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手術のときに行う「神経ブロック」とは? 有用性や安全性について解説
手術を行うときには体に創(きず)を作る必要があるため、程度の差はありますが、術後には必ず痛みが発生します。この痛みを軽減させるために「神経ブロック」という処置が行われることがあります。近年では医...
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手術のときに行う「神経ブロック」とは? 有用性や安全性について解説

公開日 2018 年 06 月 01 日 | 更新日 2018 年 09 月 20 日

手術のときに行う「神経ブロック」とは? 有用性や安全性について解説
渡邊 至 先生

横浜南共済病院 麻酔科 部長 横浜市立大学医学部麻酔科客員教授

渡邊 至 先生

目次

手術を行うときには体に創(きず)を作る必要があるため、程度の差はありますが、術後には必ず痛みが発生します。この痛みを軽減させるために「神経ブロック」という処置が行われることがあります。

近年では医療機器の進歩でブロックの技術が向上し、神経ブロックがこれまでよりも注目されるようになってきました。神経ブロックとはどのようなものか、また注目される神経ブロックの技術進歩について横浜市立大学附属病院 麻酔科学教室の渡邊至先生にお話を伺いました。

神経ブロックとは?

神経の機能を停止させ「痛み」を軽減させる方法

神経ブロックは痛みを抑えるために行う治療法です。

脳からの指令(シグナル)は、神経を伝わり筋肉や内臓などへ伝えられ、手足を動かしたり、内臓の動きを調整したりしています。

逆に、体のさまざまなところで生じた「刺激(痛み)」は、電気信号となって神経を伝わり、脳へと届いて認識されます。神経ブロックは、この痛みを伝達している神経を遮断(ブロック)することで、神経の機能を停止させます。こうして痛みを伝える神経をブロックすることで、患者さんが感じる「痛み」を軽減させることができるのです。

手術や、慢性疼痛の治療に使われる

神経ブロックは「手術を行うとき」や「慢性疼痛(とうつう)の治療を行うとき」などに使われます。

神経ブロックを用いる場合の多くは「手術を行うとき」です。

簡単にいうと、この場合の神経ブロックは「手術後の痛み止め」です。手術前あるいは手術後に神経ブロックを行うことで、術後の痛みを抑えることができます。

また神経ブロックは「慢性疼痛の治療」にも用いられます。

慢性疼痛とは、慢性的に続く痛みのことです。慢性疼痛には、怪我をしたあと治療期間を終えても痛みが続く場合や、神経の一部を血管などが圧迫してしまうことで痛みが続くもの(三叉神経痛:さんさしんけいつうなど)があります。要するに、さまざまな刺激が原因となって神経の異常な興奮が続く状態です。

こうした疾患を持つ患者さんに対して神経ブロックを行うことで、神経の興奮を抑え慢性的に続く痛みを軽減させることが期待できます。

本記事では主に、「手術を行うとき」の神経ブロックについて解説していきます。

手術を行うときの「神経ブロック」とは?

神経ブロックは局所麻酔のひとつ

手術のときには、患者さんの体をまもり、安全に進められるよう、患者さんに麻酔をかけます。

麻酔には、「全身麻酔」と「局所麻酔」があります。そのうちの局所麻酔には、大きく分けると「神経遮断(脊髄くも膜下麻酔・硬膜外麻酔)」と「神経ブロック」があります。

【脊髄くも膜下麻酔・硬膜外麻酔】

脊髄やその周辺に局所麻酔薬を注入することで、主に下半身の感覚や動きを麻痺させます。100年以上の歴史がある麻酔方法で、一般的に広く行われています。

強力な鎮痛法ですが、体の両側に効いてしまう(例えば手術しない側の足など)ことや、心臓や脳血管の病気に対する薬剤を使っている(いわゆる“血液サラサラ”の薬)を飲んでいる方には使いにくいという課題もあります。

【神経ブロック】

手足・体幹部などに局所麻酔薬を注射することで、それぞれの部位にピンポイントで麻酔を効かせることができます。こちらも100年以上の歴史がある麻酔方法で、特に手足の手術を行う整形外科領域で広く行われてきました。

当科では基本的に手術前に、ブロックを行いますが、手術後に行うケースもあります。また、全身麻酔から覚めたときに十分痛みが取れていない場合、鎮痛効果を高めるために追加で神経ブロックを行うような場合もあります(レスキューブロック)。

このように神経ブロックは手や足など、体の一部分を麻痺させるために使われるものです。

神経ブロックの「有用性」とは?

術後の痛みを適切に抑える

神経ブロックの利点は、手術後の痛みを適切に軽減できることです。

神経ブロックが普及する前まで、痛み止めの主流は、全身麻酔中に行う鎮痛薬の点滴でした。しかし点滴による鎮痛法では全身に麻酔薬がまわることから、様々な副作用が問題となることがありました。

たとえば、ふらつきが出てしまい歩けなくなったり、強い吐き気(悪心・嘔吐)があらわれたりすることがあります。こうした副作用が強い場合、痛みが取れても、ベッドから離れることができず、手術からの回復がかえって遅れてしまうことになってしまいます。さらに点滴による麻酔では、効き具合の個人差が大きい、一種類の薬剤だけで痛みを完全に抑えようとすると結果的に麻酔薬の投与量が増えてしまう、といった課題もありました。

一方、神経ブロックでは、局所の神経を狙ってブロックするため処置が必要な部位だけを対象とすることができます。そのため適切に痛みをブロックできるようになります。このように適切な痛みの軽減を目指せるという点が、神経ブロックの利点といえます。

「痛くてあたりまえ」から「痛みを適切に軽減する」の時代へ

かつて手術を行う医師は、最優先すべきは病を治すことであり、術後の痛みの軽減を二の次と捉えることがありました。もちろん病を治すことは大切なことです。しかし、同時に手術後の部位に生じる「痛み」にもしっかりと目を向けなければなりません。

最近では手術をしたのだから痛いのはあたりまえ、病が治ったからそれでいい、と認識される時代は終わったといえます。これからは,術者も適切な手術に加えて,「痛みを適切に軽減して早期回復」が要求される時代となるでしょう。

昔は、「全身麻酔を行っているのに、そのうえで神経ブロックを行う必要はあるのか?」という疑問が挙がることもありました。もちろん全身麻酔中、患者さんの意識はありませんが、身体は起きています。そのため十分な鎮痛がされていなければ、血圧や呼吸が不安定となり身体に負担がかかり、術後の合併症が増えることも分かってきました。手術は治療ですが同時に外傷でもあります。ですから全身麻酔を行っていても、そのうえで神経ブロックを行い、痛みを適切に抑えていくことは大切なことなのです。

神経ブロックを行う上で注意すべき合併症とは?

一般的に挙げられる合併症

実際には稀ですが,合併症としては神経損傷などが挙げられます。様々な原因で神経が障害されてしまうことで,手足のしびれや麻痺などが生じると考えられます。

近年では、技術の進歩によってより正確に神経ブロックが行えるようになってきています。しかし、体に麻痺が残ってしまうとその後の患者さんの生活に大きな影響を及ぼすため、神経麻痺の可能性については術前に患者さんへ説明を行います。

神経ブロックによって神経損傷が起きるメカニズムは、2018年現在、完全には解明されていません。

神経損傷を引き起こす原因としては、さまざまな要因が考えられます。たとえば、神経ブロックでは神経の周囲に麻酔薬を注射します。その注射針が直接神経に触れ、神経損傷を引き起こす可能性があります。そのほか、糖尿病など神経系に悪影響を及ぼす病気をもともと発症しているなど、神経系の状態が良好でない場合、神経ブロックの刺激が加わることで神経損傷が引き起こされる可能性が考えられています。

また、神経損傷を引き起こすのは神経ブロックを行うときだけではありません。実際の手術の最中や、手術中の患者さんの体位によっても引き起こされる可能性が考えられます。

このようにさまざまな要因が考えられるため、術後に神経損傷があらわれた場合には、原因として神経ブロック以外の要因も検証していく必要があります。

エコーの進歩で向上した「神経ブロック」の技術

 

「神経そのもの」まで見える超音波装置の登場

近年、神経ブロックが注目される機会が増えてきていると感じます。これは昔と比べて、神経ブロックに使う「超音波診断装置」の性能が飛躍的に向上してきたためです。

これまでの超音波装置は、体内の臓器の様子を、体表から観察・診断する目的で使われていました(検査目的)。しかし、近年では装置の性能が急速に向上し、神経そのものまで見えるようになりました。これにより超音波装置は、神経ブロックの処置をするときのガイドとして使われるようになりました(治療目的)。

このように、性能が向上した超音波装置を用いることで、より正確な神経ブロックが行われるようになってきました。

ひとりひとり違う「神経の走り方」を見極められる

神経ブロックは100年以上の歴史を持つ治療法です。ですからこれまでは、解剖学の知識に基づいて、体の表面の骨や筋肉から神経の走行を推定して、ブロックを行うべきポイント(部位)が決定されてきました。

しかし、神経の走り方は人によって少しずつ異なります。そのため神経ブロックを注射すべきポイントに行っても、場合によっては局所麻酔が神経まで十分に届かず、麻酔の効果が弱くなる(不成功)となることが多くありました。

こうした難点を克服できるようにしたのが、近年急速に進歩した超音波の技術です。神経そのものが見える機器を使うことで、ひとりひとり異なる神経の位置をしっかりと確認しながら注射することができるようになりました。

「針・薬剤・神経」の関係が見える

超音波検査の画像では、注射の「針先」が見えているので、針先と神経までの距離がわかります。さらに注射された薬剤と狙った神経との関係も確認することができます。こうしたことから、より適切な位置に、必要最低量の薬剤でブロックを行うことが可能になりました。これまでよりも安全性に配慮した神経ブロックが行われるようになりました。

一方、実際の神経ブロックでは左手に超音波装置、右手にブロック針を持ち、画面を見ながら針を進めていく操作が必要となります。画面と手元を同時に見ることは出来ないので、しっかりと針先を見ながら全てのブロック手技を行えるようになるためにはトレーニングが必要になります。

神経損傷をおこさないために

近年では、内視鏡手術といった医療用カメラを使って手術をするケースも多くなり、医師が手術記録をカルテに文書として記載するだけでなく、カメラによる動画記録も保存できるようになってきました。神経ブロックは手術の直前に行いますので、当院では手術映像と共通のシステムを使ってブロックの超音波動画も保存しています。

たとえば手術中に予期せぬ事態が発生した場合、手術映像は問題点を検証するための最も重要な資料となります。そして同様のことが神経ブロックにも当てはまります。すべてのプロセスを記録することで、より手術の安全性を向上させていくことができると期待されます。

さらに、私はこうした記録を使って、神経ブロックが正しく行われているどうかを確認していくことも、とても重要だと考えています。麻酔科に限らず、事後検証は若手の医師の教育にも非常に役立つことです。当院では手術動画およびブロック動画を事後検証できるシステムを整えるようにしています。

また、私たち麻酔科医は、手術当日あるいは翌日には患者さんのベッドサイドに行き、術後回診を行います。そこでは術後の経過、ブロックの効果、合併症の有無を確認しています。術後の経過から得る情報は、神経ブロックの技術向上にとって非常に大切なものです。得られた情報からフィードバックし“チューニング”を繰り返すことで、より有用で安全な麻酔方法へ深化していきます。

近年、注目が集まる神経ブロック

2016年、「神経ブロック併施」が保険収載

超音波の技術が向上したことで、超音波ガイド下神経ブロックの教育・研究の分野が注目を集めるようになってきました。そうしたなか2016年には神経ブロックを全身麻酔に併用した場合に保険診療で行えるようになりました(平成28年度診療報酬改定)。

これまでは手術の際、全身麻酔に併用する神経ブロックは保険診療の対象になっていませんでした。そのため医療機関は病院負担で神経ブロックを行う場合が多くありました。

「硬膜外麻酔」も、神経ブロックと同様に、主に術後の痛み止めとして全身麻酔と合わせて行われているものですが、こちらは以前から保険診療となっていました。これは「硬膜外麻酔」が、痛みをとり、合併症を減らし、早期に回復するために有効な方法であるという十分な証拠(エビデンス)が示されているからです。

神経ブロックについても、痛みをとることはもちろん、全身麻酔薬による手術後の悪心・嘔吐を減らし、早期回復につながることは数多く報告されてきました。海外では日本に比べて入院期間が短いため、特に神経ブロックの有効性が高いことが分かっていました。強い痛みや、悪心がある場合は退院することが困難になってしまうからです。しかし、神経ブロックは「硬膜外麻酔」のように保険診療の対象とされていませんでした。

そうしたなか、日本では超音波装置の普及により、10年ほどの期間で急速に神経ブロックに関する研究報告が増加してきました。これは、専門性の高い麻酔科医の技術が求められる“匠の技”であった医療が、超音波装置の性能向上により、多くの麻酔科医が確実に行えるようになってきたとこを反映しています。

そしてついに2016年、全身麻酔に併用する神経ブロックが保険収載されました。

実際の神経ブロックには、局所麻酔薬以外にも、高価な超音波装置本体、ブロック針、滅菌された手袋やカバーなど、多くの医療材料を必要とします。これら実際にかかっている費用からすると、医療機関に支払われる対価は相対的に少額(45点)です。しかし、追加の痛み止めの薬のコストや、病棟看護スタッフの業務負担軽減、さらには入院期間の短縮など、総合的には医療費の削減につながると期待されています。近年の日本における医療費削減政策の中で、新たに保険診療になったということは非常に大きな変化といえます。

神経ブロックを発展させるための「学会」が新たに発足

2013年には、区域麻酔・局所麻酔(神経ブロックなど)の臨床・教育・研究の発展を進めるための学会「日本区域麻酔学会」が発足しました。この学会の取り組みのなかでは、神経ブロックをより安全に行うためのガイドラインの作成や「超音波ガイド下神経ブロック」の教育などが進められています。

患者さんの生活の質を考慮した治療が重要視され、近年注目を集める区域麻酔・局所麻酔分野ですが、日本においてはこの領域に特化した学会はありませんでした。「日本区域麻酔学会」が発足したことでこの領域の発展が期待され、登録会員数は増加しています。なかでも「超音波ガイド下神経ブロック」は最も大きなトピックスであり、この技術を適正かつ安全に普及させるため、ハンズオントレーニング(シミュレーショントレーニング)など非常に多くの教育活動が本学会主導で行われています。

神経ブロックの今後の展開

渡邊至先生

残された領域「背中側」の神経ブロックに挑む

超音波ガイド下神経ブロックは、比較的新しい技術のため、現在でも次々に新しいブロック法が報告され続けている領域です。そのため当然、数多くの方法から、より有効で安全性の高い方法を検討していくことになります。当科では、より良い術後管理を目指して年々神経ブロックの適応範囲を広げてきました。

今後の取り組みとしては「体の後ろ側に行う神経ブロック」にも展開していこうと考えています。たとえば背骨や椎間板ヘルニア手術の場合、神経ブロックをお腹や胸のほう(前方)からではなく、背中(後方)から行う必要があります。

腹部や胸部手術は、症例数も多く、これまでも様々なブロック法が報告され、基本となる解剖学的知見も豊富でした。それに比べると、後方の神経ブロックは「取り残された領域」であり、標準化されたブロック法はいまだ存在しません。そのため「体の後ろ側に行う神経ブロック」のよりよい方法を検討していくことは重要な課題です。

実際、体の後ろ側の手術は強い痛みを伴うことが多いです。たとえば、脊椎(せきつい)手術は術後の痛みが非常に強いことはよく知られていました。背骨の手術では、ずれや曲がりを矯正するため、骨を削り、金属製のスクリューとロッド(棒)により固定を行います。骨はもっとも強い痛みを生じさせる組織なので、術中・術後は大きな痛みを伴います。通常、全身麻酔中から鎮痛薬の点滴を行い、施設によっては術後も持続点滴を行い対応していますが、痛みをゼロにすることは非常に困難です。

手術翌朝の回診で「痛くて全く眠れませんでした」と言われることもしばしばあります。固定まで行う手術では、手術時間は数時間から10時間くらいかかる場合もあり、痛みのコントロールが難しくなるだけではなく、麻酔からの覚めが悪くなったり、術後の悪心や嘔吐のリスクが高くなったりしまいます。

消化管の手術と異なり、脊椎の手術では痛みのコントロールができて、悪心嘔吐がなければ、早期に経口摂取を再開し、離床とリハビリテーションが可能です。そのため、「脊椎の手術の痛み」を神経ブロックによってうまくコントロールできれば、患者さんの術後のQOL(生活の質)向上に直結できます。

近年では、脊椎手術に対する超音波ガイド下神経ブロックの研究報告が増えてきました。脊椎周囲の筋肉・筋膜・神経に関する解剖の知識についても、よく調べられてきています。そこで当科では昨年から、整形外科医と相談し、多く行われている脊椎手術に対して、これまでの全身麻酔に加え、超音波ガイド下神経ブロックの併用を始めています。患者の術後経過からフィードバックから、今後標準化し、より質の高い回復を提供したいと考えています。

医局が中心となって神経ブロックのスキル向上を

当科は「横浜市大麻酔科学講座の医局関連施設」という立場にあります。本医局は約250名の医局員に加え、毎年10名以上の新人麻酔科医が入局しています。医局の最大のミッションは教育であり、当科も大学からくる麻酔科医へ教育を行っていく役目を担っています。

教育は、もちろん麻酔全般を行いますが、当院は神経ブロックや手術室内での超音波検査(ポイントオブケア超音波)の症例数が多いため、特にこの分野での教育に力を入れています。

数多くの種類が存在し、比較的難易度が高いとされる超音波神経ブロックを安全に行えるようになるためには、特に集中的なトレーニングは欠かせません。「医局」という枠組みをうまく活かしていけば、横浜市を中心とした地域医療を担当している数多くの麻酔科医に均質な教育を行うことが可能になります。当科は医局におけるトレーニング施設として、標準化された技術をもつ麻酔科医を育成し、日本国内だけではなく世界へ情報発信していくことを目指しています。

手術は「痛くてあたりまえだ」という認識は過去のものでしょう。現在は患者さんの負担を軽減し、「いかに元の日常生活に戻していくのか」という視点が重要です。その中で近年急速に普及してきた超音波ガイド下神経ブロックは、強力なツールになる可能性を持っています。

そして新しい技術を正しく臨床現場に導入していくためには、正しい知識とテクニックを関連するスタッフ全員に伝えていく必要があります。現在の私のミッションは、神経ブロックやポイントオブケア超音波の技術を標準化し、スタッフに正しい教育を提供することにより、患者さんがどこでも均質で安全な麻酔医療を受けられるようにすることです。引き続き、セミナ―や講演会などを通して神経ブロックの普及と情報発信に努めていきたいと思います。
 

臨床麻酔分野を専門とし、横浜市立大学医学部麻酔科の客員教授、横浜南共済病院麻酔科の部長を務める。神経ブロックについての講演・ハンズオンセミナーなどの講師を多々務め、麻酔科医の教育や指導、技術の標準化に日々力を入れている。