院長インタビュー

滋賀県の救急医療の中心を担う大津赤十字病院

滋賀県の救急医療の中心を担う大津赤十字病院
石川 浩三 先生

大津赤十字病院 院長 兼 高度救命救急センター長 兼 看護専門学校長

石川 浩三 先生

この記事の最終更新は2017年08月16日です。

 

大津赤十字病院は、滋賀県大津市(人口34万人)の中心部に位置する中核病院です。高度救命救急センターを有し、24時間「断らない救急」を実践しています。また、同院は総合周産期母子医療センターに指定されており、ハイリスク児のための新生児集中治療室(NICU)を備えるなど、あらゆるハイリスク妊娠に対応しています。同院が所有する新生児専用救急車(ドクターカー)の出動は年々増加しており、2016年の新生児の搬送件数は130件を超えました。これは全国の総合周産期母子医療センターのなかでも上位に位置します。

大津赤十字病院の取り組みと担うべき役割について、大津赤十字病院長の石川浩三先生にお話を伺いました。

外観

大津赤十字病院は、1904年(明治37年)に創立された、赤十字92施設のなかでも2番目に歴史のある病院です。最初は3つの診療科、60床の小さな病院でしたが、現在、36の診療科、病床数796床の総合的医療機能を備える総合病院になりました。年間救急外来患者数は30,000人以上、年間手術数は6,000件を超え、急性期医療を中心に地域医療に貢献しています。

当院は、1982年に滋賀県では初めて救命救急センターを開設しました。開設以来、一刻を争う緊急患者さんに高度医療を行ってきました。すべての診療科における1次から3次までの救急患者さんに対応し、年間の救急受診患者数は約30,000人、救急車搬送台数は約7,000台となっております。大津市の救急車の約45%を当院で受け入れています。

2009年からは、大津地域小児急病診療の拠点病院として活動しています。地域の開業医の先生方の応援を得ながら、土日祝日問わず24時間小児救急患者さんの受け入れ・緊急入院などに対応しています。

2013年には、滋賀県で唯一の、高度救命救急センターの指定を受けました。高度救命救急センターは、広範囲の熱傷(やけど)や四肢切断、急性中毒などの特殊疾病の患者さんに対する救急医療が義務付けられており、担当医師が待機して救急に備えています。また専門各科もオンコール体制で緊急対応しています。

地域の中核病院として「断らない救急」であり続けるために、救命救急医療体制の維持・救急医療の強化に取り組んでいます。

当院は、総合周産期母子医療センターに指定されており、あらゆるハイリスク妊娠に対応できるよう24時間体制で備えています。年間の総分娩数は約400~500件、母体搬送の受け入れは約80~100件と県下でもトップクラスで、滋賀県全体の約4分の1を占めています。

母体・胎児集中治療管理室(MFICU)を6床備えており、出産前後の母子を全力でサポートし、この10年間で母体死亡は0名です。

ハイリスク児のための新生児集中治療室(NICU)は9床有し、専任の医師と、医療・看護スタッフの協力のもと、昼夜問わず新生児の治療とケアを行います。他院で出生した新生児を、必要に応じ24時間体制で当院に搬送できる、新生児専用救急車(ドクターカー)も備えています。2016年の新生児の搬送件数は130件を超え、全国の総合周産期センターのなかでも上位に位置します。

滋賀県全体では新生児集中治療室(NICU)の病床数が不足しているといわれており、当院の新生児集中治療室(NICU)が定床オーバーする日もあります。その場合は、赤ちゃんにとって十分な治療可能な施設に搬送(三角搬送)し、ひとりでも多くの赤ちゃんを救えるよう、努力しています。

これからも、滋賀県の周産期医療体制の中心的医療施設として、産科医と新生児担当医が連携を取りながら、出産前後の母体・胎児・新生児の一貫した管理を行う医療を提供するとともに、地域の周産期医療機関をバックアップしていきます。

当院の形成外科の年間手術数は約800例です。そのうち、手外科の手術は約580件と最も多く、次に皮膚軟部悪性腫瘍、熱傷(やけど)手術などがあります。熱傷手術の約半数は重症熱傷で救急部と協力し、緊急手術を実施しています。

手外科については、骨折・靭帯損傷・切断指をはじめとする外傷から、手指・手関節・肘関節の変形性関節症などの変性疾患や先天異常まで幅広く治療しています。

手術後の治療法やリハビリは、作業療法士と連携して的確に実施し、タイミングをみて二次再建術(腱剥離・移植、骨移植、神経移植など)を行っています。

当院の外科では、消化器がんを中心に年間1,000例の手術を行っており、胃がん大腸がんをはじめ、特に膵がん、肝臓がんなど難易度の高い手術技術が必要な症例数が多く、全国から紹介患者さんが来院されています。

患者さんの高齢化が進む現在、身体への負担が大きい外科手術よりも内視鏡的切除や放射線治療、抗がん剤治療のほうが適切な場合もあります。当院では、内視鏡診断・治療を専門とする消化器科、画像診断や放射線治療、血管内治療を専門とする放射線科と毎週合同で症例検討会を開くことで、一人ひとりの患者さんに最適な治療(オーダーメイド医療)が提供できるよう努力しております。

当院の高度救命救急センターにはすべての循環器の救急疾患が搬送されてくるため、急性心不全、急性心筋梗塞大動脈解離、末梢動脈塞栓症肺塞栓症不整脈などの急を要する心血管疾患の治療に24時間体制で力を注いでいます。特に急性心筋梗塞および狭心症に対するカテーテル治療に積極的に取り組んでおり、救急搬送された急性心筋梗塞の患者さんに年間80例ほどの緊急カテーテル治療を行い、高い成功率と救命率を誇っています。

循環器科は単独で当直体制を採用しており、24時間365日、常に循環器科医師が院内に待機しています。さらに、「地域医療連携循環器ホットライン」を設置しており、救急隊の方や地域の先生方からの連絡に即座に対応し、その情報にもとづく治療準備を速やかに開始することが可能です。

当院は、2009年より骨髄バンク認定移植施設、翌2010年には臍帯血移植認定施設となりました。認定以降、主に血液のがんである白血病やリンパ腫、あるいは再生不良性貧血などの根治療法となる「同種造血幹細胞移植治療」の件数が飛躍的に増加しました。最近は、他院からのご紹介いただいた患者さんも積極的に受け入れています。2017年に無菌室を5部屋から7部屋に増設し、より一層充実した医療を提供できるようになりました。

全国の大学や基幹病院との共同研究にも積極的に取り組み、新たな治療の開発にも励みます。

 

地域住民や県民の方を対象に、「赤十字県民大学」を開講し病気の予防と健康の増進を図ることを目的に、講演会を行っております。

【平成29年度プログラム】

地域の方々を対象に、がんに対する正しい理解を目的に、平成21年度より開催され、平成29年度では総勢400名の参加となりました。(計8回目)

院内施設のご案内や医療に対する素朴な疑問、医療スタッフに対するご意見・ご要望に至るまで、患者さまの声をお聞きする相談窓口です。適宜、院内関係部署と検討を行い、対応いたします。 どこに相談すればよいかわからない事柄なども、お気軽にご相談ください。

当院の訪問看護ステーションは、病院を退院される患者さんや在宅で療養生活を送っていらっしゃる方々のお宅に訪問させていただき、訪問看護を提供し、在宅療養を支援しています。対象となる方は、乳幼児から高齢者まで、病気や障害のため、療養生活に支援を必要とされるすべての方々です。

利用される方の違いによってケアマネージャー、医療ソーシャルワーカー、保健師などとも連携を密にし、安心して在宅生活が継続できるよう、利用者様一人ひとりの思いを大切にし、細かいところに配慮したサービスを提供しています。

滋賀県赤十字血液センター主催の「赤十字キッズフェスティバル2017」に、当院も共催しました。

地域の子どもたちを対象にしたこのイベントでは、献血疑似体験をする「キッズ献血コーナー」や、災害について学ぶ「災害救護コーナー」などを設けたほか、災害時を想定した非常食作りなど、赤十字の活動を親子でふれ合いながら体験していただきました。

当院では、熊本地震での救護活動の紹介や、子どもたちが救護資機材を手にとり、聴診器を使ってみるなどの医療救護の体験をしてもらいました。

会場内の車両展示コーナーでは、献血車や救急車の展示見学をはじめ、車内の無線体験や資機材見学などもしてもらいました。子どもたちは目を輝かせて取り組んでおり、大変好評でした。

地域の未来を担う子どもたちに、いのちの大切さを感じていただき、医療への興味を持ってもらえたのではと思っています。

石川先生

当院には1,400名を超える職員がいます。さまざまな専門家が集まっている当院の職員たちに対し、私はよく「笑顔であいさつ明るい職場に」と声をかけています。笑顔で声をかけたら、相手も自然に笑顔であいさつを返してくれます。あいさつはコミュニケーションの基本です。

これからの医療には「チーム医療」が欠かせません。個々の専門性をいかして、患者さんにとって最適な治療をチームで考える、そのときにはコミュニケーション能力がとても大切になります。当院のチーム医療を担っていく職員全員に、コミュニケーション能力を高めながら、高い専門性を磨き続けて欲しいと考えています。

そのコミュニケーション能力は、患者さんに対しても発揮すべきものです。患者さんに信頼され、選ばれる病院であり続けるよう、当院は、安心・安全でぬくもりのある最高の医療を提供します。そして、末永く地域社会・地域医療に貢献できるよう、今後も努力し続けます。

*画像提供:大津赤十字病院

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  • 大津赤十字病院 院長 兼 高度救命救急センター長 兼 看護専門学校長

    石川 浩三 先生

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