院長インタビュー

『地域のために 地域とともに』田主丸中央病院の地域に根ざした取り組み

『地域のために 地域とともに』田主丸中央病院の地域に根ざした取り組み
鬼塚 一郎 先生

医療法人会聖峰会田主丸中央病院 理事長・院長

鬼塚 一郎 先生

この記事の最終更新は2017年07月06日です。

福岡県久留米市にある医療法人聖峰会 田主丸中央病院は、『地域のために 地域とともに』という理念のもと、救急医療から在宅医療まで、特に総合内科的医療、リハビリテーションを中心に質の高い医療を提供しています。

また、医療と介護・福祉の連携を積極的に行っており、地域住民の皆さんを総合的にサポートしています。2012年にはこのような取り組みが評価され、田主丸中央病院は地域医療支援病院に認定されました。

田主丸中央病院の地域に根ざした取り組みについて、田主丸中央病院 理事長兼院長である 鬼塚一郎先生にお話を伺いました。

1954年、私の祖父がレンコン畑しかないような町はずれの土地を購入し、学校廃材を使って、現在の田主丸中央病院の元となる田主丸結核療養所を開設しました。その後祖父の弟(当時の院長)が病気になったため、大学で心臓外科をしていた私の父が35歳で院長になりました。

当時、結核というと不治の病であったため、町の人から「死ぬときはよろしくお願いします」と挨拶されるのが悔しかったと父から聞いています。

その後、父はこの地域で下火になってきた結核ではなく、急性期・救急医療にしっかり取り組んでいくことを目標として病院を拡大していきました。

また、急性期の治療が終わって自宅に戻っても、家で寝たきりの状態になっている高齢の方が少なくない状況を改善したいという思いから、病院だけでなく介護福祉施設の運営も始めました。今となっては考えられないことですが、当時はまだ、介護といえば家族、特に嫁が務めて当然、老人ホームは姥捨て山だと批判される時代でした。

2000年には私の叔父が院長になりました。叔父は、自身の専門である放射線科の画像診断装置を充実させたり、電子カルテを導入したりと病院機能の強化をはかる一方で、地域の開業医の先生との連携を推進し、それが後に地域医療支援病院の認定を受けるための土台づくりになったと考えています。

その後2015年に私が院長の職を引き継ぎ、病棟の建て替えや緩和ケア病棟・地域包括ケア病棟の開設を進めました。地域の皆さんになくてはならない存在として、質の高い医療や介護・福祉サービスを提供していきたいと考えています

外観

田主丸中央病院は、2012年に地域医療支援病院に認定されました。

認定の必須条件としては、病床数や他の医療機関との連携、生涯教育などの研修の実施などの厳しい基準を満たしていることなどがあり、私たち田主丸中央病院の地域に根ざした取り組みを評価していただけたと考えます。

内観

地域医療支援病院に認定されてからは、これまで以上に地域医療に真摯に取り組んでいます。

たとえば、様々な講師を招いて、地域の先生方に向けた学術講演会を行ったり、医療と介護の連携強化を図った当院独自の取り組みである『地域医療・介護連携の集い』を開催したりしています。これは、顔のみえる医療連携を目指して、連携登録医の先生方や介護事業所の方々と、当院の医師・職員がコミュニケーションをはかる目的で行われるイベントです。多くの方に参加いただき、とても好評を博していると自負しています。

田主丸中央病院は、救急指定病院に認定されています。

当院では24時間365日救急の患者さんを受け入れており、救急車搬入台数は、年間約1,500件前後(地域の救急車出動数の約60%)に及びます。特に、脳卒中心筋梗塞など、緊急性の高い患者さんにも迅速かつ適切に対応することが中核病院としての役目だと考えています。

今後も、医師・看護師などの医療スタッフが連携し、迅速で適切な医療を提供することによって地域の救急医療を支えていきます。

救急車

田主丸中央病院は、充実した医療設備の歯科・口腔ケアセンターを備えています。一般的な歯科の治療だけでなく様々な専門治療も可能ですし、また訪問歯科も手がけるなど幅広い歯科治療が可能です。

また、当院では、歯科医師、歯科衛生士、看護師、言語聴覚士が口腔ケアチームとして連携し、心臓病や糖尿病がんなどの全身疾患をお持ちの患者さんにも安心していただけるような、口腔ケアや歯科治療を行っています。

また、入院患者さんの口腔ケアにも積極的に取り組み、誤嚥性肺炎の予防や口腔機能の維持・回復に努めています。

田主丸中央病院の放射線科では、「正しい治療は正しい診断から」をモットーに、最新の医療機器を用いて正確な放射線学的検査・診断を心掛けています。

当院では、院内すべての放射線学的検査を放射線科専門医が細かくチェックする体制を整えました。CTやMRI検査はもちろん、単純レントゲン写真に至るまですべての画像を必ず2名以上の放射線専門医によって読影を行い、ダブルチェックを徹底することでミスを予防しています。

患者さんにリラックスしてリハビリテーションを行っていただけるように、田主丸中央病院のリハビリテーションセンターは、ゆったりとした開放感のあるつくりとなっています。

リハビリテーションセンターでは、リハビリテーション専門の医師と理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が連携して、患者さんにきめ細かいリハビリテーションの提供を行います。

当院では、以下6種類のリハビリテーションを提供しています。

脳卒中リハビリテーション

・心臓リハビリテーション

・呼吸リハビリテーション

・運動器リハビリテーション

がんのリハビリテーション

・スポーツリハビリテーション

病気を治すだけでなく、いかに元の生活水準に戻れるか、が特に高齢の患者さんには重要です。リハビリは高齢化社会における全人的医療に必要不可欠な要素ですので、当院はその充実に力をいれています。

田主丸中央病院の魅力のひとつに、職員がとても明るいということが挙げられます。患者さん、来客の方にはもちろん、職員同士も診療科や職種の垣根を越えて、明るく積極的に挨拶します。正直、これといった理由やきっかけは思い当たらないのですが、自然に病院の文化として根付いているようですので、当院の自慢の一つです。

法人職員のほとんどが参加する職員旅行や大忘年会などの行事も職員のストレス発散や部署を越えた交流の場として役立っているのではないでしょうか。

日頃から職員同士が職種を越えたコミュニケーションをとれていることが、院内全体の明るい雰囲気に繋がっているのかと考えます。

院内の勉強会

田主丸中央病院には院内保育所を併設しており、子どもをもつ職員も安心して働いていただけるような環境となっています。

また、2017年4月には当院併設の介護老人保健施設サンライフ聖峰1階に病児保育室を開設し、体調の悪い子どもを預かって保育・看護を行っています。病児保育室では、外部の方の子どももお預かりしています。

子どもとお母さん

私はかつてアメリカに留学し、その後大学病院での勤務を経て、2010年に当院に入職、2015年に叔父から院長の職を譲り受けました。

院長という立場は、医師として患者さんをみるだけでなく、広い視野をもって病院という大きな組織をまとめていかなければなりません。

様々な方の意見を聞きながら、変化を恐れずに、その都度、皆さんの望む医療を提供したいと考えています。

そのために、田主丸中央病院では地域の皆さんの意見を聞くモニター会を定期的に開き、実際にいただいた意見を反映するよう努めています。また、毎年チャリティーふれあいコンサートを開催し、地域の様々な行事にも積極的に参加、地域の活性化に努めています。

田主丸中央病院では、最先端の高度医療を実施しているわけではありませんが、医療や介護・福祉の連携に重きをおいて、総合的に質の高い医療を提供していきたいと考えます。

今後も、登録医の先生方、関連介護施設と連携しながら職員が一丸となって地域に必要とされる医療と介護に取り組んでいきます。

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  • 医療法人会聖峰会田主丸中央病院 理事長・院長

    鬼塚 一郎 先生

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  • 医療法人会聖峰会田主丸中央病院 理事長・院長

    日本循環器学会 循環器専門医日本内科学会 会員

    鬼塚 一郎 先生

    久留米大学医学部卒業後、同大学内科学第三講座入局。米国留学、大学病院勤務を経て、2015年に田主丸中央病院 院長に就任。若手病院経営者の集まりである、西日本若手病院経営者の会の幹事も務める。自身が育った田主丸で、医療と介護・福祉の連携を推進するなど地域医療に真摯に取り組む。

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