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狭心症の治療方法の1種であるTRIとは
狭心症の治療法には、心臓カテーテル治療というものがあります。心臓カテーテル治療とは、手首や足の付け根から動脈にカテーテル(医療用の管)を挿入し、心臓の冠動脈にステントという金属でつくられた網を設...
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狭心症の治療方法の1種であるTRIとは

公開日 2018 年 04 月 20 日 | 更新日 2018 年 09 月 20 日

狭心症の治療方法の1種であるTRIとは
我妻 賢司 先生

医療法人筑波記念会 筑波記念病院 つくばハートセンター センター長

我妻 賢司 先生

目次

狭心症の治療法には、心臓カテーテル治療というものがあります。心臓カテーテル治療とは、手首や足の付け根から動脈にカテーテル(医療用の管)を挿入し、心臓の冠動脈にステントという金属でつくられた網を設置して血管を広げる治療法です。2018年現在、心臓カテーテル治療のなかでは、経橈骨動脈アプローチ(trans-radial intervention:TRI)という、手首から橈骨動脈にカテーテルを挿入する方法が主流になっています。

今回は、筑波記念病院つくばハートセンターセンター長の我妻賢司先生に、TRIの特徴や治療後の注意点について、お話しを伺いました。

心臓カテーテル治療の1種であるTRIとは

我妻先生 心臓カテーテル手術
心臓カテーテル治療 (我妻先生よりご提供)

狭心症の治療法の1種である心臓カテーテル治療には、経橈骨動脈アプローチ(trans-radial intervention:TRI)と、経大腿動脈アプローチ(trans-femoral intervention:TFI)があります。(狭心症の心臓カテーテル治療以外の治療法については、記事3「狭心症の治療方法は3種類存在する」をご参照ください。)

経大腿動脈アプローチ(trans-femoral intervention:TFI)とは

大腿動脈の位置
大腿動脈の位置

経大腿動脈アプローチ(trans-femoral intervention:TFI)とは、脚の付け根から大腿動脈にカテーテルを挿入する心臓カテーテル治療です。もともと心臓カテーテル治療とは、この足の付け根からのアプローチ方法で始まりました。

大腿動脈は太い血管のため、太いカテーテルを使用することができます。太いカテーテルを使用することで、血管の曲がりが強い患者さんや、血管にカルシウムがついて硬くなった患者さんに対しても治療がしやすいというメリットがあります。しかし、治療後に強く圧迫して止血をする必要があり、それでも止血が上手くいかないことがあったり、止血後の安静時間も長くなります。止血が上手くできなかった場合には、血腫*ができたり腹腔内に血が溜まったりするなど、出血による合併症(ある病気や、手術や検査が原因となって起こる別の症状)が発生することがあります。出血性合併症が起こると、輸血が必要になるなどして退院が遅れたり、腹腔内に血が溜まった場合は命にかかわることもあります。

血腫…血液が溜まり固まって腫瘍状になったもの

また、日常的に血栓(血が固まったもの)を防ぐ薬を服用している患者さんは、術後出血のリスクがより高まります。(心臓カテーテル治療の再発リスクについては、記事3「狭心症の治療方法は3種類存在する」をご参照ください。)

経橈骨動脈アプローチ(trans-radial intervention:TRI)とは

橈骨動脈の位置
橈骨動脈の位置

経橈骨動脈アプローチ(trans-radial intervention:TRI)とは、手首から橈骨動脈という血管にカテーテルを挿入する心臓カテーテル治療です。橈骨動脈とは、手首の脈を測る際に使用される動脈です。TRIの場合、治療後の止血がTFIよりも簡単であるため、出血による合併症のリスクが低くなります。また、橈骨動脈のすぐ下には骨があるため、血液が溜まるスペースがなく、血腫が発生する可能性も低くなっています。1995年くらいから日本でもTRIでの治療が始まりました。そして、合併症が少なく患者さんの負担もより少ないということから、2018年現在では多くの施設でTRIが実施されています。

一方、大腿動脈に比べ橈骨動脈は細いため、細いカテーテルを使用します。細いカテーテルで曲がった血管や硬い血管の治療を行うには、慎重さと術者のスキルが必要です。また、まれにではありますが術後、橈骨動脈が閉鎖してしまうことがあります。橈骨動脈が閉鎖すると、次回以降TRIでの治療ができなくなることや、人口透析*などがやりにくくなるといったデメリットがあります。

人工透析…腎臓の働きが低下している患者さんに対して、人工的に血液の浄化を行う治療

TRIの手術時間と術後の生活

スーツを着て元気に仕事をする中高年の男性

心臓カテーテル治療の手術時間は完全につまった病変など、治療する病変が複雑な場合は2時間以上かかることもありますが、病変が1つでシンプルな場合、20分から30分程度で済み、TFI・TRIどちらの方法でも差はないと思われます。ただしTFIの場合、止血後にしばらくベッドの上で安静が必要ですので腰痛のあるかたや高齢の方は、術後の安静が苦になるケースもあります。また、心臓カテーテル治療は患者さんへの心身への負担が少ないため、術後の社会復帰が早いというメリットがあります。食事は治療当日から摂ることが可能です。そして、退院した次の日から仕事に行く患者さんも多数います。運動をすることも問題ありませんが、あまりに激しい運動は脱水症状に繋がります。脱水症状を起こすと血栓(血が固まったもの)ができるリスクが高まるため、術後当面は激しい運動は避けましょう。心筋梗塞*を予防するため、普段からこまめに水分を補給することと、血栓予防の薬の服用を忘れないでください。

心筋梗塞…心臓の冠動脈が完全に塞がり、心臓の筋肉が壊死することによって発症する病気

万が一狭心症と思われる症状が再び現れた場合は、早めに病院やクリニックを受診してください。

(狭心症の症状について詳しくは、記事1「狭心症の症状には再現性がある 特徴や発症しやすい方について」をご参照ください。)

施設によって治療法選択が異なる

2018年現在の日本では、カテーテル治療全体の約60%から80%¹が、TRIで行われています。しかし、患者さんの状態によってはTFIを勧める施設も存在します。そのため、もし提示された治療法に納得がいかなかった場合は、セカンドオピニオン*などを活用することも考えてみてはいかがでしょうか。

セカンドオピニオン…主治医以外の医師に意見をきくこと

狭心症は進行する前に治療をすることが重要

我妻先生

狭心症は進行すると、冠動脈が完全に塞がり心筋梗塞になる可能性があります。心筋梗塞は命にかかわる病気です。また、心筋梗塞にまで進行しなくても、虚血状態(血液が不足している状態)が進むと心臓の機能が低下し、元気な生活を送れなくなる患者さんもいます。

狭心症は検査・治療共に、患者さんの心身に負担の少ないものに進歩しています。気になる症状があった場合は、早めに病院やクリニックを受診し、専門家に相談してみてください。
 

1990年より心臓カテーテル検査、治療に携わり、以後、一貫して虚血性心疾患に対するPCIを専門とする。重症患者、複雑冠動脈病変に対する経橈骨動脈アプローチによるPCI(TRI)を得意とし、海外での治療経験、招請講演も多数

「狭心症」についての相談が26件あります

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