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写真でみる!ロボット支援下で行う胃全摘手術
2018年4月、手術支援ロボット(ダ・ヴィンチ)で行うロボット支援下手術の保険適用範囲が拡大し、腹腔鏡下胃全摘術もそのひとつとなりました。横浜市立大学附属病院では、これまで横浜市の助成を受けなが...
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写真でみる!ロボット支援下で行う胃全摘手術

公開日 2018 年 06 月 28 日 | 更新日 2018 年 07 月 02 日

写真でみる!ロボット支援下で行う胃全摘手術
利野 靖 先生

横浜市立大学附属病院 一般外科 診療教授

利野 靖 先生

目次

2018年4月、手術支援ロボット(ダ・ヴィンチ)で行うロボット支援下手術の保険適用範囲が拡大し、腹腔鏡下胃全摘術もそのひとつとなりました。横浜市立大学附属病院では、これまで横浜市の助成を受けながらロボット支援下の胃全摘術を積極的に実施しており、今後はより多くの患者さんがロボット支援下手術を受けられるようになることが期待されます。今回は横浜市立大学附属病院外科治療学教室診療教授である利野靖先生に、早期胃がんに対するロボット支援下手術についてお話を伺いました。また、実際の手術の様子も写真とともにリポートします。

ロボット支援下手術とは

ダビンチ

ロボット支援下手術では、「サージョンコンソール」というロボットの動きを司る機械を、術者が両手両足で操作します。これにより、患者さんに挿入した鉗子(かんし)(組織をつまんだり切ったりするもの、インストゥルメントともよばれる)を遠隔操作して行います。

患者さんの腹部には1〜2cmの小さな穴を複数開けて、そこから鉗子や内視鏡を挿入して行うので、大きく開腹する手術と比べて患者さんの身体的負担を軽減することができます。

また術者としても、患者さんに直接触れることなく遠隔で座って手術を行うことができ、長時間に渡る手術の疲労を軽減することが可能です。

早期胃がんにおけるロボット支援下手術の特徴

先端の鉗子が本物の手のように動く

ロボット支援下手術の動き

ロボット支援下手術で使用する鉗子の先端は、サージョンコンソールを操作する術者の指の動きに合わせて、患者さんの体内で本当に手を動かしているような動きをします。そのため、通常の腹腔鏡手術(腹部に穴を開けて行う手術。挿入した鉗子を術者が直接手で動かして行う)と比べて可動域が広がり、まるで開腹手術をしているような感覚で手術をすることができます。

また、ロボット支援下手術は先端の鉗子だけが動くので、腹部に設置されているポートはしっかりと固定されている状態です。このため、ロボット支援下手術では術中にポートが動いて皮膚と触れる頻度が少なく、通常の腹腔鏡手術と比べて術後の創部(手術でできた創傷部分)の痛みを抑えることができると考えられます。

細かい作業における手の震えを制御

人間の手で手術を行うとどんなに経験のある医師であっても、細かい作業ではどうしてもわずかな震えが生じてしまうことがあります。しかしダ・ヴィンチには手の震えを制御する機能があるため、細かな部分を切除したり縫合したりする作業も正確に行うことが可能です。

また、コントローラーを離した時点で鉗子は静止するので、鉗子を動かしたくない場面で即時に動きを止めることが可能です。

自分が見たいところを立体視できる

ロボット支援下手術では、術者が見るモニターは3D画像で立体的に映し出されます。そのため術野(手術中に目で見える範囲)の出っ張りやへこみが明瞭で、手に取るような距離感で手術を行うことが可能です。

また、カメラを術者自身が操作することができるのもロボット支援下手術の特徴であるといえます。通常の腹腔鏡手術では助手の先生がカメラの操作を行うので、術者が本当に見たいイメージとは異なることがあります。しかしロボット支援下手術では、執刀医がサージョンコンソールを操作することで、見たい位置や大きさを自由に設定することができます。また拡大倍率も大きく、わかりづらい場所にある血管や神経を傷つけるリスクも減少できます。

膵炎の合併リスクが減少する可能性

胃がんの手術では、膵臓の周りにあるリンパ節を切除することがあります。開腹手術の場合このリンパ節を切除する際、どうしても器具などが膵臓に触れてしまうため術後に膵炎を発症する患者さんがいらっしゃいます。

細かい作業が得意なダ・ヴィンチによる手術では、膵臓に触れずにリンパ節を切除することができるため術後に膵炎を引き起こすリスクを抑えることができると考えられます。膵炎を発症すると腹腔内に(うみ)が溜まったり、出血したりすることがあるので、膵臓を触らずに手術ができる点はロボット支援下手術の大きな特徴といえるでしょう。

ロボット支援下で行う胃がん全摘術の実際

では、実際のロボット支援下手術はどのように行われるのでしょうか。横浜市立大学附属病院で行われたロボット支援下の胃全摘手術について写真とともにご紹介します。

ダビンチ

全身麻酔による鎮静が完了したら、患者さんの腹部に5箇所の穴を開けてそれぞれにポートを設置します。5つのポートのうち3つは鉗子を挿入するため、1つは内部の様子を確認するカメラ(内視鏡)を挿入するため、1つは助手が出血を抑えるガーゼなどを出し入れするためのものです。

ダビンチ

ポートの設置が完了したら、ポートにダ・ヴィンチ本体をドッキング(接続)して手術を開始します。ダ・ヴィンチ本体には滅菌したビニールを覆い感染を防いでいます。

ダビンチ

ダビンチ

このように術者がサージョンコンソールを覗きながら、両手の指を使用して遠隔で鉗子を操作して執刀します。このとき術者は患者さんに背を向けている状態です。

また足元にあるスイッチを使用して、両足で鉗子の切り替えやカメラの操作を行っています。

ダビンチ

手術中にスタッフが見ているモニター画面です。画面に映っている器具が、実際に術者が遠隔操作している鉗子です。また術者が覗いているサージョンコンソールは3Dで立体的に映し出されていますが、スタッフが見るモニターは2D画面となっています。スタッフ全員が確認できるよう、手術室には同じモニターが複数設置されています。

ダビンチ

写真手前はこの手術で助手を務める佐藤勉先生です。助手の先生は機械ではなく、直接的に鉗子を操作します。ガーゼなどで血液を拭いたりして、術者がスムーズに手術を行うことができるようにサポートをしています。

ダビンチ

術中は、術者の指示で用途に合わせて鉗子の入れ替えを行います。また、カメラが曇った場合には適宜カメラを取り出す作業も行います。ロボット支援下手術では、スタッフ全員による声がけが多くチームワークがとても大切です。また、手術時間は約6時間です。

ロボット支援下で行う胃全摘術の費用

2018年3月までロボット支援下で行う胃全摘手術は保険適用ではなかったため、横浜市から助成を受ける形で実施していましたが、2018年4月からは保険適用となりました。

そのため、2018年6月現在、横浜市立大学附属病院でロボット支援下胃全摘手術を受ける場合の費用は約450,000円~約510,000円です(保険適用で3割負担の場合)。

1985年横浜市立大学医学部を卒業。以降、同大学で外科医として研究・臨床経験を積み上げる。主に胃癌・食道癌を専門としている。2018年現在は、横浜市立大学附属病院一般外科において診療教授・外科治療学准教授を務める。

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