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心臓手術後のリハビリテーションとは? 目的や具体的な流れを解説
心臓の手術は、体にさまざまな影響を及ぼす可能性があります。そのため、術後の合併症の予防や、患者さんが日常生活に復帰できる状態にすることを目的として、術前の評価や術後のリハビリテーションを行います...
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心臓手術後のリハビリテーションとは? 目的や具体的な流れを解説

公開日 2018 年 10 月 17 日 | 更新日 2018 年 10 月 18 日

心臓手術後のリハビリテーションとは? 目的や具体的な流れを解説
北村 アキ 先生

東京ベイ浦安市川医療センター 心臓血管外科 非常勤医師 一般社団法人Medical Plus代表理事

北村 アキ 先生

目次

心臓の手術は、体にさまざまな影響を及ぼす可能性があります。そのため、術後の合併症の予防や、患者さんが日常生活に復帰できる状態にすることを目的として、術前の評価や術後のリハビリテーションを行います。

東京ベイ・浦安市川医療センターは、2013年より心臓リハビリテーションチームを発足させました。当チームは理学療法士(PT)を中心に構成され、医師など多職種と連携しながら、心臓リハビリテーションを実施しています。

心臓手術後のリハビリテーションの目的や具体的な流れ、患者さんが注意すべき点などについて、東京ベイ・浦安市川医療センターの北村アキ先生と、理学療法士の広瀬一守さんにお話を伺います。

心臓の手術には主に、一般的に行われている開胸手術と、従来の方法よりも小さな傷で行う低侵襲心臓手術(MICS:ミックス)の2種類があります。本記事では、開胸手術後のリハビリテーションを中心にご説明します。

心臓手術後のリハビリテーションの目的

心臓の手術は、体にさまざまな影響を及ぼす可能性があります。心臓手術後に行うリハビリテーション(以下、リハビリ)の目的は、主に、心臓手術による身体的ダメージを最小限に抑え、術後の合併症を予防しながら患者さんが日常生活に復帰できる状態に回復させることです。

<心臓手術後のリハビリテーションの目的>

  1. 心臓手術による身体的ダメージからの回復
  2. 日常生活動作・歩行の再獲得/自宅での安全な生活復帰
  3. 術後の呼吸器合併症の予防
  4. 術後せん妄(認知機能障害)の予防

日常生活動作・歩行の再獲得/自宅での安全な生活復帰

リハビリの根本的な目的は、手術を受けた患者さんを、日常生活に復帰できる状態に回復させることです。そのために、日常の生活動作や歩行を再獲得できるよう、リハビリテーションを行います。さらに、自宅で安全に生活復帰できるよう、患者さんがもともと過ごしていた環境(自宅の設備など)を把握し、リハビリを進めることも大切です。

術後の呼吸器合併症の予防

一般的に、胸部・上腹部の手術後は、呼吸機能が手術前と比較して5割ほど低下するといわれています。呼吸機能が低下すると、痰が溜まりやすくなる、無気肺(酸素を十分に取り込めない)などの呼吸器合併症を引き起こすことがあります。

心臓手術でも同じく、術後に呼吸器合併症が問題になる可能性があるため、リハビリを行い、早期に呼吸機能を回復させることが重要です。

術後せん妄(認知機能障害)の予防

術後せん妄とは、手術をきっかけにして、意識、認知機能、知覚、注意などが障害され、さまざまな症状が一過性に起こる状態を指します。

術後せん妄は、患者さんが短期間のうちに、病気の告知や手術への不安といった精神的苦痛と、病気や手術の傷などの痛みによる身体的苦痛を受けることで、不適応を生じた結果起こると考えられています 。

術後せん妄が起こると、術後の管理がうまく実施できず、術後経過に大きな影響を与えかねません。そのため、術後のリハビリによって術後せん妄を予防することは重要です。

心臓手術後のリハビリテーションのポイント

なるべく早いうちにリハビリを開始することが重要

手術後、安静にすることは必要です。ところが、安静にしすぎることで、廃用症候群と呼ばれる筋力や体力の低下、無気肺や肺炎など、さまざまな問題が起こる可能性があります。これらの問題を予防するためには、手術後、なるべく早いうちからリハビリを開始することが重要です。

リハビリテーションの流れ−東京ベイ・浦安市川医療センターの例

本項では、心臓手術を受けた患者さんに対するリハビリテーションの流れについて、当院の例をもとにご説明します。

手術前:術前の評価、オリエンテーションを行う

入院された患者さんに対して、担当医によるリハビリテーション処方に基づき、理学療法士が術前の評価を行い、オリエンテーションを行います。

術前の評価では、患者さん本来の活動量を把握し、リハビリの到達目標を設定するために、手術のリスクやADL(日常生活動作)などを評価します。オリエンテーションでは、手術による影響、リハビリの目的、リハビリの具体的な内容などを患者さんに説明します。

手術直後:ICUでは集中治療医が管理を行う

まず、手術後の様子をお伝えします。手術後は、ケースにもよりますが、人工呼吸器、点滴、尿道カテーテル、心電図モニターなどのチューブが全身につながった状態です。

手術後の様子

特に、手術の直後は、基本的に人工呼吸器をつけたままICU(集中治療室)に入るため行動が制限されますが、可能な範囲で少しずつリハビリを開始します。

その後は、病状に応じて、人工呼吸器のチューブを抜管し、一般病床に移ってから本格的にリハビリテーションを開始します。

当院には、常駐する集中治療を専門に行う医師(集中治療医注1)が、手術を担当する心臓外科医と連携し、患者さんがICUに入ってからの管理を担当します。集中治療医は、患者さんの状態をみながら、抜管のタイミング管理や薬剤の調整を行います。

注1 集中治療医・・・ICUの目的は、重篤な急性臓器不全に対して強力かつ集中的な治療とケアを行い、臓器機能を回復させ、重症患者を救うことである。集中治療を専門とする医師を集中治療医と呼ぶ。

毎朝の回診でリハビリの実施可否・内容を検討する

手術後は、毎朝の回診で集中治療医、心臓外科医、リハビリを行う理学療法士、看護師が情報共有を行い、リハビリの方針を立てます。回診では、患者さんが体を動かしてよい状態か、術後の合併症がないかといった点を判断した上で、リハビリの内容を検討します。

当院は、高頻度・低負荷という点を重視してリハビリを実施しています。基本的には、午前と午後の1日2回、リハビリスタッフと患者さん1対1でのリハビリを実施しています。

手術後、痛みが強い場合には鎮痛剤を処方し、痛みを緩和しながらリハビリを行うことがあります。

ICU:座位訓練、立位、呼吸リハビリ(深呼吸)

ICUでのリハビリは、血圧や脈拍など心臓の状態によく注意しながら、ベッドサイドでの座位(座った状態)、立位(立った状態)訓練に加え、呼吸器合併症を予防するための練習を行います。

病棟:足踏み、歩行リハビリ

病棟でのリハビリは、ICUでのリハビリに続き、足踏みから始め、午前と午後の歩行リハビリに移行します。

歩行リハビリは、手術前の活動量からゴール設定を行い、徐々に距離を伸ばしていきます。看護師と共にトイレまで歩くことや、ほかの部屋に歩いて移動することもリハビリになります。

リハビリ室:有酸素運動

リハビリ室での床上動作訓練、自転車エルゴメーター等の運動も併用しながら、その時期に応じたリハビリメニューを行います。病棟・リハビリ室でのリハビリは、血圧や心拍数、疲労感に応じて、メニューや運動量を調整しながら行います。階段の昇り降りを行うこともあります。

自動車エルゴメーター
自転車エルゴメーター

こちらは主にリハビリ室で使用する、ピーナッツ型のボールです。ベッドの足側に置き、ボールを蹴るようにして足の運動に用います。

リハビリで利用するボール

入院中に患者さんが注意すべきことは?

傷に負担がかからないよう動作に気をつける

咳やくしゃみ、ベッドから起き上がる動作は、傷に負担がかかり痛みが出ることがあります。そのため、入院中から、咳やくしゃみをするときには胸に枕を抱える、傷を保護しながらベッドから起き上がるといった動作の習慣をつけていただくとよいと思います。

具体的な方法を、以下のイラストに示します。

入院時の注意点

記事2『リハビリの観点から−心臓手術を行い退院した後に気をつけるべきこと』では、退院後の生活で患者さんが気をつけるべきことについてお話しします。
 

心臓手術後リハビリテーション (北村 アキ 先生)の連載記事

初期、後期研修終了後、心臓外科医として手術経験を積む傍ら、2010年より心臓リハビリテーションにも従事。2016年に回復期・維持期の心臓リハビリテーションをサポートするための法人を設立した。運動のみならず、栄養や心理的アプローチを含むholistic medicineの重要性を提唱し、QOLに主眼を置いた医療に関わっている。法人運営とともに、東京ベイ浦安市川医療センターでは非常勤医師として急性期治療に従事し、神戸大学にて医学教育、国際交流にも携わっている。

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