インタビュー

サルコイドーシスってどんな病気? 原因や症状について解説

サルコイドーシスってどんな病気? 原因や症状について解説
JR札幌病院 副院長 / 感染防止対策部部長 / 診療情報管理室長 / 呼吸器内科 四十坊 典晴 先生

JR札幌病院 副院長 / 感染防止対策部部長 / 診療情報管理室長 / 呼吸器内科

四十坊 典晴 先生

目次
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サルコイドーシスとは、肉芽腫(にくげしゅ)と呼ばれる結節を全身のさまざまな臓器に生じる病気です。サルコイドーシスの病変は、肺や目、皮膚や心臓など、全身のさまざまな臓器に現れます。病変を生じる場所や、全身の臓器に広がっていく順番は患者さんによって異なるため、個別性の高い病気といえるでしょう。

JR札幌病院は、サルコイドーシスの診療にも力を入れています。今回は、同病院の四十坊典晴先生に、サルコイドーシスの原因や症状についてお話しいただきました。

結節:直径1〜5cm程度の隆起した病変

サルコイドーシスとは?

原因不明の肉芽腫が全身の臓器に生じる病気

サルコイドーシスとは、原因不明の肉芽腫(にくげしゅ)と呼ばれる結節を全身のさまざまな臓器に生じる病気です。

この病気は、19世紀の終わりに、イギリスの皮膚科の医師J.Hutchinsonによって発見されました。J.Hutchinsonは、皮膚にただれた肉のような病変がある症例を発見し、サルコイドーシスと名付けたのです。サルコイドは、ラテン語で「肉のような」という意味で、このような病変が広がっていく病気であることから「サルコイドーシス」と名付けられました。

サルコイドーシスの男女比・発症年齢

サルコイドーシスは、2対1で女性に多い病気です。男女共に幅広い年代で発症する可能性がありますが、男性では20歳代で発症しやすいことがわかっています。一方、女性は、20歳代と、50歳以上で発症しやすいことがわかっています。

近年は発症年齢が高齢化している傾向にあります。特に中高年の女性の発症が増加しているといわれています。

うえを見上げる女性 ペイレス

サルコイドーシスの原因

原因はわかっていないがアクネ菌の影響が考えられている

2018年7月現在、サルコイドーシスの原因は解明されておらず、研究が続けられています。これまでにも、サルコイドーシスの原因として、さまざまな報告がありました。中でも、現状では、アクネ菌と呼ばれるニキビの原因となる菌が、発症に影響していると考えられています。

これは、単純にアクネ菌への細菌感染によって発症するということではありません。アクネ菌への感染をきっかけに、Th1型細胞免疫反応と呼ばれるアレルギー反応が起こった結果、遺伝的素因(病気のなりやすさ)をもつ方が発症すると考えられているのです。

サルコイドーシスの症状

サルコイドーシスの症状には、病変を生じた臓器に伴うものと、全身性のものがあります。

病変は、肺や目、心臓、皮膚、骨など全身のいたるところに生じます。日本では、目、肺、皮膚に病変を生じるケースが多いという報告があります。また、呼吸器、目、循環器領域の症状を認めるケースが多いといわれています。

臓器に発生した病変に伴う症状

病変を生じる臓器によって、さまざまな症状が現れます。以下は、病変を生じる主な臓器と、それに伴う症状です。以下のほかにも、神経や筋肉、骨、肝臓や脾臓、胃、腸、乳房など、全身のいたるところに病変を生じる可能性があります。

肺に現れる症状

肺に病変を生じた場合、無症状のことも多いです。しかし、中には、咳や(たん)、呼吸困難が現れることがあります。

また、BHL(両側肺門縦隔リンパ節腫脹)と呼ばれるリンパ節が腫れて大きくなるリンパ節腫脹(しゅちょう)が生じることもあります。このリンパ節腫脹は症状を伴うことはなく、健康診断等の検査によって発見されることが多いです。

肺 ペイレス

目に現れる症状

目に現れる症状には、ぶどう膜と呼ばれる場所に炎症が起こるぶどう膜炎があります。ぶどう膜炎が現れると、目の前に蚊が飛んでいるように見える飛蚊症(ひぶんしょう)が生じたり、霧がかかったかのように目がかすんだりします。

進行すると視力の低下につながり、確率は低いですが、重症化すると失明することもあります。

目の構造

心臓に現れる症状

心臓に病変を生じた場合、不整脈が起こったり、動くと息切れが現れたりすることがあります。進行すると、心臓全体に影響が及んだ結果、心臓の機能が低下した状態が続く慢性心不全にいたることもあるでしょう。

心臓に病変を生じた場合には重症化しやすく、治療も長期化しやすいといわれています。

皮膚に現れる症状

皮膚に病変を生じた場合、全身のいたるところに赤い斑点が発生したり、皮膚の下にできものができたりします。赤い斑点は、痛みや痒みを伴うことはありません。

四十坊典晴先生ご提供画像
四十坊典晴先生ご提供画像

骨に現れる症状

骨に病変を生じる場合、特に手や足の指に発生しやすいといわれています。手や足の骨に病変を生じると、手や足の指が腫れたり、痛みが現れたりすることがあるでしょう。

発熱などの全身性症状が現れることも

お話ししたような臓器の病変に伴う症状とは別に、発熱や全身倦怠感が現れることもあるでしょう。ただし、これらの症状はサルコイドーシスに伴い生じていることもありますし、伴っていないこともあります。

サルコイドーシスの進行

進行する場合、多くはゆっくりと進行する

サルコイドーシスは、進行する場合、多くは非常にゆっくりと進行します。年単位で患者さんを診療していったとしても、あまり進行していないケースも少なくありません。

しかし、中には急速に悪化し、緊急で治療を必要とするケースもあります。2018年7月現在、このように急速に病気が悪化する要因はわかっていません。

病変が現れる順番はさまざま

お話ししたように、サルコイドーシスの病変は、全身のさまざまな臓器に現れる可能性があります。全身の臓器に広がっていく順番は患者さんによって異なります。

しかし、必ずしも複数の臓器に現れるわけではありません。ひとつの臓器のみに病変が現れ、病変が広がらないケースもあります。

サルコイドーシスの特徴

患者さんごとに症状や進行が異なる

サルコイドーシスは、個別性の高い病気です。先述の通り、全身のいたるところに病変を生じる可能性があるため、現れる症状も患者さんごとに異なります。病変ができる場所も、1つの臓器だけのこともあれば、複数の臓器にわたって生じることもあります。

病気の典型的な症状や進行があるというよりも、患者さんごとに現れる症状や進行が異なるといえるでしょう。

病気が発見されないケースも

サルコイドーシスは、ほかの病気と診断されたり、発見されなかったりするケースもあるでしょう。発症したとしても、自覚症状がまったく現れないケースもあるからです。

また、上記の症状は、必ずしもサルコイドーシスに特有の症状とは限りません。たとえば、心不全や不整脈は、ほかの病気であっても現れる症状です。そのため、医師がサルコイドーシスを疑わない限り、病気の発見につながらないこともあるといわれています。

サルコイドーシスは自然によくなる?

日本人の患者さんの半数程度は自然に病気がよくなる

日本人のサルコイドーシスの患者さんの半数程度は、自然寛解するといわれています。特に、若年で発症し、症状が肺のBHL(リンパ節が腫れて大きくなるリンパ節腫脹)のみの患者さんは自然寛解する確率が高いということがわかっています。

重症化するケースも

院内の廊下

しかし、中には重症化する方もいらっしゃいます。全体の約10%の患者さんは、治療を行っても改善が難しいと考えられています。特に、中高年の女性や、病変を生じる臓器が3つ以上にわたる場合には、治療が長期化しやすいといわれています。

また、心臓に病変が発生するかどうかで重症度は変わるといわれています。この場合、ほかの臓器の病変が自然とよくなっても、心臓の病変だけが治癒せず、治療を必要とするケースもあるでしょう。

自然寛解:自然に病気が治癒すること