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大腸がんの腹腔鏡手術について。技術が求められる手術方法
 大腸がんは、日本におけるがん死亡の上位に入る疾患です。大腸がんは症状があらわれにくく、発症に気付いたときには手術が必要な段階であるケースも多いです。大腸がんに限らず、大腸疾患の外科治療(手術)...
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大腸がんの腹腔鏡手術について。技術が求められる手術方法

公開日 2018 年 01 月 23 日 | 更新日 2018 年 09 月 19 日

大腸がんの腹腔鏡手術について。技術が求められる手術方法
諏訪 宏和 先生

国家公務員共済組合連合会 横須賀共済病院 外科 医長

諏訪 宏和 先生

目次

 

大腸がんは、日本におけるがん死亡の上位に入る疾患です。大腸がんは症状があらわれにくく、発症に気付いたときには手術が必要な段階であるケースも多いです。

大腸がんに限らず、大腸疾患の外科治療(手術)方法は近年進歩しました。なかでも「腹腔鏡手術」が登場したことで、大腸がんの手術方法は大きく変わりました。

大腸がんの腹腔鏡手術とはいったいどのようなものでしょうか。また技術の求められる腹腔鏡手術を行っていくためにはどのような取り組みが求められるのでしょうか。本記事では大腸がんの腹腔鏡手術に詳しい国家公務員共済組合連合会 横須賀共済病院 外科 医長 諏訪宏和先生にお話を伺いました。

基礎知識:大腸がんとは

大腸は、小腸に続く消化管で、1.5~2mほどの長さがある臓器です。大腸は大きく「結腸」「直腸」のふたつに分けられ、小腸に近いほうは「結腸」、肛門に近いほうは「直腸」とよばれます。

大腸にがん(悪性腫瘍)が発生したものが大腸がんです。それぞれできる部位によって「結腸がん」と「直腸がん」のふたつがあります。

大腸がんの症状

大腸がんは、基本的に無症状です。症状があらわれる場合には、進行した大腸がんである可能性が高まります。

あらわれる症状としては黒色・紅色便、血便、腹痛、便秘、下痢、腸閉塞症状(腹部膨満感や嘔気・嘔吐など)、貧血や栄養障害(全身倦怠感や体重減少など)などがあります。

くわしい症状については記事1『大腸がんの症状。初期症状やステージごとの症状について』をご覧ください。

大腸がんの好発年齢

公益財団法人 がん研究振興財団「がんの統計’14」のデータによると、大腸がん(結腸がん、直腸がん)は男女とも中高年の罹患率が増加していることが示されています。

また、近年では高齢化や寿命の延長などに伴い、高齢者の方の罹患が非常に増えてきています。

大腸がんの原因・発症要因

大腸がんの罹患者数は増加しているといわれていますが、その要因には「食生活の欧米化」が原因になっていることが考えられています。

そのほか、なんらかの基礎疾患がある場合や、遺伝(家族性)によっても大腸がんを発症することがあります。

大腸がんの治療選択肢

大腸がんに対しては主に下記のような治療が行われます。

治療の種類

がんを根治させるための治療の原則は、がんを切除することです。この時の治療の中心となるのは「内視鏡治療」と「外科療法(手術)」です。初期の大腸がんに対しては内視鏡治療が行われますが、比較的進行した大腸がんに対しては外科療法(手術)が行われます。

手術の適応については記事2『大腸がんの手術。手術の流れや手術後も注意が必要』をご覧ください。

 

ここからは大腸がん治療の主軸となる「手術」について詳しくお話していきましょう。

大腸がんの手術方法

「開腹手術」と「腹腔鏡手術」

大腸がんの手術の方法には、腹部を開いて手術を行う「開腹手術」と、小さい切開創から特殊な医療機器を挿入して手術を行う「腹腔鏡手術」の大きくふたつがあります。

従来は、腹部を開いて行う「開腹手術」が一般的でした。そうしたなか近年では「腹腔鏡手術」という手術方法が登場し、広く行われるようになりました。

ここでは私も多く取り組んでいる「腹腔鏡手術」について、その特徴を詳しく解説していきましょう。

「腹腔鏡手術」とは?

腹腔鏡手術

腹腔鏡手術とは、小さな切開創を数か所作り、そこから内視鏡や鉗子(かんし:ものをつかんだり動かしたりするために使用される手術器具)を挿入して行う手術方法です。

執刀医は内視鏡によってモニターに映し出された映像を見ながら手術を進めていきます。

▼腹腔鏡手術では切開創が比較的小さいことから、開腹手術と比べると下記のような特徴が挙げられます。

---

  • 体壁の破壊が小さく、術後の回復が早くなると考えられる
  • 臓器が大気にさらされることが少ないため、腸管の麻痺の回復が比較的早いと考えられる
  • 術後の癒着(ゆちゃく:炎症によって組織同士がくっついてしまうこと)が少ない
  • 術後の傷の大きさが小さい

など

---

▼また腹腔鏡手術では内視鏡を用いて手術を行うことから、下記のような特徴が挙げられます。

---

・鮮明に臓器の状態を確認できる(拡大視効果)

→細かい血管や神経を避けられるため、より正確な手術につながる

→拡大視効果があることでより正確な切除が可能になると考えられる   

など

---

腹腔鏡手術ではこうした「切開創が小さいこと」と「拡大視効果」という2点が特徴となります。

開腹手術と腹腔鏡手術、どちらを選択するかについては、がんの状態と患者さんの状態をみながら、医療従事者、患者さんと相談のうえ判断されることが一般的です。

これらふたつの手術はどのような点で異なるのか、ポイントを挙げてみましょう。

手術後の傷の目立ち方が異なる

また開腹手術と腹腔鏡手術では術後の腹部の創が異なります。下図のように、開腹手術とくらべると腹腔鏡手術の創はそれぞれが小さいため、術後の創が目立ちにくいという特徴があります。術後の整容性(見た目)を考える場合ではこうした小さい切開創であるほうがよいと感じる患者さんもいらっしゃいます。

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術後の回復

腹腔鏡手術では腹壁を大きく切開することなく、小さな切開創から手術を行います。そのため腹壁の破壊が小さくなり、手術後、早期から離床できると考えられます。

大掛かりな手術では、開腹手術が選択されることも

たとえばがん腫瘍が大きい、大掛かりな手術が必要になるといった場合には開腹手術が選択される場合があります。

このほかにも、術後の痛みの程度、手術の正確さなど、いくつかの違いがあることも挙げられていますが、きちんとした研究結果として示されているものは現状少ないといえます。そのためどちらがよりよい手術方法といえるのかについては、それぞれの技術がより向上され、それぞれの手術の利点について今後さらなる研究を進めていくことが望まれると考えられます。

「腹腔鏡手術」は技術が求められる手術方法

腹腔鏡手術は、手術の技術力が求められます。

執刀医や助手は自身の手ではなく鉗子を使い、モニターをみながら手術を行います。ですから開腹手術を多く経験したことのある医師であっても、より正確な腹腔鏡手術を行うためには腹腔鏡手術のスキルを磨く必要があります。

こうしたことから日本内視鏡外科学会では、腹腔鏡手術を安全かつ適切に施行する技術をもち、かつ指導する技量を有していると認定した医師に対して「日本内視鏡外科学会技術認定」という資格を付与しています。この資格を取得するためには、腹腔鏡手術の様子を収めた映像を提出する「ビデオ審査」があり、手術技能を重視して審査が行われます。

腹腔鏡手術にはこうした技能が求められるということも知っておくとよいでしょう。

「よりよい腹腔鏡手術」を目指すために

このような技術が必要となる腹腔鏡手術を、質を保って進めていくためには、医療機関内でしっかりと質を担保する仕組みを作ることが、ひとつ大切なことだと思います。病院の取り組みとして、しっかりと経験をもった医師が手術に入り、技術力をもって術中の指示や、手術中のリスクをしっかりと回避することは大切なことだといえるでしょう。

横須賀共済病院ではこうした体制づくりを大切にしており、地域の患者さんにとってより安心して治療を受けられる環境にできるよう、尽力しています。

大腸がんは、日本のがん死因上位に入る疾患ですので、多くの方にとって身近な疾患だと思います。多くの方にとってよりよい手術を提供できるように、今後も取り組んでいきたいと思います。

【大腸がん治療に関するご相談はこちら】

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大腸がん (諏訪 宏和 先生)の連載記事

2017年現在、横須賀共済病院外科にて医長をつとめる。日本内視鏡外科学会の技術認定資格(大腸)の取得者であり、とくに腹腔鏡手術に力を入れている。

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