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【医師監修】圧迫骨折の原因と治療方法は?予防のポイントを知ろう

【医師監修】圧迫骨折の原因と治療方法は?予防のポイントを知ろう
福島 健介 先生

北里大学医学部整形外科学 診療講師

福島 健介 先生

目次
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年齢を重ねるにつれて、背中が曲がってきたり、身長が縮んだ気がしたり、起き上がるときに背中が痛んだりということはありませんか。そのようなときは、自分では気が付かないうちに背骨を骨折しているかもしれません。背骨の骨折には、圧迫骨折があります。

背中に圧力がかかることで起こる圧迫骨折とは、どのような原因で起こり、どのような治療方法や予防のしかたがあるのでしょうか。この記事では背骨の圧迫骨折について解説します。

圧迫骨折はどんな骨折?

骨に大きな圧力がかかり骨が押しつぶされて生じる骨折

圧迫骨折とは、骨に大きな圧力がかかることで、骨が押しつぶされて起こる骨折のことです。

圧迫骨折の主な原因は骨粗しょう症です。骨粗しょう症になって骨がもろくなっているときは、重いものを持ったり、立ち上がったりなどの日常的な動作によって圧迫骨折が起こる可能性があります。また、転倒や交通事故など外からの強い力を受けたり、背骨に転移したがんによって骨が破壊されたりして圧迫骨折が起こることもあります。

背骨の圧迫骨折(脊椎圧迫骨折)はどんな状態?

椎骨に圧力がかかり椎体が押しつぶされた状態

一般的に背骨と呼ばれている脊椎(せきつい)は、人の頭蓋骨から骨盤までを24個の椎骨でつないでいる部分です(人によって椎骨の数にはばらつきがあります)。この椎骨に過剰な圧力がかかることで、椎体が押しつぶされた状態が、脊椎圧迫骨折です。

この骨折は、背中の中ほどから下部にかけて起こることが多いとされています。複数の箇所で脊椎圧迫骨折が起こると、背中が丸まり弯曲(わんきょく)することがあります。

圧迫骨折の原因

圧迫骨折が起こる原因の多くは骨粗しょう症

圧迫骨折の原因の多くは、骨粗しょう症であるといわれています。骨粗しょう症とは、骨の新陳代謝のバランスが崩れて、骨がもろく壊れやすくなってしまう状態のことをいいます。骨粗しょう症の患者数は、年齢が上がるに連れて増えていく傾向にあります。さらに、閉経による女性ホルモンの減少等により、男性よりも女性のほうが骨粗しょう症の患者数は多いといわれています。

骨粗しょう症によりもともとの骨がもろくなっているため、少しの衝撃でも圧迫骨折が起こることがあります。また、運動不足や喫煙の習慣などの生活習慣によっても骨はもろくなり、圧迫骨折の可能性が高まります。

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圧迫骨折の症状

背中や腰の痛みが主な症状

圧迫骨折が起こると、骨が押しつぶされたことによる痛みが背中や腰に生じます。歩いたり、かがんだりといった何かの動作をしたときに、背中の痛みや腰痛を感じることが多いです。

重度の場合は寝返りが打てなくなったり、仰向けに寝ることができなくなったりすることもあります。ただし、症状が弱いために自分では骨折していることに気付かない場合や、まったく症状がない場合もあります。

圧迫骨折になりやすい人の特徴

ホルモンバランスの変化が起きている閉経後の女性

閉経後の女性は、骨からカルシウムが引き出されることを防ぐエストロゲンという女性ホルモンが低下するため、骨がもろくなりやすいといわれています。そのため、閉経後の女性は骨粗しょう症になりやすく、その結果として圧迫骨折のリスクが高いといえるでしょう。

加齢により骨がもろくなっている高齢者

一般的に、骨密度のピークは男女ともに20代です。その後は加齢とともに骨の吸収や形成が低下し、骨粗しょう症になりやすくなるといわれています。運動不足や寝たきりの生活を送ると、骨への負荷が不足するため、骨量が減少します。

高齢者が圧迫骨折になると、背中が曲がってきたり、身長が縮んだりします。また、かがむ、手を伸ばす、持ち上げる、階段を昇る、歩くといった日常動作に支障をきたすこともあります。

圧迫骨折の治療

圧迫骨折の治療方法の例として、次の3つの治療方法を挙げます。

保存療法

保存療法とは、骨折部位をしっかりコルセットで絞めて動かないようにし、骨が固まるまで安静に待つ治療方法です。一定期間安静にしていると、押しつぶされた骨が少し固まり、痛みも改善するとされています。

安静期間は1~2週間程度のこともあれば、骨折部が不安定だと3か月間以上痛みが回復しないこともあります。あまりに長い期間安静にしていると、筋肉・関節を動かす機会が減るため、痛みのない範囲で筋力トレーニングを行うことが重要です。

外科的治療(固定術)

外科的治療(固定術)とは、脊椎に骨を移植したり、金属製のねじや棒を入れたりすることで、押しつぶされた骨を固定する方法です。全身麻酔下で行われ、数週間ほどの入院が必要です。骨折の痛みに加えて、背中を大きく切開した傷の痛みが生じるため、体への負担が大きいといわれています。

バルーン椎体形成術(BKP治療)

バルーン椎体形成術(BKP治療)とは、押しつぶされた椎骨にバルーンを挿入して膨らませ、もとの椎骨の形まで押し広げ、バルーンを膨らますことによってできた空洞に骨セメントを入れる治療法です。治療時間が短く低侵襲であるため回復が早いといわれていますが、どの骨折にも適応できるわけではなく、治療をできる施設や医師も限られますので、十分な主治医との相談が必要です。

圧迫骨折の治療のためにどのようなリハビリを行うの?

圧迫骨折の治療のためのリハビリは、骨折部位をしっかりとコルセットで固定して動かないようにしたうえで行います。リハビリの具体的な内容は、骨折の原因や骨折箇所の周りの部位の状態、合併症など、ひとりひとりの状態に合わせて決められます。

コルセットを使用しながら、積極的なリハビリを実施

安静期間が長くなればなるほど、下肢や体幹の筋力が低下します。そのため、医師や理学療法士、作業療法士の指示のもと、ストレッチや歩行練習、筋力トレーニングなど、積極的にリハビリを実施することが重要です。

圧迫骨折の予防のポイント

骨粗しょう症の予防・治療が大切

圧迫骨折を予防するためには、骨粗しょう症の予防や治療が大切です。薬の内服や、注射で骨を強化する治療方法もあります。さらに、カルシウムやビタミンDの摂取、適度な運動を日頃から心がけることが重要です。適切な食事は骨の強度を高める効果を期待でき、運動を行うことで骨の健康を保つことが可能になるといわれています。

生活習慣を改善したり、骨を強化する薬を取り入れたりすることで、強い骨を作ることを心がけましょう。

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