院長インタビュー

消化器内科と呼吸器内科で地域完結型医療をめざす黒澤病院

消化器内科と呼吸器内科で地域完結型医療をめざす黒澤病院
前田 修一 先生

黒澤病院 前理事長・前管理者、帯広中央病院 理事

前田 修一 先生

この記事の最終更新は2017年12月01日です。

社会医療法人 恵和会 黒澤病院は、JR帯広駅からおよそ1,300メートルのところに位置し、車で5分ほどの距離です。1922年(大正11年)に、初代院長である黒澤寅之助が開設した、黒澤外科病院を前身に持ちます。現在は99床(一般病床:53床、療養病床:46床)の規模で6名の医師が働いています。どのような特徴を持つ病院なのでしょうか。同院の理事監理者である前田 修一先生に伺いました。

当院は北海道でごく初期に整形外科を標榜した病院として、長年にわたり整形外科をメインに診療を続けてきました。現在は私が院長(現在は理事・管理者)となり、内科診療にも注力しています。なかでも消化器内科と呼吸器内科には力をいれています。

消化器内科を担当するのは私を含め、院長以下4名の医師です。対象となる臓器は、食道や胃、大腸といったいわゆる消化器に限らず、肝臓、胆嚢、膵臓も含まれます。

得意としているのが、内視鏡を用いた診察・治療です。特にハイビジョン内視鏡システムは早期から導入していました。ハイビジョン内視鏡を用いると、これまでの内視鏡では見逃しかねなかった小さな病変も、的確に発見できます。また画像が鮮明なため、検査時間の短縮にもつながります。そのため患者さんの身体的負担も、大きく軽減されます。

がんの早期発見をめざし、「NBI」と呼ばれるシステムも導入しました。このシステムを使うと、内視鏡画面上で、がんが浮かび上がるように描出されます。

「NBI」に加えて「FICE」というシステムも、早い時期から使っています。内視鏡にこのシステムを組み合わせると、ポリープの「悪性度」を正確に判断できます。つまり、取ってしまった方がよいポリープなのか、そうでないかが明らかになるのです。切除の必要がないポリープは切らずに済みますので、患者さんの負担は軽くなります。

内視鏡を用いた検査により、早期にがんが発見できれば、開腹せずに内視鏡を用いた切除で済む患者さんも増えます。患者さんの高齢化が進んでいる現在、体への負担が少ない内視鏡を用いた治療で、可能な限り対応したいと考えています。

近い将来、「消化器内科ならばこの地域で1番」と宣言できるように、頑張っているところです。

消化器内科と同様、呼吸器内科も患者さんの多い診療科です。将来的には、消化器内科と呼吸器内科に特化した病院をめざそうと考えているところです。

現在、呼吸器内科の分野でもっとも問題となっている疾患は、慢性閉塞性肺疾患COPD)です。長年にわたる喫煙の終着点ともいえる疾患です。当院では外来だけではなく、入院加療も行っています。

近年、その存在が明らかになり、問題視されている睡眠時無呼吸症候群SAS)にも対応しています。これは就寝時に何らかの理由で、気道が閉じてしまう病気です。突然の呼吸停止と大きないびきの繰り返しが特徴です。SASがあると眠りが浅くなるため、日中に強い眠気をもたらすことが知られており、場合によっては大きな事故を招きかねません。そのため、早期発見が大切です。

SASと診断がつけば、当院ではCPAP(シーパップ)と呼ばれる治療を行います。これは、機械が送り出す空気を、鼻に装着したマスクから送り込むものです。この空気圧により気道が閉塞せず、開存したままとなります。

当院は在宅医療にも力を入れ始めました。

サービス付き高齢者向け住宅などをメインに、月に200件以上の訪問診療に伺っています。

また、当院と同法人が経営する訪問看護ステーションや居宅介護支援事業所とも密な連携をとり、24時間体制で患者さんの病態の変化に備えています。

当院で勤務している医師は、縁がありきていただいている先生たちです。そういった背景もあり、当院は先生方の働きやすい環境をつくり出すことを重要視しています。今後、当院のような地方病院は、医療従事者のライフスタイルに合わせた運営を行うことがとても大切になってきます。理事管理者の私にとって、最大の仕事は、当院の先生方が働きやすい環境を整備することだと考えています。

地域のみなさまに対しましては、少なくとも消化器内科疾患と呼吸器内科疾患の分野において、遠方の都市まで行くことなく、当院で治療が完結できるように努力していくつもりです。

どうぞ今後とも、当院をよろしくお願いいたします。