疾患啓発(スポンサード)

乳がんの検査とは 検診から術前検査まで詳しく解説

乳がんの検査とは 検診から術前検査まで詳しく解説
東京都済生会中央病院 乳腺外科 部長 佐藤 隆宣 先生

東京都済生会中央病院 乳腺外科 部長

佐藤 隆宣 先生

目次
項目をクリックすると該当箇所へジャンプします。

日本では、乳がんの「対策型検診」として、40歳以上の女性に対して2年に1回、問診やマンモグラフィ検査を行なっています。(2018年現在)そのほか、乳がんの検診には人間ドックなどの「任意型検診」と呼ばれるものもあります。また、乳がんの自覚症状がある患者さんは、検診ではなく外来を受診することが必要です。

今回は、東京都済生会中央病院 乳腺外科部長の佐藤隆宣先生に、乳がん検診の種類や、乳がんの精密検査から乳がんと診断された後の検査についてお話をお伺いしました。

乳がんの検診の種類

乳がんの検診は大きく、「対策型検診」と「任意型検診」の2種類に分かれており、それぞれ特徴が異なります。検診を受ける方は、対策型検診と任意型検診がどのような目的で行われているものなのかを理解したうえで受けることが大切です。

マンモグラフィ検査の画像 画像提供:佐藤隆宣先生

マンモグラフィ検査の画像 画像提供:佐藤隆宣先生

超音波検査の画像 画像提供:佐藤隆宣先生

超音波検査の画像 画像提供:佐藤隆宣先生

対策型検診とは

対策型検診は、国民の死亡率を低下させることを目的として、国政の一環として実施されているものです。市町村が行う住民健診は、こちらに該当します。有効性が確立された検査方法で、その利益が不利益を上回ることが基本条件とされています。

マンモグラフィ検査
マンモグラフィ検査

2018年現在の日本では乳がんの対策型検診として、40歳以上の女性に対して2年に1回の問診や乳房専用のレントゲン検査であるマンモグラフィ検査が実施されています。

任意型検診

任意型検診とは、病院やクリニック、検診機関などが任意で提供している検診のことで、人間ドッグなどが該当します。検査項目はそれぞれ異なり、問診や視触診、マンモグラフィ検査に加え、超音波検査*などが行われることもあります。

マンモグラフィ検査に超音波検査を加えることで、マンモグラフィ検査だけを実施したときよりも、乳がんの発見率が約1.5倍上昇するという報告もあります。なお、検診に超音波検査を加えることによる死亡率の低下はまだ証明されていません。

超音波検査…患者さんに超音波を当て映像化する検査。

乳がんの精密検査

検診において乳がんの疑いがあり医療機関を紹介された方、または、乳がんと思われる自覚症状がある方は外来を受診して精密検査を実施します。精密検査では一般的に、視触診や問診、マンモグラフィ検査、超音波検査、乳房MRI*などの検査を受けます。

乳がんの確定診断*のためには、穿刺細胞診または針生検による組織診を行います。

MRI…磁気を使い、体の断面を写す検査。

確定診断…何の病気なのかを確定させる診断。

穿刺細胞診

穿刺細胞診のイメージ
穿刺細胞診のイメージ

穿刺細胞診とは、顕微鏡でがん細胞を観察する検査です。まず超音波検査で位置を確認しながら病変*に細い針を刺し、細胞を注射器で吸引します。その後、顕微鏡で細胞を観察し、乳がんかどうかを診断します。

患者さんから希望がある場合は局所麻酔をかけて実施しますが、基本的に痛みなどの身体的負担の少ない検査です。

病変…病気による変化が起きている箇所。

針生検による組織診

針生検による組織診のイメージ
針生検による組織診のイメージ

針生検による組織診では、細胞ではなく組織の一部を採取して観察します。針生検では、穿刺細胞診よりも太い針を病変に刺すため、局所麻酔をかける必要があります。検査は、超音波検査により位置を確認しながら行われます。

針生検は穿刺細胞診よりも正確な診断が可能となる検査です。

組織診では乳がんのサブタイプもわかる

組織診では、乳がんの確定診断だけでなく乳がんのサブタイプ*も調べることができます。乳がんのサブタイプは、ホルモン受容体*とHER2*の陰性・陽性、がん細胞の繫殖能力(Ki-67)といったがん細胞の性質により分類されており5つのタイプに分類されています。

このサブタイプは乳がんの治療計画を立てる際に非常に重要です。そのため、画像検査などからがんの疑いがある患者さんに対しては、穿刺細胞診ではなく組織診を実施します。

ホルモン受容体…ホルモンと結合するタンパク質のこと。ホルモン受容体陽性の乳がんの場合ホルモンと結合して、がん細胞が増殖しやすくなる。

HER2…遺伝子の一種でがん細胞の増殖にかかわっている。HER2陽性の場合、HER2タンパク質または、HER2遺伝子を過剰に持っていることを意味する。

先生

乳がんと診断された後の検査

精密検査から乳がんの診断がついた場合

  • 乳房内の乳がんの広がり
  • 反対側の乳房の乳がんの有無
  • 腋窩(えきか)リンパ節*転移の状況
  • 遠隔転移の有無

の4点を調べる検査を実施します。

乳房内のがんの広がりなどは乳房MRI検査やCT検査*から判断します。がん細胞の遠隔転移が疑われる症状などがある患者さんに対しては、骨への転移を調べる骨シンチグラフィ検査*や、FDG-PET検査*などを実施します。

そして、これらの検査結果を複合的に判断し、どういった治療を行うか、手術の術式はどうするのかなどを決定します。

(乳がんの手術について詳しくは、記事2『乳がんの手術について 乳房温存手術と乳房切除術の特徴とは』をご参照ください。)

CT検査…エックス線を使って身体の断面を撮影する検査。

骨シンチグラフィ検査…骨の異常部位に集まる放射性薬剤を患者さんの静脈に投与し、特殊なカメラで撮影する検査。

FDG-PET検査…がん細胞に集まる放射性薬剤を患者さんの静脈に投与し、特殊なカメラで全身の詳しい画像を撮影する検査。

【東京都済生会中央病院へのお問い合わせはこちら】

受付時間: 8:00~11:30  月~金曜日(土曜日は第1・3・5週のみ)
電話番号: 03-3451-8211
ホームページ:https://www.saichu.jp/

お問合わせの際はメディカルノートのこちらの記事を見た、とお伝えいただくとスムーズです。