院長インタビュー

病院は安心を提供することも使命のひとつ─大分岡病院

病院は安心を提供することも使命のひとつ─大分岡病院
立川 洋一 先生

大分岡病院 院長、社会医療法人敬和会 理事

立川 洋一 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年09月07日です。

大分県大分市の東部に位置する大分岡病院では、診療科のセンター化を進めており、内科と外科が協力して治療にあたっている診療科が多くあります。また、同院は開放型病院の認可を受けており、病院機能の一部を地域の先生方と共有するなど、地域との連携も行っています。同院のセンター医療や今後の展望について社会医療法人敬和会 大分岡病院 院長立川洋一(たつかわよういち)先生にお話を伺いました。

大分岡病院─外観(大分岡病院よりご提供)

医療や介護、保健、福祉分野のサービスを提供する社会医療法人 敬和会の中で大分岡病院は急性期医療を提供しています。

当院の開院は1954年にまでさかのぼります。開院当時は有床診療所岡医院として、地域に産科や婦人科、外科などの医療提供を行っていました。その後、診療所から病院になり、増床や診療科の拡充とともに、さまざまな医療機器を導入し、地域の急性期医療の提供に貢献しています。

また、2001年には開放型病院の認可を受け、開放病床を設置しました。開放型病院とは、病院の施設や設備を地域の先生方に開放し、患者さんの診療を行う病院のことです。認可を受けたことで、より地域に密着した医療の提供や地域の病院との連携が取りやすくなったと感じています。

エントランスホール(大分岡病院よりご提供)
ER救急センター受付(大分岡病院よりご提供)

当院では救急・総合診療センターを設置し、二次救急患者さんの受け入れを積極的に行っています。大分岡病院が位置する大分市東部地区において、救急医療の中核病院を目指し、救急科に所属する医師や看護師を中心に多職種と協力して診療を行っています。

搬送された患者さんの初診を救急科で行い、他科での治療が必要かどうかを判断し、必要な場合には各専門科で治療を行う連携体制をとっています。

今後は大分市東部地区もご高齢の救急患者さんの割合が増えてくると予想しています。高齢者の方のなかには、いくつかの病気をお持ちの患者さんもいらっしゃり、ひとつの病気のみを診療するだけでなく、さまざまな病気の可能性を疑って診察しなくてはならないと考えています。そのため、救急・総合診療センターでは患者さんに対して総合的に診療が行える医師が必要です。今後は、救急科医師の体制を強化し、地域にとって当院の救急・総合診療センターがあることで安心してもらえるような体制づくりを行ってまいります。

ER(大分岡病院よりご提供)

また、地域の救急医療で中核病院を目指すなかで、「断らない救急・全員参加の救急」をスタッフに意識させ、実行しています。特に夜間の救急患者さんの受け入れは、救急科だけでなく、それぞれの診療科との協力が重要になります。そのため、スタッフの尽力もあり、2017年度の救急車搬入件数は2,355台でした。さらに、大分市消防局の要請があると当院から医師が同乗したドクターカーを出動させることもあります。

救急・総合診療センターは、将来的には三次救急の受け入れも可能とする体制にしていきたいと考えています。

ドクターカー(大分岡病院よりご提供)

大分岡病院の診療では、救急・総合診療センターを含めた6つのセンターを設置しています。2018年4月現在は6つのセンターが稼働していますが、将来的には合計10センターを設置することが決まっています。

<大分岡病院の6センター>

  • 心血管センター
  • 消化器センター
  • 創傷(そうしょう)ケアセンター
  • 救急・総合診療センター
  • 大分サイバーナイフがん治療センター
  • 口腔顎顔面外科・矯正歯科センター

以下では、6センターのなかのいくつかのセンターをご紹介します。

心臓血管外科オペ風景(大分岡病院よりご提供)

循環器内科、心臓血管外科の診療科が専門性を発揮し、治療にあたりながら協力し、患者さんにとってよりよい治療を提供できるように日々研鑽を重ねています。

循環器内科の治療では虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん)の治療以外に、不整脈や冠動脈に対するカテーテル治療を行っています。また、心臓血管外科では、心臓弁膜症や胸部、腹部大動脈瘤、閉塞性動脈硬化の治療や不整脈、狭心症などの外科的手術の提供を行っています。

さらに、同センターでは心臓血管外科分野の内視鏡下手術を行っており、内視鏡下手術が適用可能な手術は積極的に導入しています。内視鏡下手術は低侵襲手術であり、患者さんへの負担が少なく早期の社会復帰が期待されている手術方法です。心血管センターでは、患者さんやそのご家族が治療方針に納得していただけるように、外科と内科で相談し、よりよい治療を提供することを心がけています。

消化器センター内視鏡カンファレンス風景(大分岡病院よりご提供)

大分サイバーナイフがん治療センターでは、サイバーナイフを用いたがん治療を行っています。そもそもサイバーナイフとは、がん病変に対して放射線をピンポイントに照射して治療する放射線治療装置です。このサイバーナイフを使用したがん治療の提供を行い、急性期のがん緩和ケアへつなげています。

がん緩和ケアというと一般的には終末期医療を思い浮かべる方も多いと思います。しかし、当院は急性期病院であるため、急性期病院ならではのがん緩和ケアを大切にして、行っています。

サイバーナイフ(大分岡病院よりご提供)

口腔顎顔面外科・矯正歯科センターでは、顎変形症(がくへんけいしょう)口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)などの治療を主に行っています。口唇口蓋裂の治療では、チームを組んで、年に1回ベトナムに向かい口唇口蓋裂の子どもたちに無償で治療を行っています。

口唇口蓋裂とは、上くちびるや上あごが割れている状態で生まれる病気です。同センターでは、治療だけでなく傷あとのケアや言語聴覚士の構音訓練も行っています。また、矯正歯科も同じフロア内にあるため、口唇口蓋裂の治療後に行われる矯正治療もスムーズにできます。さらに、幼少期から成人するまでに必要な治療を一貫して同センターで行い、患者さんやそのご家族をサポートしています。

入院治療が必要な患者さんは科が所属するセンターの病棟に入院して、治療を受けていただきます。

一部の診療科をセンター化しているメリットは、内科と外科が協力して診療にあたることが可能になっていることだと考えています。たとえば、心臓手術を控えている患者さんが術前検査で内科に入院したとしても、同じフロアに心臓血管外科もいますので術前検査から退院まで一貫して同じスタッフが診療にあたります。手術を控えている患者さんは、とても不安な気持ちを持っていると思います。同じスタッフが一貫して診療することで、患者さんとスタッフの間に信頼関係が生まれ、患者さんも安心して治療に臨むことができるのではないかと考えています。

大分岡病院は、センター医療を充実させていきたいと考えています。今後は10のセンターを稼働させる予定です。現在稼働している救急・総合診療センターでは、将来的に三次救急の受入れを可能にすることや、心血管センターではカテーテル治療の施設基準の獲得など、個々の目標ももちろんあります。センター医療を充実させることで、当院でしかできない治療の提供を目指し、患者さんには「大分岡病院が行う治療だから受けたい」と思ってもらえるような病院づくりや病院機能の向上に努め、スタッフ一同で研鑽を重ねています。

連携医パンフレット(大分岡病院よりご提供)

また、地域医療支援病院に指定されていることを自覚し、日々の診療にあたらなくてはならないと考えています。地域医療支援病院では、地域の診療所や病院との連携や信頼関係がとても重要になってきます。今まで以上の信頼関係を築くためには、当院の機能である急性期医療の提供や救急患者さんの受け入れをしっかり行い、より安心で安全な医療の提供ができる病院を目指しています。

大分岡病院は、病院の持つ急性期医療の機能を地域のみなさまに提供できるようなシステムをつくっています。普段はかかりつけ医で診療を受けていただき、入院治療が必要になった場合には、大分岡病院を利用していただきます。「いつもはかかりつけの先生、何かあったら大分岡病院があるから安心」と言っていただける病院で有り続け、地域のみなさまには、安心して暮らしてほしいと思います。なにかあれば、当院のスタッフが責任を持って対応し、地域に戻れるように治療やリハビリテーションを提供していきます。

また、治療の提供だけでなく、安心を提供することも使命のひとつだと考えています。たとえば、当院には1年に1回だけ診察を受けるという患者さんも少なくありません。治療の成果を確認し、患者さんに経過が良好だと伝えることも大切だと考えています。

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  • 大分岡病院 院長、社会医療法人敬和会 理事

    立川 洋一 先生

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