【疾患啓発(スポンサード)】

クリップする
URLを入力して
記事をクリップしましょう
指定された URL のページが見つかりません
S664x430 bb511b2f b9ca 4bfe bbb4 c5ae0188d2eb
脳動脈瘤における脳血管内治療―治療の種類と術後について
脳動脈瘤は、開頭手術だけではなく、脳血管内治療でも治すことができます。脳血管内治療は、カテーテルで脳動脈瘤にコイルを詰めて破裂を予防する治療法です。体への負担が少ない治療であり、基本的に退院後の...
クリップに失敗しました
クリップ とは
記事にコメントをつけて保存することが出来ます。検索機能であとで検索しやすいキーワードをつけたり、読み返し用のメモを入れておくと便利です。
また、記事を読んで疑問に思ったこと、わからないことなどをコメントに書き、「医療チームのコメントを許可する」を選んで頂いた場合は、医師や看護師が解説をメールにてお送りする場合があります。
※ クリップ内容は外部に公開されません

脳動脈瘤における脳血管内治療―治療の種類と術後について

公開日 2018 年 10 月 05 日 | 更新日 2018 年 10 月 05 日

脳動脈瘤における脳血管内治療―治療の種類と術後について
渋谷 肇 先生

東京曳舟病院副院長 脳神経外科部長

渋谷 肇 先生

目次

脳動脈瘤は、開頭手術だけではなく、脳血管内治療でも治すことができます。脳血管内治療は、カテーテルで脳動脈瘤にコイルを詰めて破裂を予防する治療法です。体への負担が少ない治療であり、基本的に退院後の生活に制限はありません。

今回は、脳動脈瘤における脳血管内治療について、東京曳舟病院脳神経外科の渋谷肇先生にお話を伺いました。

脳動脈瘤における脳血管内治療とは?

カテーテル室

カテーテルを用いて脳動脈瘤の破裂を防ぐ治療方法

脳血管内治療とは、頭部を切開して手術を行うのではなく、カテーテルと呼ばれる細い管を血管に挿入して行う治療方法です。主に「コイル塞栓術」や「ステント併用コイル塞栓術」という方法で行われます。鼠径部(太ももの付け根)からカテーテルを入れて、脳動脈瘤にコイルを詰めて脳動脈瘤の破裂を防ぎます。当院では、脳血管内治療を基本的に全身麻酔で行っています。心臓などに問題があり、全身麻酔ができない場合は、局所麻酔でも対応できます。

通常は、術前の造影CTで脳動脈瘤の治療の適応を決めますが、脳動脈瘤の形が複雑で、術前に脳の血管の状態を確認した方が良いと考えられる患者さんは、術前に脳血管撮影検査を行ってから治療の適応を決めることもあります。実際の治療は、脳血管造影で脳動脈瘤の形や血管の根元の状況を見ながら行います。脳全体の血管を見て、どこの血流を止めて、どこを止めてはいけないのかを考えながら治療を進めます。脳血管内治療に要する時間は、3時間ほどです。

脳血管内治療の種類

コイル塞栓術

コイル塞栓術

コイル塞栓術は、脳動脈瘤にコイルを詰めて破裂を予防する治療法です。脳動脈瘤がある血管にコイルを詰めるだけで、正常な血管には何も残しません。

コイル塞栓術には、補助的な方法が2つあります。

・バルーンアシスト

コイル塞栓術 バルーンアシスト

血管の根元を一時的にバルーンで止めて、脳動脈瘤の中にコイルを巻いて収める方法です。当院では、実際に使わなくても、安全のためにバルーンを入れることが多いです。出血した際にバルーンを使えばすぐに止血することができるためです。

・ダブルカテーテル

基本的には、1本のカテーテルを入れて脳動脈瘤内でコイルを巻きます。ダブルカテーテルは、2本のカテーテルを使うことで、コイルの形をうまく整える方法です。

ステント併用コイル塞栓術

ステント併用コイル塞栓術

ステント併用コイル塞栓術は、ステントでコイルの正常血管への逸脱を防ぎながら脳動脈瘤にコイルを詰める治療法です。脳動脈瘤のネック部分が大きいなど、バルーンアシストをしてもコイルを保持できない場合に行います。

正常な血管にステントを残さなければならないため、ステントが置かれた場所に血栓と呼ばれる血の塊ができる合併症を起こすリスクがあります。極力ステントは置かないようにしますが、バルーンだけでは厳しいと判断した場合は、ステントを留置します。

フローダイバーター留置術

フローダイバーダー

ステント併用コイル塞栓術を応用したものがフローダイバーター留置術です。ステントの目が細かいタイプであるフローダイバーターを置くことで脳動脈瘤に血液が入るのを防ぐ治療方法です。主に大きい瘤に対して行われます。

脳動脈瘤に触らなくても、脳動脈瘤ができている血管にフローダイバーターを置けば治せる画期的な治療法です。しかし、フローダイバーターの置き方が技術的に難しい、置ける場所が決められている、適応となる患者さんが少ない、日本でできる施設が少ない、合併症のリスクが高いなどの問題もあります。

保険適応で受けることができますが、特殊な治療のため一般的な病院でできるのは、ステント併用コイル塞栓術までです。フローダイバーター留置術は、当院でも行っていません。まだ一般的に普及はしていませんが、これから伸びてくる治療法かもしれません。

脳血管内治療のメリット

体への負担が少ない

開頭手術に比べると、脳血管内治療のほうが体への負担が少ないというメリットがあります。開頭手術は、侵襲が大きいため高齢者に対して行うことが困難な場合がありますが、脳血管内治療であれば高齢者でも受けることが可能になるケースがあります。

また、カテーテルを入れた箇所は、止血器具で止めて圧迫するだけで、縫うほどではありません。傷は、針穴のみであまり目立たず、美容面でもメリットがあります。

脳血管内治療の合併症

大きな合併症が起こることは少ないものの、以下の合併症などが起こる可能性があります。

  • 脳血栓
  • 脳塞栓
  • 術中破裂(コイルで脳動脈瘤を破ってしまうことです。)
  • 穿刺部合併症(抗血小板薬が効いているため、鼠径部に皮下血腫などを起こすことがあります。)

脳血管内治療ができない方

プラチナアレルギーの方

脳血管内治療のコイルは、金属といってもプラチナを使用しています。プラチナは貴金属であるため、金属アレルギーがある方でも脳血管内治療を受けることが可能です。しかし、まれにプラチナに対するアレルギーをもつ方がいらっしゃいます。そうしたケースでは、開頭手術を選択します。

造影剤が使用できない方

血管撮影の際には造影剤を使用します。造影剤にアレルギーがある方や、腎臓が悪い方は造影剤を使用できないため、脳血管内治療はできません。開頭手術を行います。

脳血管内治療の術後は「抗血小板薬」を一定期間服用する

抗血小板薬の服用中は、けがに注意!

多くの場合、術前の最低1週間前から、2剤の抗血小板薬を服用していただきます。脳血管内治療であれば、どの手技であっても服用する必要があります。糖尿病や高血圧などの持病がある方はその薬も服用していただきます。また、心房細動が元々あって抗凝固薬を飲んでいる方は、一時的に抗血小板薬を強化する必要があります。

抗血小板薬そのものにアレルギーが出る方や、副作用が現れる方には、薬の種類を変えて対応します。また、抗血小板薬を飲んでいる間は血が止まりにくくなるため、けがをしないように気をつけてください。

コイル塞栓術:3か月間服用

コイル塞栓術の場合は、基本的に1剤を術後3か月間にわたって服用していただきます。

ステント併用コイル塞栓術:1年ほど服用

ステント併用コイル塞栓術の場合は、抗血小板薬の服用期間について、まだ議論されているところです。当院では、抗血小板薬を1年間服用していただいています。最低でも術後6か月間は、2剤服用していただき、6か月目の検査で脳梗塞の所見が特にない方は、1剤にしてまた6か月服用していただきます。1年たった時点で、患者さんと相談をして、もう少し長く飲んでいただくこともあります。

退院後に気をつけるべきことはある?

退院後は定期的に受診する

当院では、退院してから2週間後に受診していただいています。次に、3か月後に来ていただいてMRIなどの検査を行います。そこで問題がなければ、術後半年後に来ていただきます。1年後の検査で問題がなければ、その後は1年に1回ほどMRIなどの検査のために来院いただき、再発がないかを確認します。

退院後の生活において特に制限はない

脳血管内治療は、開頭手術と比べると体への負担が少ない分回復が早く、患者さんにもよりますが、治療の翌日の朝から食事ができ、午後からは歩くこともできます。退院後は、基本的に日常生活でしてはいけないことはありません。入浴や旅行も可能ですし、飛行機やジェットコースターなども乗っていただいて構いません。治療で使用するコイルはプラチナ製のため、MRIも受けることができます。

仕事について、デスクワークであれば退院後に復帰していただいて構いません。ただし、力仕事に関しては、穿刺部の出血の可能性があるため術後2週間ほどはやめておくように当院ではお伝えしています。激しい運動やスポーツも術後2週間後からにしましょう。日常生活で心配なことがあれば、主治医の先生に相談してください。

脳血管内治療の技術は上がってきている

東京曳舟病院で使用する血管撮影装置は2方向から撮影が可能

カテーテル室2

脳動脈瘤の治療においては、医師の手技だけではなく、脳血管内治療で使用する機械の性能もよりよくなってきています。

当院では、バイプレーンDSA(デジタルサブトラクションアンギオグラフィ)という血管撮影装置を使って治療を行っています。シングルプレーンだと1方向からの撮影のため平面画像になりますが、バイプレーンであれば、同時に2方向から立体的に患部を見ることができます。そのため死角が少なく、小さい脳動脈瘤でも拡大して見ることができるため、手術の精度や安全性を高めることにつながります。

治療をするのも選択肢のひとつ

渋谷先生

脳血管内治療は、決して気軽にする治療ではありません。とはいえ、脳血管内治療は体への負担が少なく、術後の肺炎などを気にして避ける必要はないと思います。100%安全とは言えませんが、脳血管内治療の技術は着実に上がってきています。脳動脈瘤があることで、日々の生活を送るうえでも不安が募ってしまうという場合には、決心して治療をするのも選択肢のひとつだと思います。

脳動脈瘤 (渋谷 肇 先生)の連載記事

東京曳舟病院で副院長を務める脳神経外科医師。主に急性期脳卒中の患者さんの治療を行う。脳血管内治療に習熟しており、患者さんの体にかかる負担が少なくなるよう尽力している。気さくな人柄で、患者さんやスタッフから慕われている。

「脳動脈瘤」についての相談が8件あります

関連記事