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小児不整脈の治療法とマグネシウムの関係について

小児不整脈の治療法とマグネシウムの関係について
星野 健司 先生

埼玉県立小児医療センター 循環器科

星野 健司 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年08月03日です。

小児不整脈の治療には、薬物治療、アブレーション治療、ペースメーカー治療、ICD(植込み型除細動器)治療などの方法が存在します。そして、一部の小児不整脈には治療の第一選択として、マグネシウムの投与が有効といわれています。マグネシウムとはミネラルの一種で、小児不整脈の発作を鎮めたり、予防したりする効果があります。

今回は、埼玉県立小児医療センター 循環器科 科長兼部長の星野健司先生に、小児不整脈の治療方法やマグネシウムとの関係について、お話しを伺いました。

首をかしげている女性

期外収縮などの不整脈であれば、経過観察だけで治療の必要ない方もいます。しかし、治療が必要と判断した場合は、おもに薬物治療、アブレーション治療、ペースメーカー治療のいずれかを実施します。

QT延長症候群WPW症候群などの小児不整脈の種類について詳しくは、記事1『小児不整脈とは 原因や種類について』をご参照ください)

頻脈(脈が速くなること)に対しては、脈を整える効果のある抗不整脈薬を使用します。また、QT延長症候群やカテコラミン感受性多形性心室頻脈に対しては、心臓の動きを抑え効果のあるβ遮断薬を使用します。

カテコラミン感受性多形性心室頻脈…遺伝子変異により発症する不整脈の1種。

アブレーション治療とは、患者さんの脚の付け根などの血管からカテーテル(医療用の管)を挿入し、心臓のなかの不整脈の原因となっている部分を焼灼する治療法です。

アブレーション治療のイメージ
アブレーション治療のイメージ

主にWPW症候群などに対して、アブレーション治療は有効といわれています。一方、QT延長症候群など、遺伝子の変異が原因の小児不整脈に対してアブレーション治療を行うことはあまりありません。

アブレーション治療は、薬物治療よりも根治的に治療できるというメリットがあります。しかし、合併症などのリスクがあることや、小学生やそれ以下の年齢の患者さんに対してアブレーション治療を実施している施設は限られています。

合併症…ある病気や、手術や検査が原因となって起こる別の症状。

ペースメーカーとは、心臓に電気刺激を与え、心臓の収縮・拡張を正常なリズムに保つ装置です。

 

埋め込んだペースメーカーのイメージ

埋め込んだペースメーカーのイメージ

房室ブロックなどの徐脈(脈が遅くなること)性不整脈で、脈の数が低下している場合には、ペースメーカー治療を検討します。また、QT延長症候群やブルガダ症候群など、命にかかわる頻脈性不整脈に対しては、ICD(植込み型除細動器)を入れることもあります。

房室ブロック…房室結節の働きが低下することで、心房から心室へ電気を伝える時間が延長することによって発生する不整脈。

ICD(植込み型除細動器)…頻脈などが起こった際自動的に感知し電気ショックを心臓に与えることで、頻脈を停止させる装置。ペースメーカーと同様に、患者さんの体内に植え込む。

小児が点滴を打っている

小児不整脈の種類によっては、マグネシウムの投与により発作を止めたり、予防したりすることが可能です。たとえば、先天性心疾患の術後は、不整脈の発作が起きやすい状態です。そのため、先天性心疾患の手術をした患者さんは、術後にマグネシウムの量を測定し必要に応じて補充します。

また、多くのQT延長症候群はイオンチャネルの遺伝子変異により発症し、マグネシウムとカリウムの量が減少している場合もあります。そのため、QT延長症候群の患者さんの治療ではマグネシウムを補充することもあります。点滴のなかにマグネシウムを入れることで補充を行います。

イオンチャネル…細胞膜に存在し、ナトリウムイオンやカリウムイオンを通す膜たんぱく質の通路。

先生

基礎疾患がない期外収縮などの不整脈の場合、基本的に経過観察だけのものが大半を占めます。しかし、なかにはQT延長症候群のように突然死の危険があるものも存在します。危険な小児不整脈の場合は、しっかりと医療機関を受診し適切な治療を受けることが大切です。

QT延長症候群の薬物治療では、心室頻拍に対してマグネシウムの投与が有効といわれています。そして、マグネシウムは少ない副作用で治療をすることが可能です。しかし、QT延長症候群に伴う発作(心室性頻脈)に対するマグネシウムの投与についての報告は少ないといえます。そのため、今後は、マグネシウムによる治療の有効性やメリットを全国に周知できればと思っています。

またマグネシウムには、糖尿病の予防や、改善の効果もあることがわかっています。日々の生活では、マグネシウムを多く含んでいる野菜などの摂取を心掛けるとよいでしょう。

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