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食道がんの治療はどのように行う?治療法や合併症について解説
食道がんの治療では、患者さんの全身状態に合わせて、内視鏡治療・外科手術・化学放射線療法などから、どのような治療を行うか決定します。今回は京都第一赤十字病院の消化器内科副部長である戸祭直也(とまつ...
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食道がんの治療はどのように行う?治療法や合併症について解説

公開日 2018 年 06 月 18 日 | 更新日 2018 年 09 月 19 日

食道がんの治療はどのように行う?治療法や合併症について解説
戸祭 直也 先生

京都第一赤十字病院 消化器内科副部長 上部消化管内視鏡治療部門長

戸祭 直也 先生

目次

食道がんの治療では、患者さんの全身状態に合わせて、内視鏡治療・外科手術・化学放射線療法などから、どのような治療を行うか決定します。今回は京都第一赤十字病院の消化器内科副部長である戸祭直也(とまつりなおや)先生に食道がんの治療法や合併症について解説をいただきました。

食道がんの治療法

食道

食道がんの治療法には、主に以下のようなものがあります。

  • 内視鏡的切除
  • 外科手術
  • 化学放射線療法
  • 光線力学療法

内視鏡的切除

リンパ節転移の可能性がほとんどないと考えられる食道がん(主に0期の食道がん)には、内視鏡(体の内部を観察・治療する医療器具)を使ったがんの切除が適応となります。

食道がんの内視鏡的切除には、内視鏡的粘膜切除術(EMR)と内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の2つの方法があります。

当院でも内視鏡的切除を積極的に行っています。厚生労働省の公表しているDPC全国統計では、平成28年度(平成28年4月〜平成29年3月)の食道がんの内視鏡的切除の手術件数は61件でした。また、近畿圏内では第8位で、大学病院やがんセンターを除くと最も多い手術件数でした。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

内視鏡的粘膜切除術(EMR)ではまず、がんの下に生理食塩水を注入して、がんを下から持ち上げます。そして、持ち上げられたがんにスネアとよばれる輪っか状のワイヤーをかけ、ワイヤーを締めながら高周波電流を流すことでがんを焼き切ります。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)とは、電気メスを使って粘膜ごと剥ぎ取るようにして、がんを焼き切る治療法です。がんを大きく一括切除することができるため、取り残しが少なく、近年主流となっている内視鏡治療です。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

外科手術

リンパ節に転移している、もしくは将来的に転移が起きる可能性のあるがんに対しては、外科手術を行います。

食道がんの外科手術では、がんのある食道の一部を切除すると同時に、胸部食道がんの場合などは3領域リンパ節郭清を行います。3領域リンパ節郭清とは、食道近くにある「(くび)・胸・腹部」のリンパ節を切除する手術で、転移があるまたは転移の可能性があるリンパ節転移をつみ取る目的で行います。

また、切除した食道の代わりとなる食べ物の通り道を作るために、胃を上方向に釣り上げて食道断端とつなぎ合わせる胃管再建術も行います。胃がんの術後などで胃が使用できない場合には、腸を使用して再建術を行うこともあります。

化学放射線療法

化学放射線療法とは、化学療法(抗がん剤)と放射線治療を同時に行う治療法です。外科手術と併用することもありますが、高齢者などで体力的に外科手術に耐えられない方や外科手術を希望しない方に選択されることの多い治療法です。

化学療法は一般的に、5-FUとシスプラチンの2剤を併用して治療を行います。放射線治療では、がんのある部分と、転移があるまたは転移の可能性があるリンパ節に対して放射線を照射します。

また、化学療法と放射線治療はそれぞれ単独で行うこともあります。たとえば、腎機能が悪い患者さんの場合、輸液を大量に使用する化学療法は実施できないことがあるため、このような方には放射線治療だけを行うこともあります。

光線力学療法(PDT)

光線力学療法(PDT:Photodynamic Therapy)とは、特殊な薬剤(光線力学的療法溶剤)とレーザー光を使用してがん細胞を変性・壊死(えし)させる内視鏡治療で、2015年に保険適用となったばかりの新しい治療法です。光線力学療法の適応は限られており、局所遺残再発食道がん(放射線治療後に局所的に残ったがんや、再発したがん)に対してのみ行うことが可能です(2018年6月現在)。

光線力学療法については、記事4『放射線治療後に残存・再発した食道がんを治す「光線力学療法(PDT)」とは?』で詳しく解説しています。

治療の選択はどのように行う?

食道がんの治療法を決定するためには、ステージ(病期)だけでなく、重複がんや基礎疾患の有無などを十分に考慮する必要があります。そのため、食道がんは型にはまった治療法が最適とは必ずしもいえず、それぞれの患者さんの状態に合わせて治療方針を決めていく必要があります。

0期は基本的に内視鏡治療

食道がんではまず、CT検査(エックス線を使って身体の断面を撮影する検査)などを用いてステージを決定します。食道がんのステージは、がんの広がり方や転移の有無によって、0期〜Ⅳ期に分類されます。

このうち0期の食道がんは、がんが粘膜内にとどまっていて転移の可能性が極めて低いため、内視鏡治療で局所的に切除することで完治を目指すことが可能です。

0期以外は基本的に内視鏡治療の適応ではありません。しかし、I期の食道がんで検査画像上転移の可能性が低いと考えられる症例に対しては、内視鏡治療を行うことがあります。

重複がんや基礎疾患の有無を考慮しながら治療方針を決定する

I期以降の場合には、患者さんの状態に合わせて、外科手術や化学放射線療法などの治療を行います。このとき、重複がんや、もともと持っている基礎疾患を考慮して治療方針を決定する必要があります。

重複がんとは、食道がんとは別に他臓器に発生しているがんのことで、食道がんの患者さんの約23%が重複がんを持っているというデータがあります。たとえば、食道がんと同時に肺がんがみつかった場合、双方のがんの進行度を見極めて、治療の優先度を決めなくてはいけません。このとき、肺がんのほうが重症であれば、肺がんの治療を優先し、食道がんは手術をせずに化学放射線療法で経過を追っていくこともあります。

また、食道がんの患者さんには喫煙や飲酒が原因で、肺や肝臓、腎臓に基礎疾患を持っている方が多くいます。そのため、基礎疾患に対する治療も含め、食道がんをどのように治療していくかについてしっかりと考える必要があります。

食道がん治療の合併症

食道がんの治療には、いくつかの合併症(ある病気や、手術や検査が原因となって起こる別の症状)が起こる可能性があります。それぞれの治療後に起こり得る代表的な合併症について解説します。

内視鏡治療の合併症

穿孔

穿孔(せんこう)とは食道に穴が開いてしまうことです。食道の壁は約4mmと非常に薄いため、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などで少し深く切除してしまった際に発症する可能性があります。

食道狭窄

内視鏡治療で食道を3/4周以上大きく切除してしまうと、食道が砂時計のような形になり狭くなってしまいます。これを食道狭窄といいます。食道狭窄が起こると、食べたものがうまく通らなかったり、重症の場合には内視鏡検査のカメラが通らなかったりすることもあります。

食道狭窄を発症した場合には、狭窄した部分をバルーン(風船のような医療器具)で内側から広げる治療を行います。また、前もって、狭窄を予防するために治療直後に切除部分にステロイド薬(炎症を抑えたり,免疫のはたらきを弱めたりする薬)を注入したり、ステロイド薬を内服したりすることもあります。

外科手術の合併症

逆流

食道がんの外科手術では、切除した食道の代わりに、胃で食べ物の通り道を作る胃管再建術を行います。この手術では、胃が胸の方向に持ち上げられるため、食べたものが逆流しやすくなるなどの症状が現れます。

吻合部狭窄

吻合部狭窄とは、手術後のつなぎ目が細くなってしまうことです。吻合部狭窄に対しては、内視鏡治療後の狭窄と同様、バルーンで内側から食道を拡張させる治療を行います。

放射線治療の合併症

放射線性食道炎

食道に放射線を照射することで、照射した部分が炎症を起こす放射線性食道炎を発症することがあります。この場合には、炎症部分を刺激するような熱い食べ物や飲酒は避けるようにしましょう。また、炎症は、放射線治療後はしばらく続きますが、徐々に治まってきます。

食道狭窄

放射線治療後、照射部位が狭窄してしまうことがあります。このように生じた食道狭窄に対しても、バルーンで食道を拡張させる治療を行います。また、放射線治療後3か月以上経過していると穿孔(穴が開くこと)のリスクはありますが、ステントという金属製の管を内視鏡で挿入する治療を行うこともあります。

化学療法の合併症

腎機能の低下

食道がんの化学療法では、5-FUとシスプラチンの2剤を併用することが一般的です。このうち、シスプラチンは腎毒性が強いため、腎臓のはたらきが低下する合併症が起こる可能性があります。そのため、治療前から腎機能が悪い患者さんには、化学療法を行うことはできません。

食道がんの再発

食道がんは治療が奏功すれば治る可能性もあるがんではありますが、化学放射線療法後に再発してしまうと治療が難しい病気です。

化学放射線療法後の再発に対しては、基本的に化学療法のみで治療を行います。これは、放射線は一生のうちに照射できる量に限りがあることと、放射線治療後は食道の癒着が起こりやすく外科手術には極めて高いリスクを伴うためです。

しかし、残念ながら化学療法だけでは治療効果に限界があるため、化学放射線療法後に再発してしまうと治療が難しく、予後が悪いといわれてきました。

そこで、放射線治療後に再発してしまったがんであっても、転移はなく、かつ食道局所にのみ再発や遺残(治り切らずに残ること)したものであれば、2015年に光線力学療法(PDT)が保険適用となっています。

現在、光線力学療法ができる病院は限られています(2018年5月現在、京都第一赤十字病院を含め25施設)。今後光線力学療法をうまく利用できれば、再発した食道がんを治すことができる患者さんが増加するでしょう。

食道がんの治療後に気をつけること

戸祭先生

食道がんの治療後は再発を防ぐためにも、禁酒と禁煙を心がけていただきたいと思います。

特に禁酒は重要で、禁酒によって食道がんの再発を抑制できることは、京都大学が行った研究でも明らかとなっています。

また、治療後の合併症にも注意が必要です。外科手術後は、食べたものが逆流しやすい状態になっているため、特に高齢の患者さんは窒息や誤嚥(食物などが気管に入ってしまうこと)に気をつけていただきたいと思います。また、化学放射線療法後は、放射線性食道炎を起こしやすくなっているため、飲酒や熱い食べ物は控えるようにしましょう。
 

1995年京都府立医科大学医学部卒業。消化管や胆膵疾患の内視鏡診断および治療に携わり、特に上部消化管(胃・十二指腸・食道・咽頭)のESDを専門とする。2018年現在所属する京都第一赤十字病院では多くの患者さんにESDを実施しており、その件数は近畿圏トップクラスを誇る。

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