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脳動脈瘤とは 原因や症状について

脳動脈瘤とは 原因や症状について
片岡 丈人 先生

北海道大野記念病院 主任診療部長 兼 脳血管内治療センター長

片岡 丈人 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年07月25日です。

脳動脈瘤とは、脳の動脈の一部が(こぶ)のように膨らむ病気です。瘤があるだけの状態ではほぼ無症状ですが、瘤が破裂した場合はくも膜下出血を発症します。脳動脈瘤が発生する詳しい原因はまだわかっていませんが、喫煙高血圧、遺伝的要因が関係しているといわれています。

今回は、社会医療法人孝仁会 北海道大野記念病院 脳神経外科主任教授の片岡丈人先生に、脳動脈瘤の種類や原因、症状についてお話しを伺いました。

脳動脈瘤とは、脳の動脈の分岐点にできた膨らみのことです。

未破裂脳動脈瘤と破裂脳動脈瘤のイメージ
未破裂脳動脈瘤と破裂脳動脈瘤のイメージ

この膨らみが破れていない状態のものを未破裂脳動脈瘤といいます。膨らみが破裂してしまったものは破裂脳動脈瘤といわれ、くも膜下出血を引き起こします。くも膜下出血とは、くも膜という脳の表面を覆っている膜の下に血液が溜まった状態のことで、緊急の治療が必要です。

血管には、中膜という層があります。この中膜という部分が弱くなり、その部分に血流のストレスがかかると、膨らみができ脳動脈瘤になると考えられています。

血管壁の構造

血管壁の構造

なぜこのような現象が起こるのか、はっきりとした理由はわかっていません。しかし、高血圧喫煙、過度の飲酒が関係しているといわれています。また、家族歴*も重要であり、血縁者のなかにくも膜下出血を発症したことのある方がいると、脳動脈瘤の発生や破裂を引き起こす可能性が高くなると考えられています。

なお、若年で脳動脈瘤を発症する方もいますが、一般的に発症しやすい年齢は50歳以降といわれています。

家族歴…患者の家族や近親者の病歴や健康状態、死因などの記録。

以下では、破裂脳動脈瘤未破裂脳動脈瘤の症状についてご説明します。

未破裂脳動脈瘤の多くは、無症状で発見されます。しかし、膨らみのできる場所によっては、膨らみが大きいと神経を圧迫し、脳神経麻痺といった症状がみられることがあります。たとえば、目の奥に10ミリ以上の脳動脈瘤があり動眼神経*が麻痺を起こすと、物が二重にみえたり頭痛といった症状がみられます。

しかし、先に述べたように多くの患者さんは無症状です。そのため、脳ドックやMRI*などの画像検査で、たまたま脳動脈瘤が発見されるという方がほとんどです。

動眼神経…眼球を動かすことにかかわる神経。

MRI…磁気を使い、体の断面を写す検査。

脳動脈瘤が破裂した場合、くも膜下出血を発症します。くも膜下出血の症状としては、激しい頭痛や嘔吐、意識障害、項部硬直*などを伴います。病状が非常に重い場合は命にかかわることもあるため、早急の治療が必要です。

項部硬直…項部(うなじ)や首の付け根、肩といった部分が硬直する症状のこと。

MRA未破裂右内頸動脈瘤 (2箇所)   同部MRA 3D 拡大画像)  (ご提供:片岡先生)
MRA未破裂右内頸動脈瘤 (2箇所)   同部MRA 3D 拡大画像(ご提供:片岡先生)

禁煙

破裂する可能性が低いと判断した脳動脈瘤の患者さんは、経過観察を行います。未破裂脳動脈瘤を破裂させないためには、血圧が高くならないように管理することが重要です。また、喫煙は脳動脈瘤の発生や破裂率を高めるといわれるため、喫煙者は禁煙するようにしてください。その他は普段と同様の生活で問題ありません。

なお、脳動脈瘤の大きさや位置、年齢、家族歴などを総合的に評価し、脳動脈瘤の破裂を予防する治療(開頭クリッピング術・血管内コイル塞栓術)を実施します。

(脳動脈瘤を予防する治療法について詳しくは、記事2『脳動脈瘤の治療とは 経過観察と破裂防止の治療法がある』をご参照ください。)
 

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