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糖尿病・脳梗塞・心筋梗塞など他の病気をもつ患者さんの肺がん治療
肺がんの患者さんの中には、糖尿病や脳梗塞、心筋梗塞など何かしらの基礎疾患※をもつ方がいます。高齢化が進行している近年では、このように他の病気をもつ肺がんの患者さんが増えています。肺がんの治療では...
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糖尿病・脳梗塞・心筋梗塞など他の病気をもつ患者さんの肺がん治療

公開日 2018 年 10 月 17 日 | 更新日 2018 年 10 月 17 日

糖尿病・脳梗塞・心筋梗塞など他の病気をもつ患者さんの肺がん治療
梶 政洋 先生

東京都済生会中央病院 呼吸器外科 部長

梶 政洋 先生

目次

肺がんの患者さんの中には、糖尿病や脳梗塞、心筋梗塞など何かしらの基礎疾患をもつ方がいます。高齢化が進行している近年では、このように他の病気をもつ肺がんの患者さんが増えています。肺がんの治療では手術が大きな役割を果たしますが、基礎疾患をもつ場合でも、手術はできるのでしょうか。

東京都済生会中央病院の梶 政洋先生は、外科医として肺がんの治療に携わっていらっしゃいます。同病院の梶 政洋先生に、基礎疾患をもつ患者さんの肺がんの治療についてお話をお伺いしました。

基礎疾患:患者さんがもともと持っている病気

基礎疾患をもつ肺がんの患者さんとは?

糖尿病・脳梗塞・心筋梗塞などの病気をもつことが多い

肺がんの患者さんがもつ基礎疾患には、さまざまなものがあります。たとえば、糖尿病や脳梗塞、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患、COPD(慢性閉塞性肺疾患)や間質性肺炎などの呼吸器疾患があるでしょう。

高齢の男性

これらの病気の中には、肺がんと直接関連があるものもあれば、関連がないものもあります。たとえば、糖尿病の患者さんはがんを発症しやすいといわれています。また、COPD(慢性閉塞性肺疾患)や間質性肺炎の患者さんも、肺がんを発症しやすいことがわかっています。

一方、肺がんと因果関係がないような脳梗塞や心筋梗塞をもつケースもあります。肺がんの患者さんには高齢の方が多いため、加齢とともに発症しやすくなるこれらの病気を肺がんと併発するケースがあるでしょう。

基礎疾患をもつ肺がんの患者さんの治療はどのように決定される?

術後のQOL(生活の質)を低下させないことが大切

近年では、年齢のみで肺がんの手術適応を決めることはありません。高齢であっても呼吸機能など状態が安定していれば手術に踏み切るケースもあります。逆に、高齢でなくても、糖尿病やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの基礎疾患が重症化している場合には、手術することができないケースもあるでしょう。

一般的に、肺がんの術後は、呼吸機能が術前より低下してしまいます。そのため、患者さんの呼吸機能を把握し、手術を乗り越えることができるのかどうかはもちろんのこと、術後のQOL(生活の質)が患者さんの求めるレベルより低下しないと判断できれば、手術に踏み切るようにしています。

基礎疾患が重症化している場合の肺がんの治療

糖尿病にかかっている患者さんの場合

診察

糖尿病にかかっている患者さんの中でも、たとえば血糖のコントロールが極めて悪い場合には、肺がんの手術をすることが難しいと判断されます。糖尿病の患者さんは感染に弱く傷が治りにくいという特徴があり、術後に重い合併症をきたす可能性が高くなるからです。

このような場合には、糖尿病内科の医師の許可がおりるまでしっかりと血糖のコントロールを行います。術前に糖尿病の治療のために一定期間入院していただき、血糖値が安定してから手術をすることもあります。

COPDにかかっている患者さんの場合

COPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療では、薬物治療が重要な役割を果たします。薬によってCOPDを改善した後に、肺がんの手術を受けていただくケースもあります。

手術を受けていただく際には、術後のQOL(生活の質)を維持できる程度に呼吸機能が安定していることが大切です。呼吸器内科の医師と連携をとりながら、COPD(慢性閉塞性肺疾患)が安定してから手術に踏み切ることが多いでしょう。

心臓の病気にかかっている患者さんの場合

肺がんの患者さんの中には、何らかの病気のために心臓の機能が低下しているケースもあります。たとえば、冠動脈狭窄がある患者さんが肺がんを発症した場合、事前に冠動脈狭窄を改善するために心臓のバイパス手術を行い、心臓の機能がある程度回復した後、肺がんの手術を行うことがあります。

このように、事前に手術によって心臓の機能を改善させてから、肺がんの手術に踏み切るケースもあるでしょう。

冠動脈狭窄:心臓の冠動脈が狭くなることによって心臓に酸素がいきわたらなくなる病気

肺がんの手術をすることができないときの治療の選択肢

肺がんが進行していたり、基礎疾患が重症化していたりなどの理由で、手術することができない場合には、抗がん剤による治療や放射線治療などによる治療を行います。この場合患者さんと相談しながら、治療方針を決定していきます。

基礎疾患をもつ肺がんの患者さんの合併症

糖尿病の患者さんに起こりやすい合併症

糖尿病にかかっている患者さんや、何らかの病気のためにステロイドによる治療を受けている患者さんは、手術による傷が治りにくいといわれています。そのため、肺から空気がもれる肺瘻(はいろう)や、気管支を切除した断端を縫合したところに穴があく気管支断端瘻(きかんしだんたんろう)を起こす確率が高くなります。

特に気管支断端瘻は、重症化し命にかかわる可能性があるため、注意が必要です。そのため、糖尿病を発症している方やステロイドによる治療を行っている方には、術後に生じる可能性のあるこれらの合併症を起こさないように、縫ったところを特別に補強するなどいろいろな工夫をして対処しています。

心筋梗塞・脳梗塞の患者さんに起こりやすい合併症

また、心筋梗塞や脳梗塞を起こしたことがある患者さんは、血液をさらさらにする効果のある抗凝固薬や抗血小板薬による治療を受けている場合があります。手術の際には、出血を避けるため、これらの薬を一旦中止しなくてはいけません。

薬を中止している間は、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすいともいえるので、注意が必要でしょう。

基礎疾患をもつ肺がんの患者さんの治療で心がけていること

他の診療科の医師との連携が大切

お話ししたように、基礎疾患をもつ肺がんの患者さんの治療では、他の診療科の医師との連携が大切になります。たとえば、当院では、他の診療科と連携をとり、術中や術後に何か緊急で対応すべきことがあっても対応してもらえる体制を整えています。

また、患者さんの情報を共有しながら、基礎疾患の状態についても把握し、肺がんの治療にあたるようにしています。

出血の少ない手術が重症化を防ぐ

また、患者さんに負担をかけないよう出血量が少なく手術時間も短い手術を心がけています。それによって、術後の合併症の予防につながるからです。基礎疾患をもつ患者さんが合併症を起こした場合、重症化する可能性があります。重症化の可能性を防ぐためにも、負担の少ない手術になるよう常に気を配っています。

東京都済生会中央病院の肺がん治療の特徴

呼吸器外科と呼吸器内科の連携体制

梶先生

私たち東京都済生会中央病院では、呼吸器外科、呼吸器内科が一つのチームとして機能しています。呼吸器外科と呼吸器内科が同じ病棟にあるため、毎日外科と内科のスタッフが顔をあわせ情報交換ができる体制が築かれているのです。内科からの紹介を受け外科で手術をし、その後、必要な方は追加の治療を内科で行うといったことも積極的に実施しています。

このように、呼吸器外科、呼吸器内科が一つのチームとして機能することが、スムーズな肺がん治療につながると考えています。

柔軟に患者さんを受け入れている

東京都済生会中央病院の呼吸器チームでは、診療が必要な患者さんを柔軟に受け入れています。たとえば、緊急の患者さんが外来日以外の曜日にいらしたときにも、可能な限り対応しています。また、難しい基礎疾患をもつ方などは、外来日でなくても時間外であっても、しっかりと時間をとり診療を行うことがあります。

さらに、当院の救急外来には、肺がんの術後の方が緊急で受診されたときには、いつでも受け入れてほしいと伝えています。救急のチームとの連携もとれているので、救急外来の医師が対応できないときには、日曜日や夜中であっても私たち呼吸器チームが対応するようにしています。

術後は経過が良好なケースばかりではありません。患者さんが痛みや肺炎などの合併症のために受診されたときには、可能な限り受け入れる体制が築かれているため、安心して手術を受けていただきたいと思います。

セカンドオピニオンにも対応

他の病院で肺がんの状態や治療について話を聞いたとしても、他の意見も知りたいという場合もあるでしょう。そのような場合にも、ぜひ当院を受診していただきたいと思います。

患者さんが理解できるよう、病状や治療法についてしっかりと説明させていただきます。他の病院で「手術ができない」と判断されたとしても、納得ができない場合もあるかもしれません。そのような場合にもぜひ一度ご相談ください。

梶政洋先生からのメッセージ

肺がん以外の病気が重症化していても諦めないで

梶先生

当院では、糖尿病や心筋梗塞、脳梗塞などさまざまな病気をかかえる肺がんの患者さんの治療にも積極的に取り組んでいます。これらの基礎疾患を抱える肺がんの患者さんの治療に対応するため、他の診療科との連携を実現しています。

従来であれば手術が不可能だと判断されていた方の中にも、手術できる方が含まれている場合もあります。肺がん以外の他の病気が重症化している場合にも、諦めないで相談していただきたいと思います。

 

1990年より名古屋市立大学及びその関連病院にて一般外科を習得。1994年より専門を呼吸器外科に定め、国立がんセンター中央病院にて肺がんを中心とする修練を開始した。修練は外科手術のみではなく、画像診断学、病理細胞診、化学療法など多岐にわたり、各方面の一流レベルの先輩医師に鍛えられ、大いに啓蒙された。1999年、大学帰局後は学位取得のため肺がんの臨床と基礎の懸け橋となるテーマを選び、臨床を行いながら研究にも勤しみ、2002年に学位を取得。その後は臨床の現場一筋に打ち込み、2005年より東京都済生会中央病院に赴任し現在に至る。

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