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MacFとは?頚椎症性神経根症や外側型の頚椎椎間板ヘルニアに対して行う...
頚椎の手術にはさまざまな手術方法があり、より低侵襲になるように日々研究され発展を遂げています。今回は、頚椎の手術方法の中でも、患者さんへの負担が少ないMacF(マックF)と呼ばれる顕微鏡下頚椎前...
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MacFとは?頚椎症性神経根症や外側型の頚椎椎間板ヘルニアに対して行う低侵襲手術

公開日 2018 年 10 月 01 日 | 更新日 2018 年 10 月 01 日

MacFとは?頚椎症性神経根症や外側型の頚椎椎間板ヘルニアに対して行う低侵襲手術
土屋 直人 先生

品川志匠会病院 新横浜スパインクリニック

土屋 直人 先生

目次

頚椎の手術にはさまざまな手術方法があり、より低侵襲になるように日々研究され発展を遂げています。今回は、頚椎の手術方法の中でも、患者さんへの負担が少ないMacF(マックF)と呼ばれる顕微鏡下頚椎前方椎間孔拡大術について、品川志匠会病院の土屋直人先生にお話を伺いました。

MacFとはどのような手術?

顕微鏡を用いて首の前側から神経根の通り道を広げる手術

MacF(マックF)とは、「顕微鏡下頚椎前方椎間孔拡大術」のことを指します。

1996年にJho HDが発表した術式で、“Microsurgical anterior cervical foraminotomy” といい、その頭文字をとってMacFと呼ばれています。対象となる病気は、頚椎症性神経根症と外側型の頚椎椎間板ヘルニアで、保険が適用されます。同様の術式を、単に「前方椎間孔拡大術」と呼んでいる施設もあります。いずれの施設でも顕微鏡下で行われています。

外側型の頚椎椎間板ヘルニア…頚椎椎間板が斜め後ろに飛び出し、脊髄の端から片方の神経根が圧迫されている状態

※頚椎症性神経根症については、こちらの記事『頚椎症性神経根症の治療―手術の対象となる患者さんは?』をご覧ください。

<JHOの論文のabstract>

A new technique of microsurgical anterior foraminotomy was developed to improve the treatment of cervical radiculopathy. This technique provides direct anatomical decompression of the compressed nerve root by removing the compressive spondylotic spur or disc fragment. The nerve root is decompressed from its origin in the spinal cord to the point at which it passes behind the vertebral artery laterally. Because most of the disc within the intervertebral space is undisturbed, a functioning motion segment of the disc remains intact. This technique differs from that of Verbiest in that it does not directly transpose the vertebral artery. Unlike Hakuba's technique, the disc within the intervertebral disc space is not removed.

Jho HD,et al. Microsurgical anterior cervical foraminotomy for radiculopathy: a new approach to cervical disc herniation.J Neurosurg.1996 Feb;84(2):155-60.より引用

以下、品川志匠会病院でのMacFについて述べます。

MacF―大まかな手術の流れ

土屋先生ご提供画像
土屋先生ご提供画像

のどの横にシワに沿って3cmほど切開します。頚椎前側に達したら、顕微鏡下で関節の一番はじにキーホールと呼ばれる縦長の穴をドリルで開けます。この際、中央から反対側にかけて、なるべく多くの椎間板を温存します。

次に、キーホールから神経根を圧迫している骨のとげや、椎間板ヘルニアをピンポイントで取り除きます。患者さん自身の椎間板は8〜9割温存されるため、人工骨や金属による固定は行いません。

最後に、切開した皮下組織を吸収糸で縫い合わせ、合成皮膚表面接着剤で閉じて終了です。

術後はカラーで首を固定する必要性がなく、術後3時間で歩いて構わないため、ストレスが少ないです。

土屋先生ご提供画像
土屋先生ご提供画像

 左C5/6MacF後の頚椎3D‐CT画像です。左は頚椎を前から見た画像で、右は左斜め前から見た画像です。矢印のところをドリルで削って、神経根の通り道の椎間孔(右図の黒い穴)を拡大しています。

土屋先生ご提供画像
土屋先生ご提供画像

右図の黒四角の範囲を顕微鏡で拡大して見た画像です。青矢印がキーホール、赤矢印が除圧後の神経根です。

MacFの手術動画は以下のURLでご覧下さい。

https://youtu.be/1kNUj1hPmk0

https://youtu.be/27BE-ck0220

https://youtu.be/0nWMXbHAHDU

https://youtu.be/iX8I1ng5Tdk

https://youtu.be/fsPEkz2nW5Q

MacFのメリット

MacFには、以下のようなメリットが挙げられます。

神経根の除圧が確実にできる

神経根を前方から圧迫している骨のとげやヘルニアを前方から直接取り除くことが可能です(脊髄の除圧は、他の術式が適応になります)。

短期入院で手術が可能

数日以内で退院可能です。MacFは低侵襲な術式のため、従来の手術方法と比べて入院日数を短縮できます。

術後の傷の痛みが軽い

3cm程度の切開で行う手術で、筋肉を傷つけにくく、頚椎後方からの手術に比べると創部の痛みが軽いです。

出血量が少ない

MacFでは、顕微鏡で見て止血しながら手術を進めるため、出血量が従来の手術に比べるとはるかに少ないことも特徴です。体への負担が少なく、高齢者でも手術できる可能性が高くなります。

抜糸がなく手術翌日からシャワーが可能

皮膚を切開した箇所は、合成皮膚表面接着剤を用いて塞ぎます。濡れても問題ないため、手術の翌日からシャワーを浴びることができます。退院した日からは入浴も可能です。

リハビリ通院の必要がない

MacFは、歩行困難な方に対する手術ではないため、術後のリハビリ通院の必要がありません。退院時は、公共の交通機関を利用したり、車を運転したりして帰ることができます。

なお、腕や手の麻痺がある方は、リハビリ方法を入院中に指導し、自宅でリハビリを継続していただきます。

MacFで起こりうる合併症

MacFに特有の主な合併症には、以下が挙げられます。

関節の変形

頚椎を固定しない術式のため、術後に関節の変形を生じることがときにあります。

眼瞼下垂

まれに、術後軽度の眼瞼下垂(がんけんかすい)を生じることがあります。

動脈出血

手術中に椎骨動脈の近くを削るため、動脈出血が起こることがきわめてまれにあります。止血は可能です。

術後の受診頻度

術後の受診について、当院では、関東に住んでいる方の場合、1か月後、3か月後、6か月後、12か月後、24か月後です。関東以外の遠方に住んでいる方は、3か月後と1年後に受診していただいて経過をみます。

MacFー手術後どれくらいで復職できる?

仕事

基本的に退院後すぐに復職が可能

当院でMacFを行った場合、ほとんどの職業で、退院後すぐに復職可能です。ただし、姿勢に気をつけて、小まめに頚椎の休憩を挟んでください。痛みがないからと、長時間同じ姿勢で無理してはいけません。上を向き続ける職業や、下を向き続ける職業の場合、仕事中のみ頚椎カラーを使用して経過をみることがあります。

基本的に手術前に仕事ができていた方は、退院後すぐに復職できます。手術前に状態が悪く仕事ができていなかった方は、術後の経過をみながら徐々に体を慣らしていきましょう。

頚椎症性神経根症や外側型の頚椎椎間板ヘルニアで悩んでいる方へ

土屋先生

頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアで、症状が神経根症のみの方は、日本においては手術という選択肢を提示されないことが多いです。それは、保存的治療で治癒する方の割合が多いからです。

しかし、疾患が加齢によるものなので患者絶対数が膨大な人数であり、保存的治療で治らない方の割合は少なくても、人数とすれば大勢の方が悩んでいることになります。

保存的治療で症状が改善せず、手術で治したいと考えていても手術を断られたり、診療科を次々と回されたり、医師に辛さをわかってもらえないということもあるかもしれません。

私は、手術を希望していない方に手術を勧めるつもりはありません。手術で治したいという意思を持つ方の助けになりたいと思っています。

 

頚椎症性神経根症・頚椎椎間板ヘルニア (土屋直人先生)の連載記事

頚椎疾患を専門としている脳神経外科医師。
患者さんへの負担をより減らすため、MacFと呼ばれる顕微鏡下頚椎前方椎間孔拡大術に取り組んでいる。患者さんの痛みや悩みに日々寄り添い、厚い信頼を得ている。

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