初期の大腸がんの場合、患者さんの自覚症状はあまり現れないことが多いといわれています。進行してくると血便や便が細くなるといった便の変化、腹痛、貧血などの症状が現れることがあります。
今回は、東北ろうさい病院 内視鏡外科部長の松村直樹先生に、大腸がんの症状や、早期発見するための方法についてお話を伺いました。
早期の大腸がんの場合、目に見える症状や患者さんの自覚症状はほとんどありません。初期の段階で大腸がんがみつかる患者さんは、検診(便潜血検査*)や人間ドックなどで偶然に発見されることも少なくありません。
*便潜血検査…採取した便のなかに、血液が混ざっていないかを調べる検査
大腸がんが進行すると、以下のような自覚症状が現れます。
大腸にできた腫瘍から出血を起こすことで、便に血液が付着し血便が出ることがあります。また、下血(消化管の出血が肛門から外に出てくること)が起こる、腫瘍で便の通り道が狭くなるため便が細くなる、下痢と便秘を繰り返す、残便感があるといった症状が現れることもあります。
腫瘍から出血を起こすことで、貧血になることがあります。
腫瘍が大きくなることにより大腸が狭くなり、便が通りにくくなります。それにより便秘や下痢、腹痛が起こることがあります。完全に詰まってしまうと、腸閉塞(腸がふさがり内容物が詰まること)になります。腸閉塞を発症すると、腹痛や嘔吐、発熱といった症状が現れ緊急の処置が必要となります。
疲れやすくなり食欲が落ちることから、急激に体重が減少することがあります。
大腸がんの症状、特に血便と腸閉塞症状は、大腸のどの部位に腫瘍ができるかによって異なります。
たとえば、S状結腸や直腸付近の腫瘍が出血すると、便はある程度硬い塊になっているため、血液が付着していることがはっきりとわかる便が出ます。しかし、上行結腸など直腸から離れた場所の腫瘍が出血した場合、便はまだ液状のため、肛門から出てくる時点では血液が便のなかに混ざってしまい、目に見えないこともあります。
血便についての詳しい解説は、記事2『血便の原因は痔だけではない 大腸がんの可能性も』をご参照ください。
また、便が固まった状態で存在する場所に腫瘍ができれば、腫瘍により腸管が狭くなると便が詰まるため腸閉塞症状(嘔吐や腹痛など)が発生します。しかし、便が液状の場所に腫瘍ができ狭窄が起こっても、便はすり抜けてしまうため、腸閉塞症状はあまり発生しないと思われます。上記のような理由から、上行結腸がんや盲腸がんは自覚症状がなかなか現れず、発見が遅れる傾向にあります。
大腸がんを早期に発見するためには、定期的に検診(便潜血検査)や人間ドックを受けることが重要です。早期に発見することで、患者さんの心身の負担が少ない治療が可能となるほか、再発率も下がります。40歳を過ぎたら1年に1度は大腸がん検診を受けることを、厚生労働省でも推進しています。
東北ろうさい病院 外科副部長 内視鏡外科部長 内視鏡下手術センター長
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