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乳房切除術とは−手術の流れや術後について
乳がんを切除する際に乳房を全摘出する「乳房切除術」を受けられる患者さんは増加傾向にあります。それには、全摘出によって失った乳房を新しく作り直す「乳房再建術」が保険適用の治療となったことが関係して...
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乳房切除術とは−手術の流れや術後について

公開日 2018 年 03 月 20 日 | 更新日 2018 年 08 月 29 日

乳房切除術とは−手術の流れや術後について
谷 和行 先生

平塚共済病院 外科統括部長、乳腺内分泌外科部長、外来化学療法室部長

谷 和行 先生

目次

乳がんを切除する際に乳房を全摘出する「乳房切除術」を受けられる患者さんは増加傾向にあります。それには、全摘出によって失った乳房を新しく作り直す「乳房再建術」が保険適用の治療となったことが関係していると考えられます。

乳房切除術とはどのような手術なのでしょうか。記事1『乳がんの手術法とは?−乳房温存手術と乳房切除術』に引き続き、乳房切除術について平塚共済病院 外科統括部長の谷和行先生にお話を伺いました。

乳房切除術とは

乳房切除術とは、がんの切除にともない、乳房を全摘出する乳がんの手術です。

2018年現在、一般的に行われているのは大胸筋と小胸筋を残し、乳房全体を切除する「胸筋温存乳房切除術」です。

胸筋温存乳房切除術

乳がんのステージ(病期)や分類、患者さんの状態などによって、乳房切除術と合わせて薬物療法や放射線療法が行われます。

また、術前や術中の検査結果によっては、乳房を切除するだけでなく、腋窩(えきか:わきの下)リンパ節を取り除く処置が行われます。

乳房切除術の適応

乳がんを手術によって治療する場合、乳房を部分的に切除する乳房温存手術か乳房を全摘出する乳房切除術かを検討します。

乳房を部分的に切除するのか、あるいは全摘出するのかは、がんを切除しても乳房の整容性を保てるかどうかということがひとつの基準になります。

たとえば、3cmくらいの大きいしこりでも、乳房の整容性が保たれると判断されれば乳房温存手術を行います。反対に、1cmくらいのしこりでも乳房の整容性が保たれないと判断されれば、乳房切除術によって乳房を全摘出することがあります。

乳房切除術の手術時間や入院期間

乳房切除術の手術時間は、一般的に1〜3時間ほどです。リンパ節の郭清(かくせい:取り除くこと)を行う場合には手術時間が長くなります。

また、入院期間は個人差がありますが、やはりリンパ節の郭清を行う場合には入院期間が長くなる方が多いといえます。

手術

乳房切除術の後遺症とは

乳房切除術後に起こりうる後遺症としては、肩関節のつっぱりや痛みといった症状が挙げられます。これは手術によって筋肉やわきの下の皮膚が縮んでしまうことが影響しています。

また、腋窩(えきか:わきの下)リンパ節の郭清を行うことで、手術したほうの腕がむくむ「リンパ浮腫」が起こることがあります。これは、リンパ節を取り除くことによってリンパ液の流れが滞ることが原因で起こります。

リンパ浮腫の治療としては、「リンパドレナージ」というリンパ浮腫専用のマッサージやバンデージでの圧迫療法などがあります。

平塚共済病院では、リンパセラピストによる術後のリンパ浮腫の予防やケアも行っています。

乳房切除術後に行う治療について

薬物療法

記事1『乳がんの手術法とは?−乳房温存手術と乳房切除術』でもお話ししましたが、乳がんはホルモン受容体の陽性・陰性、HER2というタンパク質の陽性・陰性によって大きく5つに分類され、この「サブタイプ」という分類によって薬物療法の治療方針を決定します。

サブタイプの分類

化学療法(抗がん剤治療)

抗がん剤による化学療法は、術前・術後のどちらで行っても、乳がんの再発率は変わらないことが明らかになっています。そのため患者さんに応じて治療のタイミングを決定します。サブタイプによっては化学療法を行わない場合もあります。

ホルモン療法

ホルモン療法とは、ホルモン剤によってエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンを減らしたり、がん細胞内にあるエストロゲン受容体とエストロゲンが結びつくのを阻害したりすることで、がんの増殖を防ぐ治療です。

ホルモン受容体が陽性のタイプの場合には、術後にホルモン療法を行います。

抗HER2療法(分子標的治療)

抗HER2療法は、分子標的治療薬を使ってHER2というタンパク質を狙い撃ちすることでがんを抑制する治療です。HER2陽性のタイプの場合には、抗HER2療法を行います。

放射線療法

放射線療法は、乳房内のがん再発を予防する目的で、約5週間かけて計25回ほど行います。

乳房温存手術を受けた方に対しては、基本的に全例において放射線療法を行いますが、乳房切除術を受けた方に対しては、再発の危険性が高い場合にのみ放射線療法が適応になります。

乳房切除術後の放射線療法は、以下の場合に行われます。

  • 腋窩リンパ節への転移が4個以上あった場合
  • しこりが大きい(5cm以上)場合

これらに当てはまらない場合でも、担当の医師の判断により放射線療法を受けることが勧められることもあります。

乳房再建術

乳房再建術は、必ず受ける必要のある乳がんの治療ではなく、乳房切除術後の患者さんがQOL(生活の質)を改善するための選択肢のひとつで、形成外科で行う手術です。

乳房再建術には、患者さんご自身の体の一部である自家組織を使う方法とインプラント(人工乳房)を使う方法があります。乳房再建術の手術を行うタイミングや手術方法については患者さんご自身の希望を尊重します。

乳房切除術を受けた場合の再発について

乳がんを手術によって治療する場合、「できる限り乳房を温存したいが、再発を予防するためには乳房をすべて切除するほうがよいのでは」と考える患者さんがいらっしゃいます。

しかし、実は、乳房を部分的に切除しても、全摘出しても、乳がんの治療成績には影響がないことがわかっています。

そのため、やはり手術の方法を決めるにあたって、がんを切除した際に乳房の整容性を保つことができるかどうかがひとつの基準になると思います。そして私は、何より患者さんの納得する治療を行うことが大切と考えます。

谷先生

記事3『乳房再建とは−手術の流れや費用について』では、平塚共済病院 形成外科の瀬﨑晃一郎先生に乳房再建についてご解説いただきます。

乳房切除術によって乳房をすべて切除した場合、乳房を新しく作り直すという選択肢もあります。乳房切除術を受けられる乳がん患者さんには、ぜひ乳房再建について知っていただき、前向きに検討していただきたいと考えます。

 

なお、お電話での受診等のお問い合わせについては下記にて承っております。

≪平塚共済病院医療連携支援センター≫

受付時間:8:30~17:15(土曜・日曜・祝祭日を除く)

0463-32-1950

  • お問い合わせの際は「メディカルノートの記事を見た」とお伝えいただくとスムーズです

横浜市立大学卒業後、横浜市立大学病院にて2年間の研修の後、横浜市立大学第一外科学(現:外科治療学)に入局。その後、横浜市立港湾病院を経て1992年より平塚共済病院にて勤務。現在は、外科統括部長、乳腺内分泌外科部長、外来化学療法室部長を務める。
2010年より乳がん体験者のピアサポーターによる患者支援活動をスタート。チーム医療を実践し、患者の気持ちに寄り添った乳がん診療に取り組む。

関連の医療相談が22件あります

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