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大腸がんの手術。手術の流れや手術後も注意が必要
大腸がんを根治させるためには「がんの切除」が必要になります。初期の大腸がんでは「内視鏡治療」とよばれる内科的な治療によってがんの切除が行えますが、比較的進行した大腸がんでは「外科療法(手術)」が...
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大腸がんの手術。手術の流れや手術後も注意が必要

公開日 2018 年 01 月 23 日 | 更新日 2018 年 09 月 19 日

大腸がんの手術。手術の流れや手術後も注意が必要
諏訪 宏和 先生

国家公務員共済組合連合会 横須賀共済病院 外科 医長

諏訪 宏和 先生

目次

大腸がんを根治させるためには「がんの切除」が必要になります。

初期の大腸がんでは「内視鏡治療」とよばれる内科的な治療によってがんの切除が行えますが、比較的進行した大腸がんでは「外科療法(手術)」が必要になります。

大腸がんの手術はどのように進められるのでしょうか。本記事では大腸がんの適応や術式、手術時間や起こりうる合併症について、国家公務員共済組合連合会 横須賀共済病院 外科 医長 諏訪宏和先生にお話を伺いました。

大腸がんの手術適応

術式

手術の対象となる「大腸がん」とは?

大腸がんの切除方法には、内科的な「内視鏡治療」と外科的な「手術」の二通りがあります。

大腸がん 手術

早期の大腸がんの場合、大腸がんは手術ではなく「内視鏡治療」によって切除します。

内視鏡治療の適応の原則はこのようになっています。

---

  • リンパ節転移の可能性がほとんどないこと(粘膜内癌,粘膜下層への軽度浸潤癌)
  • 腫瘍が一括切除できる大きさ・部位にあること

---

このような初期の大腸がんには、手術ではなく内視鏡治療が検討されます。

手術を行うことになるのは、これよりも進行し、リンパ節転移の可能性がある、または腫瘍が一括に切除できない可能性がある大腸がんであることが多いです。

 

大腸がんの腹腔鏡手術はこちら

肝転移・肺転移のある患者さんでは手術可能?

大腸がんは肝臓や肺に転移しやすいがんです。

ステージⅣの大腸がんでは肝転移や肺転移をはじめ、腹膜播種(がんが臓器の壁を越えて腹膜に広がること)、脳転移、遠隔リンパ節転移、その他の転移(骨、副腎、脾臓など)のいずれかに転移がみられます。こうした大腸以外の臓器に転移することを「遠隔転移」といいます。

この「遠隔転移」がみられる場合、手術を行うことはできるのでしょうか。

大腸がんは遠隔転移をきたしていても、遠隔転移巣まで切除することで治癒も期待できるがんであり、切除可能であれば積極的に切除術を検討します。

ステージⅣの治療方針としてこのようになっています。

【ステージⅣ大腸がんの治療方針】

がん切除の可否 図

高齢者の場合の手術適応は?

ご高齢の方は、若い方と比べると手術に伴うリスクが高まります。

なぜなら、高齢であると複数の疾患を併発されている、予備能力が低下している、といったことが考えられるためです。そのため、負担の大きい手術が難しくなる場合があります。またご高齢の方が手術後に合併症を起こした場合、若い方が合併症を引き起こすときよりも、危険な状態に陥ってしまう可能性があります。

しかし、近年では手術技術の進歩や、しっかりとした術前ケアを行うことでより安全な手術が可能になってきました。そのため以前よりも高齢の方に対する手術は増えていると考えられます。

大腸がんに限らず、手術を検討する場合には年齢よりも「患者さん個々の状態」を確認することが大切です。比較的若い方であっても複数の疾患を発症している、過去に複数回手術を受けたことがある方では手術のリスクは高まります。一方で、80~90歳の方であっても手術に耐えうる体力がある方の場合には手術を検討することがあります。

手術を検討する際には、「何歳からは手術を受けられなくなる」といった判断ではなく、患者さんそれぞれの状態によって考えてくことが大切です。

切除不能の大腸がんとは?

ステージⅣの大腸がんでは、がんの手術を行わない判断をする場合があります。

進行した大腸がんでは、全身への転移がみられることからがんを切除しても再発リスクが高い、体力が低下していることから手術を行うベネフィット(利益)よりもリスクのほうが大きいといったことが考えられるため、手術は行わず、抗がん剤などの全身化学療法を選択する場合があります。

このようながん切除の限界は「限界切除」とよばれています。この限界切除はどの状態からか、というところは現在も議論が続いている点です。

限界切除の意義については、現在、国立がん研究センター研究開発費(旧がん研究助成金)研究班を中心とする共同研究班「日本臨床腫瘍研究グループ※1」により進められている「JCOG1007※2」という研究が進行しています。

JCOG1007は、治癒切除不能のステージIVの大腸がん患者さんに対して、原発巣切除をおこなう治療の有用性を研究するものです。この結果があきらかになれば、どういった状態の大腸がんまでを切除すべきかについてより明確な知見が得られるようになるでしょう。

こうした議論が続く点であることから、ステージⅣの大腸がんの場合、現状はよく患者さんと話し合ったうえで治療方針を決めていくことが望ましいでしょう。

※1……Japan Clinical Oncology Group(日本臨床腫瘍研究グループ)大腸がんグループ(平成 24 年度厚生労働科学研究費補助金「がん臨床研究事業」:「進行性大腸がんに対する低侵襲治療法の標準的治療法確立に関する研究」班、国立がん研究センター研究開発費 26-A-4:「成人固形がんに対する標準治療確立のための基盤研究」班)

※2……Japan Clinical Oncology Group Study 1007:待機手術が可能な治癒切除不能のステージIVの大腸がん患者さんを対象として、標準治療(である化学療法先行に対する、原発巣切除後に化学療法を行う治療の優越性を、ランダム比較第 III 相試験にて検証する研究(iPACS試験)

大腸がん手術の術式

基本的に大腸がんの手術の範囲は定型化されています。

がんができた部分と、がんの状態によって「どの腸管を切除するか」「どのリンパ節までを郭清(かくせい:リンパ節を切除すること)するか」によって切除する範囲が上図のように決められています。

しかし、直腸がんに関しては、がんが発生した場所によっていくつかの手術方法が検討されます。

直腸がんに対する術式 |近年進歩が進む「直腸がん手術」

直腸は、大腸のなかでも肛門に近い部分です。直腸のなかでも肛門により近い位置にがんが発生した場合、直腸から肛門までを切除して「人工肛門(ストーマ)」を造設する場合があります。

このような人工肛門を造設する手術は「腹会陰式直腸切断術+ストーマ造設術(マイルズ(Miles)手術)」とよばれます。

一方、肛門の筋肉を残すことで、肛門の機能を温存する手術方法もあります。こうした手術は「肛門温存手術(括約筋温存手術)」とよばれます。近年ではこうしたなるべく肛門を温存できる手術が選ばれることが増えてきています。

 

近年注目される「肛門を温存する手術」

さらに肛門を温存する手術には、下記のようにさまざまな方法があります。がんが発生した位置や、がんの深達度などから適切な術式を判断します。

腹会陰式直腸切断術(マイルス手術) ※肛門を残さない手術 

超低位前方切除術

括約筋間直腸切除術(ISR)

近年では、「経肛門的全直腸間膜切除術(TaTME:Transanal total mesorectal excision)」という術式も注目されています。TaTMEとは、腹腔(お腹)側、肛門側それぞれ両方から手術を行う方法です。手術は2チームに分かれて同時に行われ、腹腔側では腹腔鏡手術、そして肛門からは鏡視下手術を行います。

特に、狭骨盤の男性や肥満症例は腹腔鏡下手術では骨盤深部の操作難易度が高くなりますが、経肛門操作を行うことにより適切な剥離層を保つことが容易となります。また、手術時間の短縮が可能となることから、患者さんへの負担はより抑えられると考えられます。

直腸 手術 イラスト

このように直腸の手術のなかでも、かなり低い位置(肛門側)の手術方法が進歩していることで、なるべく肛門を温存できるようになってきました。

 

大腸がんの手術方法

「開腹手術」と「腹腔鏡手術」

大腸がんの手術の方法には大きくふたつあります。

腹部を開いて手術を行う「開腹手術」と、複数の比較的小さい切開創から内視鏡カメラや手術器具を挿入して手術を行う「腹腔鏡手術」です。

従来は開腹手術が一般的でしたが、新たな手術方法として腹腔鏡手術が登場し、1990年代より腹腔鏡手術も手術選択肢として広まってきました。

開腹手術

開腹手術とは、腹部を主に一か所、約15~20cm切開して行う手術方法です。

執刀医は臓器の状態を直接目で確認しながら、手を使って手術を進めていきます。

大きながん腫瘍がある場合や、大掛かりな手術が必要になる場合には開腹手術が選択される場合が多いです。

腹腔鏡手術

小さな切開創を数か所作り、そこから内視鏡や鉗子(かんし:ものをつかんだり動かしたりするために使用される手術器具)を挿入して行う手術方法です。

執刀医は内視鏡によってモニターに映し出された映像を見ながら手術を進めていきます。

開腹手術と腹腔鏡手術については記事3『大腸がんの腹腔鏡手術について。技術が求められる手術方法』をご覧ください。

大腸がんの治療についてはこちら

大腸がんの手術時間

腹腔鏡手術にはどれくらいの時間がかかる?

手術時間を一概に明示することは難しいですが、一般的にいうと、開腹手術よりも腹腔鏡手術のほうがより長時間になると考えられます。

また手術時間は部位によっても異なります。

腹腔鏡手術の場合、結腸がんの手術は3時間以内に終わらせようといわれていることが多いと思います。比較的早い場合であれば、1時間半程度で終えられると考えられます。

一方、直腸がんの手術は、結腸がんの手術よりも長時間になる傾向があります。直腸は骨盤のなかに位置する臓器ですので、患者さんの体格によって手術の難しさが変わってきます。早く手術を終えられる場合では2時間半程度ですが、それよりも時間を要する場合もあります。また人工肛門を造設する手術の場合には、3時間半~5時間程度になることもあると考えられます。

大腸がんの手術後 |注意すべき合併症とは?

術後の合併症 |縫合不全・痛み・腸閉塞など

手術後に気をつけるべき合併症としてまず挙げられるのは「縫合不全(ほうごうふぜん)」です。縫合不全とは、手術によって合わせた部分がくっつかず、その部分で炎症を起こしてしまう症状です。

縫合不全を引き起こす要因に関してはさまざま報告がありますが、どの研究でもよく挙げられるものは性別(男性)です。この理由は、まだはっきりとはわかっていませんが、おそらく体格や骨格が要因であると考えられています。男性は女性と比べると骨盤が狭い傾向があり、より縫合不全が起きやすいのではないかということが考えられます。

そのほか、がん腫瘍径(腫瘍の大きさ)が大きい、縫合部分が低位である(より肛門に近い)といったことも、縫合不全が起こりやすくなる要因として挙げられています。

縫合不全を引き起こすと、縫合部分で炎症が起きる、腸内の内容物が腸の外へ漏れ出すことで腹膜炎が起きることなどによって「腹痛」や「発熱」があらわれます。また腹膜炎が悪化した場合にはショック状態に陥るリスクも考えられます。

縫合不全は、術後数日~5日程度で見つかる場合が多いです。腹痛や発熱といった症状がみられた場合にはCT検査などの画像検査を行い、縫合不全の発症を明らかにします。

そのほかの合併症としては、術中の出血、縫合部からの出血、感染症、腸閉塞などが挙げられます。また大腸がん以外の手術でも見られるものとしては肺炎、肺塞栓などが挙げられます。

 

大腸がんの手術についてはこちら

大腸がんの手術後 |術後必要となる治療は?

術後に抗がん剤による治療(化学療法)は行われる?

大腸がんの手術後には、化学療法(抗がん剤による治療など)が行われる場合があります。これは「がんの再発を抑制するため」に行われます。

手術後に再発抑制を目的として行われる化学療法は「術後補助化学療法」とよばれます。

術後補助化学療法の対象となるのは、原則としてステージⅢの大腸がん(結腸がん・直腸がん)の方で、手術に遺残なく切除され、肉眼そして顕微鏡で確認しても摘出されたもの(R0切除)に対して行われます。

またステージⅡであっても、再発リスクが高いと考えられる症例の場合には術後補助療法を検討する場合があります。その際には適切なインフォームド・コンセント(正確な情報を患者さんにお伝えしたうえで治療の同意を得ること)のもとに適応を考慮します。

術後補助療法はあくまでも再発予防ですので、患者さんに説明し、同意をいただいてから治療を行います。治療によって期待される有効性だけでなく、有害事象(副作用)のリスクや、また患者さんの年齢を考慮したうえで行います。

術後補助療法の流れ

術後補助療法の開始時期や投与期間について、術後補助療法は、術後4~8週ごろまでに開始することが望ましいとされています。また、推奨される術後補助療法の投与期間は原則6か月間です。

術後に放射線療法は行われる?

また、術後には放射線療法も行われることがあります。

放射線療法は、術後だけでなく術前、術中にも行われます。それぞれ「術後照射」「術前照射」「術中照射」といい、これらの放射線療法は「補助放射線療法」とよばれます。

補助放射線療法は「手術後の再発抑制」「術前の腫瘍量減量」「肛門温存(術前照射による肛門括約筋温存率と切除率の向上)」などを目的として行われます。

【大腸がん治療に関するご相談はこちら】

大腸がんオンライン相談

 

大腸がん (諏訪 宏和 先生)の連載記事

2017年現在、横須賀共済病院外科にて医長をつとめる。日本内視鏡外科学会の技術認定資格(大腸)の取得者であり、とくに腹腔鏡手術に力を入れている。

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