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【医師監修】梅毒の初期症状には何がある?

【医師監修】梅毒の初期症状には何がある?
 [医師監修] メディカルノート編集部

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梅毒は性的接触によって感染する性感染症の代表的なものです。最近までは日本で症例数が少なく過去の病気という印象を持つ人も多いですが、ここ数年急激に患者数が増加していて、今や私たちの身近な病気になりつつあります。この記事では、梅毒感染初期に現れる症状について解説します。

梅毒の初期症状

梅毒は代表的な性感染症のひとつで、日本でも近年増加傾向にあります。通常は性的接触によって、原因となる梅毒トレポネーマという細菌が感染することで起こる病気です。

感染してから3〜6週間程度は潜伏期で、何も症状が現れません。その後、症状が現れます。

硬いしこり

感染から3週間ほど経過すると、初期硬結(しょきこうけつ)と呼ばれる硬いしこりができることがあります。初期硬結は、梅毒の原因である梅毒トレポネーマが侵入した場所にできるため、性器や肛門などに集中して現れます。

初期硬結は通常0.5~2cm程度の大きさになり、その後急速に硬性下疳(げかん)と呼ばれる潰瘍になります。硬性下疳は赤く隆起したしこりが破れることでえぐれたような形になります。硬性下疳は周囲が隆起しているため、正常な皮膚との辺縁部が明瞭にわかりますが、発症部位が性器や肛門に集中していることもあり、初期硬結や硬性下疳は見過ごされることも多いです。

初期硬結や硬性下疳といった症状は、無治療でも数週間で消失します。

しこりに痛みやかゆみはある?

ほとんどの場合、初期硬結や硬性下疳は痛みやかゆみを伴わず、もしあったとしても軽度の疼くような痛みがある程度です。そのため、多くの場合は気づかないまま症状が消失してしまいます。

リンパ節の腫れが生じることも

股の付け根の部分のリンパ節に腫れが生じることもあります。この腫れは横痃(おうげん)横根(よこね)と呼ばれ、初期硬結や硬性下疳と同様に痛みを伴いません。

この症状は、初期硬結と同様に感染後3週間以降に生じ、治療をしなくても数週間で自然に消失します。

初期症状で風邪のような症状は起きる?

梅毒では風邪のような全身の症状が出ることがありますが、それはいつごろ現れるのでしょうか。風邪のような症状や赤い発疹(バラ疹)が出たときには、それは感染初期ではなく、感染から数か月経過していると考えられます。

梅毒の第1期と呼ばれる感染初期では、上に挙げた初期硬結、硬性下疳、リンパ節の腫れが主な症状で、いずれも痛みを伴いません。第1期の症状は放置していても自然に治るため、気がつかないまま次の第2期と呼ばれる段階に進んでいるというケースも多くあります。

第2期は第1期の症状が消失してから4〜10週間の潜伏期ののちに移行するステージで、発熱や倦怠感といった風邪に似た全身症状が現れることがあります。またこの時期には、手のひらや足の裏など体全体にうっすらと赤い発疹(バラ疹)が出るなど、広い範囲で皮疹が出現することがあります。このバラ疹は梅毒の症状としてよく知られているため、この段階で梅毒なのではないかと気がつく患者さんが多いです。

梅毒の初期症状は性別によって違うの?

梅毒感染初期に現れる初期硬結や硬性下疳、リンパ節の腫れといった症状自体に性差はありません。

どちらの場合でも、陰部や口の中、唇、肛門などの感染部位に初期硬結が現れます。

初期の梅毒でも人にうつるの?

初期でも人にうつる可能性がある

硬性下疳の表面には、多数の梅毒トレポネーマが存在しているため、本人が自覚していなかったとしても性的接触によって人に感染する可能性があります。また、第1期の症状が治まった後も、梅毒トレポネーマが体の中から消えたわけないことから、依然として感染力があります。自身の健康のためだけでなく、感染の拡大を食い止めるためにも、疑わしいと思った場合にはためらわず病院を受診することが大切です。

妊娠した場合に赤ちゃんへの影響はある?

女性が梅毒感染後に妊娠、もしくは妊娠した後に感染してしまった場合には、梅毒トレポネーマが胎盤を通じて胎児に感染してしまいます。これを母子感染と呼びます。

母子感染が起こると、流産や早産、死産などを引き起こすことがあるほか、生まれた赤ちゃんが新生児梅毒を起こす可能性があります。新生児梅毒では生涯に渡って症状が出ない場合もありますが、発症した場合には梅毒疹や骨軟骨炎などが起きることがあります。