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人工股関節置換術とは?人工股関節置換術の方法や入院について
変形性股関節症などが原因で股関節に痛みや機能不全が生じている場合、治療の最終手段として「人工股関節置換術」が行われます。この治療方法では自分の股関節を人工物に取り替えることになるので、なかなか手...
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人工股関節置換術とは?人工股関節置換術の方法や入院について

公開日 2018 年 03 月 01 日 | 更新日 2018 年 07 月 06 日

人工股関節置換術とは?人工股関節置換術の方法や入院について
近藤 宰司 先生

社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス  座間総合病院 人工関節・リウマチセンター センター長

近藤 宰司 先生

目次

変形性股関節症などが原因で股関節に痛みや機能不全が生じている場合、治療の最終手段として「人工股関節置換術」が行われます。この治療方法では自分の股関節を人工物に取り替えることになるので、なかなか手術に踏み切れずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

今回は人工股関節置換術の適応や構造、また手術の一連の流れについて、社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス 座間総合病院 人工関節・リウマチセンター長である近藤宰司(こんどうさいじ)先生にお話を伺いました。

人工股関節置換術とは

股関節

人工股関節置換術とは、変形や変性をしている股関節の骨や軟骨を取り除き、人工物である「人工股関節」に置き換える手術です。運動療法や薬物療法といった保存療法でも痛みの改善がみられず、また骨切り術(股関節近くの骨を切り、股関節のかみ合わせをよくする手術)が適応とならない場合に行われます。

人工股関節置換術の適応

適応−股関節に痛みや不自由を感じている方が対象

人工股関節置換術の目的は、変形性股関節症などで生じている股関節の痛みや機能障害を取り除くことです。ですから人工股関節置換術の対象となる患者さんは、痛みや不自由を感じている原因が、確実に股関節にある方です。なかには、股関節の痛みの原因が膝や腰にあることも考えられるので、手術を行うかどうかを決める際には慎重に原因を確かめることが重要です。

人工股関節置換術は年齢による適応基準は特にありません。人工股関節に入れ替える以外の方法で痛みを取り除くことができなければ、10代の方でも人工股関節置換術を行うこともあります。

また患者さんのなかには股関節の変形によって、股関節ではなく膝に痛みを感じている方もいらっしゃいます。このとき、人工股関節置換術を行うことで膝の痛みを取り除くことができるのであれば、もちろん手術の適応となります。

適応外−股関節に変形があっても痛みがないとき

では反対に、人工股関節置換術が適応とならない患者さんはどのような方でしょうか。

たとえばX線検査で股関節に変形を認めても、患者さん自身が痛みや不自由を感じていない場合には手術の適応とはなりません。私が診察している患者さんには、10年以上前から変形があるにもかかわらず、いまだに痛みや歩行障害がない方もいらっしゃり、この場合には手術を行う必要はありません。

また股関節が変形していても、痛みは一過性の場合があります。この場合には手術を行わず、股関節周辺の筋力強化で痛みが改善されることもあります。ですから人工股関節置換術を検討する場合、すぐに手術を行うことを決定するのではなく、まずはリハビリテーションで筋力トレニーングを実施し、様子をみるようにしています。

人工股関節置換術はあくまでも、股関節の痛みに対する最終手段の治療法です。そのため、人工股関節置換術の適応をしっかりと見極めてから手術に踏み切る必要があります。

人工股関節の構造

提供画像:座間総合病院で使用している人工股関節

こちらは当院で実際に使用している人工股関節で、以下の4つの部品からできています。

  • カップシェル(寛骨側コンポーネント)  材質:チタン合金
  • カップインサート  材質:ジルコニア強化アルミナセラミックス
  • 骨頭  材質:ジルコニア強化アルミナセラミックス
  • ステム(大腿骨側コンポーネント) 材質:チタン合金

人工股関節置換術の固定方法

人工股関節は移植したあと、緩んだりすることのないよう骨に固定する必要があります。固定の方法には以下の2通りがあります。

セメントレス固定…セメント(アクリル樹脂)を使わずに、人工股関節を固定する方法。

セメント固定…大腿骨内部にセメントを注入して人工股関節を固定する方法。

どちらの固定方法で人工股関節置換術を行うかは、手術をする医師や医療機関によって異なります。座間総合病院ではセメントレス固定で人工股関節置換術を行っています。次項では、この固定法について詳しくお話しします。

セメントレス固定の方法

セメントレス固定で使用する人工股関節には、部品(インプラント)の表面に凹凸加工がされています。この特殊加工により骨と部品がかみ合い、時間が経つにつれて骨が部品の表面に侵入することで、セメントを使用しなくても約6か月でしっかりと固着されるようになっています。

セメントレス固定で人工股関節を行うメリットのひとつは、人工股関節の緩みの原因となるポリエチレンの磨耗粉が発生しないセラミックとセラミックを摺り合わせる人工股関節を使用したいからです。この組み合わせはセメント固定の人工股関節ではできません。摩耗した粉が出にくいので人工股関節周囲の組織に与える影響が少なく、セラミックの摩耗粉により骨や筋肉などが溶ける現象を防ぐことにもつながります。

また患者さんにもよりますが、30年以上に渡り人工股関節を使用し続けることができている方もいらっしゃいます。

また抜去が可能なセメントレスステムを使用していますので、再手術時に容易に抜去ができるという利点もあります。これらの理由から、当院ではセメントレス固定による人工股関節置換術を実施しています。

人工股関節置換術の流れ

それでは、人工股関節置換術の術前から手術、術後の一連の流れについて、当院を例にとってお話しします。

術前−術後の回復のために筋力強化を行うことが重要

人工股関節置換術前には、筋力強化のためのリハビリテーションをしっかりと行うことがとても大切です。術前に筋力をつけておかないと、たとえ手術が成功したとしても術後に股関節を動かしたり歩いたりすることが困難になるためです。

術前の痛みが強かったり、歩行ができない状態にあったりする患者さんの場合、術前のリハビリテーションに時間がかかることもあります。そのため、手術を受けるタイミングもそれぞれの患者さんによって異なります。

術前−必要に応じて自己血貯血を行う

また手術中の出血に備え、術前に約400ccの自己血貯血(術中や術後に輸血するために、あらかじめ自分の血液を採取しておくこと)を行います。しかし高齢の患者さんの場合、自己血貯血を行っても十分な量の血液を採取できないことが多いので、当院では80歳以上の患者さんに関しては自己血輸血ではなく、通常の輸血を行うようにしています。

筋肉を温存する「MIS (Minumally Invasive Surgry:最小侵襲手術)」

当院ではほぼすべての患者さんに対してMISで手術を行います。通常の手術では、皮膚とその下にある筋肉も大きく切開する必要がありますが、MISでは筋肉には傷をつけずに10cm前後の切開で手術を行うことができ、患者さんの身体的負担を軽減することができます。

ただしMISは切開創が小さい分、執刀医が目視できる範囲が限られます。そのため、術中の状況により十分な目視が必要であると判断した場合には、切開する範囲を延長して手術を行うようにしています。無理にMISで手術を行うと、かえって危険を伴うこともありますし、傷口を切開せずに引っ張ったりするとケロイド(傷口が赤く盛り上がったり硬くなること)が残る可能性もあります。ですからMISにこだわらず、安全性を考慮して臨機応変に手術を行うようにしています。

手術時間、出血量、入院期間

人工股関節置換術は、通常1時間前後で終了します(片側の場合)。手術中の出血量は200cc前後です。入院期間は患者さんそれぞれの術後の回復状況によって異なりますが、平均2〜4週間ほどです。

術後−痛みや回復について

術後は痛みを緩和するために、2日間ほどかけて持続的に体内に鎮痛剤を投与します。こうすることで、術後の痛みを軽減することが期待できます。また、創部に局所麻酔薬の注射も行っており、痛みを少しでも軽減するようにしています。

患者さんの多くは、手術翌日から車いすや歩行器などを使用しています。しかし先ほどお話ししたように、術前の筋力強化があまりできていない患者さんの場合、歩行ができるまで通常よりも時間がかかることもあります。

人工股関節置換術の費用

座間総合病院ご提供 ※2017年12月時点
座間総合病院ご提供 ※2017年12月時点

当院で人工股関節置換術を受ける場合、70歳未満3割負担の患者さんでは、片側約60万円、両側約120万円です。しかし高額療養費制度がありますので、患者さんごとに定められた限度額を超過した分の医療費を負担する必要はありません(70歳未満の方は窓口での限度額適用認定証を提示する必要があります)。

限度額は年齢や収入によって異なりますので、詳細はご自身が手術を受ける医療機関へお問い合わせください。

昭和大学卒業後、昭和大学藤が丘病院整形外科に入局。以来、整形外科医としての臨床経験を積み、人工股関節置換術における高い技術を身につける。全国各地から人工股関節置換術を受けるために多くの患者さんが来院している。

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