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下肢静脈瘤の症状−初期症状はある?

下肢静脈瘤の症状−初期症状はある?
メディカルノート編集部 [医師監修]

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下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)というと、ボコボコと浮き出た足の血管を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。下肢静脈瘤には、このほかにもいくつかの特徴的な症状があります。

今回は下肢静脈瘤で起こり得る症状とその経過について解説します。

下肢静脈瘤になると、足の皮膚の比較的浅い層にある伏在静脈が拡張し、皮膚表面の血管がボコボコとした(こぶ)状に膨れてきます。専門的には静脈怒張と呼ばれる症状です。初期の段階では、血管がわずかに浮き出る程度で、気付かれないことも多いようです。

医師提供画像

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下肢静脈瘤の症状写真

症状が進行すると大変目立ってくるため、“下肢静脈瘤=静脈怒張”と考えられがちですが、実のところ血管の瘤は下肢静脈瘤という病気の本質ではないと考えています。患者さんの悩みは、静脈弁が壊れて足全体の血液循環が悪くなることで起こる、以下の諸症状にあることが多いからです。

下肢静脈瘤の初期症状として、足のむくみやだるさ、頻回のこむら返り(足がつること)などがみられます。これは静脈弁が壊れて古い血液が滞ることにより、足全体の血液循環が悪くなるためです。

ペイレス

下肢静脈瘤が重症化すると、足の血液循環がさらに滞り、皮膚やその下に老廃物が蓄積します。この結果、膝から下の足が広い範囲で赤くなり腫れ上がる“うっ滞性皮膚炎”を併発します。

うっ滞性皮膚炎を繰り返すうちに皮膚表面がただれて潰瘍(かいよう)(深くえぐれたようになった状態)になることがあります。潰瘍の大きさは500円硬貨大~手のひら大とさまざまです。自然に治ることもありますが、局所の循環が悪くなっているので、大抵の場合はたいへん長引いてしまいます。潰瘍化を繰り返しているうちに、皮膚自体も硬く分厚く変性し、濃いシミがいつまでも残ってしまいます(色素沈着)。

ここまで解説したのは下肢静脈瘤の典型的な症状ですが、そのほかに以下のような症状がみられることもあります。

怒張した血管が何かと接触して傷つくと、傷口から血液が噴水のように噴き出すことがあります(静脈破裂)。非常にまれな症状ですが、びっくりして救急車を要請される方もいます。この出血はしっかり圧迫することで、ほとんどの場合は止血されます。

静脈内で血液が滞り続けると、血栓(血の塊)になることがあります。これが原因となり、血管の周りが熱を持って赤くなり。炎症を引き起こします(血栓性静脈炎)。強い痛みを訴えて受診する方もいます。これに関しては、適切に消炎鎮痛剤を内服することで、差し当たっての症状をとることができます。また、命に関わる肺塞栓(はいそくせん)を併発する深部静脈血栓症とは似て非なる病気です。

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