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PRP療法とは?整形外科におけるPRP療法の目的や効果について
みなさんは「PRP療法」という治療をご存知でしょうか。PRP療法とは、自身の血液から作製したPRP(多血小板血漿)を体の傷んでいる部分に注入し、自分がもともと持っている修復力をサポートする治療法...
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PRP療法とは?整形外科におけるPRP療法の目的や効果について

公開日 2018 年 03 月 20 日 | 更新日 2018 年 09 月 26 日

PRP療法とは?整形外科におけるPRP療法の目的や効果について
齋田 良知 先生

順天堂大学医学部整形外科学講座 講師

齋田 良知 先生

目次

みなさんは「PRP療法」という治療をご存知でしょうか。PRP療法とは、自身の血液から作製したPRP(多血小板血漿)を体の傷んでいる部分に注入し、自分がもともと持っている修復力をサポートする治療法です。歯科や形成外科など、あらゆる分野の治療に用いられており、整形外科でもスポーツによる怪我や関節炎などの治療にPRP療法が用いられています。

今回は順天堂大学医学部整形外科学講座の講師であり、サッカークラブいわきFCのチームドクターを務める齋田良知先生に整形疾患におけるPRP療法についてご解説いただきました。

PRP(多血小板血漿)療法とは

PRPの試験管をもっている人

PRP-血小板を多量に含んだ血漿

PRP(Platelet-Rich Plasma、多血小板血漿:たけっしょうばんけっしょう)とは、血小板が多量に含まれている血漿のことです。PRPは患者さん自身の血液から血小板を抽出して作製されます。

PRP療法-血小板が持つ「組織の修復力」を促す治療

PRP療法は、患者さん自身の血小板を集めて体の傷んだ部分に注入することで、治りにくいものや、治るまでに時間を要する怪我や病気の治療に用いられます。

では、血小板には具体的にどのような作用があるのでしょうか。

血小板には主に「血液を固めるはたらき」と「組織の修復を促す成長因子を出すはたらき」があります。

みなさんも経験したことがあるかと思いますが、切り傷で出血した後、しばらくすると血が止まり、傷口は自然と塞がっていきます。捻挫をしたときには受傷直後に患部が腫れ(内出血を起こしている状態)、そのうち青くなり徐々に腫れは消えていきます。

これらの治癒過程に重要な役割を果たしているのが血小板です。血小板のはたらきによって、私たちの体は自己防御力を保ち、自分の力で自分を治すことができます。

しかし、このとき組織を修復する力と組織を破壊する力にアンバランスが生じると、自分で自分を治す力が弱くなってしまいます。

そこで、血小板を多量に含んでいるPRPを傷んでいる部分に注入することで、自分自身がもともと持っている修復力を引き出すことができる治療がPRP療法なのです。

PRP療法の適応疾患

PRP療法は、さまざまな怪我や病気の治療、また美容医療などにも用いられています。特に歯科治療(インプラント治療や骨造成治療など)や美容医療(肌再生治療など)に広く普及している治療法です。また、PRPは傷口を早く閉じるはたらきもあることから、海外では手術後の傷口に対する治療にも一般的に使われています。

整形外科においても適応制限は特にありません。順天堂大学では変形性膝関節症、関節炎などの一般的な病気や、スポーツによる腱炎や靭帯損傷、肉離れなどに対してPRP療法を行うことが多いです。

PRP療法の目的

PRP療法は傷ついた組織を修復する治療ですが、最終的な治療目的は病態によって異なります。

スポーツ外傷-肉離れや骨折など

足を痛がるスポーツ選手

肉離れや骨折などのスポーツ外傷(1回の外力で突発的に発症する怪我)に対するPRP療法の目的は早期復帰です。

たとえば、プロスポーツ選手などが全治3か月の怪我をした場合、1週間でも2週間でも早く復帰することができれば、数試合多く出場することができるかもしれません。また、重要な試合を控えている場合、その試合に出ることができるかできないかで、選手人生が大きく左右されることもあるでしょう。

肉離れのようなスポーツ外傷は、いつかは治る怪我です。しかし、重傷度によっては治療期間に2〜3か月かかってしまうものがあります。このような怪我に対してPRP療法を行うことで、治療期間を少しでも短縮させ、怪我からの早期復帰を目指すことができます。

スポーツ障害-アキレス腱炎など

アキレス腱炎などのスポーツ障害(一定部位に繰り返しの負荷がかかることによる慢性的な損傷)は、痛みを我慢してスポーツを継続することで難治性(治療を行っても治りにくい状態)に陥りやすい怪我です。このようなスポーツ障害に対しては、完治を目指すためにPRP療法を行います。

難治性のスポーツ障害では本来治るはずの組織が硬くなってしまい、治りにくい状態になっています。そこで損傷部分にPRPを注入することで、本来の修復力を復活させ、怪我からの治癒を目的としています。

変形性膝関節症や関節炎

変形性膝関節症に対するPRP療法には、大きく2つの治療目的があります。1つは変形による関節炎に対する炎症を抑え、痛みを緩和することです。2つ目は軟骨のすり減りなどによる変形の進行抑制です。

1つ目の関節炎に対しては、血小板が出しているサイトカイン(炎症を抑えるはたらきなどを持つ物質)による効果を期待します。関節内で炎症が続くと、慢性的な痛みを引き起こす原因にもなります。関節内にPRPを注入することで炎症を抑え、痛みを取り除くことを目指します。

2つ目の軟骨のすり減りに対しては、血小板から出ている成長因子が重要な役割を果たします。軟骨の細胞に成長因子が作用することで、軟骨の組織を合成したり、軟骨細胞を増殖したりする効果が期待できます。

PRP療法の方法

それでは、具体的にPRP療法の治療の流れについてご説明します。

治療の流れ

採血を受けている人

①採血

PRP療法では、まずPRPを作成するための血液を患者さんから採取します。採血量は病院によって異なりますが、順天堂大学では約20ccの血液を採取しています。

②分離

次に、採取した血液を遠心分離機にかけてPRPを抽出します。

あとで詳しくお話ししますが、順天堂大学では分離の際に、白血球が多いPRPと白血球が少ないPRPに分けて、治療目的によってPRPの使い分けを行っています。

③投与

抽出されたPRPを患部に注入します。順天堂大学では肉離れや腱炎などに対しては約2ccのPRPを注入し、関節炎に対しては約4ccのPRPを注入します。

関節内は袋状になっていてPRPが患部にとどまらず広がる可能性があるため、関節炎に対しては通常の倍量である4ccのPRP を使用しています。また、関節炎の場合にはPRPの広がりを抑えるために、約20分間患部以外の部位の関節の袋を圧迫して患部にPRPが集まるようにしながら安静にしていただいています。

治療回数

PRP療法を行う回数に特に決まりはありません。順天堂大学では、早期治癒を目的とした肉離れなどに対しては通常1〜2回の治療を行います。腱炎など難治性のスポーツ障害は、効果の現れ方に個人差があり治療回数もさまざまですが、2〜3回の治療を行う方が多いです。

また、疼痛緩和を目的とする変形性膝関節症や関節炎に対するPRP療法は通常2〜3回の治療を行います。半年ほど経過して痛みが再発するようであれば、再度2〜3回のPRP療法を行うこともあります。

PRP療法の費用

PRP療法は2018年現在、保険が適用されない自由診療の治療であるため、費用は治療を受ける病院によって大きく異なり、数万円〜数十万円までさまざまです。

順天堂大学でPRP療法を受ける場合は、1回の治療につき約3~6万円(注射部位とPRP作成法により異なります)となっています。

PRP療法のメリットとデメリット

メリット-副作用が少ない

PRP療法は患者さん自身の血液によって組織の修復を促す治療であるため、副作用が少ないことが大きなメリットです。

デメリット-金銭的負担が大きい、治療効果に個人差がある

一方、デメリットは自由診療のため患者さんの治療費の負担が大きくなることです。(2018年現在)

また、患者さんによって治療効果に個人差がある点もPRP療法の欠点であり、今後の大きな課題であるといえます。

PRP療法に副作用はある?

PRP療法によって起こる副作用は少ないですが、筋肉や腱などの組織に直接針で刺してPRPを注入するため、治療中と治療後に痛みを感じることがあります。しかし、関節内に対するPRP療法では痛みを感じることはあまりありません。

PRP療法の効果は?

研究

PRP療法による治療効果には個人差があります。同じ病状でもPRP療法が効く患者さんと、効きにくい患者さんがいるのですが、2018年現在どのような患者さんにPRP療法が有効であるのかということは明らかにはなっていません。

しかし、PRP療法を行ううえで疾患ごとにPRPの使い分けを行うことが重要であることがわかってきました。PRPには血小板だけでなく白血球も含まれているのですが、順天堂大学では「白血球が多いPRP」と「白血球が少ないPRP」を病状に応じて使い分けています。

たとえば、難治性のアキレス腱炎などに対しては白血球が多いPRPが適しています。

血小板には組織を作り出す作用があるのに対し、白血球の一種であるマクロファージには「組織のリモデリング("壊して作る"を繰り返すこと)」を行う作用があります。

アキレス腱のように柔軟性が必要な部位に血小板だけを注入してしまうと、炎症によって硬くなっているアキレス腱がより一層硬くなり、柔軟性が損なわれてしまいます。

そのため、新しい組織を作り出すのと同時に、硬くなった組織を壊したいときには、マクロファージが多く含まれた「白血球の多いPRP」を使用します。

また、変形性膝関節症や関節炎などに対するPRP療法では、白血球が少ないPRPを使用します。理由は、関節内に組織を壊す作用を持つマクロファージが多く存在すると、関節の正常軟骨を破壊してしまう恐れがあるためです。そのため、関節に対してPRPを注入する際には「白血球が少ないPRP」を用いるようにしています。

PRP療法の今後

齋田良知先生

先述した通り、PRP療法の治療効果には個人差があります。これからのPRP療法の大きな課題は、患者さんや疾患ごとにさらに細かくPRPを使い分けることで治療効果を高めていくことだと考えています。

将来的には、白血球の含有量によってPRPを使い分けるだけでなく、PRPに脱水処置を施すことで抗炎症効果をさらに高めた、新たなPRPを用いた治療が期待されています。実際、ヨーロッパなどでは、関節炎の治療においてこのようなPRPが普及し始めています。

2018年現在、順天堂大学ではPRP療法の保険適用を目指し、関節炎に対する既存の治療とPRP療法を比較して、PRP療法の有効性を実証する治験(新しい薬や治療法を開発するために、人で効果や安全性を調べる試験)を計画しています。PRP療法を患者さんにとってもっと身近な治療にするために、PRP療法の精度を高めていく必要があると考えています。
 

順天堂大学医学部付属順天堂医院 整形外科・スポーツ診療科
https://www.juntendo.ac.jp/hospital/clinic/seikei/

スポーツ障害・スポーツ外傷(齋田 良知先生)の連載記事

順天堂大学医学部を卒業後、順天堂大学整形外科・スポーツ診療科に入局。自身もサッカー経験があることから、サッカーを中心とした豊富なスポーツドクター歴を持つ。女子サッカー日本代表(なでしこジャパン)のチームドクターを務め、2015年にはイタリアのサッカークラブACミランに帯同した。2018年現在いわきFCのチームドクターを務める。

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