院長インタビュー

思いやりの心で患者さんと家族を支える藤田神経内科病院

思いやりの心で患者さんと家族を支える藤田神経内科病院
藤田 祐之 先生

藤田神経内科病院 院長

藤田 祐之 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年09月10日です。

福井県坂井市にある藤田神経内科病院は、1982年に開院した神経内科を中心に手がける病院です。老人保健施設やグループホームを併設し、居宅介護支援を開始するなど、介護保険事業にも注力しています。

病院のあゆみ、診療体制とそれぞれの強みなどについて、院長の藤田祐之(ふじたゆうし)先生にお話いただきました。

病院外観(藤田神経内科病院よりご提供)

私の祖父にあたる藤田長雄氏は地域の開業医、父であり現理事長の長久氏は神経内科と内科を手かげる医師として、この地域の医療を支えてきました。特に父は、当時国内の神経内科学の草分け的存在として知られる新潟大学で椿忠雄先生の薫陶を受けた医師の1人として、神経疾患診療に尽力し続けてきました。

当院は1982年に開院、この時期は神経内科を標榜する医療機関が日本全国で誕生し始めており、当院では祖父が行ってきた総合的な内科診療、父が尽力した神経内科診療を主軸に据えて活動を開始しました。

神経疾患は高齢の患者さんが多いです。病気そのものを完全に治すことは難しいという特徴もあり、長期的な治療や介護を行うための受け皿が必要です。

そのため当院では、リハビリテーション部門を開設して患者さんの状態や目標にあわせたリハビリを提供できる環境を作ったほか、老人保健施設など関連施設の運営も開始しました。2016年には地域包括支援センター運営を市から委託されており、病院事業を中心に、介護老人保健施設、通所リハビリ、認知症対応型共同生活介護、居宅介護支援、特定施設入居者生活介護、訪問介護・看護、訪問リハビリ、地域包括支援センターなど幅広く手がけています。

地域全体の医療ニーズを考え、全身を総合的に診療する内科診療を核に、県内外など遠隔地には神経内科診療やリハビリを手がける医療機関としてアプローチできる病院を目指しています。

救急医療では、福井大学総合診療部・救急部による医師派遣や患者転院などを受けたり、大学病院で治療を受け危機を脱した患者さんを当院で受け入れたりなど、連携を図っています。当院をかかりつけとして使用していただている患者さんは、原則受け入れています。

特定の部位や症状にとらわれず全身を総合的に診る診療を行っています。日常の不調全般や、病気の予防方法に関する相談もお受けしています。

より高度な診療が必要と判断した場合には、近隣の病院をご紹介することもあります。

神経内科は脳、脊髄、神経、筋肉の異常の原因を調べて治療する診療科で、主に脳卒中の影響による神経障害やパーキンソン病認知症筋ジストロフィー、運動ニューロン疾患などを治療しています。当院では特に認知症の患者さんを診療する機会が多いです。

神経の病気は高齢になってから発症するものが多く、症状が出ていても自身では加齢によるものと見落としがちです。そのため、ご家族に連れてこられたり、かかりつけ医による紹介状を持って病院を受診したことで、はじめて病気が判明することもあります。

神経の病気は一生をつうじた長い付き合いが必要なものが多いです。一般的な病院では、診断からある程度の期間までは治療できても、途中で担当医の交代や転院のお願いなどで継続的な診療が行えないため、ときに患者さんやご家族に対し心身の負担を強いてしまうこともあります。

当院では、比較的小規模なことやグループ内で複数の関連施設を運営していることをいかして、患者さんやご家族の環境やニーズを考慮した選択肢をご提案、診断から最期まで責任を持って診療にあたります。

「今、自分たちにできることを精一杯やる」をモットーに、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士と彼等をサポートする助手達で、医療・介護部門でのリハビリを行っています。

リハビリは患者さんの身体機能向上を目的にしているため、患者さんとスタッフの一対一で行うものと思われがちですが、当院では家族の介護負担軽減につながるアドバイスなどを行っています。また自宅環境などを見学して、生活環境をチェックし、手すりをどこに取り付けたらよいかなどを検討したりする退院前訪問なども、リハビリテーション部のスタッフが行っています。

医師は介護やリハビリに関する専門的なトレーニングを受けることはなく、また病院が標榜可能な診療科名の中にも「介護科」というものはありません。そのため、医療と介護はそれぞれ独立した存在として捉えられがちです。その中で、医師と介護それぞれとの接点を持っているリハビリは、両者をつなぐ架け橋のような存在といえるでしょう。また、リハビリを行うスタッフが患者さんと接する時間は数十分単位と医師より長いため、患者さんの異変に気づきやすく、医師に知らせやすい立場にあります。

前述したご家族へのアドバイス以外にもこうした特徴があることを踏まえると、リハビリには大きな可能性があるのではないかと考えています。

家庭の事情などからご自宅で最後を迎えるのが難しいならば、お看取りを施設で引き受けるのも選択肢の1つと考え、2009年から介護老人保健施設「ディーパあかね」でお看取り介護を開始しました。

患者さんの容態急変への対応や死亡診断書発行などの問題から、施設内でのお看取りに難渋する施設もいまだ一定数あるのが現状です。また、亡くなる1週間前ほどから体内で水分を処理できなくなるため、点滴量や胃ろうへの注入量を徐々に減らして患者さんが苦しまず自然に旅立てるようにするのですが、処置に対してご家族や看護職の方のご理解を得にくいこともあります。

患者さんやご家族には、残された時間をご家族に囲まれ自分らしく過ごしていただくための取り組みをすることと、痛みを取るための治療はしても病気を治すための治療はしないことを説明、施設に対してはどういう状態になったら医師を呼ぶか、ご臨終時の対応をお伝えして、終末期医療の考え方や取り組みについて伝え、理解を広めるようにしています。

介護付有料老人ホーム吾亦紅(われもこう)(藤田神経内科病院よりご提供)

最期のひとときをご家族と一緒に過ごしていただいたり、一時帰宅をしたり、趣味や好きなことをしていただいたりなど、その方らしく過ごしていただくことは、患者さんと残されたご家族の思い出づくりにつながります。

介護職は患者さんの最期を見送るなど悲しみを経験することが多いです。しかし、その方らしい時間を過ごしていただくためのお手伝いをさせていただくことは、介護職によってやりがいやモチベーション維持へつなげることができるのではないか、とも考えています。

当院では総合的な内科診療を行っていますので、日常の不調などがあれば遠慮なくご相談ください。

リハビリテーションやお看取りなども、医師が対応可能な部分は医師、必要に応じて専属のスタッフに引き継ぎ、皆さんに適した方法をご提案させていただきます。

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