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食道がんの治療はどのように行う?治療法や合併症について解説
食道がんの治療では、患者さんの全身状態に合わせて、内視鏡治療・外科手術・化学放射線療法などから、どのような治療を行うか決定します。今回は京都第一赤十字病院の消化器内科副部長である戸祭直也(とまつ...
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公開日 : 2018 年 06 月 18 日
更新日 : 2019 年 02 月 01 日

食道がんの治療はどのように行う?治療法や合併症について解説

目次

食道がんの治療では、患者さんの全身状態に合わせて、内視鏡治療・外科手術・化学放射線療法などから、どのような治療を行うか決定します。今回は京都第一赤十字病院の消化器内科副部長である戸祭直也(とまつりなおや)先生に食道がんの治療法や合併症について解説をいただきました。

食道がんの治療法

食道

食道がんの治療法には、主に以下のようなものがあります。

  • 内視鏡的切除
  • 外科手術
  • 化学放射線療法
  • 光線力学療法

内視鏡的切除

リンパ節転移の可能性がほとんどないと考えられる食道がん(主に0期の食道がん)には、内視鏡(体の内部を観察・治療する医療器具)を使ったがんの切除が適応となります。

食道がんの内視鏡的切除には、内視鏡的粘膜切除術(EMR)と内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の2つの方法があります。

当院でも内視鏡的切除を積極的に行っています。厚生労働省の公表している急性期病院の全国統計(DPC公開データ)では、平成28年度(平成28年4月〜平成29年3月)の食道がんの内視鏡的切除の手術件数は61件でした。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

内視鏡的粘膜切除術(EMR)ではまず、がんの下に生理食塩水を注入して、がんを下から持ち上げます。そして、持ち上げられたがんにスネアとよばれる輪っか状のワイヤーをかけ、ワイヤーを締めながら高周波電流を流すことでがんを焼き切ります。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)とは、電気メスを使って粘膜ごと剥ぎ取るようにして、がんを焼き切る治療法です。がんを大きく一括切除することができるため、取り残しが少なく、近年主流となっている内視鏡治療です。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

外科手術

リンパ節に転移している、もしくは将来的に転移が起きる可能性のあるがんに対しては、外科手術を行います。

食道がんの外科手術では、がんのある食道の一部を切除すると同時に、胸部食道がんの場合などは3領域リンパ節郭清を行います。3領域リンパ節郭清とは、食道近くにある「(くび)・胸・腹部」のリンパ節を切除する手術で、転移があるまたは転移の可能性があるリンパ節転移をつみ取る目的で行います。

また、切除した食道の代わりとなる食べ物の通り道を作るために、胃を上方向に釣り上げて食道断端とつなぎ合わせる胃管再建術も行います。胃がんの術後などで胃が使用できない場合には、腸を使用して再建術を行うこともあります。

化学放射線療法

化学放射線療法とは、化学療法(抗がん剤)と放射線治療を同時に行う治療法です。外科手術と併用することもありますが、高齢者などで体力的に外科手術に耐えられない方や外科手術を希望しない方に選択されることの多い治療法です。

化学療法は一般的に、フルオロウラシルとシスプラチンの2剤を併用して治療を行います。放射線治療では、がんのある部分と、転移があるまたは転移の可能性があるリンパ節に対して放射線を照射します。

また、化学療法と放射線治療はそれぞれ単独で行うこともあります。たとえば、腎機能が悪い患者さんの場合、輸液を大量に使用する化学療法は実施できないことがあるため、このような方には放射線治療だけを行うこともあります。

光線力学療法(PDT)

光線力学療法(PDT:Photodynamic Therapy)とは、特殊な薬剤(光線力学的療法用剤)とレーザー光を使用してがん細胞を変性・壊死(えし)させる内視鏡治療で、2015年に保険適用となったばかりの新しい治療法です。光線力学療法の適応は限られており、局所遺残再発食道がん(放射線治療後に局所的に残ったがんや、再発したがん)に対してのみ行うことが可能です(2018年6月現在)。

光線力学療法については、記事4『放射線治療後に残存・再発した食道がんを治す「光線力学療法(PDT)」とは?』で詳しく解説しています。

治療の選択はどのように行う?

食道がんの治療法を決定するためには、ステージ(病期)だけでなく、重複がんや基礎疾患の有無などを十分に考慮する必要があります。そのため、食道がんは型にはまった治療法が最適とは必ずしもいえず、それぞれの患者さんの状態に合わせて治療方針を決めていく必要があります。

0期は基本的に内視鏡治療

食道がんではまず、CT検査(エックス線を使って身体の断面を撮影する検査)などを用いてステージを決定します。食道がんのステージは、がんの広がり方や転移の有無によって、0期〜Ⅳ期に分類されます。

このうち0期の食道がんは、がんが粘膜内にとどまっていて転移の可能性が極めて低いため、内視鏡治療で局所的に切除することで完治を目指すことが可能です。

0期以外は基本的に内視鏡治療の適応ではありません。しかし、I期の食道がんで検査画像上転移の可能性が低いと考えられる症例に対しては、内視鏡治療を行うことがあります。

重複がんや基礎疾患の有無を考慮しながら治療方針を決定する

I期以降の場合には、患者さんの状態に合わせて、外科手術や化学放射線療法などの治療を行います。このとき、重複がんや、もともと持っている基礎疾患を考慮して治療方針を決定する必要があります。

重複がんとは、食道がんとは別に他臓器に発生しているがんのことで、食道がんの患者さんの約23%が重複がんを持っているというデータがあります。たとえば、食道がんと同時に肺がんがみつかった場合、双方のがんの進行度を見極めて、治療の優先度を決めなくてはいけません。このとき、肺がんのほうが重症であれば、肺がんの治療を優先し、食道がんは手術をせずに化学放射線療法で経過を追っていくこともあります。

また、食道がんの患者さんには喫煙や飲酒が原因で、肺や肝臓、腎臓に基礎疾患を持っている方が多くいます。そのため、基礎疾患に対する治療も含め、食道がんをどのように治療していくかについてしっかりと考える必要があります。

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1995年京都府立医科大学医学部卒業。消化管や胆膵疾患の内視鏡診断および治療に携わり、特に上部消化管(胃・十二指腸・食道・咽頭)のESDを専門とする。2018年現在所属する京都第一赤十字病院では多くの患者さんにESDを実施しており、その件数は近畿圏トップクラスを誇る。

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