新しいインプラント(部品)に置き換える治療法です。日本人工関節学会の人工関節登録調査*のデータによると、2016年の1年間、日本で人工膝関節置換術を受けた患者さんは約6万8千人となっています。しかし、この数字は登録している施設だけの数であるため、実際に人工膝関節置換術を受けている患者さんは8万から9万人に及ぶと予想されます。また高齢化が進むにつれて、人工膝関節置換術を受ける患者さんは増加傾向にあるといわれています。

人工関節登録調査…日本人工関節登録制度に登録している施設が、どのような疾患に対して人工関節が施行されているか、どのような人工関節が施行されているか、人工関節の術後成績や長期成績、合併症などを調査するもの。

変形した膝に対して実施されている手術の種類 

変形した膝に対して行われる外科的治療は、人工膝関節置換術以外にも関節鏡や骨切り術といった種類が存在します。

関節鏡

膝関節のなかに内視鏡を入れ、関節内の掃除をするようなイメージの治療法です。痛みのもととなる膝関節の軟骨や骨の変形により発生した骨のとげを削ります。この治療方法は比較的膝の変形が少ない方が対象となります。体への負担が少ないというメリットはありますが、長期的な効果は望めないというデメリットもあります。

骨切り術

膝関節の変形が進むと、痛みだけでなくO脚など外見的な症状があらわれることもあります。骨切り術ではそのような症状に対し骨を切って矯正し、脚(あし)全体の変形をまっすぐに治すことができます。この治療方法は年齢が比較的若く、膝の変形が強い方が対象となります。しかし関節そのものを治すわけではないため、関節リウマチの患者さんは適応になりません。

骨切り術の場合、人工関節では禁止されているスポーツ(飛んだり・跳ねたりという動きが必要なもの)を術後に行うこともでき、これは活動性の高い方にとって大きなメリットであるといえます。しかし、膝に痛みが残ったり、日常生活までの復帰に時間がかかったりするデメリットがあります。

人工膝関節置換術の適応となる患者さんとは 

杖を突きながら歩いている高齢者

高齢で膝の変形が強い方

人工膝関節置換術の適応となる患者さんは、膝の変形が比較的強い方です。具体的には薬物療法やリハビリといった保存療法を3か月から6か月ほど実施しても膝の痛みが軽減されず、日常生活に支障をきたしている方です。また飛んだり跳ねたりするような激しい運動や、コンタクトスポーツ(格闘技やラグビーなど)を行わない患者さんが対象です。膝の変形のほとんどが加齢によるものであるため、70代以降の方が中心となっています。

関節リウマチの患者さんも対象

関節リウマチ*とは、関節の滑膜炎(かつまくえん)*を発症する疾患です。進行すると骨や軟骨が壊され、膝の変形へとつながります。人工膝関節置換術はこのような関節リウマチの患者さんにも実施されています。

関節リウマチ…免疫異常の疾患の一種であり、自身の関節(滑膜)を細菌やウイルスなどのように誤認識し攻撃することで関節を変形させる。

滑膜炎…滑膜という関節の内側にある膜に炎症が生じること。

人工膝関節置換術の種類

人工膝関節置換術では、大腿脛骨関節(大腿骨と脛骨の関節)や膝蓋大腿関節(しつがいだいたいかんせつ:膝蓋骨と大腿骨の関節)をインプラントに置き換えます。その術式として代表的なものは以下の2種類です。

  • 人工膝関節片側置換術(UKA)
  • 人工膝関節全置換術(TKA)

2つの術式のうちどちらを選択するかの基準は、主に関節の中心部に位置する前十字靭帯*が機能しているかどうかで判断されます。また最近では、膝蓋大腿関節を入れ替える膝蓋大腿関節置換術(PFA)も行われています。

前十字靭帯…大腿骨と脛骨を結ぶ靱帯

前十字靭帯 イラスト

人工膝関節片側置換術(UKA)

膝が変形した患者さんの多くは、体重のかかった膝の内側だけがすり減る内側型というタイプです。内側型で膝の変形が初期段階では、前十字靭帯のすり切れは少なく、しっかりと機能しており、膝関節の可動域も良好な状態です。UKAはそのような前十字靭帯が残って動いている患者さんに対して、膝関節の半分だけをインプラントに置き換えるという種類の術式です。

人工膝関節 イラスト

人工膝関節全置換術(TKA)

膝の変形が進むにつれ、前十字靭帯のすり切れは強くなりほとんど機能しなくなってしまいます。また、膝関節の可動域も悪くなっていきます。そういった場合は、関節全域(大腿脛骨関節、膝蓋大腿関節)をインプラントに置き換えるTKAの適応となります。TKAのインプラントにはPS型とCR型という2種類の形があります。

PS型  

PS型

PS型は中心に突き出ている角が後十字靭帯の役割を果たし、膝関節の動きを再現します。PS型を入れる場合は、前十字靭帯と後十字靭帯(前十字靭帯の後ろに存在する靱帯)の両方を切除し手術を行います。

CR型

CR型

CR型を入れる場合は、前十字靭帯だけを切除し、後十字靭帯は温存します。CR型は後十字靭帯を残すためPS型と比較し、よりスムーズな動きが可能となります。座間総合病院では、より生理的な膝関節機能の再現を目指し、ほとんどの症例で、このCR型の人工関節を用いて手術を行っています。

膝蓋大腿関節置換術(PFA)

近年では大腿脛骨関節ではなく、もう1つの膝関節である膝蓋大腿関節のみを置き換える、膝蓋大腿関節置換術(PFA)も実施され始めています。膝蓋大腿関節とは、膝蓋骨(膝の皿)と大腿骨の関節です。

PFA イラスト

以前までは膝蓋大腿関節だけがすり減ってしまった患者さんに対する置換術は行われておらず、保存療法しか治療方法はありませんでした。しかし、最近では膝蓋大腿関節置換術(PFA)が開発されたことで、より多くの患者さんが痛みや歩行障害を解消することが可能となっています。

人工膝関節置換術

人工膝関節置換術のメリット 膝の痛みが緩和される

人工膝関節置換術の目的は、膝の痛みをとることです。人工膝関節置換術の手術を受ける患者さんの多くは、膝の痛みによって日常生活に支障が出てしまった方々です。たとえば加齢により、登れていた階段が登れなくなったり、今までより歩けなくなってしまった方やスポーツや旅行が楽しみだったのに膝が痛むため参加できなくなってしまった方に膝関節置換術を実施することで膝の痛みを緩和することができます。その結果、活動性が上がり、今まで通りの生活を楽しむことができるという点が、人工膝関節置換術の最大のメリットです。

人工膝関節置換術の流れ 術前に必要な検査とは?

医師と会話をしている高齢者

人工膝関節置換術の実施が決まってから実際に手術を実施するまでは、約1か月から2か月ほどの時間があります。その期間にはまず、手術のメリットとデメリットについて患者さんやご家族に再度しっかりとした説明を行います。その後、術前検診やほかの疾患を抱えていらっしゃる場合には疾患の治療などを行い、手術の準備をしていただきます。

全身の術前検診 既往歴も細かく聞き取る

手術の1か月ほど前になると、採血や心電図、呼吸機能検査、胸部レントゲン、下肢の血流、血栓(血液のかたまり)チェックのエコー検査、鼻腔の細菌検査など全身に関する一通りの検査を行います。また多くのご高齢の患者さんは内科的な慢性疾患を持っているため、既往歴(過去の病歴)も必ずお聞きし、人工膝関節置換術を実施して問題がない状態かどうかを術前検査の結果をふまえて総合的に判断します。糖尿病の血糖コントロールが悪かったり、心機能状態が低下しているような場合には、内科的な治療を優先していただき、手術を延期するケースもあります。

座間総合病院では、既往歴によって他の診療科で再度精密な検査や診察を受けていただき、体の状態を確認することもあります。病院内のさまざまな診療科と連携しながら、患者さんが安心して人工膝関節置換術後を受けていただけるような体制を整えています。

金属アレルギーをお持ちの方への対応

人工膝関節にはさまざまな金属が含まれています。そのため時計やピアスといったアクセサリー類でかぶれた経験をお持ちの患者さんは、座間総合病院内の皮膚科で金属アレルギーのパッチテストを受けていただきます。そして、実際にどのような種類の金属アレルギーを持っているのかを調べ、該当する金属が座間総合病院で使用している人工膝関節に含まれているかどうかを確認します。含まれている場合はセラミックを使用するなど、アレルギーが出ないように対策を行います。

膝の症状だけではなく、患者さんの全体像をみる

私は外来の際、患者さんの既往歴や膝の症状などだけではなく、さまざまなお話しをするように心がけています。たとえば、一人暮らしなのか誰かと同居しているのか、趣味は何か、手術をして膝の痛みが取れたらどんなことをしたいのかなど、患者さんの生活状況や今後の希望などを聞いています。

なぜそのような質問をするかというと、患者さんの心理状態と痛みは密接に関わっているからです。天気が晴れていると気分が明るくなり、雨が降っていると気持ちが沈む方がいらっしゃるのと同じことで、何かと不安なことが多い独り暮らしのご高齢の患者さんは、少しの膝の変形でも痛みを強く感じてしまうことがあります。そういった気持ちのまま人工膝関節の手術を行ったとしても、患者さんの不安は解消されていないため膝の痛みが残ってしまうケースもあるのです。

痛みが発生しているのは膝だとしても、膝だけをみるのではなく患者さんの生活環境や趣味などを聞き出し、世間話を交えながら心理状況も確認します。そして、不安や悩みがあれば声掛けなどをすることで緩和させ、患者さんの気持ちの面をサポートしていくことも重要な治療法だと考えています。

人工膝関節置換術の入院期間はどのくらい?

病院のベッドに横になっている高齢者

退院の時期はリハビリ中の患者さんの目標にもなります。ですから最初に、人工膝関節置換術での入院期間は約3週間であるということを患者さんにお伝えしています。座間総合病院では手術の前日に入院をし、術後の3週間はリハビリを行います。術後の回復が早い患者さんは2週間ほどで退院するケースもありますが、大体の方が3週間程度で杖を使いながら歩くことができるようになり、自宅に帰ることが可能です。

人工膝関節置換術後の症状 

膝の腫れと痛みが生じる

膝の関節は、人間の体のなかで最も大きな関節だといわれています。しかし、関節の周りには関節を保護する筋肉はなく、周囲にあるものは筋肉の延長線上にある腱(けん)だけです。そのため人工膝関節置換術後しばらくは患部が大きく腫れ、関節の袋のなかに炎症の物質が溜まり痛みも発生します。

術後の痛みを多方面よりコントロールする

以前までは、人工膝関節置換術後の痛みや腫れに対しての処置はあまり積極的に行われていませんでした。しかし現在は患者さんの苦痛を取り除き、スムーズにリハビリを実施するために、座間総合病院でも多方面から痛みをコントロールし、術後の痛みゼロを目標に痛みの管理を行っています。

たとえば、術中の全身麻酔だけではなく、硬膜外麻酔という種類の麻酔を手術の2日目まで行い、患者さんの足を術後2日目まで軽い麻酔がかかった状態にすることで痛みを軽減させています。

また手術中に、関節の中に数種類の痛み止めや、炎症止めといった薬物(多剤カクテル療法)を局所注射するということも行っています。さらに、術後から翌日までは定期的に鎮痛剤を点滴で投与し、手術翌日から経口摂取が可能となった際には、効果の異なる鎮痛剤を2種類服用していただき、膝関節の痛みをより軽減させるようにしています。

術後の膝の腫れや痛みはいつまで続くのか

膝関節置換術の術後に発生する腫れや痛みは、退院予定の3週間後の時点では残っている状態です。その後、徐々に緩和されていき、一般的に症状が落ち着くまでは、3か月から6か月の時間を要します。

術後は機能回復のためのリハビリが必要

リハビリを実施している高齢者

人工膝関節置換術の後は、歩行練習や階段の昇り降り、膝の曲げ伸ばしなどのリハビリが必要となります。多くの方が翌日から車いすに乗り、少しずつ無理ない程度のリハビリを開始します。また退院後も外来でのリハビリに通院されるほか、自宅でのリハビリも行います。リハビリの内容は患者さんによって異なり、容態によっては、膝の変形に関係していると思われる腰の変形からリハビリで解決していくこともあります。

人工膝関節置換術後のリハビリについて詳しくは、記事2『人工膝関節置換術のリハビリ 方法や注意点とは』をご参照ください。

人工膝関節置換術の合併症はあるのか? 

細菌

人工膝関節置換術のデメリットとしては、上記で述べた術後の痛みや腫れが挙げられます。また感染症にも十分に注意する必要があります。人工膝関節に細菌が付着し関節炎を発症した場合、初期段階であれば薬物治療など内科的な治療で対処することが可能です。しかし発見が遅れると、人工膝関節そのものを取り換えるなど外科的な治療が必要となります。

感染症予防のための歯科受診

座間総合病院では感染症予防のため、術前の歯科検診を必ず受けていただいています。

実は、歯は細菌感染の温床となることがあります。歯の根に膿みが溜まっていると、その細菌が歯を抜いたり歯石を除去したりした拍子に血流にのって全身に流れ、細菌感染を起こすということがわかっています。

特に人工関節は生体からみると異物にあたるため、細菌への防御反応が働きにくい場所となります。そのため流れてきた細菌が人工膝関節に付着し炎症を引き起こす危険性があります。このようなことを防ぐため、術前には本人の自覚のないうちに歯槽膿漏*などになってはいないかを確認し、患者さんへの啓蒙(けいもう)の意味も込めて歯科受診を実施します。この検診で歯槽膿漏が見つかったとしても、絶対に手術が行えないというわけではありません。あまりに酷い症状でなければ手術を行います。そして手術後に歯の治療を再開していただきます。

また術後も口内環境を清潔に保つことで、細菌感染を防ぐことができます。術後も半年に1回など定期的に歯科を受診することが必要です。そして歯を抜いたりした場合や、口腔内の侵襲的な治療を受けた際には、抗生物質を処方してもらうことをお勧めします。

歯槽膿漏…歯周病が重症化した疾患で、歯茎などの歯の周辺の組織が失われる。

皮膚の傷・保湿にも注意

細菌感染は歯からだけではなく、皮膚からの感染も考えられます。たとえば皮膚にできた傷から細菌が侵入して化膿し、人工関節に付着するという可能性も考えられます。特にご高齢の患者さんはこまめにお風呂に入っていても、その後の保湿の習慣がないため乾燥肌の方も少なくありません。乾燥肌はよくみると細かな傷が無数にあり、かゆくなるため自分でも知らないうちに掻きむしってしまうことも多々あります。

手など足から離れた箇所の傷が化膿して、人工関節にとりつくというリスクはほぼありません。しかし足、特に膝周辺の乾燥や傷には注意する必要があります。そのため入院中から患者さんには、お風呂上りに保湿クリームを塗ることを習慣にするよう指導しています。保湿クリームは市販のもので問題ありません。また糖尿病の患者さんは易感染性といい、細菌に対しての抵抗力が弱い状態となっていますので、よりしっかりとした対策をしなくてはなりません。

その他のデメリット 血栓症や人工膝関節の不具合

人工膝関節置換術の感染症以外のデメリット(副作用)としては、主に以下のようなものがあります。

深部静脈血栓症や肺塞栓症

人工膝関節置換術の直後は下肢を術前と同様に動かすことはできません。また手術を受けている患者さんの体は出血に対する自己防御反応として、血液が固まりやすい状態になっています。そのため、手術の最中や後は下肢の血流が滞り下肢の静脈に血栓(血液のかたまり)ができることがあります。この状態を深部静脈血栓症といいます。そして下肢にできた血栓が血液に乗って、肺の血管に詰まった場合は肺塞栓症となります。肺塞栓症は命の危険に関わるようなこともあります。

こういった血栓による合併症を予防するために、座間総合病院では手術前には必ず下肢のエコー検査を実施し、血流の状態を検査します。そして術後は血栓予防のストッキングを履いていただいたり、フットポンプといった下肢の血流を手助けする機器を装着します。また、血栓予防の薬物を服用していただきます。さらに足先をこまめに動かしていただくように指導をしています。

人工膝関節がゆるむなどの不具合

長期的に人工膝関節を使用していると、人工関節の金属部分と骨が接している面にゆるみが生じることがあります。ゆるみがあることで膝に痛みが発生し歩行障害となります。このような人工膝関節の不具合が進行してしまった場合は、人工膝関節を入れ替えるケースもあります。そのため人工膝関節に負担のかかる姿勢や運動(正座や激しいスポーツ)は避けてください。

人工関節周辺骨折

人工膝関節置換術後の膝の痛みが解消されてくると、活動性が増します。そのために転倒し、人工関節付近の骨折や脱臼につながる可能性も考えられます。歩行に自信がなくなってきたら杖を持つことをおすすめします。また体重が増加しすぎないようにコントロールすることや、膝関節付近の筋力を低下させないことも重要です。骨粗鬆症と診断されている方は、内服薬などの治療を継続することも必要です。

神経・血管損傷

非常にまれではありますが、手術中に膝関節の後方の神経や血管が傷つき、神経麻痺や血管損傷を起こす場合があります。

退院後の生活 可能なスポーツや禁止の姿勢は?

登山やゴルフなどのスポーツは可能

人工膝関節置換術の退院後の生活では、無理のない範囲で外出やスポーツを行うことが可能です。患者さんには、飛んだり跳ねたり飛び降りたりする動作や、激しいコンタクトスポーツでなければ問題ないと伝えています。そのため術後は旅行や登山、ゴルフなどを楽しんでいる患者さんがたくさんいらっしゃいます。術後の定期検診は半年~1年おきに行っています。

人工関節の故障につながるため正座は禁忌肢位

多くの人工膝関節の構造は、正座には対応していません。そのため無理に正座をしてしまうと人工膝関節がゆるみ、不具合が生じやすくなります。日常生活では正座ではなく椅子とテーブルの生活を、寝具はベッドを使用することをおすすめしています。

人工膝関節置換術後の日常生活の注意点について詳しくは、記事3『人工膝関節置換術を受けた患者さんが日常生活で気をつけるべき点とは』をご参照ください。

記事2『人工膝関節置換術のリハビリ 方法や注意点とは』では、人工関節置換術後に実施するリハビリについて詳しくご説明します。

 

人工膝関節置換術 (山下 博樹 先生)の連載記事

昭和大学医学部を卒業した後、数々の病院での経験を経て、現在は座間総合病院人工関節・リウマチセンターの医長を務める。「人にやさしく」を信条としており、患者さんに安心してもらえる医療を提供するために日々邁進している。

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